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January 04, 2008

ラッシュライフ

■著者 伊坂 幸太郎
■星   ★★★

ラッシュライフ (新潮文庫)
ラッシュライフ (新潮文庫)伊坂 幸太郎 新潮社 2005-04売り上げランキング : 826おすすめ平均 starstar後味すっきり。star最後まで読んで初めて、すべてが結びつく。starうわっ、やられた!Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 ものすごく説明が書きにくい本。さまざまな職業、境遇の人たちが出会うなんとなく不思議な出来事。まったく無関係で不可解だと思っていた出来事の謎が少しずつすこしずつ解けてくる。

■感想
最後の最後になるまで、????と翻弄されっぱなし。 この本は私からみると村上春樹の本に似ている感じ。 意味不明さと妙な残忍さとそれを当然のごとくに現実味なくさらりと書いてしまっている感じというか。  「チルドレン」のことかと思う事件もさらりと盛り込まれていたりする。 「チルドレン」(おもしろかったー)を期待するとちょっと違うかも。

配達あかずきん

■著者 大崎 梢
■星   ★★★★★

配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)
配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)大崎 梢 東京創元社 2006-05-20売り上げランキング : 36161おすすめ平均 starstar本屋好きにおすすめstar本屋の好きな人へ。star5戦5敗かな・・・。Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 駅ビル6階にある本屋、成風堂で起こる本にまつわる小さな事件。解決するのはもちろん書店員。

■感想
楽しい。楽しい。本好きにはたまらん本。お客の持ってきた少ない情報から、求めている本を探す彼らは毎日が推理の連続なのだ。
 「あのじゅうにさーち、いいよんさんわん、ああさぶろうに」とは何???  短編集です。

予知夢

■著者 東野 圭吾
■星   ★★★★★

予知夢 (文春文庫)
予知夢 (文春文庫)東野 圭吾 文藝春秋 2003-08売り上げランキング : 249おすすめ平均 starstar原作には原作の味がstar新しい超常現象の究明だstar真実を見通す力は超能力にあらず、論理的な考察力にありAmazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 助教授湯川(ガリレオ先生)は、友達の刑事草薙の持ち込む不可思議な事件の相談役。毎回わからない事件は彼のところに持ち込まれる。

■感想
 テレビの 「探偵ガリレオ」の原作本。目次を見てドラマと同じタイトルが並んでいるので、「読んでも面白くないかなあ」とあまり期待せずに読み始めたら、ドラマとずいぶん設定が違っていて、内容もドラマと違う部分も多くかなり楽しめた。 pon1はドラマの方が登場人物が個性的で楽しいという印象を受けたと言っていたけれど、私は「『惚れたはれた』が出てくるドラマよりも、淡々と冷静な展開の本の方が好きだよ」と言った。 こちらは、ホームズとワトスンのような味のある関係が味わえる(と私は思ったりしている)。ドラマを見た人ももう一回楽しめること請け合い。

分身

■著者 東野 圭吾
■星   ★★★★

分身
分身東野 圭吾 集英社 1996-09売り上げランキング : 2201おすすめ平均 starstarぞくぞくしましたstar今まで読んだ中で白夜行と並ぶ良さ!star前半ややテンポが遅いAmazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 「もしかしたら私は母に嫌われているのではないか-」鞠子が、そんな思いを抱くようになったのは小学校高学年のころだった。はっきりとそう思うわけではない。表面上は普通の家族。でも、ふとした母の表情やしぐさに違和感を感じる鞠子。

■感想
 1993年に書かれたらしい。私が読んだ中では古い作品に分類される。根っからの東野ファンの中には「これは普通すぎる」と思われる方もありそう。でも、私としては、読後に重苦しいやりきれない気持ちにならずにすんでほっとしたというところ。 てっきり、東野圭吾の作風がそういうものなのだろうと思っていたら、そうではないことにこの本で気がついた。 私にとって読みやすい一冊だった。

鴨川ホルモー

■著者 万城目 学
■星   ★★★★★

鴨川ホルモー
鴨川ホルモー万城目 学 産業編集センター 2006-04売り上げランキング : 1135おすすめ平均 starstar京都×大学生×サークル=ホルモー?star読み始めからstar男子学生臭Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
京大1年の俺は、葵祭のバイトで牛車を引いた。車は牛が勝手にひいてくれるので、俺はその横をゆっくりと歩くだけでよいのだ。そこで会ったのが「高村」。同じバイトをしていて、偶然同じ大学の1年生だった。

■感想
ホルモーって何? 舞台は京都。だいたいこの本がどんなジャンルに入るのかも知らず、「京大生の話か?」と読み始めた。きっかけは、「おもしろいという噂だから」である。そうして、最初の数ページを読んだら最後まで楽しく読んでしまった。
 ああ、これは面白い。好き。私は楠木さん好きだねー。 妖怪アパートや、しゃばけが好きな人はきっとこれも好きだろうとおもいつつ。 次作の「鹿男あをによし」は今季ドラマ化だということ。ドラマを見るまえに読みたい。こちらは、また別の話のようだ。

 ただ、国語に厳しい人は気になる言葉づかいが多いのかも。私は気がつかず読んでしまったが、「汚名を晴らす」という言葉が気になったというのがpon1の言。たしかに。汚名挽回が間違いで汚名返上が正しいという話は有名だけれど、汚名はそそいで、晴らすのは「濡れ衣」だったか。
 前読んだ「陰日向に咲く」の「ら抜き」言葉は気になったけれど、私はこっちはまったく気付かずにさららーと読んでしまっていた。 こういう本ばかり読んでいると、本来の言葉がわからなくなってしまう危険性はありそう。

 ま、それはそれとして、楽しい本だった。
第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。

December 10, 2007

空中ブランコ

■著者 奥田 英朗
■星   ★★★★

空中ブランコ
空中ブランコ奥田 英朗 文藝春秋 2004-04-24売り上げランキング : 6213おすすめ平均 starstar伊良部先生シリーズは第2作もやはり面白いstarプラセボstar短時間で読める本Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
伊良部総合病院の跡取りらしい医師伊良部は見かけも性格もちょっと異常?な精神科。でも突飛な言動と妙な癒し効果?で患者たちを救っているのか。。。な?

■感想
伊良部医師の話は町長選挙から2冊目。こちらの方が実際は古い巻のようだ。 町長選挙よりも毒がなくて伊良部のいたずらも無邪気といえば無邪気な感じ。
 前回の印象は「パタリロ」だと書いたけれど、この巻の印象は「笑ゥせぇるすまん」という感じだったなあ。

プリズンホテル

■著者 浅田 次郎
■星   ★★★★

プリズンホテル
プリズンホテル浅田 次郎 徳間書店 1993-02売り上げランキング : 155559おすすめ平均 starstar困りました・・・starシチュエーションが秀逸ですstarドラマで見たな〜Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
父の七回忌。よりにもよって、オヤジの遺言で「あいつとだけは付き合うな」と言われていたヤクザの仲叔父がやってきた。

■感想
「どこかで聞いたことあるな。」と思ったら、テレビドラマ化されていたそうだ。読んでいるときからテレビドラマを見ているかのような印象を受けたので、ああ、なるほどと思った。 ドタバタコメディだが、ちらりと人情がみえてくるところが浅田次郎の持ち味だろうか。
 けれど、なかには主人公の女性に対する言動を不快に感じる人もいるかもしれない。(この主人公の言動にも屈折した心理があるということにはなっているのだけれど。)

 最後まで軽くさっさと読めるような本だった。読書記録を書こうとして検索したら、人気シリーズだったのか、この後も 春・夏・秋・冬と巻が続いているようだった。

 プリズンホテル。たしかに、あったら怖いもの見たさで一度泊まってみたい。しかし、流血騒ぎは勘弁だなあ。

October 19, 2007

陰日向に咲く

■著者 劇団ひとり
■星   ★★★★

陰日向に咲く
陰日向に咲く劇団ひとり 幻冬舎 2006-01売り上げランキング : 835おすすめ平均 starstar評判に違わず面白かったですstar普段本を読まない人に興味を持たせる作者は偉大だと思うstar最初は興味本位だったけど。。。Amazonで詳しく見る by G-Tools

 タレント本は今まで手にとったことがなかったけれど、面白いうという評判だったので、読んでみることにした。 最初の数ページを持ちこたえたらきっとそのあとラストまでトントンと読み続けられると思う。 
 何よりも最初に気にかかったのは、多発する「ら抜き」言葉。作家ならば 物語中の人物に合わせてかいたのだろうか?と思うのだけれど、最初は「ら抜き言葉を使う」にはちょっと年配の男性だけに違和感があった。 物書きさんでないのに、うまいと思う。 もちろん私にはこれだけの物語を書く才能はないだろう。 実力は次作がどうなるか?というところで問われるのではないかな。

 「オチ」についての話がこの本の中にもちらりと出てくるが、オチを意識しつつ書いた本だなあ、このあたりがお笑いの人だなあとおもいつつ読んだ。

GO

■著者 金城 一紀
■星   ★★★★★

GO (講談社文庫)
GO (講談社文庫)金城 一紀 講談社 2003-03売り上げランキング : 66092おすすめ平均 starstarスピードstar「自然」に線を引くことstarエネルギー溢れる恋愛小説Amazonで詳しく見る by G-Tools

 おもしろかった。一気に読み終えるくらいパワーのある本だった。いわゆる「在日朝鮮人」だった父がハワイに行くために「在日韓国人」になることにした。。というところから話ははじまり、あくまでも軽く、テンポよく進んでいくのだけれど、登場人物の魅力でぐいぐいと話に引き込まれてしまった。 
 最近の「ヤルキも目標もありません。ただダラダラ生きています」的な主人公の本も多い中、熱い登場人物たちと一緒に喜び、驚き、怒り、泣き、笑い、一気に通り過ぎたという感じ。

 映画化されたということで、映画はあまり好きでなかったという話をネットでみかけたけれど、たぶん、映画は好きでなかった人も、本ならば好きになるのではないかと私は思う。 

October 13, 2007

名もなき毒

■著者 宮部 みゆき
■星   ★★★★

名もなき毒
名もなき毒宮部 みゆき

幻冬舎 2006-08
売り上げランキング : 17854

おすすめ平均 star
starなんとなく爽やかな読後感
star『毒』をめぐって展開されるヒューマンドラマ
star理不尽

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■説明
1つ前の本の続編。杉村三郎はある企業の会長の娘の婿。婿とはいっても、会社経営にはまったく参加することなく、社内報を作っている広報室に勤務している。

■感想
 実は、最初の数ページを読んで、「このシチュエーション、どこかで読んだことがある。。もしや、以前読んだことがある本をまた借りてきてしまったか。。」と焦った。実際、このブログをつけはじめたのも、同じ本を何冊も買ってしまったりということが多いから備忘のためにもつけておこうとおもったという理由もあるからなのだけれど。 「久々にやってしまったようだけれど、どうもこの展開には覚えがないんだけれどなあ。とうとうトシのせいでここまできたか。」と思ったりした。
 検索してみるとシリーズものだったようで、ホッとした。

 前回の「誰か」は途中でなんとなく犯人が見え隠れした時点でいま一つ盛り上がらなかったのだけれど、今回はいくつかの毒がうまく組み合わされて最後まで犯人を捜しながら読むことができ面白かった。 

誰か Somebody

■著者 宮部 みゆき
■星   ★★★

誰か Somebody (カッパノベルス)
誰か Somebody (カッパノベルス)宮部 みゆき 光文社 2005-08-20売り上げランキング : 68270おすすめ平均 starstar自分以外の誰かが必要なのだstarミステリーだけどミステリーっぽくないstar日常を舞台にした推理小説だからこそ感じられる教訓。Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 会社の広報室に勤める杉村三郎は、会長の娘の婿殿。とはいっても、部署も気楽な部署だし、会社経営にはほとんど関係することのない毎日を過ごしている。

■感想
 ずいぶん前に読んだきり、感想を書くのを忘れていた本。おもしろかったんだけれど、読後感が悪かったんだよなあ。だから「書かなくてよいかな?」と思ったような記憶もある。たしかに、今までの宮部みゆきの本と同じく、大きなハズレというわけではないのだけれど。 途中で「アレっ?」とラストへの展開が見えちゃったのもマイナスポイントだったのかもしれない。 

秘密

■著者 東野 圭吾
■星   ★★★★

秘密 (文春文庫)
秘密 (文春文庫)東野 圭吾 文藝春秋 2001-05売り上げランキング : 821おすすめ平均 starstar比類のないほど劇的かつ人間的star究極の愛star気が狂いそうになりますAmazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 妻の実家で葬式があるけれど、私は仕事で出られない。もともとそろそろ亡くなるであろうという人の葬式だったので、妻も心の準備もできていたし、ついでにスキーするという娘と妻二人で帰ることになったのだが。

■感想
 東野圭吾の本はいくつか読んだけれど、やりきれない思いが残ったり、シビアすぎるほどのに現実を見据えたものも多く「だいたい、こういう作風の人なんだな。」。と先入観を持って読み始めた。最初の数ページ読んで「あれ?」と私の先入観がまちがっていたことを思い知らされた。こういう展開になるとは思わなかった。 それからずっと 「どうなるんだろう?」という思いでページを繰り、ラストまで一気に読んで、甘えをゆるさないところがやっぱり東野圭吾だなあと思ってしまった。この本で、私の東野圭吾に対するイメージが少し変わってきたと思う。

October 10, 2007

ダーリンの頭ン中 英語と語学

■著者 小栗左多里
■星   ★★★★

ダーリンの頭ン中 英語と語学
ダーリンの頭ン中 英語と語学小栗 左多里 トニー・ラズロ

メディアファクトリー 2005-03-04
売り上げランキング : 29209

おすすめ平均 star
star宗旨変えして語学の本
star一粒で三度おいしい
starうん、面白い

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■説明
 国際結婚した 小栗左多里さんとダーリンの英語、日本語比較マンガ。

■感想
 最初にお断りしておきますが、これはマンガ主体の本です。
というのも、ずっとこの手の本を手に取る気はなかったのです。読む前から「国際結婚っておもしろいよ」という身内ネタが書いてあるんだろうなあ。。などとおもいつつ、最近はネットでいろいろ面白いものがあるから、別に本を読まなくてもね。と思っていたのですが、小学生の子どもがこのシリーズを手に取っているのをみて、「小学生が読むの?」と興味がわいてきたというのが発端。

 マンガですから、内容としては少ないのですが、気楽に楽しく読むことができました。一つ一つのエピソードに 「うん!そうだよ」と力強く同意したり、「へえー。なるほどね」とものの見方の新鮮さに驚いたり、ガイジンのオットを持った面白さを垣間見させていただきました。

 アマゾンの書評では好き嫌いが分かれているように思います。ネイティヴと何の苦労もせずに話すことができる人には退屈な本かもしれませんが、私は割とたのしむことができました。

September 19, 2007

町長選挙

■著者 奥田 英朗
■星   ★★★★

町長選挙
町長選挙奥田 英朗 文藝春秋 2006-04売り上げランキング : 3126おすすめ平均 starstarマンネリを解消するための変化球をどう捉えるかstar理屈なんてないのだstar現実にリンクしすぎAmazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 暗闇恐怖症になってしまった、大新聞会長。プロ野球のオーナーとしての方が皆に認知されている。 ITの申し子のような成功をおさめた若手企業家。麻布ヒルズに住んでいて美人秘書をともないTシャツ姿でインタビュー。 40過ぎてもかわいい、黒々とした髪と崩れていないスタイルがもてはやされている宝塚出身の女優。皆が健康に悩んで 偶然ヘンな医師 伊良部にかかることになる。

■感想
奥田 英朗の本を読むのはこの本がはじめて。町長選挙という題名からシリアスなものかと思って読み始めたら、アララ。まるでマンガのような話だった。 ちょっとブラックな展開で、伊良部って「パタリロ」みたいな人? と想像してしまった。
 きっとご存じない方も多かろう。

パタリロ(wikipedia)は、

パタリロ 80 (80) (花とゆめCOMICS)
パタリロ 80 (80) (花とゆめCOMICS)魔夜 峰央 白泉社 2007-05-18売り上げランキング : おすすめ平均 starstar高等な笑いの玉手箱Amazonで詳しく見る by G-Tools

これ。

 こういう不気味な雰囲気を醸し出している伊良部医師のヘンテコな診断集は構えなくても、コミックのような軽さで読める本だ。

チルドレン

■著者 伊坂 幸太郎
■星   ★★★★★

チルドレン (講談社文庫 (い111-1))
チルドレン (講談社文庫 (い111-1))伊坂 幸太郎 講談社 2007-05-15売り上げランキング : 819おすすめ平均 starstar短編も面白いstar陣内は魅力的な男star短篇集のフリした長編小説Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明

そもそも何がいけなかったのだろう、と鴨井は考えていた。両手は、背中のところで縛られている。
と始まる。 いや、語りたいのは山々だけれど、この本は絶対前提知識なしで読んだ方が面白い。こんな硬い始まりだけれど、きっと1ページもよまないうちに止まらなくなるはず。

■感想
 軽くて面白い。5話の短編で構成されているのだけれど、最後まで読んで うー満足。 どこがどうなっていたから満足かって、書きたい。本当は書きたい。書きつくしたいけれど、でもそれも我慢我慢。きっと私と同じ状況でこの本を読んだ方が楽しめると思うので。 ただ、「面白いよ」と渡された方がきっと良いに決まっている。

 陣内がイイ。こういう友達が一人いるだけで、きっと人生が楽しくなる。たぶん。 全編にちょっとした推理があるのも楽しい。
ここのところ、児童書の方が面白いんじゃないか?なんておもいつつあったけれど、やっぱり大人向けの本も面白いじゃあないか!と見直しつつあるところ。

September 08, 2007

能天気なおかしさ 「ジーヴズの事件簿」

■著者 P・G・ウッドハウス
■星   ★★★★

ジーヴズの事件簿 P・G・ウッドハウス選集1 (P・G・ウッドハウス選集 (1))
ジーヴズの事件簿 P・G・ウッドハウス選集1 (P・G・ウッドハウス選集 (1))P.G.ウッドハウス 岩永 正勝 小山 太一 文藝春秋 2005-05-27売り上げランキング : 20411おすすめ平均 starstar“お約束”の居心地のよさstarもうっ最高でした!star待望の登場!!Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
バーティの家に新しくやってきた執事ジーヴズは一枚も二枚も上手。鋭い頭脳と経験でちゃっかりと、飄々とものごとを納めてしまう。

■感想
 間の抜けた登場人物たちと、鉄壁のごとくの執事ジーヴズの妙な間(マ)がおかしい。 切れ者のジーヴズは表に立つこともなく、すっとぼけながらも 小さなトラブルの 2手も3手も先を読み ついこちらがニヤリとしてしまったり、クスリとわらってしまったりしながら「ヤルなあ」とつぶやくような解決に導く。 読み手は、「次はジーヴズはどう出るかな」と、楽しみになってくる。

 この雰囲気、何かに似ているなあと思っていたら、坂田 靖子のマンガ 「バジル氏の優雅な生活」だった。 

バジル氏の優雅な生活 (第1巻) (白泉社文庫)
バジル氏の優雅な生活 (第1巻) (白泉社文庫)坂田 靖子 白泉社 1996-12売り上げランキング : 162704おすすめ平均 starstarビクトリア朝へタイムスリップstar宿願 シリーズ復活Amazonで詳しく見る by G-Tools

 このなんとも言えないおかしさ・おもしろさは、読んでみないとわからない。ジーヴズやバーティの魅力ももちろんだけれど、この本の中の個性豊かな変な登場人物たちがこれまたいい。
 何度ふられても、会ったばかりの女性に惚れてしまう友人のタフさと、その女性の趣味に驚くバーティ。ドタバタとした難問をしれっと片づけてしまうジーヴスなど。 軽く楽しく読める一冊だ。 

September 05, 2007

一瞬の風になれ 1 イチニツイテ

■著者 佐藤 多佳子
■星   ★★★★★

一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ--
一瞬の風になれ 第一部  --イチニツイテ--佐藤 多佳子 講談社 2006-08-26売り上げランキング : 2184おすすめ平均 starstarディテールstar申し分の無い、陸上青春小説だけどstar昔懐かしいあの青春の頃を思い出させてくれる!Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 俺の兄貴はサッカーでも、偏差値の高さでも有名な私立高へ通っている。そうして、家族からも、一般からも期待されたサッカー選手。弟の俺からみてもかっこいい兄だ。 しかし、俺は兄にはまったくかなわない。同じ学校の初等科受験を風邪でふいにしてしまい、編入試験にまで落ちてしまった。おまけに、サッカーも ヘボイ。 そんな俺は、友達の連にさそわれてひょんなことから陸上部に入ってしまう。 

■感想
 3巻まであるのに、1巻しか借りてこなかったことをものすごく後悔した。はやく次が読みたい! DIVE! や バッテリーと並ぶと評されて両方面白く読んだ私は 「んじゃ借りてみるか。」と軽い気持ちで借りたスポーツ青春物。
 しかし、手に取ってみると DIVE! バッテリーよりもかなり字も小さいし、控え目な装丁。 むむむ???

 私はバッテリーよりも数段面白いと思った。(バッテリーも読むと止まらないといえば止まらないが、アリエナイほどの天才少年の話で、なんだか大人からするとちょっとアニメやマンガのように調子良すぎると思うんだなあ) この本の主人公のオレはなんといっても 今のところ天才じゃない。もちろん天性のものを持っているらしいけれど、周りの天才たち(身の回りにこんなに天才がいたらすごいね)を素直に「カッコイイ」と認めている。「もしかして未完の大器なの?」と聞かれて 「『ウン』とか言ってみたいね。」なんていうこの感じ。冷静でまっすぐで自然でいいなあー。いいなあー。と 俺の性格の良さにすっかり惚れこんでしまっている私なのだ。さて2巻目はどうだろう。 

しゃべれども しゃべれども

■著者 佐藤 多佳子
■星   ★★★★★

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)
しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)佐藤 多佳子 新潮社 2000-05売り上げランキング : 908おすすめ平均 starstar以心伝心じゃだめなときがあるからstar涙がほろりstarあんま動きがないかな・・・・Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 主人公の達っちゃんは、噺家。今昔亭三つ葉という名前で、まだ「二つ目」だ。 そんな 彼に 「しゃべりのプロだから、話し方を教えてくれ」という友達の頼みを聞くといつのまにか話し方を教えてほしいという人たちがあつまってきてしまったのだが。

■感想
 人が良い達っちゃんの生徒は皆、なにかしら 「ワケアリ」らしいが、ちっともそのワケが見えてこない。そうして、話し方を習いたいんだか習いたくないんだか。落語が好きなんだか好きじゃないんだかわからない。 それでも、達っちゃんは ムリにそのワケを聞きだすでもなく 自然に 皆とゆるゆるとした結びつきで過ごすけれど、そのぬるい感じが絶妙であり、またじれったくもあり。そうこうしているうちに登場人物の一人一人が気にかかり始めすっかり自分も達っちゃんの知り合いの知り合いぐらいのつもりでいることに気づいてしまう。 
 すぐに白黒つけたがる。結果をすぐに求める。というのは外国のことで、日本人はあいまいすぎると私の子供のころに聞いたことがあったけれど、ふと気がつくと今の世の中、そのころの外国並みに 白黒をつけて、結果をすぐに求めるようになってしまったことに気づく。
 昔の日本人ならばだれしも持っていた、一見あいまいなように見えても、相手をゆるく深く思いやる心、相手を尊重する心やおくゆかしさというものは、失いかけてみると貴重なもののように思える。今は、言わない方が非難される世。昔の日本の察する文化の方がいまになってみると数段上を行っていたように思う。

 この本を読みながら、そんなことをつらつら思った。

激しくはないけれど、じんわりとあたたかく面白い話だった。

 

手紙

■著者 東野 圭吾
■星   ★★★★★

手紙 (文春文庫)
手紙 (文春文庫)東野 圭吾 文藝春秋 2006-10売り上げランキング : 644おすすめ平均 starstar社会性というよりも兄弟愛star重いテーマstar犯罪小説として読むのはまちがいAmazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
兄は、強盗しようと思った。父と母を亡くし、弟と二人きりの兄、剛志は金に困っていた。成績の良い弟を大学に進学させたいのに、生活費にも事欠く毎日。おまけに、学歴がないために就ける仕事は肉体労働くらいしかないのに、腰を痛めてしまい収入の道も閉ざされそうになっていたのだ。

■感想
 映画公開当時gyaoの試写会に当選して映画を見た後の本。「もう筋を知っているからどうかな?」と思いつつ読み始めたが、しっかりと最後まで読んでしまった。映画と多少設定が違う場面もあったけれど、ほぼストーリーは同じ。
  
 一言では感想が書けない考えてしまうストーリーだ。私は世の中の不当な差別はするべきではないと考えているのだが、この本を読むと差別の難しさを痛感する。 たとえば、差別をすまいと意識するがあまり、却って通常ではありえない対応をすることはないだろうか。 常々噂で人を判断すまい、自分の目でみて自分の感覚で判断しようと思っているけれど、そうすることによってたとえば自分の家族にも被害が及ぶようになったらどうするだろう?
 やっぱり最後は家族を守るしかなくなるのではないか?

悪いのは差別をする世の中だとわかりつつ迎合して生きていくしかないのだろうか。 などと考えたりもした。 結局結論は出ないままだ。いや、結論を出すことが怖いのかもしれない。だから出さないままにしているのかもしれない。

手紙 スタンダード版
手紙 スタンダード版山田孝之 玉山鉄二 沢尻エリカ 日活 2007-04-27売り上げランキング : 3648おすすめ平均 starstarこらえてもこらえても、starただただ号泣。star関西弁?Amazonで詳しく見る by G-Tools

 映画の方の感想は、その時の記録から転記します。

最初に満開の桜からはじまります。今から秋・冬を迎えるのに、なぜ?今の公開?と不思議な気がしました。 桜が意味するテーマに 物語の中盤以降にやっと気づきました。白石由美子役の沢尻エリカの力強さがとても印象に残り、前向きの力を与えてもらえるような気がしました。かわいいけれど、明るく強い視線が頼もしかったです。
竹島剛志役の玉山鉄二(良く知らなかった俳優さん)が、すごく上手い。ラストが印象的でした。

その時の記憶で 映画を見たときにこの動機に現実味が感じられないと思っていたことを思い出した。 映画の場合、シーンを実際に映像として目で見てしまう。その画像を見て「古い」「昔っぽい」と私は判断していたのだと思う。ずいぶん昔の話を見せられているような気がした。 目で情景を見たとき、まず「いつごろの話だろう?」などそのシーンをもとに人は無意識に言葉で語られない部分を補完しようとする。そういう点で 映画は映像でイメージを固定してしまうので印象が変わる場合もあるなあなどと思ったりした。

 本の場合、はその時間の判断は使われている言葉で行われることが多いように思う。「公園デビュー」など、いまの世で使われている言葉を見ると現在に近いことなのだと私は判断しているようだ。

August 14, 2007

空飛ぶタイヤ

■著者 池井戸 潤
■星   ★★★★★

空飛ぶタイヤ
空飛ぶタイヤ池井戸 潤

実業之日本社 2006-09-15
売り上げランキング : 68183

おすすめ平均 star
starすばらしかった!
starはるな銀行の稟議書を読んでみたい
star企業の保身と本来すべきことの間で

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■説明
 書き出しは自分で読んで欲しいので。。。スミマセン。書きません。

■感想
 もう大人向けの本を面白いと思うことはないのかもしれないと思い始めていました。この本は細かい文字の二段組み。 ぱっと開いただけで、「うっ」とくるボリューム。 子供用ファンタジーになれた私が読めるかな?と 敬遠してしまい、読み始めを2回も遅らせたのですが、読み始めたら止まらなかった。一気に読み終わってしまいました。 面白かった。面白かった。本当に面白かった。

 だまされたとおもって、導入部を読み、それから最初の一章までを読んでみてください。たぶん止まらなくなると思う。

 企業小説(というジャンルがあるのかな)です。

August 11, 2007

雷の季節の終わりに

■著者 恒川 光太郎
■星   ★★★★

雷の季節の終わりに
雷の季節の終わりに恒川 光太郎

角川書店 2006-11
売り上げランキング : 47173

おすすめ平均 star
starイメージの世界を堪能できたが、、。
star隠れ里『穏』
star『夜市』から骨子をしっかりさせた第2作

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■説明
 雷の音を聞くと、私は昔住んでいた穏という土地のことを思い出し、暗い気持ちになる。そこは、地図に載っていない土地。冬と春の間に雷季がある場所だ。

■感想

 子ども向けファンタジーを読むようになってから、その世界の広さに圧倒されて 大人向けのこういう本への私の評価が少し辛めになっているなあと感じます。淡々とした語りは昔話のようで、少しずつ読み進むについれてさまざまな謎が解けるていくこの本はとても面白かったのだけれど、いまひとつ何かが足りない気がして★4つにしました。この本は2作目。前作は「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞したとのことです。

July 25, 2007

花まんま

■著者 朱川 湊人
■星   ★★★

花まんま
花まんま朱川 湊人 文藝春秋 2005-04-23売り上げランキング : 90610おすすめ平均 starstar大人のファンタジーstarぞくぞく、じんわりstar久々の良書Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
大阪を舞台にしたセピア色の短編集。直木賞受賞

■感想
最近ブーム?になっている昭和30年代頃?を舞台にしているのではないかと思う。短編集。6編入っている物語はすべて現実から離れた不思議な物語になっている。 私が好きだったのは「トカビの夜」「送りん婆」お化けなどが出てくる話はぞっと背筋が寒くなるものが多いけれど、この短編は そういう強烈な怖さは感じない。どこかぼんやりと霧にかかったような印象があり、まるで夢で見たことのような後味だと感じた。

July 22, 2007

憑神

■著者 浅田 次郎
■星   ★★★★

憑神
憑神浅田 次郎 新潮社 2005-09-21売り上げランキング : 91927おすすめ平均 starstar古典落語!?star「幕末」でどこまで商売するのでしょう??starカタルシス!Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
下級武士の次男坊として生まれた別所彦四朗は、次男坊は養子に出されるのが常の世の中、よりよい家に養子に行けるようにと武芸にも学問にも励んできた。その甲斐あってよい家に婿養子に行けたと思ったのもつかの間、後継ぎが生まれたらさっさと婿いびりで実家にかえされてしまったのだ。まったくついていない。

■感想
前半はとんとんとテンポよく、おもしろく落語のように進んでいるかのように思ったのだけれど、ラストはどうも私の思うのと違う方向に進んでしまった。
 幕末の無気力が台頭している世を今の世におきかえて読んでしまったからか。 憑神とはその名の通り、人に憑く神のこと。どんな神に憑かれたのかは読んでのお楽しみ。 ネタバレになるので詳しくは書かないけれど、感想は「なんてもったいない。」だった。

 この話、映画化されたようだ。映画もラストは同じなのだろうか。

July 15, 2007

センセイの鞄

■著者 川上 弘美
■星   ★★★★★

センセイの鞄
センセイの鞄川上 弘美 文藝春秋 2004-09-03売り上げランキング : 18070おすすめ平均 starstarリアルでした。映画も見てみたい。star書棚の一冊としてstar久々の感動Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
第37回谷崎潤一郎賞受賞作。高校のときの国語の先生と、ばったり居酒屋で出会った月子はそろそろ40になろうかという年。お互いの持つ空気に同じものを感じるかのように時々一緒にその店で飲むようになるが、示し合わせてくるわけではない。たまたま出会ったら一緒に飲むという微妙な距離を置いた付き合いだった。

■感想
 なんとなく構えて読み始めたけれど、ドラマを見る前に本を読めたのは幸いだった。ドラマになるときっとこの淡い感じは出すのが難しく恋愛中心に描写されてしまうのじゃないかなと思ったので。(実際はどんな感じだかは見てないのでわからないけれど)
 月子さんの不器用な点、人との間に距離を感じる点など、結婚前に読んでいたらずいぶんと共感を感じることも多かったろうと思えた。

 最初の部分は このページで読むことができます。

July 11, 2007

明日の記憶

■著者 荻原 浩
■星   ★★★★★

明日の記憶
明日の記憶荻原 浩 光文社 2004-10-20売り上げランキング : 5718おすすめ平均 starstar50歳の働きざかりを襲う悲しい病気。starある意味読者にとって、怖い話であるかもしれないstar自分自身の中でアルツハイマーが進行していくようなリアリティーAmazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
広告代理店の部長を務める主人公は、そろそろ50歳。だんだんと「アレ」とか「ソレ」という言葉が多くなり、人の名前が思い出せない。若いものとの会話にもなかなかついていけないのを自覚していたのだが。。

■感想
 他人事じゃない。最近私は漢字がかけない。間違える。間違えたも気づかない。人の名前や顔を覚えられない。忘れてしまう。忘れ物が多い。トシかしら。。と思っていたのだけれど、この本をよみはじめてだんだん怖くなってきてしまった。もし私もアルツハイマーだったらどうしよう。
 最近、肉メニューばかりに偏っている(家族はあまり魚がすきじゃないので)一昨日と昨日は魚メニューにしてしまった。 気休めだけれど。
 読んでいるときには、主人公の気持ちが良くわかったけれど、妻という立場で読むと、もっと頼って欲しいと思う。きっと主人公の妻もそうだろうなあ。

June 03, 2007

おまけのこ

■著者 畠中 恵
■星   ★★★★★

おまけのこ
おまけのこ畠中 恵 新潮社 2005-08-19売り上げランキング : 26584おすすめ平均 starstar娯楽を超えたstar第4弾star鳴家Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
ここのところ連続して読んでいる「しゃばけ」の4巻目。あいかわらずの病弱の若旦那と力はあるがどこかとぼけた妖怪たちの時代物。 

■感想
 4巻目も面白かった。3巻目が今ひとつだと感じたわけはどうなんだろうとちょっと自分の方が怪しくなってきてしまう。1作目の「しゃばけ」ほど「力作」という感じはないけれど、登場人物もこなれてきて自由気ままに動き始めたという感もあり、楽しい本だ。

ぬしさまへ

■著者 畠中 恵
■星   ★★★★★

ぬしさまへ
ぬしさまへ畠中 恵

新潮社 2005-11-26
売り上げランキング : 45999

おすすめ平均 star
starますます面白い!
star面白い
star「しゃばけ」より好き

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■説明
一つ前の記事のしゃばけの続編。1巻目で少し出てきたお兄さんのその後が分かったり、登場人物?妖怪?のエピソードが出たりの、短編集。

■感想
 マズは登場人物の詳細が語られて行き、ああなるほどとしゃばけの世界が広がるような短編集。物語も短くてぎゅっとつまっていて面白く飽きない感じでした。 やっぱり3作目が私に今ひとつだと思えただけだったのか。 これから読むよりも1巻目から読むべきだと思います。

しゃばけ

■著者 畠中 恵
■星   ★★★★★

しゃばけ
しゃばけ畠中 恵 新潮社 2004-03売り上げランキング : 25709おすすめ平均 starstar古いのに新しい!時代物ファンタジーstarダサかっこいい(愛らしい)登場人物がたまらない!star心温まるファンタジ−Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
病気がちの若旦那のおばあ様は皮衣という妖怪。そのせいで、若旦那には化け物が見える。ひ弱な若旦那と、ちょっと人とは常識が違う化け物たちの、アームチェア・ディテクティブ

■感想
ねこのばば」で、ガッカリしたと書いたこのシリーズだったけれど、この「しゃばけ」は、日本ファンタジーノベル大賞優秀賞だけある面白い話だった。なにより読み物としてきちんと練られていて、ラストまで「アレが犯人では」「コレが犯人では」と楽しめた。順番からいうとこちらから読むべきものだったのだなあと反省したり、やはり3作目くらいでだんだん疲れがみえてくるものなのかしらと思ったり。 とにかくこのシリーズは1作目から読むのが良いように思う。

May 25, 2007

夜をゆく飛行機

■著者 角田 光代
■星   ★★★

夜をゆく飛行機
夜をゆく飛行機角田 光代

中央公論新社 2006-07
売り上げランキング : 320391

おすすめ平均 star
star今持っているものと、なくしたものの大きさ
starシャープさを抑えた人物設定
star自分の足元ばかり見てる女の子の1年

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■説明
 4人姉妹の末っ子里々子の家は古くからの商店街にあるような酒屋。何の変哲もない、なにごともおこらないような一家。普通にある生活を普通の子である里々子の目を通して、ガラス1枚へだてたところからから描いたような物語。

■感想
 普通のようでありながら普通でない物語のありようは、まるでテレビドラマ(ホームドラマ)を見るかのような展開で楽しめた。家族とのかかわり、人とのかかわりを意識するような年頃になって、恋愛やらも経験し、そうして人に傷つけられ、人を傷つけ。。
 描いてあることはよく考えてみると一般の人だれもが経験するようなことではない。(だって、4人姉妹というのも今時はめずらしい)けれど、一瞬この話はどこにでもある物語のように妙に身近な感じがする。 大きな起伏があるわけではなく淡々と進む物語に妙にひきこまれてしまうような不思議な味わいの本だった。

May 16, 2007

蹴りたい背中

■著者 綿矢 りさ
■星   ★★★★

蹴りたい背中
蹴りたい背中綿矢 りさ 河出書房新社 2007-04-05売り上げランキング : 2165おすすめ平均 starstarこんな風に人生考えてたらつまんねえでござるよstar一気に読んだstarサド的に孤独な想像力Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
さびしさは鳴る。自分や自分のまわりの高校生をさめた目でみつめる自分。そうして、周りに迎合できない自分の寂しさ。

■感想
最初の1段落目、ニュースな本棚によると、

三浦哲郎 けれども、この人の文章は書き出しから素直に頭に入ってこなかった。たとえば『葉緑体? オオカナダモ? ハッ。っていうこのスタンス。』という不可解な文章。

という選評もあったということだ。実は私もこの最初の一段落を読んで「読めないかもな。。」と思った。 まさに三浦哲郎さんと同じ部分で意味不明な文だと思い、次にもう一回間をおかずにスタンスという言葉が出る部分まで、いまひとつよく分からない。なぜここがわからないかというと、このハッという言葉がどういう感情なりを表しているのか想像がつかないから。 ハッ。っていうこのスタンス。といわれてもどんなスタンスだかよくわからないのだ。 
 上でリンクしたニュースな本棚では、三浦哲郎さんが72だから?という話にまとまっているが、まあ私はまだまだ70には程遠いが、若者文化のわからない輩の一人なのであろう。

 文章力、説明力の低下から擬音語、擬態語を多用してしまうのが、最近の若者であると聞いた事があり、まあそれからすると、この文章ひとつで、この主人公の年代が分かるといえば分かるのだけれど。。

 芥川賞受賞作だとはいえ、しょっぱなからこの様子だったので、この本にはまったく期待していなかった。でも、読んでみて思ったのは、ものすごく周辺描写が上手い。(最近の若者らしからぬ?)
 たとえば、

ここは一人用のお部屋だ。空気が部屋の持ち主一人分しかなくて苦しい。
と、他人の部屋にあがりこんでしまい、所在ないときの様子が書き表されていたり、

 たとえば、駅前の無印良品にバレー部の遠征に出かける前に立ち寄った違和感は、

運動靴の底にこびりついている砂が歩く度に磨かれた床に零れ落ちてゆく

とある。 磨かれて自分の顔も映りそうなほどの床に 歩くたびに靴底の形にプレスされた土が落ちるその気まずさと、所在なさ。でも心のどこかには、綺麗に整いすぎているものに自分の足跡をつけて所有するかのような完全なものを崩してしまいたいような、小さな衝動もあるのかもしれない。

 主人公は、人に迎合することなく周りの子たちが皆くだらなく幼く見えてしまう時期なのだろう。だから、孤独感に苛まれる。この本は主人公の孤独が最初から最後まで書かれている。そうして、その孤独は凶暴に殻をやぶりたいと思っているのではないのかな。。それが蹴りたい背中。 恋はアリエナイと私には思えたのだけれど。 どうだろう。

May 03, 2007

アコギなのかリッパなのか

■著者 畠中 恵
■星   ★★★

アコギなのかリッパなのか
アコギなのかリッパなのか畠中 恵 実業之日本社 2006-01-14売り上げランキング : 128560おすすめ平均 starstar魅力ある設定に☆star続編希望star新シリーズの予感がする意欲作Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
政治家事務所手伝いの佐倉聖が見る、事務所に持ち込まれる摩訶不思議な相談事のウラには。。

■感想
 一つ前のねこのばばと同じく畠中恵の作。で、チョット合わなかった。。政治家事務所というイメージが私にとって悪すぎるのかなんなのか、設定がいまひとつ楽しめなかったところが残念。
 謎解きとしてはチョット甘いようにも感じるし、読みながら不完全燃焼だったので本当に残念。
 アコギ具合もリッパ具合も、もっとはっきりしていることを期待してしまうんだなあ。

 私は 登場人物がいい人すぎると感じているのかもしれない。

ねこのばば

■著者 畠中 恵
■星   ★★★

ねこのばば
ねこのばば畠中 恵 新潮社 2004-07-23売り上げランキング : 89152おすすめ平均 starstarとにかく可愛い、ほんわかしますstarいちばん怖いのは人間だったりして。star暖かいだけじゃない話Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 虚弱体質で病気がちな若旦那には妖怪の血が混じっているので、他の人には見えない妖たちがまわりにはうじゃうじゃ。もちろん普通の人たちにはそれは見えないのだけれど。そうして、その妖怪たちの若旦那思いのこと。手足となって働いたり、若旦那の身を案じたり。怖い妖怪ではなく、かわいらしい家来たちとしての妖怪がどどんと出る時代物

■感想
 んんんんんんんん。期待が大きかったので、残念。
時代物+妖怪+謎解き とくれば私のツボではないかと思ったのだけれど、この分野、好きだからこそ辛めの点数になってしまうのかもしれない。
 妖怪との関係とくれば 夢枕獏の「陰陽師」、「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」このあたりがものスゴーク面白かったなあ。とか、わけのわからない事件の謎解きならば、都筑 道夫 の「なめくじ長屋シリーズ」じゃないかしらとか。ついつい好きな本と比較してしまって残念でした。

 たしかに、身の回りにマスコットのような妖怪がきゃわきゃわとついていたら可愛いだろうなあと思いつつも、やっぱりこればっかりは。。

April 05, 2007

図書館の死体

■著者 ジェフ・アボット
■星   ★★★★

図書館の死体
図書館の死体ジェフ・アボット 佐藤 耕士 早川書房 2005-03-09売り上げランキング : 309594おすすめ平均 starstar出来過ぎた話star面白い!starのめり込むの一言Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
母がアルツハイマーになってしまったために、都会での仕事をあきらめて田舎町に戻ってきた ジョーダン・ポティートの新しい仕事は図書館の館長。 ところが、その町には、クレイジーと思えるほどのクレイマー ベータ・ハーチャーがいた。なんせ、どこの図書館にも置いてある文学作品と認められているようなものでさえ、猥褻本呼ばわりをして、それを置くのをやめないと、いまにも図書館を燃やしでもしてしまいそうな剣幕なのだ。
 今日も彼とベータは図書館でひと悶着あったその日、そのベータが殺されていた。

■感想
 本好きにはたまらない「図書館」という響き。私もこの「図書館」という響きにひかれてこの本を手にとってみたら、「アガサ賞」「マカヴィティ賞の最優秀処女小説賞」を受賞したと書いてあったので購入した。
 
 何よりも魅力的なのは、このジョーダン・ポティート(ジョーディ)の性格かもしれないと思った。彼が戻ってきた田舎町は不自然なほど 美女だらけ。 あの人もこの人も「美女」ときたものだから、読んでいる私の想像力では「外国人の美女」のバリエーションが尽きてしまいそう。そうして、ことごとくこのジョーディに気のあるそぶりがあるわけで、モテモテ状態。でも、これだけモテても、ふらふらと目移りせず、自分の好きな女性はしっかりとわかっているあたり、場面のはしばしで見える地についたものの考え方は「イイ人なんだなあ」と思わずにはいられない。

 美女度合いが高いのは不自然だというご意見もあるようだが、まあテレビドラマだと考えればよいのではないだろうか。もしくは、学生時代、男子校から進学した先輩の話では、
「入学したときは、花が咲いたかと思った。回りが皆美人に見えた」だそうで、「時がたつにつれ、それが幻だとわかった」ということだったので、これまでジョーディの周りには 若い女性がいなかったのかもしれないと思えば無理はない。 それに、この田舎町には、独身男性がジョーディぐらいしかいないと考えればモテモテ度合いも納得いくかもしれない。

と、むりやりに納得いくシチュエーションを考えたりするヒマもなく、中盤から後半に向かってどんどんミステリーとして魅力的な展開になっていく。謎解きあり、アクションあり。最後まで読んで、殺人事件だったとしても暖かい思いで読み終われる話であるということもプラスに感じた。

 実は購入してからそのまま長い間積読状態だったこの本、pon1の方が先に読み、「おもしろい」といっていたので続編2冊も購入した。私も続編を読もうとブックカバーを付け替えたところだ。

 ところで、日本ではこの本 「図書館の〜」とついた 「図書館シリーズ」なのだけれど、原題は違うようだ。

 この本は Do Unto Others  で、これは聖書の有名な「人にしてもらいたいことを、人にするべし」という語句の頭の部分なのだとか。

March 13, 2007

海辺のカフカ

■著者 村上春樹
■星   ★★

海辺のカフカ (上)
海辺のカフカ (上)村上 春樹 新潮社 2005-02-28売り上げランキング : 8565おすすめ平均 starstar物語の世界に浸りましたstar上巻だけの感想star「ナカタさん」と「星野青年」のコンビネーションがいいねAmazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 家出をしてなにかに引き寄せられるように四国へ出かけていくボク。 猫の言葉が分かるナカタさん。 別々の人物、別々の場面を結びつける何かがだんだんに明らかになってゆく

■感想
 最初にかかねばならないと思うのは、私は村上春樹は合わないタイプだということ。村上春樹というと絶大な人気がある作家だけれど、たしかこの本のほかに読んだのは、もらった「ねじまき鳥クロニクル」 だけだ。でも 村上春樹は私にはあわないという印象があったのに、過去の読書記録(リンク先)を見てみると、評価は★4つということはおもしろかったようだ。(実は筋をすっかり忘れてしまっている。)

 この本は、英語版が ニューヨーク・タイムズの選ぶ「2005年のベストブック10冊」に入りフランツ・カフカ賞をとりという 輝かしい作品であり、広く評価されている作品である。

 でも、文学を含める芸術の分野というのは、[評価されている][評価されていない]という基準以外に 自分の好みで「好き」「嫌い」といえる分野だと思う。 そうして、この本は、私にとってはいまひとつ好きになれない本だった。

好きになれなかった理由の一番はやはり、嫌悪感を抱くような表現や設定が非常に多かったことだと思う。 中学生の頃、読んだカフカの「変身」は大変気持ちが悪い小説だったように記憶しているので、それを受け入れることができる時期・できない時期というのが 私の中にもあるのかもしれない。そうして、今がたまたま受け入れられない時期であったとか。

 ファンタジーであるという点は私にとっては別に障害ではないと思っている。子ども向けの本なども読むし、ファンタジーは比較的楽しんで読む分野だ。だからだろうか。この本の中でも一番好意的に読み進んでいたのはナカタさんだった。

 謎解きのようで、謎が解けていないのがまた私のストレスになっている。全てのピースがきちんとおさまらない気持ち悪さ。その辺が私には向いてないのかもしれない。
 謎が多いことで、後に 少年カフカ(未読です)につながっていくものであり、きちんと完結させないことは不備ではなく「仕様」だったのだと理解しているのですが、それでもなんだかしっくりこないというところが私の「合わなさ」につながるのでしょう。

少年カフカ
少年カフカ村上 春樹 新潮社 2003-06-11売り上げランキング : 134155おすすめ平均 starstar喜ぶしかない!starこういう試みに応えるところがやはり凄いstarなんだか狙ってる感が・・Amazonで詳しく見る by G-Tools

February 21, 2007

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン

■著者 リリー・フランキー
■星   ★★★★

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~リリー・フランキー 扶桑社 2005-06-28売り上げランキング : 406おすすめ平均 starstar正直で素敵な親子愛starたわいもない日常の中で家族に心が動く瞬間star淡々と語る・・・Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
リリー・フランキーの生い立ちから 題名の通り母と父との関わりなどを通して書かれた自伝?

■感想
 「泣ける本」というのを聞くとどうも斜にかまえてしまって買おうと思わないのが最近の私のパターンなのだけれど、テレビの2時間ドラマで大泉洋と田中裕子の演技を見てから「原作も読んでみたいな」と思って購入した。

 読みながら、テレビの内容と本の内容の差をみるにつけ、脚本家のうまさと、田中裕子の存在感を再認識した。 テレビの方はテレビの方で一つの世界が出来上がっていた。 それでは本はどうなんだ?と聞かれると、これもよかった。 テレビはオカンがほとんどありえないほどすばらしい人として認識できたが、本の方は実在の人物として存在感があった。そうして、まるで知り合いの話を聞いているかのように心に響いた。
 
 この本には母の愛が詰まっている。

 女手ひとつで息子をそこまで育てるということ。私には到底できそうもない。世では人を人とも思わないような犯罪のニュースが絶えないし、自分がラクや贅沢をするために人をあやめたり、陥れたりということが日々報道される。 男も女も働けといわれ、会社で働かないものには価値がないかのように値踏みされる世だ。 でも、たとえ、日々の生活に困らない程度のお金があったとしても、人が人らしい生活を送ることができる環境を作り出すことがそう簡単なものではないということをこの本を読むと思い知らされる。 家族にとって快適な生活は、収入の云々ではなく、母・妻の力量に依存するんだなあ。私は オカンの足元にも及ばないと自分のことを振り返った。 

 この本を読んでよかったと思う。

 
 

姫椿

■著者 浅田次郎
■星   ★★★★

姫椿
姫椿浅田 次郎

文藝春秋 2003-09
売り上げランキング : 56181

おすすめ平均 star
star心に灯が点る素敵な短編集。
starほんわか
star情の溢れる文学

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■説明
 浅田次郎は 映画、鉄道員(ぽっぽや)、地下鉄(メトロ)にのっての原作者。静かで暖かい8話の短編が入っている。

■感想
 ぽっぽやも、メトロにのっても見ていない。興味を持ったのはメトロに乗っての映画の予告編を見てどんな映画か知りたかったことから。
 たまに、ブラックな終わり方をする短編もあるけれど、ほとんどの短編がじんわりと暖かな印象を残すものが多い。 登場人物に嫌な人物が少なく、皆昔ながらの人情やら常識やらを持っている人たちが多いからではないかと思った。
 
 なんとなく結末がわかってしまったのだけれど、それでも好きだったのは最後の「永遠の緑」。 

February 14, 2007

博士の愛した数式

■著者 小川 洋子
■星   ★★★★

博士の愛した数式
博士の愛した数式小川 洋子 新潮社 2005-11-26売り上げランキング : 1810おすすめ平均 starstarそれから博士の切なかった恋も。 starゆっくりしたペースで読める本starベストセラーでもこの作品はイマイチかな…Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 家政婦をしながら息子(10歳)を育てている主人公の派遣先は、いままでに家政婦が替わった数をあらわすカードの裏の星の数の多さから、なにか問題がありそうなところだと予想できた。
 面接のときから、風変わりな様子が感じて取れたのだが。。

■感想
 映画になったり、ベストセラーになったりしたので、多くの人が名前は聞いたことがある本だと思う。私も今頃になって読んでみた。
 いままで数字というものは私にとって面倒で、現実的で、ロマンの一かけらも感じることがないもので、愛情をそそいだり賛美したりする対象ではなかったのだけれど、博士の言葉を追うにつれて、博士が数字に心酔している様子、数学の面白さというのをこの本を通して垣間見ることができたようにも思う。

 80分しか記憶を持たないエンドレスな博士の特殊な世界に飛び込んだ主人公たちが体験する小さななタイムスリップ感、異次元感。でも、その違和感をのりこえて、表面にみえていなかった博士の人間らしい感情や豊かな愛情に気づき、人と人との関わりが成立していく過程を通して、読者の私も一人の人(博士)の理解を進めることができたというやわらかな喜びを感じ、読後感は、ゆるやかな透明な水の中を流れていたような心地よいものだった。
 

February 11, 2007

見知らぬ妻へ

■著者 浅田次郎
■星   ★★★

見知らぬ妻へ
見知らぬ妻へ浅田 次郎 光文社 1998-05売り上げランキング : 631611おすすめ平均 starstar東京模様star味わい深い8編starいつもの佳作Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 貧乏だったり、人生がうまくいかなかったりしたような人たちの小さな物語が8編入っている短編集

■感想
 映画の原作が浅田次郎だと知り、一度も読んだことがないことに気がついて、その映画も見ていないのに、気になって購入した本。
 今の世の中というよりも、映画であればセピア色。戦後の時代ではないかと思う。

 全部が全部ハッピーエンドではないのに、なぜかどれも読後感がさわやかなのはどうしてだろう?と考えた。
 良く考えてみると主人公が誰も皆、日本人が昔から持っていたような心根の美しさがある人たちだからではないかと思う。
 今の世の中ではなかなかこういう考え方に出会うことが少ないからこそ、 戦後の時代ではないかという印象を持ったのかもしれない。  

わたしのなかのあなた

■著者 ジョディ・ピコー
■星   ★★★

わたしのなかのあなた
わたしのなかのあなたジョディ ピコー Jodi Picoult 川副 智子 早川書房 2006-09売り上げランキング : 135238おすすめ平均 starstar広告に騙されましたstarこれ、実話がベースなような。star【家庭の事情、家族の心情】 繊細なる心の機微、バッチリとらえてます。Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 アナの姉ケイトは、白血病。 その姉に完全に適合するドナーが家族にもいなかったことから、アナの母はアナを出産することを決意する。ケイトの命を救うためのデザイナーベビーがアナだ。

 生まれてすぐに 臍帯血を提供したのが、彼女のはじめてのドナー経験。それからケイトの病状が悪化するたびに何かの提供をしてきた。 そのアナが、両親を相手取って訴訟を起こすことを決意した。もうこれ以上ドナーとして臓器を提供したくないというのだ。

■感想
 まず、正直に言うと最初はとても読みにくかった。各章が登場人物の目からみたある時点でのこの物語への関わりという形で書かれているので、最近そういう形式になれていない私は それになれるまでかなり時間がかかってしまった。
 
 それから、この物語の概要を聞いたときに、私はてっきり「命の尊厳や人格についてが一番大きなテーマであろう。それに敢然と立ち向かう弁護士の物語だろう。」と思い込んでいたところも、「なんだか違う」と気づいたのが中盤過ぎだった。 アマゾンの書評にも「期待はずれ」という評価があるが、たぶんその方は別の観点での本を期待して読まれたのだと思う。
 
 読み始めて中盤になる頃まで 母の身勝手な論理に憤りを覚えながら読んでいたのだけれど、淡々とそれぞれの視点で書き進んでいる章を読むことで、傍の人間からは図り知ることが出来ないそれぞれの登場人物の苦悩や迷い、考え方などを知るにつれ、色々な登場人物の考えも理解できるようになってきた。

 ラストは 私はとても残念に感じた。

邦題の わたしの なかの あなた  は物語の内容を考えると良い題だとおもえるけれど、My Sister's Keeper の方がインパクトがあったなあと思う。  

January 03, 2007

クライムマシン

■著者 ジャック リッチー
■星   ★★★★ 

クライム・マシン
クライム・マシンジャック リッチー Jack Ritchie 好野 理恵 晶文社 2005-09売り上げランキング : 54434おすすめ平均 starstar期待通りの傑作star粋は過去にしかないのだなぁ。掌品が時代を超えて輝きを失わない理由star映画『スティング』のドンデン返しばかりを集めた本Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 さらりと読めて 「うーん」とうなったり「なるほど」とつぶやいたりするような短編がズラリと17編詰まった短編集

■感想
 何かの賞をとったということで、興味を持ち、図書館で予約したらすでに予約待ちが長くてやっと順番が回ってきたのが年末でした。
 ボランティアで一緒の司書の人曰く「さらっと読めて、アレ?ともう一度前にページをめくってしまうような本よ」とのこと。貸し出しカウンターで偶然会ったときの言です。

 さて、読んでみると最初数編は 昔読んだ 星新一の ショートショートを思い出しました。この本はSFではありませんが。 個人的に好きだったのは、「こんな日もあるさ」「カーデュラ探偵社」の数編 カーデュラについてはもっと読みたいなあ。
 カーデュラ(Cardurla)探偵社の営業時間は 「午後8時から午前4時まで」中央ヨーロッパの伯爵家出身。現在は、領地や城、財産を没収されて探偵業を営んでいる。さて、私は誰でしょう。。(^^)なんてね。 cardura を並べ替えると その誰かの名前ができるところなども茶目っ気にあふれていて楽しいです。

December 30, 2006

学校の青空

■著者 角田光代
■星   ★★★★ 

学校の青空
学校の青空角田 光代

河出書房新社 1999-05
売り上げランキング : 90677

おすすめ平均 star
star直木賞作家の初期作品集
star幼心に潜む陰

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■説明
 中学生が主人公の4編が納められた本。青空という題名とは違い、中はどうにも行き場を失ったようななんとなく薄黒い思いが感じられるような物語。

■感想
 いじめが取りざたされるようになって、「今のいじめとはどんなものなのだろう」と思い読んだ本の中の一冊。
 しかし、最近なんとなく思うのだけれど、私のように、最近の○○は?という情報を本やドラマに求める姿勢は間違っているのだと思う。どちらも虚構の世界だから。子どもを持つ身としては、教育的見地にたって、こういう本を読んで他人の痛みをわかる子になってくれれば良いけれど、反対に世に時々報道されるような「いじめの教科書」として使われてしまう危険性もあるなあと思ったりした。
 読み終わって思ったのは、私のアプローチは間違っていたということ。今のいじめを理解するのは本ではなく子どもの生活そのものを自分の目で見て自分で中に入って考える必要がある。あらためて書くまでもなく当然のことだけれど。

 さて、本の内容について。

 中学校くらいの頃のことを思い出すと、私は成績はよかったけれど、決して頭の良い子ではなかったんだなと思うことが多い。勉強についてはいろいろなテクニックを知っていたが、中学から高校にかけて、友達の大人びた発言にあっと驚くことも多かった(ココで言う大人びたというのは、性的なものをさすわけではなく、きちんと自分の頭で考えたことを自分の意見として持っていることを言う)。大人の言うことをそのまま聞いていて何の疑いも持っていなかった私に時々はっとするような、「ああ、そういう見方があるな」というようなことを友達が言う。その頃はあまり深く考えていなかったけれど、私は オコチャマだったのだなとつくづく思う。
 
 子どもの世界と大人の世界を比べたときに大きく違うと思うのは「自分」と「他人」の認識だと思う。息子は、まだまだオコチャマなので、価値観も何もかも「親の価値観」に左右されることも多い。そのまるっと親から刷り込まれた親の価値観を超えたところに「自分の考え」がある。そうして、大人になるにしたがって、「他人の考え」も意識できるようになる。 自分を第三者的な立場で見ることができるかどうかというところが、子どもと大人の大きな差ではないかと思うのだ。(成人だからといって、それが皆出来ているわけではないとも思うけれど)。

 その、自分以外に他人がいる。 他人と自分の考えの相違に気がつくのが早い子たち。自分が抱えている思いを自分自身がもてあましているような子達がここには描かれている。

 読んで楽しいような内容ではないけれど、子ども時代、私には明るいものしか見えなかった。そうではない世界。そういう思いを持った大人直前の子供がこの本で見えてくるような気がした。
 

June 09, 2006

買い物おバカ日記

■著者 カリン・ボスナック
■星   ★★☆ (話題性と新奇性でオマケ)

買い物おバカ日記
買い物おバカ日記カリン・ボスナック 盪 祥子

文藝春秋 2006-02-28
売り上げランキング : 159077


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■説明
 シカゴからニューヨークに来て仕事をすることになったカリン。
順風満帆、意気揚々と乗り込んできて、かっこよいニューヨーカーに溶け込もうとしていたのだが、読みの甘さと自分への甘さからどんどんとカード負債を抱え込んでしまう。
 実話。

■感想
 母的視点で読んでも、カリンを自分に置き換えても、あまりにも無謀すぎて居心地がわるかった。これを笑い飛ばして「面白い」と読める人は、きっと自分と相手を ぴっしりと分けて考える人=100%他人事の人 ではないかとおもう。 読んでいる最中に「そんなことしちゃダメじゃない?」と警鐘なりっぱなし。
この感覚はどこかにあったと思ったら、嫌われ松子でした。(カリンの場合は松子のように自分を売ったりしていないけれど)

 興味深かったとは思うけれど、面白かったとは私にはいえません。

 一つ、「そうだな。」と思う助言がありました。
統括プロデューサのアレクサンドラが、「自分の人生は、どんなことでも自分でコントロールしなくちゃ。 自分の人生の最高経営責任者になるのよ。”カリン(彼女の名)”がひとつの会社だと思ってごらんなさい。日常生活の課、恋愛の課、家族の課があって、仕事の課もある。このうちのどれかがうまくいかなくなったら、ほかの課もうまく機能しなくなって、全部に支障が出る」と。

 たしかに、たとえ買い物でなくても「何かをしなくちゃ」という思いに突き動かされそうになったとき、ほかのバランスをきちんと考慮しておかないと。耳が痛いです。

実話なので、まだそのウエブサイトがあるかどうか探してみました。
savekaryn.comはこちら
そこから リンクが貼ってあった オリジナルサイトはこちら

 オリジナルサイトを見ると、本を読んだときよりもさわやかな感じがします。あまり多くが見えすぎるというのは時にしてこういう感じなんでしょうね。 本も多くが見えすぎた感があります。

映画化の可能性があるようです。映画化されたらそれはそれで楽しいコメディ?サクセスストーリー?になるかもしれません。

June 02, 2006

長い長い殺人

■著者 長い長い殺人
■星   ★★★★

長い長い殺人
長い長い殺人宮部 みゆき

光文社 1997-05
売り上げランキング : 452013

おすすめ平均 star
starさすが宮部みゆき!あなたに感服しました
star現代の犯罪を説得力ある執筆で書き上げています
starやさしさ

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 ちょっと昔のマニアックな推理小説のような、山椒は小粒でもピリリという感じの本だった。主人公は財布。いくつかの財布の立場で、財布が見た限りのことが語られる。そのうちにストーリーが動き出す。最初は懐の中という狭い範囲の物語だったのに、複数の財布が語ると同時にそれぞれのストーリーが関連し、つながり、あるときは予想を裏切られ、と世界が広がってゆく。

あとがきを読んでみると、宮部みゆきの

願わくば、著者のわたしが楽しんで書き綴ったのと同じくらい、読者の皆様にも楽しんだり驚いたりしていただけますように

という言葉が引用されていた。

 宮部さんは「次はどうやって読者をおどろかそうかしら?」と考え、それを楽しんでいるのかもしれない。書き手が楽しんで書いているからこそ、マンネリにならず、いつも新鮮な印象を受けるのだろう。

同じくあとがきに 「近いものをあげるとすると都築道夫」と紹介してあった。なるほど、なんだかこの雰囲気、どこかで会ったことがあるようだと思ったのは、そうだったのかもしれない。 都築道夫さんも好きな作家の一人だ。 でも、宮部さんの面白いところは、この作品がたとえば都築さんと似ていたとしても、ほかの作品は全く趣向が違う。前にも書いたことがあるけれども、なんと手品のネタをたくさんもった作家さんだろうと思うのである。

  そう、宮部みゆきさんを手品師にたとえるとすると、旅客機消失のような大物芸もやり、引田天巧のようなショーもあり、そうして、今回の長い長い殺人のような 巧みなテーブルマジックありという 多芸な作家さんだなあと思った。

May 31, 2006

家守綺譚

■著者 梨木香歩
■星   ★★★★★

家守綺譚
家守綺譚梨木 香歩

新潮社 2004-01
売り上げランキング : 9197

おすすめ平均 star
star昔の事
star感じたものは、そこにある
star新作だぁ〜

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 家族と一緒の生活は、純粋な自分の時間というものが少なくなり、その代わりに家族と一緒の時間が増え、そうして家族共通の記憶が残っていく。それは、生命感に満ち溢れていると同時に、そこには「日常の雑事」と一言で表現できる心配や幸せが詰まっている。今の自分は、こうやって家族と一緒に暮らしていてたしかに幸せだと思う。けれど、たまにこの本の主人公のように、流れる水の中に漂っているかのごとく、もしくは、心地よくひんやりとした5月の乾いた風の中に立つがごとく、自然や時の流れによりそって静かな時間をすごしてみたい。そんな気もする。
 つまり、気ままな一人暮らしがふととんでもなく懐かしいもののような気がするときがある。 

 家に住んだ頃から、主人公綿貫の周りには不思議なことが起こりはじめるのだけれど、それは奇異なことでありながら、あって当然のこととまわりの人々も受け止めているので、 「ああ、世にはそういうこともあるのか」と読み手の私も一緒に不思議の世界へいざなわれる。

 28の章にはそれぞれ 植物の名前がついている。 サルスベリの季節からはじまり、次のサルスベリが咲くころまでの約一年間の話だ。

 どれも好きな話ばかりだったが、特にと考えると、

ヒツジグサ(最後のところが特に好き)
ツリガネニンジンの

 河童が二、三日逗留していたようだったが、ゴローがまた朽木村まで送っていった。
−河童はなれなれしいところがあるから、あまり深入りしないよういゴローにいっておかないと。今度のはわざとらしい。

 というところ、  

南蛮ギセル
ホトトギス
そうして最後の、葡萄

 どこが好きだとかきつくしてしまいたいと思う気持ちもあるけれど、書いてしまっては全てが現実にもどってしまい、ふわふわと感じているこの本に惹かれる気持ちが消えてしまうような無粋な気がして、そういう気持ちはたまにはひそかに自分の心の中にしまっておいてもよいかもしれないななんて思ってしまう。

 同じようにこの本が好きだという人と ゆっくりと話せるときまで自分の心のなかにしまっておきたい物語だった。

May 22, 2006

ワニ ジャングルの憂鬱 草原の無関心

■著者 梨木香歩
■星   ★★★

ワニ―ジャングルの憂鬱草原の無関心
ワニ―ジャングルの憂鬱草原の無関心梨木 香歩 出久根 育

理論社 2004-01
売り上げランキング : 41,041

おすすめ平均 star
star動物たちの虚ろな視線が印象的
star何回も読んだ絵本
star一番お勧めの絵本

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■説明
無理なく自然に生きていて オレサマなワニとその周りの動物たちの物語。 絵本ですが、対象は大人だと思います。

■感想
なんといっても題名がうまいです。 ジャングルの憂鬱 草原の無関心。なんと興味を引く副題でしょう。そうして、この絵がその副題にピッタリの雰囲気をかもし出しています。 まるで アンリ・ルソーの絵を思い出すような幻想的なジャングルの絵はそれだけでひきつけられてしまいます。

 内容は。。たしかに、「うん。あるある」とは思うものの、深く心を揺らされることもなくという感じでした。大人向きとはいっても、高校生くらいで読むと良いかもしれないと思いました。

 一通り社会生活を営んでしまい、人生ジャングルを経験しつくしてしまった私には、出会いのタイミングが遅かったのかもしれないと思いました。
 いや、今考えると絵とネーミングが絶妙すぎたのかもしれません。

エンジェル エンジェル エンジェル

■著者 梨木香歩
■星   ★★★☆

エンジェル・エンジェル・エンジェル
エンジェル・エンジェル・エンジェル梨木 香歩 新潮社 2004-02売り上げランキング : 9,615おすすめ平均 starstar対比の物語star私とばあちゃんが奏でる、心と心の二重奏star不思議な2つの世界Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 インテリア雑誌で見た熱帯魚の水槽に目を釘付けにされ、母に「世話をするから」と頼んでみたものの、母はなかなか「うん」といわない。熱帯魚がいたら旅行もままならないというのが母の反対の理由だけれど、熱帯魚がいなくても、うちには二ヶ月前から息子の顔も忘れたばあちゃんがいるのだから熱帯魚がいなくても旅行はできないのだ。

■感想
 エンジェル エンジェル エンジェル という 甘い響きのタイトルはどうも苦手な予感がする。普通だったら手に取らない題名だけれど、裏庭を読んだあとに同じ作者の本だということで気になって読んでみた。

こちらはファンタジーではないぶん、大人向けであろうと思う。でも、読み終わったあと、「そういえば、私にも全て世の中を正しいこと、正しくないことで測りたい時期があった」と思い出し、「自分の正しくなさに自己嫌悪した」時期(いまも多少はあるのだけれど、今以上に正義感に燃えていた頃)があったのだと思い出した。

 高校生の頃、私がこの本を読んだらどんな感想を持ったろう。

たしかに、そういう頃は過ぎてしまったのだけれど、過ぎてしまったからこそ、味わえることもあるかもしれない。

凝った構成で織られていくこの物語、少しずつエンゼル・エンゼル・エンゼルの意味がわかってくる。最後の最後で、主人公のコウコの物語とおばあちゃんの物語がつながって、皆「ああ、そうだったのか」とわかるような物語だった。

 それはそうと、エンゼルフィッシュである。コウコと同じように私は、水槽をたたいて いじめている魚に「やめなさい!」といったり威嚇したりしたことがある。 梨木さんはきっと魚を飼ったことがあるんだろうと思ったりしたのは、物語から少し離れた感想の方だ。

May 14, 2006

鳩笛草

■著者 宮部みゆき
■星   ★★★

鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで
鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで宮部 みゆき

光文社 2000-04
売り上げランキング : 33,898

おすすめ平均 star
star異能者でなくて良かった
star3編どれもおもしろい!
star特別な能力は何のため?主人公たちの薄幸さが伝わります

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■説明
鳩笛草・燔祭・朽ちてゆくまでの3つの別の物語が入っている。
共通点は超能力。

■感想
宮部みゆきは、私にとって「読む本がないなあ」と思ったときに「とりあえずはずれがない」という作者。書く本のジャンルも多岐に渡っているので、飽きることがない。この本は、「傑作推理小説」とあるが、実際は推理小説というよりは超能力を持った主人公の話だ。 超能力者というと、万能の何でも自分の思い通りにできるような人をまず想像するけれど、この登場人物はいずれもその超能力によってなんらかの不幸を感じている。不思議に静かな印象のある短編集だった。
 一番好きだったのは「朽ちてゆくまで」。

 ただ、最近私は息子の成長とともに児童文学を読むようになってしまったので、それと比較するとちょっと点数が辛めになってしまう。つまりは私が今、児童文学の奥深さにはまっているということなのだが。そういう理由で、鳩笛草は娯楽作品としてとらえていて、おもしろかったのだけれど、星は3つということになってしまった。

April 20, 2006

魔女ジェニファとわたし

■著者 E.L.カニグズバーグ
■星   ★★★★

魔女ジェニファとわたし
魔女ジェニファとわたしE.L. カニグズバーグ E.L. Konigsburg 松永 ふみ子

岩波書店 2001-05
売り上げランキング : 50,869

おすすめ平均 star
star自分の殻から出られない人へ

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■説明
転校してきたばかり、ひとりぼっちのわたしは、ハロウイーンの日に木の上に座っているジェニファと出会います。ジェニファは自分は魔女だというのです。

■感想
 子どものころ、なにかについて話すときに「ああ、この子は大人だなあ」と尊敬してしまうような子がクラスに1人はいたように思う。それは、別にファッションやら、経験やらそういうものではなくて、何かについて自分が考えもしていなかったような穿った考えをさらりと言う子のような。
 小学校6年のとき、禁止されていた「こっくりさん」を学校でやったことがある。おそるおそる二人組になり、指を出した私のコインはまったく動かなくて、相手を別の子に変わった途端 驚くようにスルスルとコインが動き始めた。 そのとき、私は少し気になっている男子がいて、誰にも言っていない秘密だったのに、コックリさんは、その子のクラスや頭の文字などいとも簡単に当ててしまったのだった。
 
 そんなことを懐かしく思い出しながらこの本を読んだ。大人になってみるとわかる少女時代の魔法の思い出。子ども用の本となっているけれど、この本を思い切り味わえるのは大人になってからのような気がする。

March 27, 2006

ダヤンのスープ読本

■著者 池田あきこ
■星   ★★★

ダヤンのスープ読本
ダヤンのスープ読本池田 あきこ 佐藤 かずよ

ほるぷ出版 1997-09
売り上げランキング : 316,890

おすすめ平均 star
star見て良し、作って良し!

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前半絵本、後半レシピ本という体裁です。同じく文庫本サイズも出ていますが、ダヤンのミステリークッキング同様あえてこちらのハードカバーをオススメ。文庫本では味わい半減です。 

あくまでも私の中での評価なのですが、ダヤンのミステリークッキングは大好き。こちらはまあまあという感じです。 どうしてだろう。。。と考えると、縦横無尽にページを使った絵本?の絵は素敵なのに、フォントがとってもそっけない。ダヤンの魔術的な雰囲気に合わない。 どうせだったら手書き文字の方がよかったろうになあとちょっと残念。 そういえば、ISTO DANSOUPのページは 手書き文字が散らばっていていい雰囲気だもの。

 素敵な朝のおめざめスープ (バナナのヨーグルトスープ)など、ちょっと作ってみたいデザート系スープものっています。

March 11, 2006

ダヤンのミステリークッキング

■著者 池田あきこ
■星   ★★★★★

ダヤンのミステリークッキング
ダヤンのミステリークッキング池田 あきこ 佐藤 かずよ

中央公論新社 2001-04
売り上げランキング : 88,753

おすすめ平均 star
starお料理に興味を持ち始めた子供に買ってあげたい本
star3倍お得な本!

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■説明
 ちょっと不思議な雰囲気の絵が魅力のダヤンですが、その持ち味の絵と、そうして1ページちょっとの短いストーリーそれも、からっと明るいものではなく、ハリーポッターのダイナゴン横丁のような「なにかあるぞ?」という雰囲気のもの。そうして、そのお話の中に出てきたお料理。

 話はずれますが、ダイナゴン横丁と書こうとしてつい変換して 大納言横丁と!。(^^)笑いました。

■感想
 息子の友達のお姉さんが小学校を卒業するのでプレゼント?と探していて思いついたのがこの本。よさそうだとは思うものの、本は実物をみてみないとわからない。注文して届いたものを見たら、文庫サイズでした。妙に安いと思ったー。
 中を見てみると私も大好きな雰囲気。これは、ハードカバーもあるはず。と探してみるとありました。

ダヤンのミステリークッキング
ダヤンのミステリークッキング池田 あきこ

ほるぷ出版 1990-10
売り上げランキング : 257,114

おすすめ平均 star
starお料理に興味を持ち始めた子供に買ってあげたい本
star3倍お得な本!

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 ぱらぱらと気になるタイトルや絵でちょいと読んでみるということができるし、気になるレシピを作ってもよいし。手元に一冊置いておきたいと思う本です。
お気に入りになりました。

 漢字にはたまーに振り仮名がある程度です。

March 10, 2006

ヨーヨーのちょこっと猫つまみ

■著者 池田あきこ
■星   ★★★★

ヨーヨーのちょこっと猫つまみ
ヨーヨーのちょこっと猫つまみ池田 あきこ

中央公論新社 2003-07
売り上げランキング : 144,281

おすすめ平均 star
starもうひとつの池田ワールド
starかわいい猫の季節のお料理レシピとお話
starスターツ出版の方がいいかもしれません

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■説明
猫たちが主人公のちょっとした漫画のようなお話と、それに関わるレシピが乗っています。
全ページカラー

■感想
絵本だとばかり思って、購入時に「安いなあ」と思ったら、文庫サイズでした。残念。
絵本だったらもっともっと楽しめただろうになあ。 とはいっても、小さくても十分魅力的な本です。
森と夜空のホットサラダ。パスタの記憶トマト風味。なんて名前だけ聞いてもつい食べたくなってしまいます。

January 13, 2006

今夜は眠れない

■著者 宮部みゆき
■星   ★★★★★

今夜は眠れない
今夜は眠れない宮部 みゆき

中央公論社 1998-11
売り上げランキング : 228,294

おすすめ平均 star
star少年探偵団みたいな楽しい小説
star私は一番好きです。
star現実のつらさとあたたかさ

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■説明
中学生の僕は両親と3人住まいの中学一年生。そこそこ普通に成長して、大人の世界を垣間見るようになった年代の普通の男の子。ところが、その普通の男の子には驚くような出来事が。。友達の島崎が協力してくれて一緒に謎を解こうということになる。

■感想
 夢にも思わないを先に読んでから こちらも読みたいと探してきました。面白かった。最後の最後までこの真犯人はわからなかったなあ。僕と島崎の名コンビぶりをよむにつれ、楽しかった中学時代を思い出します。本当に中学生の頃この本を読んだらどんな風に感じたかな。
 私は夢にも思わないよりも、こちらの方が好き。 こちらも、もし文庫本を買うならば表紙絵がこの方をオススメします。なぜなら こちらにもパラパラマンガがついているから。(^^)

 とても楽しい本だけれど、さりげなくはっとするような表現がちりばめられているところも好きです。
「子供はすぐに大人になれるわけじゃない。煉瓦を積んで塔を建てるように、一日ごと、一時間ごとに積み上げられた経験が、喜びやかなしみが、子供を大人へと積み変えてゆく。」
 大人になれば大人になったでそれぞれの立場でこの本が読めそうなんだよなあ。
なんとなくじーんとした読後感の本でした。

November 04, 2005

症例A

■著者 多島斗志之
■星   ★★★★★

症例A
4043690010多島 斗志之

角川書店 2003-01
売り上げランキング : 48,378

おすすめ平均 star
star病気に対する知識も得られる素晴らしい作品
starサイコホラーではない。
starフィクションなのかノンフィクションなのか!?

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■説明
 榊は精神科医。新しい病院に赴任してきたばかりだ。 そこで、阿左美という十七歳の少女を担当することになった。 阿左美はきれいな顔立ちの少女であるが、看護婦の受けはわるいようだ。
やや内気だが、すなおで礼儀正しい子という性格が一変してしまったというのだ。

■感想
 シンデレラ症候群とかピーターパン症候群などが有名になった頃から、私は精神科関係の本に興味を持つことも多くて、手元にも10年くらい前に買い求めた本がたくさんある。手元にあるのは、1991年第6刷の以下の本。
 

心病める人たち―開かれた精神医療へ
400430122X石川 信義

岩波書店 1990-05
売り上げランキング : 82,193

おすすめ平均 star
star精神医療の実態を鮮烈に描く

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 これを読んで 精神科のありかたというのを考えてしまったことがある。

(主人公の榊が勤めていた)前の病院は利潤の追求を何よりも優先していた。患者を牧場の羊のようにみなしている気配があった。ところが、今度の病院は院長の考え方にも好感をもったし、治療方針も納得のいくもののようだ。 このあたりを読んで、上の本を思いだしたのだった。

彼が担当した患者の中には精神分裂病(原文のまま。2002年からは統合失調症)を疑われる子がいた。しかし、だんだんと榊は彼女は「ボーダー(境界例)」ではないかと思い始める。しかし、臨床心理士である広瀬は彼女は 解離性同一性障害ではないかという。
 このあたりも、24人のビリーミリガンを読んだことがあることを思い出しながら物語に入りやすかった。

24人のビリー・ミリガン〈上〉
4151101047ダニエル キイス Daniel Keyes 堀内 静子

早川書房 1999-10
売り上げランキング : 48,875

おすすめ平均 star
star読みはじめたら止まらない
star被害者の人権は?
star信じられない話、でもノンフィクション!!

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そうして、ビリーミリガンを読んだとき、信じがたいような、また、やりきれない思いが残っているように記憶している。この本はフィクションではあるが、読み終わったときに明るい希望を持てるような結末であることが好きだった。ミステリーとしてもとてもよく組み立てられていてさくさくと読み進められ面白かったと思う。

November 01, 2005

不思議を売る男

■著者 ジェラルディン・マコーリアン
■星 ★★★★★

不思議を売る男
4035404209ジェラルディン マコーリアン Geraldine McCaughrean 金原 瑞人

偕成社 1998-06
売り上げランキング : 38,749

おすすめ平均 star
star読むほどに引き込まれていく
star短編がよくて、ラストは未だによく理解できていません…。
star最高!

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■説明
エイルサが図書館であった男は風変わりな男。緑色のコーデュロイの上着を着て、ひじも脇の下もボタンホールのまわりもしわになってすりきれている。 男は「住所が証明できないと図書カードがつくってもらえない」「ちょっと貸してもらえないか」なんて言い出すし、どうやら男は副館長のレミットさんにも目をつけられているみたい。 どこから来たのと聞かれて 「リーディング」なんていうなんて。

■感想
 ひょんなことから母が経営する骨董品店に転がり込んできたMMC(緑の上着の男)のお話にひきこまれ、骨董を買っていく人たち。実は私もそのおはなしに引き込まれ、最初は怪しい人としかおもっていなかったMMCが、ステキな人のように思えてくる。彼の語る物語はバリエーションに富んでいて、魅力がたっぷり。全部で13章からなる本ですが、次はどんなおはなしかな?と待ち遠しくてどんどんページをめくっていってしまいます。
 以前 愛と哀しみの果てという映画を見たときに主人公の女性が、延々と長い話を暖炉の前で男性に語るという場面が出てきました。そうして彼らはそれをとても楽しみにしているという描写でした。
それについて、どこかで 「昔、イギリスでは、物語を語れるということは教養のある人だということなのだ。」と読んだ記憶があり、なるほど、そういう面で、彼女は男性からしても教養のある魅力たっぷりの女性だったのね。と納得した覚えがあるのですが、今ネット検索しても、残念ながらそのような記載にヒットしませんでした。 
 でも、愛と哀しみの果てだけではなく、たとえば、ピーターパンにしても、ウエンディが夜毎語る物語を子どもたちはとても楽しみにしていることなどからも、たぶんそのように思われていたのではないかなあと思います。  そういう点からみても、こんな風に自由自在に面白い物語を語れるMMCはやっぱりものすごく知的で魅力的な人物という想定なんだろうな。

 面白くて満足感がとても高い本でした。 小学校高学年から上を対象にしている本だと思います。
難しい漢字には振り仮名がついています。

October 30, 2005

魔法のゆび

■著者 ロアルド・ダール
■星   ★★

魔法のゆび
4566012336宮下 嶺夫

評論社 1986-07
売り上げランキング : 186,273

おすすめ平均 star
star楽しんで読めます
starほのぼのとしたお話です
starロアルドダールです

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■説明
主人公は8歳の女の子。魔法のゆびを持っているのです。彼女の打ち明け話。

■感想
これは、もしかしたらペーパーバックで読んだほうがよかったのかも。私としてはいまひとつ中途半端の感がありました。それほどたくさんダールの本を読んだわけではないけれど、ダールにしては常識派すぎるような気もしたし、教訓的な気もして。(あまりにもめちゃくちゃなストーリーだとそれはそれで心配になる親心なのですが) 。

 最近気になることは、日本語訳にしたときに、日本語の文体がたくさんありすぎて同じことを言うにしてもしっくりこない場合があるんじゃないななあということです(私は英語は苦手で自信がないのですが)

 たとえば、
「私は、狩りなんてだいきらいです。自分のたのしみだけのために、鳥やけものをうちころすなんて、良くないことだと思います。」 というのと、
「私は、狩りなんてだいきらい。自分の楽しみだけのために、鳥やけものをうちころすなんて良くないことだとおもうわ。」 と、読んだだけで読み手に話し手の人格設定がそれぞれ違う形でできてしまうような気がします。
 この本の場合は、女の子をもう少しいたずらっ子のような語りにさせたほうがおもしろかったのではないかなあなどと、英語が苦手なりに思ったりしました。やっぱり翻訳本には訳者との相性というのがあるように思います。 「マチルダは小さな天才」を読んだときには面白く読めたので、訳者の問題ではないかもしれません。

マチルダは小さな大天才 ロアルド・ダールコレクション 16
4566014258ロアルド・ダール クェンティン・ブレイク 宮下 嶺夫

評論社 2005-10
売り上げランキング :


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 以下ちょっとネタバレ
とはいえ、物語ぜんたいの流れではなくて、お隣の家族の一人一人の行動をみてみると面白いものがあります。大変なことになってしまうのに、あっという間にその環境になじんでしまうその姿をのぞき見ている楽しみというか。そういうのはありそうかも

たとえば、この物語が映画になったとしたら、おもしろいものになりそうな気もします。

ヴァン ゴッホ カフェ

■著者 シンシア・ライラント
■星  ★★★

ヴァン・ゴッホ・カフェ
403631050Xシンシア ライラント Cynthia Rylant 中村 妙子

偕成社 1996-11
売り上げランキング : 176,590

おすすめ平均 star
star魔法の時間

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■説明
カンザス州の昔劇場だった建物の片隅にある ヴァン・ゴッホ・カフェに起こるふしぎなできごとは、
ほのぼのと暖かい。という感じ。。

■感想
 名前に惹かれて購入した本。ゴッホの絵のようなドラマ性を期待して読んでしまったからか、少し今の私には物足りない感じがしてしまいました。
 昔に見た バグダットカフェという映画を思い出しました。これはとても好きだった映画。詳細をわすれてしまったのでまた見たい。

バグダッド・カフェ 完全版
B00008BOFQマリアンネ・ゼーゲブレヒト パーシー・アドロン

紀伊國屋書店 2003-04-25
売り上げランキング : 671

おすすめ平均 star
starじんわりココロにしみる名作
star近所に『バグダッド・カフェ』のない人へ
starアメリカ人には描けないアメリカ

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私には、この映画の方の印象がつよすぎて、似ていると思ったとたんに、こちらの本が色あせてしまったのかもしれません。

 大人が読める本ですが、ふりがながついているところから子供向けの本なのかとも思います。
シンシアライラントについては、メイおばちゃんの庭でもう一度チャレンジしてみたいと思っています。

 

October 19, 2005

西の魔女が死んだ

■著者 梨木香歩
■星  ★★★

西の魔女が死んだ
4101253323梨木 香歩

新潮社 2001-07
売り上げランキング : 1,751

おすすめ平均 star
star涙がこぼれる
starもうひとりの自分
star大切な想い

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■説明
 まいは母の迎えで学校から家に帰ることになる。 母は英国人と日本人との混血。まいは黒に近く黒よりソフトな印象を与える瞳のママの目が好きだ。 「何があったの」「魔女がー倒れた。もうだめみたい。」 魔女とは英国人の祖母のこと。まいは、祖母の元で暮らした日々を思い出した。
 中学生にあがったばかりの周りも自分も どう自分を扱ってよいか分からないほどもてあます時期、まいは学校へ行けなくなってしまった。

■感想
 残念ながらデリケートなその時期からは少し遠く離れてしまった私は、息子もまた、今度はその時期にまだまだ遠い年齢であるために まいの悩みがあまり張り詰めては伝わってこない。
おばあちゃんのいい味も、ちょっともどかしくうまく伝わらない。(外国人であるということがそれを少し救っていると思う)ちょっともどかしい結果になった。
 しかし、本の内容から少し離れて客観的にみてみると、たとえば 「おばあちゃん」のような 日々いきるためだけに生きている、そういう人とのふれあいは生きる意味を見失った人たちにとても重要な意味を持っているのではないかとおもう。
 考えてみると、父親は家族の生活のため働くということが第一の目的になっているかもしれない。 母親も家族の生活の足しに働いている場合もあるかもしれないし、家族の世話をするために生きている部分があるかもしれない。もしくはこのまいの母のように、なんとなくまだ娘時代のわがままを残しながら娘と自分のウエイトを測り損ねてしまっているかもしれない。 お金や名誉や地位というもののために働くのではなくただ、生きるためだけに生きる。生きることを楽しむ。そんな忘れている生活を思い出すことが全ての基本なのかもしれないな。などと思ったりもした。
 
 「西の魔女が死んだ」という題で、てっきりファンタジーなのかとおもいつつページをめくると、そこには
さらりとした文体の現在の日本が書かれている。ちょっとした違和感を感じつつ読み進んだ。
さて、読み終えた私は、おもったほどどっぷりと本のせかいに浸りこめなかったことを残念におもいながらも、ふと「西の魔女のように年をとりたいな」などと思った。
 自然にさからわず、どっしりとしかし敏感にものごとをとらえつつ。そんなステキなおばあさんになれるだろうか。 

October 15, 2005

コスモス マジック

■著者 田村理恵
■絵   朝倉めぐみ
■星  ★★★★(ステキな絵に★をひとつおまけ)

コスモス・マジック
4577022362田村 理江

フレーベル館 2003-10
売り上げランキング : 1,579,744


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■説明
ミセスグレースの得意なことはお掃除。スーパーに行く途中町でも評判の大きな家「コスモス邸」の前に「お手伝い募集」のお知らせをみつけたミセスグレースは、「この仕事、わたしにぴったりだわ」と今日の予定を変更し、お手伝いに応募することにしました。ミセスグレースには仕事をしなければならない理由もあったのですが、そのコスモス邸へでかけてみると。。。。
全てのページにイラストがあり、カラーイラストページの比率もとても大きい絵本と小説の間のような印象の本です。児童書です。そのイラストがオシャレで綺麗でかわいくて。女の子ならとても好きになりそう。中の漢字には簡単なものには振り仮名がついていません。

■感想
 小学校中学年以上を対象にかかれたものだと思います。テーマは「愛する人を信じて待つこと」みたいな感じ。 夢見る女の子?向けなのかも。 その年齢の女の子が家族にいないので今ひとつ子どもが読んだ場合が分からないので、わたしの感想を。

 全体に、ゆったりとした時間と幸せ(決して幸せだといえない状況であったとしても)を感じるお話です。信じて待つことの楽しさがじんわりつたわってくるような。絵の雰囲気・色合いもとても綺麗で、手元にあるだけでぱっと心が明るくなるような。 また、人と人?とのかかわりが暖かく、どんなときもこんな風にゆったり幸せな気持ちで暮らしていけたらいいなあなどと思う本でした。

October 14, 2005

メメント・モーリ

■著者 おの りえん
■星  ★★★★

メメント・モーリ
4652071965おの りえん

理論社 2001-03
売り上げランキング : 304,725

おすすめ平均 star
starメメント・モリ・・・生きるための思想
star一味違ったファンタジー

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■説明
メメント・モリとはご存知の方も多いでしょうが、「死をおもえ」との意味。
すぐかっとなるたちと自分のことを言うお母さん、けれどお父さんが怒らないようにもくもくと家事をこなす画家のお母さん。なんでも自分のやることが一番で

「いいか。百人の人がいたら大切なのはたった一人の特別な者だけだ。あとの九十九人は自分の頭で考えたりできない。愚衆ってやつだ。トップは一人でいい。あとは、その一人についていけばいい。そしてお前は、その選ばれた一人の方だ。
わが家はそういう家系なんだ」 

というのが口癖のお父さんがほほの家族です。
さて、ところが 主人公の ほほ(名前です)は、その親の期待に押しつぶされそうになってしまいます。自分が親の期待にそえるような子ではないという思いがあったのです。

■感想
 対象年齢は子どもに親のあらが見えてきて 「いやだな」と思うところが増えてくる頃だと思います。残念ながら私はそれをとうに通り越してしまったので、その辺の思いが薄れていてなかなか物語に入り込めませんでした。中盤くらいまでは、まるで「千と千尋の神隠し」のような展開です。なんとなく、面白いというよりも借りたから読みきりたいとおもう気持ちで読み進んでいた私ですが、残り三分の一くらいになり、突然一気に読み終えました。

 読み終えての感想は、大人にも感じるところの多い本であるということです。

「守るものがあればあるほど、人の中には恐れがふくらむのよ。」
  友達になった水の鬼の叔母にあたる人がほほに言います。彼女はうまれつき目も良く見えなくて体も弱かったのです。 だから彼女は水の鬼から薬草の鬼になったのだということ。
 「人はときどき、考え違いをするわ。弱さを取り払ったところに、本当の自分があるって。でもね。ほほ、弱さはその人の始まりよ。取り払うことはできないし、取り払う必要はない。その人の芯」

ほほの旅と一緒に、大人も時間をさかのぼり、子どものころ解決しないまま忘れ去っていた自分の思いを片付けることのできる本ではないかと思いました。
 
 
 

October 08, 2005

夏の庭

■著者 湯本 香樹実
■星 ★★★★★

夏の庭―The Friends
4198613591湯本 香樹実

徳間書店 2001-05
売り上げランキング : 44,958

おすすめ平均 star
star現代世界文学のスタンダード
star年齢を問わずおすすめ
star色褪せない物語

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■説明
小学校6年の夏、でぶの山下が学校を休んだ。おばあさんが亡くなってお葬式へでていたらしい。いままで想像の世界でしかなかった 「死」というものに遭遇した主人公たち3人はそれから怖い夢を見たり 死とはなんだろうと突き止めたい思いに駆られる。
 河辺は、近所にすんでいる死にそうだと思われる一人暮らしの老人の死ぬところを見ることで死とはどんなものかを知ろうとボクと山下に言う。気が進まない僕と山下。しかし、死について思いがまさり、僕たちは老人の家を見張ることにした。
 どこの町にでもありそうな一人暮らしの老人の家はゴミ袋が詰まれ、住んでいる老人は夏なのにコタツに入ってテレビばかり見ているようだ。

■感想
たぶん小学校高学年から中学生あたりを対象として書いた本だと思われます。
テーマとしては12歳の少年たちの忘れがたい夏ということで 映画「スタンド・バイ・ミー」みたいなものかな?と軽く読み始めたのです。ところが、スタンド・バイ・ミーは見た当時私はあまり感動しなかったけれどこの本はずっしりと心に響きました。

 子どもたちからすると 老人はただ未知のものであり自分の世界には存在しないような存在だったわけです。もちろん相手は赤の他人で言葉をかわしたこともないわけですし。当初は動物でも見るかのように老人に接していた彼ら。
 老人も長い間世間から隔絶されて(いえ、自分から世間を隔絶して)生きてきて、その仲間はずれ感になれきっている。身の回りが皆敵だとでも思っているかのようなそういう気持ちになっている。

 その老人と子どもたちが出会って、だんだん話をしはじめた。 それによって、老人を人として認めはじめる子どもたち。 そういうかかわりを通して 世捨て人だった老人がまた 一般社会の一員として認められていく様子。 そうして、子どもたちの老人への思い。
 老人とかかわることで、その老人とだけでなく、彼らの世界は確実に広がっていきました。
いままで、家族と友達だけしかいなかった自分の世界に、「その他」としてしか認識されていなかった人々が皆生き生きとそれぞれ「一人の人」として認識されます。 

 

そんなにたくさんの思い出がこのふたりの中にしまってあるなんて驚きだった。もしかすると、歳をとるのは楽しいことなのかもしれない。歳をとればとるほど、思い出はふえるのだから。そしていつかその持ち主があとかたもなく消えてしまっても、思い出は空気の中を漂い、雨にとけ、土にしみこんで、生き続けるとしたら...

子ども向けの文学ではあるけれども、大人の私が読んでも、老人・戦争・死ぬということ などたくさんの思いを引っ張り出して、そうして あらたな想いへと導いてくれた本でした。
これも、 手元においておきたい本。 児童文学ってすごいなあと、思う一冊です。
 

October 06, 2005

みどりのゆび

■著者 モーリス ドリュオン
■星 ★★★★

みどりのゆび
4001141019モーリス ドリュオン Maurice Druon 安東 次男

岩波書店 2002-10
売り上げランキング : 32,865

おすすめ平均 star
starだれかにプレゼントしたくなる本です
star40年のロングセラーの意味。
starとても考えさせられる本

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■説明
 何不自由ない裕福な家に生まれたチトは美しい子でした。父の仕事をつぐために小さい時から特別な教育をうけさせられることになりますが、なかなかお父さんのおもうようにはいきません。
ある日のこと、植木鉢に種を植えたところ、あっという間に植物が育ち花が咲きました。
 チトは隠れた種を発芽させて立派に育たせる「緑の指」の持ち主だったのです。

■感想
「園芸がすき」 と言う人に有名なこの本「みどりのゆび」を初めて読みました。 てっきり植物を育てるのが好きな園芸家の話だとおもっていたのです。 冒頭の部分にある

「うつくしいということは、チト(主人公の緑の指の持ち主)にはごくあたりまえのことでした。」「チトの両親はふたりとも、本当に綺麗でした。だから、いつも二人を見ているチトには、うつくしいということはあたりまえのことで、みにくいことのほうがむしろ例外か、それともいけないことのようにおもわれたのです。」「おとうさんとおかあさんはすごいお金持ちだったのです」

 という文を読み、私が思っていた筋と違うことに気づき、このままこの物語が進んでいくのだったら私は最後まで読めるだろうかと心配になりました。
 お金と美貌に恵まれた人生。 皆それはうらやましいと思うことだと思うけれども、今の私は今のままの生活で十分満足しているし、それについての私から見た価値というのはさほど高いと思っていないから、そういうことばかりをならべたてた本は読む気がしなくなるのではないかとおもったのです。

 ところが、読み進むにつれて、ただの「子供向けの童話」ではないことに気づきます。
強烈な平和へのメッセージが感じ取られるだけでなく、深い洞察力にみちた本だったのです。

小さなチトはおぼつかない子どもです。しかし彼の澄んだ目と穢れていない心は大人たちが見失っている真実をみのがしません。ありのままにとらえ、自分が信じる通りに行動します。

心に残る、手元におきたい一冊になりました。

July 03, 2005

火の粉

■著者 雫井脩介
■星  ★★★★★

434440551X火の粉
雫井 脩介

おすすめ平均 star
star良かったと思います
star一流の心理サスペンスが堪能できる!
star久しぶりに良い小説だと思いました。

曲名リスト
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■こんな人にオススメ
とにかくサスペンスが好きな人。

■説明
裁判官の梶間勲が最後に取り組んだ事件は凄惨な家族殺人事件だった。死刑という判決を下す事の重みを日々考えている梶間が下した判決は、会心とは言い過ぎかもしれないが、自賛できる裁判だった。長い裁判官生活の総決算ともいえる裁判だったと思った。
 そうして、退官し家族と暮らす彼の身辺に少しずつ異変がおこりはじめたのは、ある出来事からだった。

■感想
 ああ、怖かった。どうなるのかと気になり、ページをどんどんめくり一気に読み終わってしまった。疑い始めると誰もが怪しく思えてくる。何かヘンだ。何かが違う。そう思いながらはっきりと見えてこない。じわじわと警鐘がなるのを聞きながらその実態が見えてこないその焦燥感。「はやくときあかさなければ。」「はやくしなければ」という思いでつい読み進むペースもあがります。 久々に怖いと思いました。 前に書いた「黒い家」とおなじくらい怖かったと思います。
 
 作者は男性だと思うのですが、主婦の日常生活やら思考やらが違和感なく描き出されていて、なぜこんなに書けるのだろうと 冒頭から少しして驚きました。筋にはほとんど関係のない日常だけれども
 

雪見は夕食の一品くらい先に作っておいたほうがあとから楽だろうと、冷蔵庫にあった厚揚げやかぶ、さやえんどうを使って煮物をした。だし醤油やみりんを入れた鍋に薄切りしょうがを加えて中火で煮立て、油抜きした厚揚げや株などを適当に切って放り込む。しばらく弱火で煮てから火を止めた。このまま置いておけば味が染み込んでくれる。

なんて、あまりにも手馴れている手順が自然に物語に厚みを持たせていると思います。

この文庫本の巻末には 藤田香織さんの解説が載っていますが、この解説がまた。「ううん」とうなるくらい壷を押さえた解説です。 内容に触れている部分もあるので、できれば読み終わってから読むのが良いと思います。

アマゾンの書評には物語りのラストについていろいろの意見が載っていましたが。私はこの物語の始まりに対してこの結末はうまくはまっていると思います。

April 28, 2005

コールドスリープ

■著者 飯田譲治 梓河人
■星 ★★★

コールドスリープ
飯田 譲治 梓 河人

角川書店 2002-11
売り上げランキング : 310,808
おすすめ平均

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■こんな人にオススメ
ちょっと軽いSFホラーなどが読みたい人に

■説明
ナイト・ヘッドなどで知られている 飯田譲治 梓河人 ペアの4編からなる短編集。最後に対談が載っている。

■感想
コレ以前に読んだ有名になった本と比較して、こちらはまだ「ラフ」の段階という感じ。(これは対談でも書かれていたけれど) 話は短く、その分ディテールが書き込まれていないので単純に 筋といっても、動物でいうと背骨の部分の展開が勝負ということになるとおもう。
 読んでみてこちらの方がちょっと長めだけれど、昔読んだ 星新一のショートショートのような雰囲気だなあと思った。

 軽妙なテンポで、日常ではありえない設定の物語が進んでいく。オチが一ひねりしてあるところもおなじ。 軽いので数時間あれば読めます。 電車の中などで読むのにオススメ。

April 24, 2005

ネコババのいる町で

■著者 瀧澤美恵子
■星 ★★★★

ネコババのいる町で
滝沢 美恵子

文芸春秋 1993-03
売り上げランキング : 308,985
おすすめ平均

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■こんな人にオススメ
人と人の関係を静かに考えてみたことのある人

■説明
芥川賞受賞の ネコババのいる町で、ほか3編。
人と自分の間に透明な壁があるがごとく冷静に書かれた物語は静かで澄み渡っているというような。

■感想
起伏のある物語がどちらかというと好きな私なので、2編目の「神の落とし子」が一番面白かった。
ネコババのいる町で。 題からするともっとコミカルなものを想像して読み始めた。ところが、主人公はとんでもない人生を生きていた。 突然やってきた母のお荷物であったであろう「私」を、困惑しながら受け入れて、そうして不思議な家族ができあがっていく。 ベタベタの「いかにも良い家族」という姿からは程遠い、淡いけれども自然でお互いがしっかりとかかわりあった「家族」だ。叔母の死について書かれたこの物語の読後は成長し、きちんと自分で自分の人生をあるいている私の姿があり、暗くはない。

 「神の落とし子」 この筋を語ってしまうと、ほとんどこの話の楽しみを書いてしまいそうなのでかかずにいようとおもう。恵まれた家庭の世間知らずゆえに。。。。
 最後に出てくる(フォント色変えます)
誰か特定の人をいつまでも好きになってる子ではないもの。あの子にとっては、相手は誰だっていいんだから。自分を楽な状態にしてくれる人だったら誰だってよかったんだもの。ああ、女の人にはそういう人いるような気がするなあ。。。と妙に納得。 

「リリスの長い髪」夫婦というものは、どういうことで結婚したかとつきつめて考えていくと最後のところは、何々だから何々だ とピシッと理論で説明できない部分があったりするものかもしれないなあと思う。
そうして、「近い」と思っていた相手にふとしたところで距離を感じたり、「遠い」と思っていた距離が縮まっていることに突然気がついたりするものだと思う。 結婚して、実際は相手のことがよくわかっていなかったことに結婚後に気づいたり、結婚後に相手のことが一層よくわかってきたり。 物語の運びの中で淡々と語られる人間関係が、夫婦が、おさまるところにおさまったかの様子を ポーンと投げた石が水面に波紋を立てて沈んでいき、落ち着くところへ落ち着いて行く様子のようにすんなり書かれている。

April 14, 2005

しりとりえっせい

■著者 中島らも
■星 ★★★★

しりとりえっせい
中島 らも

講談社 1993-12
売り上げランキング : 100,714
おすすめ平均

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■こんな人におすすめ
雑学好きな人
ちょっとした時間をもてあまし、本で暇をつぶしたいと思うような人

■説明
「しりとり」からはじまって「るふらん」まで、見開き2ページの御題をしりとりで決めたエッセイ集。
軽いタッチでつづられている。 夕刊フジに連載されていたものをまとめたもの。

■感想
夕刊フジというと、多分タブロイド版の「おやじ新聞」だ。女性はほとんど読んでいるのは見かけないけれど、帰宅時の「おやじ」達には 夕刊フジ派・ゲンダイ派 などそれぞれ好みがあるようだ。向かいに座ったおじさんたちに必ず一人は読んでいるというような新聞。
 話題の幅も広く、内容も気楽に読めるようなものが多い。連載されていたら楽しみにしている人も多かったろうとおもう。

 コピーについて、物をかくことについての話は氏のこだわりや鋭い意見も見えて面白いだけでなく「なるほど」とうなるものがある。たとえば、面白いなと思ったのは、 韓国旅行のキャンペーンのコピー「初めてなのになつかしい」というものについて。 たしかに行ったことがない、生まれてからそのような情景はみたことがないはずなのになぜか懐かしい風景というのはあるような気がする。 別のエッセイで同じくらもさんがかいていらしたブレードランナーの街も、私にとってはなぜか懐かしい景色なのだ。たぶん、韓国に行ってもおなじような感覚に襲われることだろうなあと思いながら読んだ。
 
 カルチャーセンターにある 「文章教室」についての疑問もおもしろかった。 
「講座を受ける人の心境は、何者かを書いてみたいという衝動がある。ただそれは「人に見せる」ことを前提としているので、つたない文章では恥ずかしい。」 から文章教室へ通うということだろうけれども、
実際は 習うというよりも、実際モノになる人はすでにヘタであろうとなんであろうと自分のために物を作り始めているはずだという論。 なるほど!とうなる。

 残念なことに、実は私は 文章教室出身のとても面白い作家さんを知っている。宮部みゆきさんだ。 小説家入門山村教室 (;−p)なんちゃってー。

 たぶん宮部さんは 習う前から書きたいという衝動で書いていらしただろうと思うし、山村教室というのはたぶんカルチャーセンターの文章教室とは違うであろうとおもっているけれど。

なににせよ。面白い気楽なエッセイ集だ。

私の美の世界

■著者 森 茉莉
■星 ★★★

私の美の世界
森 茉莉

新潮社 1984-12
売り上げランキング : 58,115
おすすめ平均

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■こんな人におすすめ
森茉莉が好きなひと
頑固な人の薀蓄をきいてみたいひと

■説明
森鴎外の娘森茉莉のエッセイ? 貧乏サヴァラン・夢を買う話・あなたのイノサン、あなたの悪魔・反ヒュウマニズム礼賛 ほんものの贅沢 という5つにわけられた短いエッセイ集

■感想
以前読んだ 森茉莉の本と重なる部分も多く、ちょっと失敗してしまったか。。と こちらも前回にひきつづいて読み疲れ気味。
 私が森茉莉を読むのは、彼女のきらびやかな空想の世界に引かれてではなくて、彼女の世間に対する鋭い、そして何者にもゆらがない「自分」をもっている点や、その耽美の世界(といっても彼女の小説は読んだ事がないのだけれど)とはうらはらに「ゴミにうずもれて死んだ」というなんともドラマチックな一生にとてつもなく興味を引かれるから。

 丁度昨日書いた中島らもさんの本の内田百里侶鼠討法◆崋造吠原腓梁燭い犬い気鵑如⊇藐は嫌な感じなのだが、何度も読み重ねるうちにそのワガママ放題の奥から愛らしい子供っぽさとゆるぎない硬骨がほのかにみえてくる。」と評しているのを読んで「森茉莉と似ているなあ」と思ったところ。
 まあ、自信家のおもしろいおばあさんなのだけれども、かといって自分についても「薄ぼけ人間」と評したり、「私はおみあしの先がご自慢で、頭でっかちの変なプロポオションのことなんぞは念頭にない」と妙に自分を冷静に見ていたりして、その夢と現実の切り替えもまたこれまた面白いと思う。

 読み疲れていたので、ざっくりと読めない文は飛ばしてしまったが、気に入ったのは以下

整形美容の恐怖:(整形をしようと思い、とんでもない注文をする)そういう人たちはだいたい、人間の顔というものがまるでわかっていない人々であって、自分の顔の感じのよさはどこにあるのか、かわいらしさはどこにあるのか、それが毎日鏡を見ていながらわかっていない。不美人は不美人なりに、その人の顔の中にはその人らしさがあるのであって.....

白色人種と黄色人種:白い人種の中の、ことに強大な国の人間が、水爆を落とす場所は黒か、または黄色の人間の住んでいる空の上であると、きめていることは、疑いのない事実であって、白い人間は私たち有色人種を心の底では嫌厭しており、私たちをモルモット用の人間のように思っている
(略)
また、日本人のある人々が自分達を白色人のように思い込んでいて、黒い人や、他の黄色人種を馬鹿にしているのもすべてこっけいである。(略)
人種差別の一番ひどいアメリカ人がどこの国の人より「人道」を唱え、キリスト教をひけらかしているのも噴飯である。
 
情緒教育:私はばかな母親だけれども、ばかな母親なりに、自分の人格に自信をもって、母親の愛情に自信をもって、偉大な医者とか科学者になったつもりで答える。

など。 順番に読んでいくと疲れるときは(=私は今回は結構疲れました)、目次をみながら興味をひく題について読んでくという読み方がオススメです。

April 13, 2005

獏の食べのこし

■著者 中島らも
■星 ★★★★

獏の食べのこし
中島 らも

集英社 1993-01
売り上げランキング : 245,213

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■この本がオススメの人
大笑いするわけではない、くすっとした可笑しさをこよなく愛する人。
トリビア・雑学の類がすきな人。
現実から離れて空想してみることが好きな人。

■説明
長くて10ページ位の エッセイ?集。
日常生活・身の回りからはじまって、舌をまくほどの雑学までごった煮にしたような、次は何が出てくるかお楽しみな本。

■感想
らもさんが亡くなったときに、衝動買いして読み残していたもの。同じ人のエッセイを続けて読むとネタがかぶっていることもあって マンネリを感じ始めたために読むのをやめていたのだけれど、気持ちを新たにして読み始めると、らもさんの博学ぶりや、視点の面白さがやはり際立っているとおもう。
 世には「猛然と前へ進む」人がいて、そういう人は多かれ少なかれ ドーパミンやらなんやらのせいか、われを忘れているようなものだと思うのだけれど、それを「傍から妙に冷静な視点で見ている人」(らもさん)がいてという、「前へ猛然と進み続けている人にはわかりにくい世の面白み」というのがそこはかとなく感じられる楽しい本だと思う。彼の幅広い興味の広がりと、その興味の掘り下げ方も読みどころ。

 中でも私が「おもしろいなあ」と思ったものをいくつか上げてみると

・しあわせのしわよせについて:持っている・恵まれている ということについて 最後に「なるほどなあ」というオチが
・体温のない街:街に関する一見ふまじめにみえながらも、まじめな考察
・おナスの力:ナス科のマンドラゴラについて、「好きなんだなあ」と、読みながらわかる。めくるめくトリビアの世界
・非ユークリッド的おじさん:限りなく親近感をいだきながらも
・「エサ」と酒: 内田百里量ノ呂砲弔い謄轡鵐廛襪法屬Δ泙い覆◆廚箸Δ覆蠅弔帖後半は不思議な可笑しさ

April 07, 2005

きらきらひかる

■著者 江國 香織
■星 ★★★

きらきらひかる
江國 香織

新潮社 1994-05
売り上げランキング : 9,902
おすすめ平均

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■こんな人にオススメ
人のことを「好き」ということはどういうことだろうと考えてみたい人。
反対に表紙裏にある 「ホモ」「アル中」「純度100%の恋愛小説」というのをよんで読みたいと思われるのだったら、内容は違うような気がするのですが。。。

■説明
変った者同士の結婚をした睦月と笑子(ショーコ)。二人が望んだように普通に暮らしていけると思っていたのだが、お互いの両親が関わってくるころからちょっとしたゆらぎが発生する。

■感想
文庫本の表紙裏の説明。本を買うときにたしかに「ほしいな」と思わせるためのものだけれど、なかには 映画の予告編のように「そこまでばらさないでよ」とか「ぜんぜんちがうじゃない」というものがあったりする。
 このきらきらひかるの表紙裏。書いた人はこのように読んだのかもしれないが、私とは全く違っていてラッキーだった。 ラッキーだったというのは この本は説明書きを読んで「読みたいと思ったから」買ったものではなくて「この作家はどういう作品を書くのだろう」という興味と、ドラマ化されているらしいけど?という興味から買ったものだから。 実際この表紙裏の説明を読むと私は買う気力を失ってしまう類の説明だった。

※ドラマ化は勘違いだったことが検索でわかった。テレビのほうは監察医の話だそうです。
※映画化されているらしい。しかし、この本は映画化は難しそうにおもうのだけれど。

 つまり、予想に反して私はこの本に好感を持ったということだ。

江國 香織の小説で苦手なところ(これは江國 香織ファンがすきなところなのだろうけれど)あからさまに突然に セックスだとかなんだとかが 恥じらいも無く日常生活にぽんぽんと出てくるところだったりする。
 こういう言葉は日常生活をしているうえであまり目にすることがなく、「目にするだろう」という場所で、シチュエーションで出てくることが多い。その無防備な状態でそういうものが ふとしたはずみに さも そこら辺に転がっている小石のようにゴロゴロ出てくるところが「新しい感覚」であり「皆に支持されている」ことのひとつなのではないかと思うのだ。 

 しかし、この本は少し毛色が違っていた。睦月と笑子という主人公をもってきたことで、性的な色合いが薄まって純粋に「愛情」について考えさせる内容になっているとおもう。

表紙裏の説明について「私たちは十日前に結婚した。しかし、私たちの結婚について説明するのはおそろしくやっかいである」をで十分だとおもう。それ以上は書かないでほしかった。
3ページ目からその「やっかい」なことについて少しずつ説明がはじまるわけで、この書き出しは多分作者もそれなりに考えて作ったところだとおもう。そのネタをあっという間にばらされてしまうのは勘弁。
映画館に入って今見ている映画の筋を隣の人が話しているがごとくの気持ちだった。
再度フォント色をかえます。かなりのネタバレなので、今後この本を読みたい。ネタバレは嫌いと思われる方は、読まないで下さい。

友人がやっていた100の質問の中に 

愛と恋の違いは何ですか
恋は性愛であるということ。
というのがあって 「なるほど」と思った。 つまり、睦月と笑子の間柄には性愛はなく 愛があるんだろうとおもう。笑子が睦月に求めているのは性愛ではなくて愛。変わり者の笑子をそのままで受け入れてくれている睦月に対して、笑子がほかのものにかえがたく「好き」な気持ちを抱く。そうしてそれがずっとそのまま続いてほしいと思う気持ち。
愛と恋の差を それぞれの恋人を交えていることで しみじみと考えることのできる作品であると思う。
そう考えてみると、子どもっぽさを感じる笑子のあまりにも非常識ととれる考え(二人の子どもを人工授精)ということもなんとなく理解できるようでもある。 

 睦月と笑子の二人のゆるやかで安心するような関係は紺がいるからこそ続いているものであり、
それを笑子と睦月二人の関係にしてしまうということになると、今度は世俗の悩みに悩まされてしまうかもしれない。それは笑子にとって望ましいことではないと思えたのではないだろうか。

最後は、ハッピーエンドだろうか。 いや、傍からみるとこういう関係はいかにも危うくて微妙なバランスで均衡を保っているようにも見える。 十年後・二十年後もこのままあるというのは御伽噺かもしれない。そんな風に現実世界に生きている人達は感じるのではないだろうか。かすかな毒を感じるところあたりが 江國 香織の持ち味なのだろう。

April 04, 2005

六の宮の姫君

■著者 北村薫
■星 ★★★

六の宮の姫君
北村 薫

東京創元社 1999-06
売り上げランキング : 43,905
おすすめ平均

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■こんな人にオススメ
芥川龍之介が好き、もしくは気になる人。
大学生、もしくは大学を卒業してから間もない文学好きな人。
(落語が好きな人。)

■説明
私は文学部の4年生。卒論に芥川を選んでいる。卒論のためになぞりはじめた芥川だったがいつしか彼の交友関係を考慮しながら、彼が「六の宮の姫君」を書いた背景を推理する事になる。

■感想
ちょっとした失敗。帯についていた「文壇交流の実態を調べるうちに浮かび上がった謎」という語句と、ネットでちらりと見た感想の 円紫師匠 というものと、この本の表紙絵から、ものすごく軽い読み飛ばすような推理物を想像していたのだ。
 ところが、内容はチョット違った。

残念だったのは、私はもう学校を卒業してからずいぶんと時間がたってしまっていて、昔は友だちとどこかのペンションに行ったりもしたのだが、そういう空気をすっかりとわすれてしまっているところ。前半の高岡正子とのかけあいが、世間の荒波にもまれてしまったわが身には「なんて高飛車な物言いだろう」というのが気になって「あ、うん」の呼吸の会話が楽しめない。(学生というものは、世間をしらないからこそ頭でっかちで、じぶんこそが一番だというような考えを持ってしまうのだろうけれども)
 
 また、芥川は、小学校の頃から読み、高校のときの友人に熱烈なファンがいたのだけれど、これも「彼がそのような作品を書いた背景」そのものよりも 「文学作品を物語として楽しむ」というスタンスで私は読んでいたので、沢山の本を例にあげられても 「そうだ」とか「いやちがう。私はこうおもう」という謎解きの楽しみがほとんどかんじられなかったこと。 また、中には未読の作品も多かった事。

後半に出てくる円紫師匠はたしかに素敵な”師匠”だった。私が苦手だった「私」と正子とのかけあいがなくなった後半から比較的読みやすくなってきてどうにか読み終えたのだけれど、残念なのはタブン私はこの本の面白さを半分も味わえてないであろうこと。(後から思うと、二人の話し言葉のやりとりが私の日常とかけはなれすぎていて 生きて頭に入ってこないところがつらかったというのもあるのかも)

 ただ、こういう本を読んでみると、また芥川やら菊池寛やら読んでみたくなる。そういうきっかけになる本だとおもった。

 私は文学部ではなかったので、楽しめなかったのかもしれない。

芸術作品には鑑賞するときに大きく2通りの鑑賞方法があるとおもう。絵画にしても、音楽にしても、
その作者のその曲を作った背景を知りながら鑑賞するという道と、もうひとつは心を空っぽにしてただその表現のみを自分が受け取り、自分なりに鑑賞するというところ。 この本は前者の楽しみ方もあるのだということを教えてくれる本だとおもう。

March 24, 2005

ずぼら

■著者 田辺聖子
■星 ★★★
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ずぼら
田辺 聖子

光文社 1998-10
売り上げランキング : 405,692

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■説明
6篇の物語が入っている。どれも、「男」と「女」の話。

■感想
これも、田辺聖子とはどんな感じ?と沢山買い込んだものの2冊目。ところがどうも、田辺聖子も私にはあまり合わないみたい。 なんといっても 今まで読んだ中に知らず知らずに自分が登場人物と同化していることがないのです。登場人物と共感する部分がないというか。 本を読んで入り込めないつらさ。 

 腐れ縁の男女が多く書かれている中で、一番楽しめたのは「ベッドと家霊」でした。元気の良い女どもに気持ちがついていけていない旦那さん。ずるずると彼女達のペースに引きずられていくその面白さは、その言葉とあいまって あまり見たことがないのですが、「吉本新喜劇ってこんな感じかな」というものでした。
 読み終わってみると、そこそこそういう雰囲気の面白さがあることに気がつきました。 「四人目」にしても、設定がおかしい。 自分の物語として入り込めなくても 「ふーん。おかしな人達」と傍観者として楽しめばよいのかしらと。

 人にしても、最初に「あわないかなあ」という印象を持っても、付き合っているうちにその人の良さやおもしろさがわかってきたり、その人と自分の付き合い方がわかってくるときがあると思います。
本も、最初は「これはダメかも」と思っても、読み進むうちに、その本との付き合い方がわかる。そんなものなのかもしれませんね。  例によって、まだまだ田辺聖子の本が積んどく状態の我が家です。
 

March 10, 2005

落下する夕方

■著者 江國香織
■星 ★★★★

落下する夕方
江國 香織

角川書店 1999-06
売り上げランキング : 27,333
おすすめ平均

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■説明
健吾と梨果は8年も一緒に暮らしていて、梨果は健吾が別れを切り出すとはまったく予想だにしていなかった。ところが、唐突に健吾は出て行ってしまうという。理由はとたずねると「女」だそうだ。そうしてかかってきた電話でたずねると「洟もひっかけてもらえない」と。

■感想
主人公はふられる健吾と8年も一緒にいて、健吾からその申し出を聞くまでその関係が壊れてしまうことを疑いもしていなかった。でも、今でも自分は健吾を大好きなのに、大好きな健吾はあいかわらずやさしいまま自分を嫌いになったのではないと実感できるのに、8年も一緒に暮らした家を離れていってしまうという。

文庫本の裏にはこんなあらすじが書いてあったけれども、これほどまでにあらすじと内容の印象がことなっている物語も珍しいとおもった。

梨果と八年一緒だった健吾が言えを出た。それと入れ替わるように押しかけてきた健吾の新しい恋人・華子と暮らすはめになった梨花は、彼女の不思議な魅力にとりつかれていく。逃げる事も責めることもできない奇妙な三角関係。そして愛しきることも、憎みきることもできないひとたち....。永遠に続く日常を暖かで切ない感性が描いた恋愛小説の新しい波                    

これを読んで、「いまひとつ読む気がしない」と思っていたのだが、予想に反してこの本は面白かった。
(個人的には、「暖かで切ない感性が描いた」という意味不明な形容はいけてないと思う。’感性’とよくつかわれるけれど、’感性’といえばすべてokという風潮は?だなあ)

 自分の気持ちは、昔と変らずに相手に向いているのに、相手も昔と変らず自分と同じ時を過ごしているとばかり思っていたのに、ある日、そうではなかったことを告げられてしまった主人公がとった行動は泣き喚くでもなく、只淡々と日々を過ごしてやりすごすことだった。なによりも、自分はこんなに相手のことが好きなのに、相手は自分を心配してくれているようなのに、手が届きそうなのに届かない、自分を見てくれている目があるのにその目はいつのまにか恋人としての目ではなく、ただの友達としての目となっていた。

 自分に対する愛情そのものは、決して人の目では見えない。それはただ、受け手が相手の言動を通して感じるだけのものだ。だからこそ、確固とそこにあると思っていたものが実際はとうになくなってしまっていたものだと気づいたとき、本当にそれはないものだとすぐに実感するのは難しいだろう。そういう意味で、冒頭は梨果の気もちが、すんなりと私にも理解できる。

 本の説明では「新しい恋人」となっていた華子は、実際は健吾の「恋人」といえるような存在ではない。彼女は出会った人達皆をとりこにしてしまう。不思議に素直で自由な、まるで子どもか動物のような邪気のない自然な存在であり、誰にも束縛されていないようふるまいである。華子は梨果からすると恋敵のはずなのに、梨果さえもその邪気のなさ素直さに惹かれてしまうのだ。
 彼女が転がり込んできたその顛末はあまりにも自然で、梨果の行動には何の不自然さはない。

 華子の不思議な魅力は登場人物を巻き込み、読者を巻き込み、読者は梨果と一緒に、現実感がないけれども不思議に説得力のある展開に流されていってしまう。 
 ラストの出来事。その直前の華子の言動。読者は、そんな風に見えた華子も彼女なりにいろいろなことをもてあましながら生きているということを垣間見る。それが、彼女に現実実を与えていると思う。

 ふとこの本を読みながら思った。きっと江國さんの実体験がここにちりばめられているのだろうと。「現実感のない奇妙なリアリティ」は、人と人との距離をものすごくうまく表現していると思うから。
そう思いながら、あとがきを読むと「梨果と健吾と華子について私に言えるのは、彼らにあったことがあるということだけです」と。 私なりに解釈してやはりそうだったかと思ったのだった。(はっきり書くと、この言葉の選び方は彼女の好きになれないところ。申し訳ない。)

 人の心はそこにあると思っていてもそこにない。 また、昔からそこにあったのに気づかないときもある。
長年生きてくると、相手のことを思い、他人のことを思い、自分のことを思い、その気持ちをこねくり回して 相手の気持ちを思い図って生きる事がいやになる事があるように思う。 そんな時、動物のように子どものように、邪気のないただ素直な人にあってしまい、その素直さにひかれていってしまったのだなあなどと思った。 

2,3あとがきを読んで思ったのは、江國さんの文は決して的確な文章表現ではない。いつもはぐらかされているようなぼやかされているような不満が残る。しかし、そのクリアすぎない描写が、文を鑑賞するというよりも、絵や音楽を鑑賞するような 読み手によってどうとでもとれるようなそこが魅力なのかもしれない。不思議に頭が疲れない本だ。というのが数冊読んだいまのところの私の感想だ。

March 08, 2005

薔薇の雨

■著者 田辺聖子
■星 ★★★

薔薇の雨
田辺 聖子

中央公論社 1992-06
売り上げランキング : 420,926
おすすめ平均

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■説明
中年から初老?の女性が主人公の短編5編が入っている。

■感想
題になっている「薔薇の雨」は最後にある。留禰(るね)という素晴らしくオシャレな名前で16歳年下の恋人がいる主人公は50台 薔薇の雨という名前から私が抱いていたイメージとかなりかけ離れた事に関西弁の主人公である。 田辺聖子を読むのはこの短編集が初めてだとおもう。

 実際は関西弁といっても、地方によって言い回しも違うだろうし、皆が漫才のようなしゃべり方をしているわけではないことは知識としてしっているけれども、関西弁になじみがないので、いまひとつ「関西弁に対する漫才のイメージ」が先行してアンバランスな感じがする。本当はゆったりのんびりとした関西弁特有の持ち味などもありそうなのに、全部がぽんぽんとかわされる漫才の受け答えのように読めてしまうのは私の知識不足が残念だ。特にこの最後の「薔薇の雨」は設定とのギャップが激しく感じられる。おとぎ話のようにロマンチックな設定だけれども、ヒロインは50歳。言葉は関西弁なのだ。
 そうして、どの話でも、主人公は一般にはありえないような恋愛中(なかにはマンネリであったり終止符をうとうとしていたりしているものもある)であるとともに、「おばさんの悲哀」「おばさんのあきらめ」を心のどこかに抱いているように思う。 

 これもちょっと残念なことに、そのあたりがわかるまでにはもう少し私には時間が必要な感じ。

子育てが一段落してふと振り返ると「わかるわぁ」という気持ちになるかもしれない。まったく主人公の気持ちがわからないわけではない。 相手の男性の様子を読むにつれ 知り合いか友だちのように「ふむふむ。なるほど。だから好きなのね」とわかるところが 田辺聖子の手腕なんだとおもう。

解説を読んで、田辺さんが「そやけど大阪弁できれいな恋のお話を書くのは至難の技やねえ。私の苦労もわかってね。」とおっしゃったとの事。
なるほど。 この大阪弁ときれいな恋。この一見ヘンテコにも思える取り合わせがおじさん、おばさんの恋の現実感となって読み手にひしひしと伝わる秘密なのかもしれないと思った。
 
 だって、おじさん、おばさんはもう 「自分は若い頃のようには見た目は美しくない」ということを内心自認している人達とおもうから。その、若くも美しくもない人達が きれいな恋をする。 だから、ここでの大阪弁は必然性があるのかもしれないなあと思った。
 

February 22, 2005

号泣する準備はできていた

■著者 江國香織
■星  ☆

号泣する準備はできていた
江國 香織

新潮社 2003-11-19
売り上げランキング : 21,881
おすすめ平均

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■説明
12編の短編からなる 直木賞受賞作とのこと。

■感想
タバコを吸う高校生が、タバコを吸わない高校生を見て「やつらは子どもだ」と評しているかのような。
そんな印象を受けた。 ファンの方には大変申し訳ないのだけれど、私はどうも彼女の良さがいまのところわからないように思える。でも、1人の作家の本をまとめ買いするクセがあるので、まだまだ手元にある。とりあえず買った分だけは読んでみて「すべてがそうなのか。そうでないのか」見極めたいと思っている。 

 さて、タバコを吸う高校生は果たして大人か? 大人の皆さんにはおわかりだとおもうけれど、タバコを吸うからといって、法律に違反してみたからといって決して大人ではない。大人でも タバコを吸うことに価値を見出さない人もいる。 しかし、タバコを吸う高校生が「やつらは子どもだ」と吸わない高校生を評したり、吸わない人達を自分の尺度で見て「吸うだけの勇気がないんだ」と言ってみたり、わざと健康に悪いことをすることがかっこよいことなんだと考えていたりするような。

 アマゾンの評を見て ああ、うまいこと評しているなと思ったのが、
naonao-703 さんの評だった。


あとがきに「いろんな人たちがいろんな場所で、いろんな記憶を持ち、いろんな顔で、いろんな仕種で、でもたぶんあいも変わらないことを営々としている。」とあるが、いろんな人はこの短編集には見えてこない。
「同じタイプの人がいろんな場所で、同じような価値観の人が・・・」と
私には感じてしまいました。

まさに、と思いクスリと笑ってしまった。

 まだ2冊しか読んだことの無い彼女の本だけれど、どうも良さがわからないのはどうしてだろう。すべての物語が1人の人の頭の中の想像で、しかも自分がヒロインという美化された物語を延々と聞かされ続けているような、もうあなたの頭の中の御伽噺はおなかいっぱいで胸焼けですという感のせいだとおもう。
(もちろん、小説というものはそういうものだけれども、少なくとも私がその話の中に入り込める楽しみというのは、年齢も性別も環境もすべて違っていることをまるで自分のことのように描き出してくれ疑似体験させてくれるその腕にあるように思うのだ。)

 主人公には恋(それとも性欲?)はあっても人に対する愛はない。 そこには胸がくるしくなるほどの恋愛もなければ、なにもない。そこには、思考がなく、空虚な頭だけがあるようだ。ちょっとした、刺激的な文章がちらりちらりとほんの少量振られたコショウのように、気づかない程度にちりばめられいて、こういう口当たりをよくしたエロチシズムが好きな人のための、御伽噺?なのかしらと思った。
 まあ、性欲ばかりで行動している男性が描き出されたものが世に作品としてあるのだからして、性欲を基準に行動する女性をそれとはあまりわからないように美化して描いてもおかしくはないのかもしれない。

あまりにもそういう評だけではよくないかと思い、以下に2つ12編のなかで、「いくつか選べ」といわれたらというものをピックアップしておこう。
 「じゃこじゃこのビスケット」この短編集のなかで比較的まだ受け入れられるものだったとおもう。
今の自分からすると、あまりにもみっともなくて、軽やかでもロマンチックでもなく、ただぎこちない、でも本当はいとおしいのかもしれない少女時代。

「溝」 妻の裏表の使い分けを奇妙なものでもみるような離れた視線で観察し、最後の一ページでどんよりと不気味なまでに得体のしれない妻の存在(結局まったく分かってなかったことを実感する困惑)が印象的。 

※ちりばめられたエロチシズムと書いたけど、それは本当に気づかない程度、胡椒程度にしか振られてないので、それを期待して読むとまったくないです。

February 16, 2005

猛スピードで母は

■著者 長嶋有
■星 ☆☆☆

猛スピードで母は
長嶋 有

文芸春秋 2005-02
売り上げランキング : 2,722


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■説明
芥川賞受賞作の「猛スピードで母は」と文学界新人賞受賞作「サイドカーに犬」2編収録されている。「待望の初文庫化!」の帯にひかれてつい書店で購入したのだけれど、帰宅してみたら先日ハードカバーをbook offで購入していたことに気づく orz 
 ま、それは良いとして、
双方似た感じの話でしたが、私は「サイドカーに犬」の方がなぜか好きでした。

■感想
私が通常本を読んで、「面白かった〜」と感想を述べる本は、大抵本を読んだことにより、「喜び」「悲しみ」「怒り」「恐怖」「楽しみ」「不安」など感情の波を感じさせてくれて、しばし別の人生を体験させてくれるときだと思う。
 この本は題名や、文庫本の裏の紹介を読んで持つイメージとまったく違う内容の本だった。「猛スピードで母は」と聞くとどんな風なイメージを皆もつのだろう。 イケイケおばちゃん?

多少ネタバレ
双方とも、子どもの目から見た自分の境遇を淡々と書いているという印象。子どもは「怒り」も「恐れ」も「よろこび」も特に感じるでもなくただ淡々と環境を受け入れて見ている。 しかし、その境遇は「父がいて・母がいて・典型的な家族で」というのとはチョット違う。
 かたや 「母が家出」し、「見たことのない父の友だちがどやどやと日常生活にはいりこんでくる」という生活。もう方や「シングルの母の力強い生き方」。子どもからみると、大人は強くてしっかりとしているものなのだけれど、ふとしたときに大人が見せる弱さ、感情の気配がうまいと思う。それは大人たちが決して子どもたちには悟られないようにしようとしているものだけれども、何かの弾みにみせてしまったもの。でも、子どもにはやぱり気づかれることはない。子どもからみると只不可解で印象に残るだけ。

全編を通して感じられる、「幸せでも不幸でもない感じ」は妙に現実感がなく読み手を不安にさせる。主人公が子どもであるだけに、気づかないなにかがありそうに思う。でも見えそうで見えない。ちらりと見える大人の感情のカケラはなぜだか少しほっとする。
何かに怒っているわけでもなく、何かにかなしんでいるわけでもなくただ淡々とした話である。
感情をジェットコースターにのったようにゆさゆさ揺さぶられる本と、この本は別の種類の本だとおもう。
それはそれで、恐怖でもなく喜びでも怒りでもなくなんでもないところを ただふわふわとどこに流されていくのかわからない半透明のシャボン玉にのって旅でもしているかのような気分だった。
この「ただ淡々とした夢ともなんともわからない雰囲気」が 私にこの本が与えてくれる「別の人生体験」なのだと読み終わって少ししてから気づいた。

February 04, 2005

神様のボート

■著者 江國香織
■星 ☆☆☆

神様のボート
江國 香織

新潮社 2002-06
売り上げランキング : 19,742

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■説明 
母の葉子と小学生の娘の草子は、二人暮し。引越しを繰り返している。そのわけは母がひとところにいついてしまいたくないという理由。母曰く「昔、私が激しく恋に落ちたあのひと=娘の父がいつか見つけてくれるから」「あのひとのいない場所になじむわけにはいかない」と。

■感想
この本を知ったきっかけが、あまりよいものではなかったので、否定的な思いがこの本を読もうと思うと一緒にどうしても出てきてしまう。でも、彼女は児童文学から出発して数々の賞をとった人気の作家であるから、一度は読んでみたほうが良いのではないかと思っていたところ。(といっても、「草之丞の話」は検索したところ純粋に子供向けの童話なのかどうかとおもうところがある。>実物を読んでないけれど)

 そういう思いをできるだけ切り分けて切り捨てて、できるかぎり公平にこの本を見て感想を書いてみようと思う。


どこからどこまでが、葉子の空想の世界の出来事なのか。どこからどこまでが現実のことなのか。
水に映った像のようにとらえどころのない物語だとおもう。いや、一番現実味をおびているのは葉子を映した草子の言葉だ。草子に映った姿こそが一番現実感を伴っているところが不安定でとらえどころがない印象を増幅しているとおもう。

以下多少ネタバレ

 
 話は、過去の「骨ごと溶けるよう」な恋愛を引きずって生きている現実味のない母と、その母の気まぐれな引越し生活にいやおうなしにひきずられ、それを受け入れながらしっかりと現実を見据えて育っていく娘の物語。母が自分の夢の世界の記憶の中にある美しい思い出の一片として閉じ込めていたと思った娘は、やがて成長し、母の夢の中から巣立っていってしまう。

 読む人によりものすごく感想の異なる物語であると思う。

たとえば、あまりにも現実的な日常に飽き飽きした妻は葉子のようになりたいと思うかもしれない。娘と二人で気の向くままの放浪暮らしであったとしても、彼女の手元には前の夫が使ってくれと残してくれた預金がある。多少のことがあっても、現在はその金は使うことはなくとも路頭に迷うことはない。娘の成績は良いので、成績面で進路に悩むこともなく、娘の芸術的才能を見つけて喜ぶ。わかれた夫は自分に未練をもっていたが、自分から切り捨てて出てきた。なぜなら、自分は「骨ごと溶けるような恋」をしたから。
 行く先々で、彼女は「美人」と言われ、勤め先では必ず男性のファンがつく。実家の父も母も健在。まるで「寅さん」のように、自分勝手で責任のない自由な人生。そうして、本人がこの生活をやめたいと思ったとき、いつでも安穏とした暮らしに戻れるだけの選択肢がいくつかあるのだ。

 学生から社会人になったとき、一時期その窮屈さに息がつまりそうだった。自由に自分の時間割を決めていた学生時代とは違い、毎日決まった時間に出社する必要はあったし、休みだらけの大学生に比べて新入社員の年次休暇はあまりにも少ない。それと似た窮屈さを 子どもを持った主婦は感じていると思う。実際私も、自由だった独身時代や、結婚後息子が生まれるまでの自由な日々が懐かしくなることも多い。もう一度すべてのしがらみから自由になってみたいと思ったりすることもある。

 インモラルという言葉にやわらかくしばられている葉子は、言葉のうえでも微妙な位置をふわふわと漂っている。娘の草子の口から 「パパのつくるシシリアンキスは『倒れそうに甘くて病み付きになる味』だったそうだ。」と、下品にならない程度の想像力をかきたてるような表現で語らせる。まぎれもない日常に、まったく似つかわしくないような少しエロチックな形容を加味してあるところなどが女性に受けるのかもしれないとも思った。草子の口を通して語られる葉子の「あの人」の思い出はまるで映画の中のシーンのようで、現実味がない。それが「あきらかに恋」だということだろう。あからさま過ぎる描写ではなくあくまでもソフトなところが江国さんの文の持ち味だろうと思う。
「後悔したことはないけれど、ほんのときたま、ふいにとても恐ろしくなる。ずいぶん遠くまできてしまったから」などという表現はうまいとうなってしまった。

以下多少ネタバレ

 葉子が狂っているとはどこにも書いていない。しかし、草子は、母の語る父の思い出をそのまま代弁しながら最後に「でもあたしはほんとは知っている。ママはパパと旅にでたことなんて一度もないって」と語らせることで事足りているとおもう。

 さて、読み終わってここまで書いてやっぱりこれは童話なのかもしれないと思った。
良い童話といわれているものは昔ばなしのように勧善懲悪がはっきりしているものではなく、日常と非日常の境目あたりをふわふわとただよっているような、ありそうでなさそうな話も多い。そうして主役は読み手によって変わる。

 いつまでも、子どものように自分の足で立って歩くことを嫌う甘ったれの母親。現実を見ようとしない母親を持つ大人びた娘の自立の物語として捕らえることもできるだろうし、一目垣間見た王子を待ち続けながら暮らしている夢見がちな大人の女の物語としても捕らえられるだろう。

葉子として読むか草子として読むか。はたまた男性が読んだらどうだろう。夢物語のように自分を語る女の頭の中では自分は神格化され、それほどまでに恋焦がれられてみたいと思うかもしれない。
はたまた、あまりの執着に恐ろしさを感じるかもしれない。

ハッピーエンドとして捉えることもできるし、そのハッピーエンドはもしかしたら彼女の頭の中だけのものだったとしてもとらえられる。(つまり悲劇?としても)

 覗く人によって違う印象を持つようなそういう本。ある人はすっきりと澄みわたった水と見るけれど、別の人がみればどよどよとよどんだ水のようにも見えるかのような、決して気持ちよいだけものではない不思議な後味の話である。

February 03, 2005

凍える牙

■著者 乃南アサ
■星 ☆☆☆☆

凍える牙
乃南 アサ

新潮社 2000-01
売り上げランキング : 35,174
おすすめ平均

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■説明
深夜のファミリーレストランに、普通のサラリーマンに見えない男が入ってきた。瓶ビールをトレイにのせて「お待たせしました」といおうとしたとき、突然男が炎上する。直木賞受賞作。

■感想
読み始めて当分は、リアリティのある描写が特徴的だった。主人公の音道貴子が登場するあたり、芳香剤、引っ越して以来手をつけてない段ボール。ひとつひとつ読み進めながら「あるある」と音道貴子に同化していく。途中まではいままで読んだありがちな推理モノのような感覚で読み進めていたのだ。
 身の回りのものに対する感覚の同化は意識していたのだが、物語も中盤、後半になるにつれ、彼女自身に少しずつ自分が同化していき、一気に読み終えてしまった。
 
まずは男社会に入った女性。この感覚、たぶん同じように男性と同じ仕事をしていた人は感じたことがあるだろうと思う。なにごとも「女だから」ということで最初に差別される社会。 わかりすぎている。どうしてこんなことがわかるんだろうと、裏表紙を見直してみたら乃南アサさんはどうやら勤めの経験をお持ちのようだ。なるほど。

以下ネタバレ
誰にたよることもなく一人で生きていくことを一度でも覚悟したことがある人ならば貴子の孤独な思いはきっとわかるだろう。そうして、中盤以降の疾風の姿と彼女の生き方のオーバーラップが素晴らしい。生き生きと野をかける疾風の姿は、いかにも私がこの目でみていたかのように記憶に残っている。 貴子が疾風に惹かれる思い。理由はくどくどと書かれていないけれども、貴子に同化して読んでいる読者にはごく自然に受け入れられる出来事だと思う。
私も、貴子と同じ時間を過ごし、疾風に惹かれたひとりである。私も疾風にあってみたかった。

本気でがんばっている女性に。ぜひオススメの一冊。


January 22, 2005

黒革の手帖

■著者 松本清張
■星 ☆☆☆☆

黒革の手帖 (上巻)
松本 清張

新潮社 1983-01
売り上げランキング 4,236
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■説明
米倉涼子が主演したらしいテレビドラマの原作。(ドラマは未見)。
銀座のクラブに入った新人ホステスはどうも素人っぽくて垢抜けない。客の画家Aが尋ねたところ、ママは、「幼馴染が突然尋ねてきて、今度店を出したいから見習いに使ってほしいとのことで雇っている」のだとのこと。その新人ホステスは、原口元子。長年まじめに銀行に勤めあげてきたベテラン行員という信頼も厚いが、周囲からは今でいう「お局(つぼね)」と呼ばれるような状態であった。

■感想
久々の松本清張。上下巻の長編だが、すんなりと読めてしまうところなど「うまいなあ」と思いながら読んだ。たとえば、預金や総会屋などさまざまな知識が必要な場も「知らない人がわるいのよ」と読み手に苦痛を強いることなく、さりげなくその内容がわかるように心が砕いてある。

興味を持ったのは、ちょうどこれを放映していたころに、テレビ局のロビーで米倉涼子の看板を見たから。 「松本清張原作」とあり 興味をひいたところに 「黒革の手帖」。
 「黒革の手帖」とはなんて想像力をかきたてる題名であろうか。ただの手帳ではなく 黒革なのだ。誰が持っているものなのか。その手帖の中に書かれているものは何なのだろう。どういう秘密が隠されているのだろう。と題名を聞いただけで想像力をかきたてられる。 

 読み終わってみて、まさにテレビドラマにうってつけ。ドラマの方も見てみたかったような気もする。

ここ以降は、ネタバレ
結末に驚いた。そうして、私は元子がかわいそうになった。たしかにえげつないことをたくさんした。「そりゃやりすぎだよ 元子さん。」と心で思いながら読んだことも多かった。勧善懲悪。悪いことをすると必ずその報いは自分に戻ってくるという物語?。
 そうだとしても、元子がちょっと気の毒になる。そこまでしっぺ返しされるほどのことだったのか?ちょっとひどすぎやしないか。それとも、簡単に悪を目指そうとしたのがいけなかったのか。上には上がいるということか?。それは、悪を目指し多少うまくいっていると思っても、世にはもっともっと筋金入りの悪がいるものなのだということなのか。

 それにしても、最後の最後。よりにもよって。たしかに、後半なぜそこまで焦るとおもうような彼女だったのだが、最後の最後彼女は運が悪すぎるとしか言いようがない。

この本。その最後の1ページを読むまではホラーだとは思っていなかったのですが、ホラーだったのかもしれません

テレビドラマの方はDVD化されているようです。(1)(2)巻があるようでした。
結末は小説とはまた違う結末だそうです。

黒革の手帖(1)
米倉涼子

アミューズソフトエンタテインメント 2005-02-25
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DVDBOXも出ているようです。
黒革の手帖 DVD-BOX
米倉涼子

アミューズソフトエンタテインメント 2005-02-25
売り上げランキング 1,397
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テレビ局のサイトはこちら
http://www.tv-asahi.co.jp/kurokawa/
 ストーリーをさらっとみてみたら、ほぼ別の話のようでもありますね。米倉さんを見るならテレビ。でも清張はおどろおどろしくてドラマをご覧になった方も読まれて損はないと思います。

   

December 28, 2004

火垂の墓

■作者 野坂昭如
■星 ☆☆☆☆

アメリカひじき・火垂るの墓
野坂 昭如

新潮社
1972-01
売り上げランキング 64,557
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■説明
昭和43年台58回直木賞を受賞した作品の「アメリカひじき」「火垂の墓」を含む短編集。
戦後の彼の実体験をもとにしたものであるとのこと。 火垂の墓は、スタジオジブリの映画で有名になった。

■感想
先日火垂の墓を見直して感想を書いたところ、友人が原作を読むことを勧めてくれて読んでみることにした。まず、感想は、高畑さんの映画を悪いと言っているのではないのだが、「戦争の映画」ではないんだなと思った。(あの映画に出てくる戦争の映像はほんの少しだ。見終わった後に戦争の映像もたしかに残るが、それ以上に大量に表現されている自然の美しさや兄弟のかわいさ、はかなさ、綺麗な映像がそれを打ち消す効果があるように思う。主題は戦争ではなく、多分美しい映像表現にこだわって製作されたであろうと思う。)

 美しく、悲しい物語も感動を呼ぶのですが、私はやはりこの本を読むことを勧めてもらってよかったと
思った。この本の中には、戦争の現実が詰まっている。それが淡々と、涙を誘うでもなく主人公は当事者でありながらどこかさめた目で自分を見つめているかのような文でつづられている。
 その虚無感というかそういうものが伝わってくると同時に その生活の「ただ悲しいだけでなく」受け入れざるを得なかった、そうせざるをえなかった事情というものもすんなりと入ってくるものがあった。

 私も戦争を知らない世代だが、ぜひ、これからの人々に読んでおいてほしい本だと思った。

私は「火垂の墓」も心に残りましたが、同じく収録されている「焼土層」も心に残った。

October 23, 2004

ねじまき鳥 クロニクル

■著者 村上春樹
■星 ☆☆☆☆
ねじまき鳥クロニクル (第1部)新潮文庫
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■感想
先日出たばかりのアフター・ダークを海外の電車の中でたくさんの日本人がむさぼり読んでいるという記述をblogめぐりでみつけた。
 彼の本を村上朝日堂1冊しか読んだことがない私にとって村上春樹とは、村上朝日堂なわけで、私と感覚的に共通するところの多い現実感のある人という印象だったわけだが、この本を読んでみて その外国の電車の中で会う日本人会う日本人がみなアフター・ダークを読んでいるというその光景のあまりのシュールさが、この本にピッタリなのだった。 
 
 そう。もともと、この本は私にとって「これは読まない本だ」と思う本だった。 題名が「ねじまき鳥 クロニクル」だから。
大人の童話には興味がなかった。 なぜうちにこの本があるかというと話は長くなる。 もともと興味がないはずなのに、なぜか私は「読んでみたい」と言ってしまい、保育園の役員だったというつながりだけでほとんど個人的な会話もしたことのないある人からもらった本だったのだ。 この不思議な因縁?もこの本に必然としてあった出来事のようにさえ思える。 彼女については、夕闇の中保育園に迎えにいった娘さんと二人で帰っていく姿を思い出すくらい、後はまるでこの本の中で主人公に関わってくる人のように、単に、伝言を伝えていただいたり、その程度のことしか知らないのだった。
 そもそもそれも、彼女の子どもさんが卒園した数年前の記憶だ。それ以来彼女には会っていない。そうして、本をもらって何年もして、彼女の顔さえ思い出せず、夕闇に歩く彼女と娘さんの姿しか思い出せない頃になって、ふと私はこの本を手にとることになったのだ。

 さて、本を開いてみた。童話ではなかった。「ねじまき鳥」は実際は「ねじまき鳥」ではなかった。まずはそれに驚きながら読み進めるのだが、この本は静かで深い孤独に満ちている。現実とも夢ともつかない白昼夢のような長い物語が繰り広げられるわけだけれども、主人公は淡々と、まるで、今日見た夢を誰かにかたるがごとくにどこか自分をさえも離れた場所で見守っているかのようである。
 自分を取り巻く人々との奇妙なズレを感じながら、どうみても現実とは思えない不思議な出来事をそのまま淡々と受け入れて物語が進むのである。
 
 主人公は主夫をしている。熱烈な恋愛結婚をした末の結婚も、今では他人との生活のように心の交流がない。静かで孤独な世界だ。
 そうして、どこか現実感のない白昼夢のような世界が勝手に自分の周りに繰り広げられていく。自分だけが取り残されているのか、自分だけが現実なのか...。

October 05, 2004

兎の目

■著者 灰谷 健次郎
■星 ★★★★
兎の眼角川文庫
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■説明
新卒のお嬢様先生小谷先生が受け持った一年生のクラスには、口をきかずほとんど意志の疎通が確認できないような鉄蔵という変り種の子どもたちがいた。 自分なりに「先生」のあるべき姿を模索していく小谷先生と子どもたちの成長のものがたり

■感想
昭和初期だろうと思う。この本を読むと、今の世が豊かになってきたことを痛感せずにはいられない。
物があふれ、いくらでも豊かな教育を享受しているはずの今の子どもたち。
 たしかに、自由になるお金、一人当たりに使われているお金は多いだろうけれども、果たしてそれが本当に「豊か」と呼べるのだろうかと考えた。
 子どもらひとりひとりの成長をきちんと見守ってくれている先生がその時代に本当に何人もいたかどうかはわからないし、今の時代にも実のある先生方もいらっしゃるとはおもうけれども、この今の義務教育の中途半端さは何なんだろうなあと思った。

 本来は、彼女と子どもたちの関わりに感動するべき話なのかもしれないが、私はまた別のところが気になった。
(少しネタばれなので、色を変えます)

鉄蔵をそだてているおじいさんのドラマだ。これを欠かしてはこの話はなりたたない。
 一流大学まで出た彼が、ごみ処理の仕事をして孫を養わなければいけない。そうして、彼は淡々とその運命を受け入れて生活しているというところ。
 
 今の「良い学校に入るため」の教育をみながら「こんなことでよいのか」と思っている私なのに、「大学を出る=それなりの仕事がある」という因果関係を知らず知らずのうちに頭の中でつくってしまっていたことにも驚いた。昭和から平成の今まで、あっという間に日本はどんどんと発展してしまった。
 豊かな日本しか知らない人たちが大半になった。  人間ぬるま湯につかってなにも考えないようになってしまっては、これからの発展は見込めない。 苦しいとき、そこから抜け出したいといろいろ考えるから大きな発展があったのではないだろうか。 豊かさボケをしている私には目を覚まされる本であったことはたしかだった。
 
 
 

September 20, 2004

たそがれ清兵衛

■著者 藤沢周平
■発行 新潮文庫
■星  ☆☆☆☆
たそがれ清兵衛新潮文庫
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■説明
たそがれ清兵衛をはじめに、8人の下級武士の物語集。
映画は たそがれ清兵衛・祝い人助八・(もうひとつは失念) などをもとに別の物語としてつくられたものだとよくわかった。

■感想
周辺環境を淡々と説明文のように書くところから始まる文はとっつきにくいのだが、読み進むうちにその冷静さが静けさとなってすっきりとした味わいになるような文だと思った。
 藤沢周平の本は今まであまり読んだことがなかった。
短編集のこの本は、通勤などでも読みやすいと思う。

このたそがれ清兵衛は、いうなれば NHKの プロジェクトX の感動と似ていると思える。
下級武士を襲ういろいろな軋轢は、現代のサラリーマン社会に良く似ている。
そうして、最初から表舞台にたっているわけではない普通の人である主人公が実は秘められた特技を持っていてそれで、何かをなしとげる。しかし、それで天下をとるような大きなことは起こらない。淡々とした物語が8つ。

 サラリーマン社会に住んでいる人たちからは、共感する部分が多いのではないかと読み進んだ。
そう。サラリーマン生活が長かった私も、すっきりと読み終えることができた本。

話は、少しそれるが、実家近辺では「ほいとう(ほいと)」という言葉が昔聞かれたのだが、方言だと思っていた。祝い人と書くということと方言ではないというのは初めて知った。※広辞苑を引くと陪堂
 方言には、時々昔の言葉が残っていておもいしろいものだ。

August 10, 2004

中島らものさらに明るい悩み相談室

■著者 中島らも
■星 ☆☆☆☆
中島らものさらに明るい悩み...朝日文芸文庫

■説明 
朝日新聞に連載された 明るい悩み相談室の文庫本化3冊目である。
本当にこんなことで悩んでいる人がいるのだろうか?という面白い悩み満載。それに答えている中島らもも力の抜け具合が絶妙で、妙にほんわかとしてしまう。

■感想
連載当時から、こんな悩みを送ってくる人がいるのかと思っていたのだが、全て投稿の悩みだそうで、世の中には面白い人が沢山いるのだなあと妙なところで感動してしまう。
 
 一番気に入ったのがこんな相談
「夫は読んでいる本にすぐ感化されます。ー略ー 最近では、話の内容で今どんな本を読んでいるのかわかってしまいます。私は本当の夫自身の気持ちと話しがしたいと思います。無理でしょうか」
中島さんは、
「昔見た洋画の中に書かれていた年配の男性は、非常なインテリで古今東西の金言や名言を全部記憶しています。状況に応じてその金言を披露しては人をケムに巻くといういわば「歩くアフォリズム」みたいな人なのです。 −略ー インテリのくだらなさを痛烈に皮肉ったギャグですが、たとえばこのおじさんから本の知識みたいなものを全部取り去ってしまったら、いったい何が残るのでしょうか。たとえ本からの知識であってもそれはその人の血肉なのです。そうしたものをぬきにして「本当の夫自身」というのはありえないのだと思います」

 もう一つのお気に入りは

「朝の通勤電車の中で男の人同士のけんかがはじまりました。つり革につかまったうしろの人の肘が前の男性の頭に何度も触れたのです。前の男性は「こんな満員のときはつり革なんかにつかまらなくても人の動きに身をまかせといたらええねん」するともう一方は「おまえはそんな生きかたしかできんのか」と言い返しました。 どちらが正しい生きかたでしょうか。一年もたった今でもついかんがえてしまいます」

 これについては、らもさんの回答は書きませんが、「ふふふふふ」と含み笑いをしてしまうようなお返事が、らもさんからあったのでした。

 こういう本。私は結構好きです。

August 04, 2004

ロバに耳打ち

■著者 中島らも
■発行 双葉社
ロバに耳打ち
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■説明
2001年3月から2002年6月まで「CINTAI」近畿版に連載されたもの。随想。
らもさんの肩の力の抜けた、リラックスした語り口が緊張を解きほぐすようにおもう。

■感想
 中島らもさんは、朝日新聞の明るい悩み相談室で「なんだか面白い人だなあ」とおもってはいたものの、テレビで顔写真を見る程度で、本となったものを読んだことがなかった。
 読んでみると、この題名の通り、独特のユーモアを感じ、それも、「他人に挑戦する」ようなものではなく、あくまでも自分の世界を淡々と語るような そういう語りに魅力を感じた。

 なかなかこういう肩の力の抜けた自然な文というのは書くのが難しいと思う。これが彼の魅力なのだろうかと思い、次の本を読んでみようと思っているところだ。

中に「一升酒を飲む」というのがある。


昨日、酒を一升のんでしまった。ぶ厚いイカの一夜干しが手に入ったのだが、こいつがぐいぐいおれの手を引っ張る。十本の手で引っ張るのである。「お酒がほしいよう。お酒がほしいよう」イカがそう言っておれの左腕を引っ張るのだ。

こういう文。なかなか書こうとおもっても書けるものではない。

かとおもえば、別のエッセイでは


家というものは、内包するものが肝心なのであって、ただでかいだけではつまらない

なんてドキリとするほど穿ったことをさらりとかいてのけたりする。

気楽に読めるけれども、くすっとわらったり、なるほどとうなずいたり、ゆるゆるとのんびりとした「らも時間」の中でリラックスすることができる時間が送れることうけあいだ。
 通勤時など、本を読む気がしないときなどにもおすすめだ。

このエッセイ集の中にも、よく転ぶということが書かれていた。らもさんのご冥福をお祈りします。

July 06, 2004

愛のまわりに

■著者 瀬戸内 寂聴
■星 ★★
愛のまわりに集英社文庫
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■説明
瀬戸内 寂聴 さんの人生論ということで、45話の彼女の考えが述べられているもの。

■感想
瀬戸内 寂聴さんにはほとんど興味を持っていなかったのだが、美容院へ行った折、月刊誌で対談(往復書簡だったかも)をされているのを見かけて、静かに展開される論が気に入ったので興味を持ったのがこの本を買うきっかけだった。
 ところが、この本は私にとっては、どうも相性がわるかった。 本屋で目次をみたり立ち読みをしたらまず買わないだろうという本だった。コレばっかりはネットで購入したことがアダになったように思う。

 なぜかというと、この手の悩みを私は持っていなくて、読んでいてもまったくこころに響かない。
それにもし、悩むようなことがあっても、多分私は私で解決しようと思うタイプなので、ほとんどヘエーという感じだし、中でいくつかケーススタディのようなものが出てくるのだが、そのケーススタディがあまりにも お昼のドラマ(といっても見たことないのですが)のようで現実味がない(それとも経験がないからわからない?)という感じだった。

 でも、これが愛に悩んでいる人だったら私のように★★ではなくて大きな道しるべになるのかもしれません。

ひとつ、まさに、そうだろうな。。と思うことがあった。
===本より===
(夫が)「この前、ひさしぶりで帰ってきて、”合服をだしてくれ”っていうんです。一着だけ出すと、すぐお茶も呑まないで出ていこうとするので、”そんなに意地をはらないでいいじゃないの。まあ、ビールでもお呑みなさいよ”っていったのに、ふりむきもしないで出ていってしまったんです」
この人はほんとに美しくて聡明そうにみえるけれど、男の気持ちが全くわかっていない人だと思いました。
(中略)
「そんなに意地をはらないで」という一言が余計です。
=========
「私は男の気持ちがわかる」とは思っていないけれど、まさに、その通り。と思ってしまった。
私がその旦那の立場だったとしても、そのひとことで「コイツはこういうヤツだよな」とウンザリして知らん振りするかもしれない。そんな風な人生相談が沢山のっています。

June 20, 2004

レベル7

■著者 宮部みゆき
■星 ★★★★
レベル7新潮文庫
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■説明
物語は都市をみおろす男の描写からはじまる。
男はもうひとり若い男と会う。「尾行は大丈夫ですか?」「降りるならいまのうちだ」などとなにやら不穏な打ち合わせのようだ。
 そうして、突然場面が替わり、男が目を覚ます..... が、自分の様子がおかしい。どうしてだ。なぜだ。と話しは展開していく。

■感想
なんとなくお気づきだと思いますが、私は映画にしろ本にしろ、なんとなく面白いと思うとその作者や俳優、女優を中心に次に読んだり見たりするものを決めることが多いのです。
 この本も、宮部みゆきだからこそ 宮部みゆきの本を何冊かよんだことがあるからこそ味わえる楽しみがあるような気がします。

 まず、本を読み始めて数ページで 読者は「私が読んでいるこの物語のジャンルは何だろう」と思い始めると思います。はじまって数ページで まったく場面が変わってしまい、読者のなかには戸惑う人もあるかもしれません。 

題名のレベル7とは、果たして何のことなのだろう。 最初から読み終わるまで、まるで鏡の迷路にでも迷い込んだかのように、登場人物と一緒に出口を探す旅にでるかのようです。

さて、この本。そういう楽しい本なのですが、全体的に流れている「自分探し」のテーマは心に響きました。以下内容を引用しますので、 文字色を変えます。内容に触れられていても構わないと思う方はマウスで反転してご覧下さい。


====
(だけどそのひと、みさおちゃんの友達なんだろ?)
(あたしが勝手に友達だと思ってるだけかもしれないもの)
(バカだなあ。なんでそんなふうに考えるの?みさおちゃんが友達だと思っているなら、相手だってそうだよ。友達って、そういうものだよ。今日からあなたと私は友達よ、なんて宣言してからなるもんじゃないよ)
====
このあたりは みさおの過去の経験からそういう考え方がみについているわけですが、
 実際に、友達ってなんだろうと考えたときに、これほど危うくて定義のしようがないものはないようにも思えます。その不安定な感じ。つきつめればつきつめるほどわからない感じ。
 そういう感覚ってわかるなあ。などと思いながらよみました。

 他にも物語のクライマックスというあたりに 「ああ」と思う台詞があるのですが、これを書いちゃオシマイだと思うので。。。
とにかく、軽くサクサク読める本ですが、満足度が高い本だと思います。

June 14, 2004

クロスファイア

■著者 宮部みゆき
■発行 光文社文庫
■星  ★★★
クロスファイア(上)光文社文庫
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■説明
念じることで、思う場所に発火させることができる「パイロキネシス」という能力を持つ主人公青木淳子は、今まで警察で裁けなかった犯罪者たちに人知れず制裁を加えてきていた。
 この能力の暴走をを抑えるために、時々熱量を放射させるひつようがあるのだが、放射させようとしたときに、たまたま犯罪現場に居合わせてしまう。

■感想
主人公は女性であるけれども、ハードボイルドなイメージをもつようなストーリーで、宮部みゆきの今まで読んだ本とは多少異質な感じがする。
 展開も、どちらかというと、中学生くらいから一生懸命に読みそうな雰囲気の「エスパー能力あり」「恋愛あり」というようなもの。
 どうやら、連載されていたものらしい。上下巻に分かれている長編小説だ。

  他のものに比べて、若年層向けという感と連載という感じで、内容は重苦しいが、軽い仕上がりになっているようだ。
皆が皆そうかどうかはわからないが、子供の頃に「超能力」などにはまった時期があった、その頃に読み漁りそうな本だなあ。という印象が強い。

以下ネタバレ

結末は、悲しい。しかし、勧善懲悪だとはいえ 犯罪者は生き延びてはならないという著者の結論なのだろう。


June 04, 2004

龍は眠る

著者 宮部みゆき
 ★★★★
竜は眠る新潮文庫
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内容
 雑誌アローの記者 高坂は、嵐の中自転車がパンクして立ち往生している少年を見つける。
彼を車に乗せて走っている最中に、子どもの行方不明事件に関わることになる。
 
感想
一転二転するストーリー。登場人物一人一人の人物描写がうまく、一気に読み終わった。
犯人について、動機については後半「なんとなく、そうかなあ」とわかり始めるが、この本は推理を楽しむものというよりも、話全体の流れを楽しむことができる本だと思う。

以下大幅ネタバレ

超能力を持ち、他人の思考が読めてしまう、その主人公の苦しみの感覚というのを丁度、最近起こった事件について、ネットの難しさを考えている最中であったため、ああ、なるほどと感じるような気がした。

 通常私たちが暮らしている場合、相手の思考が相手がしゃべりもしないのに 勝手に自分の耳に入ってくることはない。また、見ず知らずの人の考えを偶然見聞きすることもない。
しかし、ネットの世界は、見知らぬ他人の考えを通りすがりに見てしまうこともあるし、それは、まったく前触れもなく自分の目の中に入ってくることも多い。それについて自分が義憤を感じたり、同情したり、嫌悪感を感じたり種々の感情を抱いてしまうことがある。

 超能力を持つ一人の少年は、超能力で知りえた内容に肩入れすることを避けて生きてきた。もう一人の少年は、関わらないほうが良いといわれてもどうしても自分が正しいと思う行動をとり、関わってしまう。

 ネットと似ていると思うことで、より一層少年達の苦しみや葛藤というものを身近に感じることができたように思う。

 なによりも、この本の結末が希望をもてるものであることが今の私には好ましいと思えた。

 

March 18, 2004

コドモ界の人

著者 石坂 啓
 ★★★
コドモ界の人朝日文庫
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説明
石坂さんが、実際に自分の子育てについて書いたエッセイ

感想
育児の楽しさが伝わってくる楽しい本です。
石坂さんのほんわかと楽しい肩肘張らない育児に ココロなごむこと請け合い。
母親は最近メディアでも「ああしてはいけない、こうしてはいけない」などと叩かれることが多くて
「どうすればよいのでしょう」と 途方にくれてる方に特にオススメです。

石坂さんはそういう「模範的?」な母からは少し違っていて、自分の都合で子供を叱ってしまったりというようなこともあるわけですが、子供に対する愛情が溢れていて、育児って楽しいもんなんだなあ。自然体でいいんだなあ。ときっと思えるでしょう。

2歳から4歳までの子供を持つお母さんに特にオススメですが、子供さんが大きくなられた方も、独身の方でも楽しめる内容の本だと思います。

まんぷく劇場

著者室井滋
 ★★★
 まんぷく劇場文春文庫
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説明
後書きをよんでから知ったのですが、クレアという雑誌の「死ぬ前にもう一度見たい!100の映画」という記事から 映画エッセイにつながり、それを単行本にまとめたものだということだ。

感想
 この本、最初の2,3編を読んだときに、「室井さんには申し訳ないが、あまり面白くないなあ。読み終わったらブックオフに持っていくかあ〜」と思っていた。
ところが中盤から後半になるにしたがって、映画について書かれた度合いが増えたり、私が見たことのある映画について書かれていたり、また、室井さんの人柄があらわれていたりして楽しく読み終わり、巻末の映画データをみたあたりから 売ろうか売るまいか悩んでいるのである。

 アマゾンでは皆さん4つ☆だけど、う〜ん。私としては☆は3つかなあ。。。ごめん室井さん。
 本職でないのにここまでエッセイが書けるのはすごいとおもうけど。。

アナザヘヴン

著者 飯田 譲治 , 梓 河人
 ★★★★
アナザヘヴン〈上〉角川ホラー文庫
アナザヘヴン〈下〉角川ホラー文庫
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内容
 最初からまったくのSFで始まる。キーワードは「悪意」。その悪意を求めているものは自分の住処?をさがしているらしい「できることならば、もっとも平和そうな所の、もっとも平和そうな巣が望ましい。自分の与えられた才能を抑えこみ、自分を善良なる者と信じている愚かな者の住処」を探しているようだ。
そうして、残虐な事件がさっさとはじまってしまう。容疑者はどうやら女らしい。

感想
一気に上下巻読み終わってしまった。最初は説明会に行ったときの待ち時間に読むのに丁度良いかと、軽いものを選択したつもりだったのだが、飯田譲治のほかの本を読んだときのように止まらなくなってしまったのだった。
陰惨で、いかにも現実にありそうだったりすると気分がわるくなるのだが、まったく自分の予想を超えていた物語だと現実味がなく さっさと描写を素通りできるという感じだ。
この本は私にとっては後者であった。

 この本はナイトヘッドの飯田譲治と新たに梓河人の共著となっている。
解説から知ったことだが、テレビドラマ 「沙粧妙子 最後の事件」や「リング」を映像化した際の脚本も飯田氏ということ。

■意識していない悪意

少女時代にカトリック系の学校に通っていた私の母は、聖書からの引用をしたり、賛美歌などを歌うことも多かったので、キリスト教を信じているわけではなかったのだが、私には中途半端にキリスト教は身近なものだった。有名なフレーズ「人はみな罪びとである」というのも小さな頃から聞いていた言葉だとおもう。
意味を問うと、母も少女時代の知識だと思うが、たとえば生きていくために生き物を消費しなければならないこと自体、他の生き物の生命で生かされている。人間はそういう生き物であるということなどを話してくれた。

そのときは、子供だったので、それで納得したわけであるが、今になってその罪を考えると、かなり難しいと今更ながらに思う。
 たとえば、動物を口にせず植物だけを口にするベジタリアンという人達がいるが、植物もまた生き物である。生命を食べてそれを栄養にして生きているということ、他の生き物によって生かされているということには動物を食べることと変わりがないことだと私には思える。本当に生物を食べることが罪なのか、どこからどこまでが罪なのか。

 ここからはベジタリアンの理念がきちんと分かっていないので仮説になるけれども、もし、ベジタリアンが「動物を食べることは悪」という理由で菜食を選んでいるのであれば、動物の命と植物の命の差(重み付け)はどう決めているのだろうか。
 動物の中にも、肉食動物と草食動物がいるのだが、では草食動物は善で肉食動物は悪なのか。
命を永らえるためにではなく、単なる欲望(たとえば毛皮とか美食とか)のためだけに動物の命をとることを悪としているのであれば、食べるわけでなく、狩猟本能のおもむくままに小動物をいたぶるネコは悪なのか。

 反対に、動物だって動物を食べるし、戯れに生命を奪っている。だから人間は善なのか。

こういうことは、考えても考えても答えが出ないものであろうと私は思う。

たとえば、あなたが嫌いな人の嫌いな理由をいくつか思い浮かべてみる。沢山あげればあげるほど、掘り下げれば掘り下げるほど、自分とその人の差がなくなってくるように、自分もそういう面を持っているような気にならないだろうか。そうして、その差が明確に定義できないことに気づくことがないだろうか。
 (とにかく自分が善で相手だけが絶対の悪だと定義できる人は 失礼だがかなりのエゴかもしれない)

多少ネタバレがあるので隠してみよう


この物語の冒頭から出てくる悪意にひきつけられるものが最初にとりついたのが思いもよらない人だった
それが語った彼女の内面は
「-略-世間から自分がどのくらいいい子に見えるかってことが一番大事だった。それがあの女の価値のすべて。-略-」

そんな風に、人間の矛盾を次々に「おまえだって悪いだろう」「悪意をもっているだろう」と さまようという設定。

最後まで一気に読んでしまったのは、このテーマについてどう決着をつけるかというところへの興味がそうさせたのだろうか。
 
 読後感は悪くない。こういうテーマについて希望がなく打ちひしがれる結末の本は苦手だ。
ナイトヘッドもそうだったが、嫌な気持ちにならずに読み終えられるこの本を私は面白かったと思う。

 細かい設定をつくと、矛盾や突っ込み不足もあるのはあるだろうが、そういうことを全部抜きにして、この本の最後への結びは私にとって好ましかった。
漫画やテレビドラマの類だと思って軽く読んで欲しいと思う。 

以下は激しいネタバレ結末に関わる部分が書いてあります



とはいっても、昔から哲学者やそのほかの人々がそれなりの唯一無二の結論にたどりついていないように、この物語にもきちんとした悪意に関する決着はない。この結末を「甘い」と見る人も多かろうとは思う。

続編もあるようなので、それも読んでみようかと思っている。果たしてどうかな。

そうそう。この本の中に出てくる映画「ブレードランナー」は私が大好きな映画だったので、そういう面でもとても楽しめた。この映画のテーマは 「レプリカント」という人造人間の人格や命についてだととらえるとかなりこの本のテーマと近いところにあるように思う。
 悪意を求める物体の超人間的な能力も レプリカントを思い出す。

January 19, 2004

仄暗い水の底から

監督【著者】 鈴木光司
出版社 角川ホラー文庫
★★★★
仄暗い水の底から 角川ホラー文庫
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説明
あの「リング」の鈴木光司の本です。「現代の怪談」といえそうなホラー短編集です。

感想
人物の感情描写がうまく、つい引き込まれてしまいます。中の描写にはやはり気持ちの悪いものも多く、苦手な人は読めないかもしれません。(実は私も昨日電車の中で読んでいて電車酔いして気持ち悪くなってしまいました)
 しかし、気持ち悪い話ですが、最後まで読むと読んでよかったと思いました。
プロローグからエピローグまでで全体の話が完結します。
以下ネタバレ


父親が子供にあてた手紙があります。「たとえ出口なしとわかっても、ばくぜんとした出口を求め、進まなければならないときがある」という文章がありました。この言葉を「まさに」と感動しながら読む私はやはり とにかくもがきたい。もがいて現状を変えたいタイプなのだなと自覚しました。

チーズはどこへ消えた

監督【著者】 スペンサー・ジョンソン
-(なし)
 チーズはどこへ消えた?
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説明
いちやく有名になったあの本

感想
あまりにも当然のことを寓話のようにかいているところがこの本をつまらないと思った理由かもしれません。

楊貴妃の亡霊―赤かぶ検事奮戦記

監督【著者】 和久 峻三
出版社 講談社文庫


楊貴妃の亡霊―赤かぶ検事奮...講談社文庫
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説明
 人気の「赤かぶ検事」シリーズということでした。1冊の文庫本の中に別々の3つの事件が入っています。楊貴妃というのは本当の楊貴妃ではなく、山口県下関市の薬の老舗の社長のお妾さんのことでした。このお妾さんが楊貴妃の墓とよばれている墓の横で首をつって死んでしまいます。

感想
訛りがはげしい「赤かぶ」検事と(名古屋のなまりだそうで、赤かぶ検事は転勤で山口にきたそうです。あとがきから)笛吹洞一警部補 対する 妙泉弁護人 の「ああいえばこういう」やりとりが 魅力のひとつなのだろうか。

 ですが、やはり。私。この本読んでいました。そうしてあまり好きではありませんでした。
軽く暇つぶしには良いかもしれません。たしかに検事と弁護人のやり取りは 少し興味を覚えたのですが、ちょっと私には「赤かぶ」検事の「あく」が強すぎたという感じ。また、中に30台くらい?を想定した女性が同僚?として出てくるのですが、この人の一言一言があまりにも 「オヤジ受け」しそうな受け答えで、「げへえ。オヤジってこういうのが好きなのか」とおもってしまった。「オジ系オバ」で「真性オジ」でないことが敗因なのかも。

百万ドルを取り返せ!

監督【著者】 J・アーチャー
出版社 新潮文庫
★★★★★
百万ドルをとり返せ! 新潮文庫

説明
違法・違法スレスレというあくどい手口で大金持ちになったハーヴェイ・メカートフにだまされて財産を巻き上げられた4人の男達。
 知恵を出し合って、自分達が被害にあった金額=百万ドルと取り戻すための経費を足した金額ピッタリをハーヴェイから取り返すための策略を練り、実行する。

感想
 前半4分の一くらいは ハーヴェイがどのように大金持ちになり、どのように4人がだまされるかという話なので、駆け足で少々退屈に過ぎていくが、中盤から後半の盛り上がりは大変面白い。
 ページをめくるごとにワクワクドキドキ。

 まるで、楽しい昔の映画のようだ。
 映画でいうと「マーヴェリック」とかそういう 痛快なものを想像して欲しい。
 
 なによりも ハーヴェイをおとしいれるために4人は いかにもな偶然の状況を作り出すわけだが、実はそれは練りに練られた計画なのだ。当のハーヴェイは、だます側からだまされる側にまわったわけだが、全くそのことには気付かない。結末までとても楽しめる

片目をうしなってみえてきたもの

監督【著者】 ピーコ
出版社 文春文庫PLUS
★★★★

片目を失って見えてきたもの 文春文庫PLUS
 タイトルをクリックすると他の人のレビューも読めます。

説明
おすぎとピーコのピーコ本人の 癌による眼球摘出にまつわる話。


感想
おすぎとピーコの正直な物言いが気持ちよいと感じる人はこの本はオススメ。「辛らつで嫌い」という人には向いていないかもしれない。

 私には、共感することが沢山な本であった。
ピーコが目を取り出したという話はちらっと聞いていて、ああ、義眼なんだな。というのはどこかで聞いたのだが、 メラノーマという癌が原因だったとのこと。

「縦糸の友達」とは永六輔さんがピーコにおっしゃった言葉だそうで、縦糸は一生の友、横糸は一過性の友というように六輔さんは捕らえているとのこと。
===本文より===
 友達に何かしてもらいたいと思うのは「欲」だということを、私はこのときはっきりと認識したのです。<中略>
その人のためにしてあげたいことを、たくさんしてあげる。その人から、なんの見返りも望まない。
それが本当の友達なのだ...。
====

===本文より===
自分がしにそうなほど悩んでいるときに「そうそう、あなたの言うとおり」といつも言うような友達がいたとしたら、最初はいい気持ちになれるかもしれませんが、<中略>しだいにその人を信じられなくなるかもしれません。
自分にとって居心地のいい人が、自分のことを本当に思ってくれているというわけではないのです。
====

もっともっと書きたいけれど、このへんで。

私は、相手の悩みを真剣に受け取って考えたときに、素のままの自分の考えを言います。
もちろん相手を傷つけようとして言うつもりはなく、「自分だったら」と考えていることそのものです。 でも、これによって、私から離れていく人も居るかもしれない。それはそれでよいと思います。その人が私に求めているのは そういう言葉ではないのでしょう。

それを理解してくれる人もいるし、それを好まない人も世の中にはいると思う。
そんな風に私と似ていると思うところのあるピーコには 物凄く共感したのでした。

 そうして、そういう生き方をしてきたピーコに しっかりとした縦糸の友達ができていることがうれしかった。 私のこの考えを理解してくれる人は きっと私の縦糸の友達になるんだろうな。と思ったのでした。

ゼームス坂から幽霊坂

監督【著者】 吉村 達也
出版社 双葉文庫

ゼームス坂から幽霊坂 双葉文庫

説明
 美人DJを奥さんにして、得意満面な主人公が飲み会から帰宅すると、なぜか妻はウエディングドレスで自殺していた。おもいあたることはほとんどない。
 なのに、次の日。いないはずの妻が子供を幼稚園には迎えに行き、子供は妻の作ったタラコスパゲティを食べているという。

感想
本屋で山積みになっていて、最近流行りの一言が書かれているので、つい購入してしまった本だが。。しまった。つまらない。

 泣かせるというコメントが多い中。どうも私には乗り切れないなにかが。
ちょっと年齢が高すぎたのかも。中高生が読んで感動するような話なのかもなあと思いました。

 恋愛って、結婚って、家族の愛情って いろんな意味で、中・高生時代に考えているようなもんじゃないと私は思う。 早く年取ってみたまえ。はははのは〜。

 というか、なんだか薄っぺらな印象が強い話でした。

因みに裏表紙には
「凍りつく恐怖を乗り越えた先に宮島(主人公)が得たのは夫婦の愛。多くの読者が結末に号泣した感動の作」と、ありましたが、私は泣きませんでした。
ああ。アマゾンの書評みてみたら、評価低いじゃないですか〜。失敗した〜。
今度から本の衝動買いはやめよう。

December 10, 2003

死国

監督【著者】 坂東眞砂子
出版社 角川文庫
★★
死国 角川文庫
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説明
四国は死国。 なんていう言葉が出てくる。
舞台は四国。

久しぶりに故郷を訪ねた比奈子は、会いたいと思っていた幼馴染の莎代里が事故死していたことを知る


感想
ホラーなのか。本の裏表紙には 伝奇ロマンとなっていました。
 手に取ったのは映画の予告編をテレビで見たから。

私はあまり神話などには詳しくないのだが、そういう言い伝えがあってもよさそうな。いかにもありそうな設定はよく調べられているなあと思った。
 (巻末に参考図書が15ほど書かれている)

また、長年ふるさとを離れていた主人公が帰ってきたときの感覚などは現実味がある。莎代里に対する子供の頃の比奈子側からの思いと 彼女の思いの食い違いなどもああ、そういったことはあるかもしれないと思うような ちりばめられた 現実味のある描写に 才能を感じた。

 全体的には★★。 映画にするには格好の素材だったかもしれないと思った。

November 28, 2003

むかし僕が死んだ家

監督【著者】 東野圭吾
出版社 講談社文庫
★★★★
むかし僕が死んだ家講談社文庫
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説明
昔、付き合っていた女性と久々に同窓会で出あった。
彼女は結婚し、女の子の母であるという。
その場では言葉を交わすこともなかった彼女から突然電話がかかってくる。

 父の遺品の中にあった鍵が何の鍵であったかたしかめるために付き合ってもらえないかとのこと。


感想
悪意よりも、こちらのほうが私としては受け入れやすかった。

悪意と同じように 手がかりは文章の中にある。
こちらの結末の方が、私は悪意よりも好き。

悪意

著者東野圭吾
出版社 講談社文庫
★★
悪意講談社文庫
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説明
野々口は昔の同級生であり、作家として先輩であり恩人である人気作家日高の家を訪ねた。丁度野々口が帰った直後に日高は殺されてしまう。

 何故、誰に日高は殺されたのか。


感想
最初から、最後まで、関係者の手記という形で構成されている。少し変わった作品。

面白いのか?と構えて読んだからか、なんとなく中盤で動機や犯人がわかってしまったのが ★★の理由。
犯人がわかってももやもやとした気持ちが増すばかりだということが★が少ないもうひとつの理由かも。

風と共に去りぬ(1)〜(5)

原題 Gone With the Wind
監督【著者】 マーガレット・ミッチェル
出版社 新潮文庫
★★★★★
風と共に去りぬ 1 (1)新潮文庫 ミ 3-1

風と共に去りぬ 2 (2)新潮文庫 ミ 3-2
風と共に去りぬ〈3〉集英社文庫
風と共に去りぬ〈4〉集英社文庫
風と共に去りぬ 5 (5)新潮文庫 ミ 3-5

説明
南北戦争の頃の南部に生まれたスカーレット・オハラの
「波乱万丈」(って死語かな?)の半生を描く長編歴史小説。

感想
映画で、あまりにも有名な 「風と共に去りぬ」。
原作を読もうとはおもったことがありませんでした。

ところが、読んでみるとそれぞれの登場人物の思考や性格がきっちりとつくりこまれており、本当に面白い。
5巻というかなりの長さの本ですが、一気に読みました。

涙なしでは読めない場面も。
映画と原作を両方というと、どちらかが色あせることが多いのですが、見てから読んだのが正解なのかこの本は映画よりも数倍面白く、なおかつ映画も色あせない。そういう本でした。 オススメです。

November 02, 2003

クッキング・ママの召喚状

監督【著者】 ダイアン・デヴィットドン
★★★★
クッキング・ママの召喚状集英社文庫
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説明
前に読んだもののひとつ前の話だったようで。

ミニヨン化粧品の新色発表会のケータリングを頼まれたゴルディは、ジュリアンと一緒に準備を進める。

そこに現れたのはミニヨン化粧品の販売員をしているクレア。ジュリアンの恋人である。彼女はものすごい美人。
 ジュリアンは気もそぞろ。


感想
クッキングママシリーズの中でバランスのとれた話だったように思います。

 途中青いバラが出てきたりしたから私にとって面白かったということかもしれない。

いつも通りのパワフルなゴルディのメチャクチャな素人探偵シリーズ。今回は低カロリーのレシピが満載です。

October 24, 2003

クッキングママの 検屍書

監督【著者】 ダイアン・デヴィットソン
★★★
クッキング・ママの検屍書集英社文庫
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説明
クッキングママシリーズの6巻目。
今回は 親友で大金持ちのマーラーが大変な目にあってしまいます。

感想
なんで、ママでケータラーなのにこんなことに。。というほど ダイハードもびっくりの巻き込まれ型のゴルディ。

 今回はものすごい冒険になっています。

こんなにパワフルな友達がいたら きっと心強いだろうな。。
 文章は私には合わないようで(翻訳がかな?)前半は多少ダラダラと読んでいたのですが、ラストはすっかり冒険に引き込まれてしまいました。
 
 今回も身近な人との分かれがあるのは寂しいです。

中に載っているレシピは アーティーチョークのベーコン巻きや チョコレート好きに捧げるクッキー(これは大王用)などが 気になるところ

October 18, 2003

業火

原題 POINT OF ORIGIN
監督【著者】 パトリシア コーンウエル
★★★★
業火講談社文庫
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説明
検屍官ケイシリーズの9冊目 

不気味な手紙がケイに届く。犯罪を犯して施設に収容されているためケイに手紙を出すことができないはずのキャリーからだ。

 手紙が気になりながらもメディアの大物の農場が焼けたことで、招集がかかりケイは現場に向かう

感想
なんとなく、羊たちの沈黙を思い出すストーリー。

ケイシリーズの魅力のひとつは シリーズを追うにしたがって登場人物を自分の知り合いのように親しみを感じながら読めるところにあるのかも。

 それは、それぞれの登場人物の描写が細部にわたって丁寧に描写されているからかもしれない。

複雑な思いを感じながらも、この本面白い本だと思う。

真昼の悪魔

監督【著者】 遠藤周作
★★★★

説明
冒頭に神父さんが 「エクソシスト」を例にとって 悪魔は実在する と説く場面からこの物語は始まります。 主人公は美貌で愛らしい笑顔をもつ女医。
 物語の中には なんとも殺伐とした事件が沢山でてきます。 

感想
遠藤周作の本です。 ある意味感想が書きにくい本でした。
遠藤周作さんがクリスチャンだということを知っていたので、気になって余計に私の中でさらっと読めない部分があったのかもしれません。
 私はほぼ無宗教。でも、その人がどういう宗教を信じているかというのは強引な勧誘など迷惑がかからない限り気にしません。


最近起こる理解不能な事件。まったくそれと同じような動機で、いえ、動機はないと言ったほうがよいかもしれない。そんな事件がどんどんと起こります。 そうして、それがなにひとつ解決しない。現代の苛立ち 理解できない不安感。焦燥感。それが最後まで続くというような読後感です。

 たとえば、最近の不快感を覚える事件とは結局はどういうものだろうかと自問すると
「自分勝手」というキーワードがありそうに思います。 相手も自分と同等の人間としてみることなくただ、「自分が不快だから」「自分がうまくいかないから」「自分がやりたかったから」という理由であり、そこにはそれ以上の説明がつかないものが多いです。 
 それが、世間の人たちには理解不能であり、行動が予測できない恐ろしさを感じさせます。

「友達が欲しかったから監禁した」「自分の人生がうまくいかないからできるだけ金持ちの子供を殺害した」「借金をばらされそうだったから殺した」 そこには自分しかありません。いずれも相手を人間として見ていないという共通点があります。自分だけを見つめ自分だけが大事で 相手を都合の良い存在として認めることがあっても人間として見ない。
 
 この本の主人公の女医もまさにそういう人です。自分が罪悪感を感じてみたい。こういう悪いことをしたら少しは罪悪感を感じて空虚な気持ちがなくなるのではないか というただそういう理由で表に出ない悪事を巧妙に行います。 そうして、この小説には 勧善懲悪もなく、また宗教の目に見えた救いも現れません。発生する事件、女医の口にする言葉どれも どこかで聞いたことのあるようなものです。 クリスチャンである遠藤周作はこの本で何を言いたかったのだろう。 宗教の不在を言いたかったのだろうか。 読み終わったときに遠藤周作という人を考えてすっかりと腕組みをしてしまった本でした。

August 28, 2003

陰陽師(鳳凰の巻)

原題 陰陽師(鳳凰の巻)
監督【著者】 夢枕獏
出版社 文春文庫
★★★★★
陰陽師 鳳凰ノ巻文春文庫
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説明
陰陽師の第4巻。
今回も安部晴明と 弘雅のみやびやかで 不思議でゆったりとした時間を堪能することができる。

感想
 少し陰陽師の世界から離れた本ばかり読んでいたので このゆったりしたテンポになれるのにほんの1ページくらい待つ必要があったが、そのあとは一気に物語に引きずり込まれて堪能した。
 もののけがでてもあまり凄惨でなくゆったりした時間が流れていくのが良い。もののけにはもののけの筋の通った言い分(因果関係)があるのが落ち着く。特に晴明の呪についての解釈が宗教観とでも言えるようななるほどという心地よい落ち着き方だ。(私は特定の宗教を信じていないのですが) 内容に少し触れると、念仏を唱えながら山に入っていった僧侶が命絶えた後もしゃれこうべとなって念仏を唱えつづける。その骸骨の中の舌が赤々とまるで生きているかのようだという話しから、「どこぞの君に心を奪われて人は鬼になるときがある。」「執心が強ければ人は鬼になったりするときもある」「法華経を誦して、極楽浄土を願うというのも、執心ということでは同じさ」という下りがある。まさに。そういうものだなあと思う。

August 23, 2003

女の人差し指

監督【著者】 向田邦子
出版社 文春文庫
★★★

説明
向田邦子のエッセイ集。

感想
私は、こぎれいにとりつくろった話よりもある程度本音があるほうが好きなので、少し物足りない部分があった。
が、脚本についての思いいれについての記載は著者の思いがちりばめられていて 面白いと感じた。

 それと、紀行文。これは面白くてそこに行きたくなる。

青い鳥のゆくえ

監督【著者】 五木寛之
★★
青い鳥のゆくえ角川文庫
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説明
メーテルリンクの青い鳥からの考察

感想
教訓的な話だった。相性があるのかいまひとつ心にひびかなかったので。

August 10, 2003

村上朝日堂の逆襲

監督【著者】 村上春樹
出版社 新潮文庫
★★★★
村上朝日堂の逆襲新潮文庫
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説明
村上春樹はいまひとつ村上龍とごちゃまぜになっていて、おまけにわからない本「ねじまきどり」とか。。そういうのが多いと思っていたのだが、これは連載だろうか。身の回りのことがいろいろと書いてある随筆。

感想
小説よりもこちらの方がずっと私は好みだ。
間違いについて、車について、など親近感を持ちながら「うんうん」とうなずいて楽しく読めた。

ちょっとした時にさらっと読める。

安西水丸さんの絵も丁度良い具合に親しみを増す効果があるような気がする。

July 29, 2003

死因

監督【著者】 パトリシア コーンウェル
出版社 講談社文庫
★★★★
死因講談社文庫
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説明
留守番をしている家で、電話番をしていたケイ(検死官)のもとに、ジャーナリストの水死の情報が入る。
潜水中になくなったのだ。
 検死のためにでかけてみると、どうも胡散臭い秘密の臭いがぷんぷん。

なくなったジャーナリストは顔見知りである。


感想
久しぶりのコーンウエルの本という気持ちでスズメバチの巣を読み始めたがあまりのグロテスクな表現が苦痛になり、半分読み進んでも面白みが感じられないため、読了断念を決意。(こんなの私にはめずらしい)

こちらはどうだっけと読んでみたところ、人間関係もきちんとかかれているし、なかなかおもしろかった。

しかし、これは訳者によるのかもしれないが、コンピュータ関連の記載のお粗末さにちょっと興ざめ。
 パソコンんを知らないおばちゃんの言葉だったらまだしも、天才的な才能をコンピュータで発揮している姪の言葉なのだから、もうすこしどうにかして欲しい。

翻訳家も翻訳できるだけでなく、いろいろな技術用語についていかなければいけない時代になったのだなあと思いながら読んだ。

1996年に文庫になっているが、ロボットの分野もこの数年でかなりの進歩をみせた。安定した二足歩行ロボット(階段も昇れる)ホンダのアシモ(1993)が出て以来、世には自分で姿勢を立て直すことができるロボットが溢れている。

バーチャルリアリティやロボットの部分はコーンウエルがこの本を書いた当時取材のものだろうからこちらは違和感があっても「そうだよなあ」と思いながら読んだのだが。

スズメバチの巣

監督【著者】 パトリシア・D. コーンウェル
出版社 講談社文庫
-(なし)
スズメバチの巣講談社文庫
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説明
アメリかのスズメバチの巣と呼ばれるシャーロット市で発生する殺人事件。

感想
全米ベストセラー ということと コーンウエルということで、読み始めたのだが、読みつづけるのが苦痛になり、ついに読まないことを決意した本。

 この次に、検死官ケイシリーズを読んだのだが、それよりも別のシリーズとしてわざわざ書き始めたこの本がそうだということは、このくらい「グロテスク」なものを アメリカが 望んでいるのだとすると どうかしていると思う。

ケイシリーズは以前の印象どおり。

July 05, 2003

キッチン

監督【著者】 吉本ばなな
出版社 角川文庫
★★★
キッチン角川文庫
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説明
キッチン・満月・ムーンライトシャドウ の3篇が乗っています。短編集です。

キッチンで海燕新人文学賞
ムーンライトシャドウ で 泉鏡花賞
を受賞しているとのことです。

祖母をなくして天涯孤独となったみかげは、ある日青年の訪問を受け、母と暮らしている自分たちの部屋で暮らさないかと誘われる。
 彼は祖母の行きつけの花屋でバイトしていたらしい。

感想
死と別れをテーマのひとつにしているのに、悲しみなどの感情が希薄で、どこか自分が幽体離脱でもしているかのような、現実感のない不思議な文章だ。
「涙があんまり出ない飽和した悲しみにともなう 柔らかな眠気をそっとひきずっていって」
「私の心にどうしても春の風景は入ってこない。ただシャボン玉のようにくるくると表面に映るだけだ」
という表現は、読んだものを思春期の少女のように、御伽噺のヒロインを疑似体験させるような文章だと思う。

死がでてきても悲しくはない。耳に心地のよい美しい表現でそれが表される。

おもえば、この本は 夢多き少女が自分をそのヒロインにおいて思い描く悲劇そのもののように思えてきた。

 顔もスタイルもよく、金銭的にも恵まれた環境の男の子がどうやら自分に興味を持っているらしい。
 待ち合わせても、必ず自分は遅れて行き、彼はおこりもせず待っていてくれる優しい人だ。
 私が彼に持っている感情は恋愛感情以前のものかもしれない。でも、一歩踏み出せば、彼のことを好きになりはじめるかもしれない。そんなストーリー

 そこには、干渉する親もいない。普通の家族との生活もない。
 そうして、彼女は細くて長くて一般の少女ならなりたいと思うような容貌を持ち合わせている。

===============

 死についての本だから好きとネット検索すると書かれていた人がいたので、もっと大変な本かと思っていたのです。

ところが、ここに出てくる死は人と別れの死ではありませんでした。 ただ、御伽噺のようなただ美しくて少しだけ胸がきゅんとするような。たぶん、ユーミンの歌のような物語でした。

理由

監督【著者】 宮部みゆき
出版社 朝日文庫
★★★★
理由朝日文庫
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説明
荒川の高級マンションで親子4人殺害事件が発生する。
直木賞受賞作です。

感想
宮部みゆきを駆け足で読んできたら突然読み疲れてしまい、理由を読む頃には大幅な流し読みになってしまいました。あとがきにはこの緻密なプロットについて書いてありました。大変冷静な視点での語りが現実感を増すように思いました。 友人は 宮部みゆきの軽妙なものとどうしようもなく暗いものと二つの路線のうち暗いものは苦手だということで、この理由は好きではなかったとのことでした。
 私はといえば、流し読みしたからか、リアルな筆致だったわけですが、その割にはあまり現実感なく読み進んでしまいましたので、友人のような感想は持たずに済みました。
 私が印象にのこったのは 家族について。家族であり、善人でありがならすれ違っていく人たち。
 家族を疎ましく思う人たち。家族でないのに人恋しくて寄り添ってしまうひとたち。
 流し読みの上に消化できていないので、落ち着いた頃にもう一度読んでみようかとおもっています。

June 29, 2003

天狗風

監督【著者】 宮部みゆき
出版社 講談社文庫
★★★★★
天狗風―霊験お初捕物控〈2〉講談社文庫
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説明
霊験お初捕物控の第二弾。
1巻目のお初よりもスケールがアップして、お初も活発に活躍する。
 下駄屋の娘が神隠しにあう。それも、父親の目の前で。お初は、南町奉行所の奉行に依頼され、この出来事をしらべてみることになった。奉行は、不思議な出来事に前から興味をもっているのだ。

感想
まるで犬夜叉。一つ前に読んだのが「堪忍箱」だったので、とつぜんあやかしが始まったときには かなり驚いた。そうだった。そういう話だった。

しかし、あっという間にひきこまれて一気に読んでしまった。次のページをめくるのが待ち遠しい本だ。

 今回は相手も一筋縄では行かない大妖怪のようだ。
大活躍する鉄という名のネコもかわいらしい。

お気に入りの一冊になった。

June 26, 2003

あやし

監督【著者】 宮部みゆき
出版社 角川文庫
★★★★
あやし角川文庫
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説明
時代物の短編。
中にはあやかしがたくさん

感想
女の首が一番好きだったかな。
子供の頃に読んだ怪談のようで。不思議な余韻がのこります。

June 25, 2003

淋しい狩人

監督【著者】 宮部みゆき
出版社 新潮文庫
★★★★
淋しい狩人新潮文庫
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説明
田辺書店という古本屋にかかわる小さな事件の短編集だ。
イワさんは稔のおじいちゃんでこの本屋の店主。
 この二人が主に登場して謎をときあかす。

実際にその場にでかけていくわけではなく、はなれたところで人の話を聞いたりして解き明かすタイプの
 アームチェア デテクティヴ <っていうんでしたっけ

感想
謎ときもそこそこ面白いのだが、イワさんと稔の関わりがおもしろい。

おじいちゃんと孫という設定だが、ある意味子供の成長にどうにかついていこうとする大人の視点というのはこういうものなのだろうか。と思って読んだ。可愛らしい稔が最後に近づくにしたがって、家族に心配をかけたりする。

下は大幅なネタバレ

稔は自分より十歳も年上の27歳のスナック勤めの劇団員の女性と知り合う。そうして、夢中になり、夜中に家をあけることが多くなる。 心配した両親の依頼により、イワさんが彼女と会うことになる。

「不純な動機で付き合ってるんじゃないわ」
「誰も不純だとは言うとらんですよ」「しかし室田さん、あなたは稔と違って、純粋ならなんでも正しくて、不純ならなんでもいけないんだと思うような子供ではないでしょう。わしらがあんじているのもそのへんのことなんです。」

「あたし、今まで、稔るさんほどあたしのことをすきになってくれたことありませんでした。今まで、そんないいこと、一度だってあったことなかったんです。だから、あたしにとって、とっても大切なことなんです。」

「きっとそうなんでしょう。」
「稔はあなたにとってそれくらい意味のある男の子なんでしょう。しかしね。室田淑美さん、あんたは大人だ。大人が子供を逃げ場にしちゃいけませんよ。」
「逃げ場...」

このあたり、うなってよみました。

じいさんになったときにコレくらい諭せるようになるとすごいな。<実際は私はバアサンにはなるけどじいさんにはなれない。

June 21, 2003

魔術はささやく

監督【著者】 宮部みゆき
出版社 新潮文庫
★★★★
魔術はささやく新潮文庫
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説明
一見無関係な女性が突然自殺する。
その女性たちに共通するものはなになのだろう。


感想
日本推理サスペンス大賞受賞作だそうだ。
その共通点だけでひとつ話が完結するであろう筋にいくつもいくつも糸をかさねて織り上げていくところがうまいなあと思う点。

June 18, 2003

堪忍箱

■監督【著者】 宮部みゆき
■出版社 新潮文庫
■星 ★★★★
堪忍箱新潮文庫
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■説明
これは時代物の短編集である。霊験お七シリーズとは違ってこれには あきらかな物の怪は出てこない。

■感想
 ただ、ゆっくりとした時間と、長屋などで暮らしている人たちそれぞれの心の動きが見事にかかれている。こういう本を読んでほろっとしたりじんわりとした気持ちになったりするのは、きっと私たちが似たような感覚を味わったことがあるからだろうか。

この人は本当に守備範囲が広い。さらっと平易に読めながらも いつのまにか すっと物語に引き込まれ「ああ、そうだったのか」と「これ」と言葉や形にできないものが残る。
 先日行った江戸東京博物館では 長屋の様子などの模型があった。読みながら一層はっきりと長屋の様子が頭に思い浮かんだ。

心とろかすような マサの事件簿

監督【著者】 宮部みゆき
★★★★
心とろかすような―マサの事...創元推理文庫
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説明
パーフェクト・ブルーの続編であり、短編集である。こちらは上に比べると軽く気楽に読めるものだ。

感想
パーフェクトブルーではじめて登場したジャーマンシェパードのマサは この事件簿では生き生きと動き始める。実はパーフェクトブルーでは「犬の視点で書いてある」とはいってもなんとなくぎこちない気がしていたのだが、こちらの短編集ではマサは雄弁でマイペースに活躍するマサの姿が目に浮かぶようだ。動物好きの方にもオススメ。

 内容は、パーフェクト・ブルーよりも身近な事件だが、これも下町の出来事のように親しみやすくて良いようにおもう。
 主要な登場人物の一人に犬好きの友人と似ている名前があるのも私が親しみを感じてしまっている理由のひとつ。
 こちらは通勤時の読み物としてオススメ。

 推理小説は、どうしても作者のパターンというのが色濃く感じられるものが多いのだが、作者を意識せずに読むと同じ人が書いたと思えないほどいろいろな著作があり、多才な人だとあらためて思った。

June 10, 2003

パーフェクト・ブルー

監督【著者】 宮部みゆき
出版社 創元推理文庫
★★★★
パーフェクト・ブルー創元推理文庫
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説明
探偵事務所にいるマサは元警察犬。その視点から野球部のエース殺人事件の謎をとく。

感想
赤川次郎をおもうような軽妙な話。だけど読み進むうちに話はどんどんと織られておもったような話ではなかったことに気づく。
読後には、こんな話だったのか。と
最初は赤川次郎からはじまって、最後はロビンクックのような読後感の、才能を感じる本でした。
 これが長編第一作だそうです。

May 08, 2003

剣客商売

著者 池波正太郎
★★★★★
剣客商売新潮文庫―剣客商売
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説明
秋山小兵衛というのが、名前の通り小さな爺さんだが、剣の達人。知る人ぞ知る剣客です。
使い手ではない人がみると、だだの気の良い爺さん。
 その息子、大治郎まっすぐなよい青年です。前半はすこしばかり頼りなさの残る
若者ですが、後半はなかなか頼もしく成長してきます。
佐々木三冬 田沼意次の娘だが、これも剣の使い手。美しくてカッコイイ。後に大治郎と
結婚します。
おはる。小兵衛さんの年の離れた奥さん。三冬さんとはちがってのんびりとした暖かな
雰囲気をこの物語に添えています。


感想
池波正太郎の連続物です。時代物を読まれたことがない方にもオススメ。

 この登場人物の妙で一気にとりこになること間違いなし。
話も読みやすいし、この本から時代物にはまる方もいらっしゃると思うけど。。

 ドラマ化もされているようですね。 シリーズで何巻もあるので、園丁に書くにはどうしたら
良いか悩みます。ずっと続けて読んでいたのですが、育児がいそがしくなってからは
読んでいません。 
一旦まとめて書いておいてから、読み直した都度分けてみようかな

マリアのうぬぼれ鏡

監督【著者】 森茉莉
出版社 ちくま文庫
★★★
マリアのうぬぼれ鏡ちくま文庫
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説明
森茉莉の著作の中から、数行の言葉をテーマを分けて早川暢子が編集している。

感想
他の著作を読んでいると 重なるものも多く
語録というのは長すぎるとあきるものだと
思った。

私が語録があまり好きでないだけかも

貧乏サヴァラン

監督【著者】 森茉莉  早川暢子編
出版社 ちくま文庫
★★★★★
貧乏サヴァランちくま文庫
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説明
森茉莉の著作の中から食べ物のことを中心にまとめた著作集

感想
ドッキリチャンネルは悪態も多いので読んでいて疲れてしまうこともありそうだが、
貧乏サバランのほうは、気取りない森茉莉の生活が無理なくかかれていて、
文章も本人が言う「なめくじ」のようにだらだらとは比較的していないので、読みやすい。
この本を読んで、森茉莉のかわいらしさが見えてきたように思う。
(前の書き込みでドッキリチャンネルを読まれた方ごめんなさい。
 あれがイマイチでも、こちらは良いかも。懲りずに再チャレンジしてみてくださいね。)

ひとつひとつココが!というところがあるが、
ネタバレしないくらい書いておこうかと思う

1.森茉莉と母はふたりとも悪妻と呼ばれたらしい。その悪妻と呼ばれるに至った経緯とそれに対しての二人の悪妻の話しあたりなるほど
世の中とはそういうものだろうと思った。

2.私に常識はあるのかというところ。
このひとは本当に正直な人だと思った。
この件は今度ロバミミに書こうと思う。

ベスト・オブ・ドッキリチャンネル

監督【著者】 森茉莉
出版社 筑摩書房
★★★★
ベスト・オブ・ドッキリチャ...ちくま文庫

説明
中野翠により再編成されたエッセイ集
週刊新潮に連載されていたものの抜粋です。
 1979〜1985年連載

感想
売り出し中の田原俊彦を見て「軽薄と狡猾とがいくら出ても尽きぬことのない泉のように、彼の表情に溢れ出ている」
 石野真子と松田聖子を比べて、「石野真子の(自分はかわいらしい)という自信の内容を
推察すると、それはかわいらしい心だ。・略・ それが松田聖子の(あたしは可愛いんだ)という心の裏側はいやらしさに繋がっている 」

等、かなり辛らつな評や、自分のことについて書き綴ったエッセイです。

内容が身の回りのことであることと、一つ一つが短い文のため、読みやすいのですが、ずっと
読んでいると疲れてくることもあるかな?と
★はひとつ少なめにしてみました。

彼女のなかには 尊敬する父への思いやら、評価されない自分への自尊心やら、
昔は裕福であったプライドやら、その生活を懐かしむ思いやらが混在しているようです。

たとえば、最初に読んで「なにもそこまで言わなくとも」と思ったとしても、でも納得してしまうような表現があちこちにちりばめられているのです。

この毒舌?ぶりは先日亡くなった ナンシー関さんにも似ているようでもあります。

鏡をのぞく女

監督【著者】 J.ウォーターハウス
出版社 講談社

鏡をのぞく女講談社文庫
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説明
本の後表紙には、
====
美術館の階段から転げ落ちた彫刻から本物の人間の手が発見される。それは売れっ子彫刻家ブラックムーアの代表作だった。
===
このようなことがかいてありました。
最初の1ページ目を読んで、江戸川乱歩のようだななんておもいながら購入したのですが。

感想
私にはなじめませんでした。
アメリカでは本が置けないほどだという評判があったとのことですが、
私には読むのが苦痛でどうにか読み終えたという状態です。

翻訳者と合わないのかな。。と思いました。

後から知ったのですが、この作者は脚本家から小説家に転進したとのこと。
私は 脚本形式のものはどうも好きでないので、これは脚本形式ではないのですが、その片鱗があるためになじめなかったのかもしれないと思いました。
また、どうもアメリカの性的な表現はあまり好きでないものもありこれはあまりひどくないとは思いますが、低い点数になっているようです。

贅沢貧乏のマリア

監督【著者】 群ようこ
出版社 角川文庫
★★★
贅沢貧乏のマリア角川文庫
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説明
群ようこさんが自分の生活に、森茉莉の生活をおりまぜて書く、エッセイ。

感想
群ようこさんは「群れよう」という名前があまり好きではなく、読んだことのない作家だった。
読んだ感想は、森茉莉紹介部分以外はちょっとつまらない。きっとこれは「未婚の会社員で、少し年齢を重ね、友達の中には結婚した人も多い」人という著者とおなじような境遇の人が同意しながら読むのではないかと思った。

私は職業をもっていて、中年のオバだが、独身ではなく、子供もいることが彼女とは少し感覚がちがう。

いちばん、??と思うのは、結婚、子供、主婦というものを身の回りの人の状況から「つまんないに違いない。不幸にちがいない」と決めつけている姿勢がちょっと?。。。だ。

まるで、葡萄のことをスッパイに違いないと言っているキツネのようだなあと思った。

悪女について

監督【著者】 有吉佐和子
出版社 新潮文庫
★★★★
悪女について新潮文庫

説明
貧乏に生まれた女性が手腕によって大金持ちになるが、謎の死をとげる。
その彼女に関連した人の証言。

感想
何がおもしろいか といわれると説明が難しい。
ある女性について、関わった人たちの証言が次々と載っているだけである。
その証言が一人一人微妙に違う。
それによって、読み手は、彼女はどんな人だったのだろうと想像をめぐらせる。
結末まで読み進み、たぶん、読み手によってその「悪女」の評価が違うであろう。

実社会では、これほどまで極端な人はたぶんいないだろうと思うが。。。
彼女は、とても頭がよい。くるくるとつじつまの合うように嘘をつき分ける。
本を最後まで読んでも、どれが嘘でどれがまことか こちらのほうが目がくらむようだ。
 とっさに、真実をつきつけられ身動きがとれなくなっても、取り乱すこともなく平然と居直る。
その言い訳がまたうまい。小気味のよいほどである。

私には到底できない芸当なので、ある意味尊敬に近い思いも抱きながら読み終えた。
ただし、実際彼女がいたとして、知り合いにはなるのは怖いな。

黒い家

監督【著者】 貴志祐介
出版社 角川ホラー文庫
★★★★★
黒い家角川ホラー文庫
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説明
生命保険会社に勤める主人公は、ふとしたことから 殺人事件とおもわれる事件に巻き込まれる。

感想
台風の前の蒸し暑い、不快指数の高い空気を思ったときに、この本の存在を思い出した。

そんな、ドロドロした気分の悪い話ではある。
たしかに、湿度80%風もなく気温29度という感じの話だ。

 しかし、そういう話でありながら、内容は大変気味のわるいものでありながら、この本の評価が高いのは、ものすごく うまいからではないかと思った。

生命保険という知らない世界の話など、普通にかかれていては興味もなにもない人も多そうに思うが、 そこここに解説あり、小さな事件がすこしずつおこり、読み手の興味をうまく小説に向けていく。 たぶん立ち読みして、2ページくらい読んだら、購入してしまうのではないだろうか。

最後の最後まで このペースで読める本である。

面白いと思う。が、内容がグロテスクなので、好き嫌いは分かれる本だと思う。

May 07, 2003

アクセプタブル・リスク―許容量

監督【著者】 ジェフリー・アーチャー
出版社 ハヤカワ文庫
★★★★
アクセプタブル・リスク―許...ハヤカワ文庫 NV (814)
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説明
話は1692年からはじまる。
ライムギのパンを焼き、魔女裁判にかけられたエリザベス。話は現代に移る。看護婦のキムが魔女裁判について調べ始めることから話がはじまる。

感想
この人にしては珍しい設定で話しが展開していき、魔女裁判など歴史的な記載もおもしろかったです。
四星だったのは結末がもうひとひねりあるともっと良かったという思いから。

着物をめぐる物語

監督【著者】 林 真理子
出版社 新潮文庫
★★★★
着物をめぐる物語新潮文庫
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説明
全部で11話の短編で構成されている。
一人称、独白で語られている。すべて主役は違う人だ。
それぞれが、着物に関係する出来事を語るという形式である。

感想
着物について、私は知識がないのであるが、取材の苦労はいかほどかとと思うほど、詳細に語られている。着物に詳しい方にこの評を聞いてみたい。
それはおいておいたとしても、うまくできている。
 本の主人公は語り手であると同時に、やはりこの本全体としては 着物が主役なのだ。
全体を通してさらっと読める。そうして、さぞ、書いている本人もおもしろかったろうと思えるような本であった。

消えた装身具

監督【著者】 コリン・デクスター
出版社 ハヤカワ文庫
★★

消えた装身具
コリン デクスター Colin Dexter 大庭 忠男

早川書房 1997-04
売り上げランキング : 123,718
おすすめ平均

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説明
大庭忠男訳

ツアーによって、オックスフォードを訪れたメンバーが突然死んでしまい、
 その人が持っていた貴重な装身具がなくなってしまう。 という推理物です。
  最近見ていないですが、昔の火曜サスペンス劇場みたいなもので、その中でも
 ツアーに行った先で殺人。というようなカンジ。

  この物語自体は 「モース主任警部シリーズ」として テレビシリーズになったり
 ビデオ発売されている人気シリーズのようです。

感想
 イギリス文学に詳しい方だったり、イギリスにいかれたことのある方だったら楽しめそうな
 感じはするのですが、あいにく、私は両方とも [no]なので、いまひとつ楽しめませんでした。

 でも、この手の本は基本的には好きなはずなので、どうして?と思い起こしてみると、訳者の
 文体になじめなかったのかもしれません。 最初から本に乗り切れずに、自分で英訳しながら
 読んでいるかのような違和感がありました。きっと好き嫌いがあるのかもしれません。
 (私は、どうも森鴎外の文などは とっつきにくいタイプです)

贅沢貧乏

監督【著者】 森茉莉
出版社 講談社 文芸文庫
★★★★
贅沢貧乏講談社文芸文庫―現代日本の...
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説明
12編のエッセイ集。

====
(欧羅巴にいる間は)人々はどの時間も自分自身のために生きるものだと思っていた。日本の人は
他人のために学校に入り、就職し、結婚し、趣味を選び、着物を選ぶ。「お宅様のご主人は何をあそばして?」「東大の講師をしております。」略・・・・・・。(道徳の栄えより)
====
現代は「贋ものの贅沢」の時代らしい。
略・・
隣の席の人にわかるように自分の身分や贅沢生活いついてしゃべること、それらのいろいろの中に彼女たちの貧寒な貧乏性があらわれているからである。(ほんものの贅沢より)
====

感想
森茉莉の本をやっと読み終えた。 彼女は自分のこのタイプの本を「なめくじ小説」と呼んでいるが、長いものは本当に読みにくい。話がだらだらとつながりながら過ぎていく。
 しかし、短い論点がさだまっているものは私は好きだ。

May 06, 2003

ベクター―媒介

監督【著者】 ロビン・クック
出版社 ハヤカワ文庫
★★★★
ベクター―媒介ハヤカワ文庫NV
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説明
偏った考えを持った人たちがテロを企てる話です。
 思い込みってコワイ。

感想
テロ事件でふたたび思い出しました。
この本になじめなかったところは、犯罪者があまりにも
考えが足らないような書き方をされていたことでした。
 たしかに、一般常識の及ばない行動に出る人が一番
恐ろしいといえば恐ろしいのですが。。。

May 05, 2003

メダカの花嫁学校

原題 阿川佐和子
★★

メダカの花嫁学校
阿川 佐和子

文芸春秋 2000-10
売り上げランキング : 265,936

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説明
壇ふみさんのこと、みのまわりのことを
書き綴ったエッセイ。

感想
阿川佐和子さんに少し興味があって、購入したが
最初を読んだきりお蔵入りになっていたものをキリをつけようと読み終えた。

う〜ん。熱烈なファンならばもっと評価が高かったでしょうが、本人がどこか自分を出しきれてないっていうところがいまいちの印象なのでしょうか。
 辛目の点で申し訳無い


記入日時 2003/05/05/18:26:25 No.109
記入者 pon2

六番目の小夜子


六番目の小夜子
恩田 陸

新潮社 2001-01
売り上げランキング : 10,682

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説明
NHKでドラマ化されたものを2,3回見て、通勤の暇つぶしにと読んだもの。

感想
う〜ん。私としてはいまいちでした。
期待していた路線がちがっていたのかも。


記入日時 2003/05/05/18:25:14 No.108
記入者 pon2

スリーピング・マーダー

監督【著者】 アガサ・クリスティ
出版社 ハヤカワ文庫
★★★★★

スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件
アガサ クリスティー 綾川 梓

早川書房 1990-07
売り上げランキング : 168,523
おすすめ平均

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説明
==内容に触れます=====

新しい家を手に入れるのですが、その家はじめてのはずなのに、以前見たことのあるような感覚に主人公はとらわれます。


感想
さすがミステリーの女王?
最初からすっかりひきこまれ、最後までいっきに読みました。ミス・マープル、最後の事件だそうです。


記入日時 2003/05/05/18:24:34 No.107
記入者 pon2

致死性ソフトウエア  (上・下)

監督【著者】 G・ワトキンス
出版社 新潮文庫 
★★★★★

致死性ソフトウェア〈上〉
グレアム ワトキンス Graham Watkins 大久保 寛

新潮社 1997-05
売り上げランキング :
おすすめ平均

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説明
ことの始まりはパソコンから。
奇妙な事件が起こり、それが少しずつ広がり始めている。


感想
面白くて面白くて読むのを辞めるのがおしいほどで あっという間に読み終えてました。
 たぶん、ソフトウエア関係の仕事をしている人、DOOMというパソコンゲームをしたことがある人は 一段と楽しめると思います。


記入日時 2003/05/05/18:21:47 No.106
記入者 pon2

12の意外な結末

監督【著者】 ジェフリー アーチャー
出版社 新潮文庫
★★★★

十二の意外な結末
ジェフリー アーチャー 永井 淳

新潮社 1988-09
売り上げランキング : 123,791
おすすめ平均

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説明
12編の短編集です。それぞれに楽しめました。

感想
かなり軽いので、通勤電車などでおすすめです。
全部おもしろかったですが特に好きだったのは
「掘りだし物」


記入日時 2003/05/05/18:20:06 No.105
記入者 pon2

クッキング・ママの事件簿

監督【著者】 ダイアン・デヴィットソン
出版社 集英社文庫
★★★
クッキング・ママの事件簿集英社文庫
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説明
今回は教会が主流の話なので、キリスト教信者ではない私は毎週どこかの教会にでかけることもなく、なじみが薄い感じだ。教派同士の諍いもいまひとつピンとこない。

 冒頭で出てきたシナモンロールはなんだか美味しそうなレシピなので、取っておこうと思う。

 主人公の30台前半の女性は、男の子のママである。
医者の夫と離婚して ケータリング業を行っている。
(大学では心理学を学んだのだが、とにかく食べていくために得意の料理を仕事にしたとの設定)

 その主人公が この巻の冒頭でとうとう警察官と再婚することに。
ところが、その結婚式の料理は自分がケータリングするわ。結婚相手が誘拐されてしまうわ。。
という筋。

感想
いつもながらに、彼女は 料理も手際よくつくるわ、大変な目にあってもめげないわ という
 パワフルママぶりは 「う〜んすごい」

クッキング・ママの真犯人

監督【著者】 ダイアンデヴィットソン
出版社 集英社文庫
★★★
クッキング・ママの真犯人集英社文庫
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説明
クッキング・ママ シリーズです。

これは8作目だそうですが、かなりおもしろくなってきたと思います。

今回はモデルの撮影現場に関わる殺人事件。なので、若干カロリー控えめな、レシピも乗っています。
 
 少しだけ レシピ集に抜書きしました。


感想
赤川次郎のように だだ〜っと読むのがオススメ。

こだわって読んでいると、
殺人があった現場でなんでそんなに撮影やっちゃうの? とかそこにケータリングしてみんななんで平気に食事するの?

なんていろいろあります。

ネタバレになっちゃうけど、ラストのゴルディが危険にさらされたときも こんなのでいいのか? とも思いますが、気にしない気にしない。

マインドベンド―洗脳

監督【著者】 ロビンクック
出版社 ハヤカワ文庫
★★★★

マインドベンド―洗脳
ロビン・クック

早川書房 1985-12
売り上げランキング : 433,515


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説明
いかにも、現代にあってもおかしくない設定。
産婦人科を舞台に起こる事件です。それだけに、身近で怖い。

感想
医者の言うことは、患者はそのまま信じるしかないというのが通常ではないかと思います。
 もし、自分の身の上にこのようなことがおこったら。。と考えると、恐ろしい。

ロビンクックの本は医学会の問題点についてが多いのですが、いかにも
近い将来起こりそうな問題なのが余計に怖いです。

クッキング・ママの捜査網

監督【著者】 ダイアン・デヴィットソン 訳:加藤洋子
出版社 集英社文庫
★★★
クッキング・ママの捜査網集英社文庫
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説明
ゴルディは、夫と別れて息子と暮らす31歳の女性。職業はケータリング。
 またもや、周りを固めるのは、ちょっと変わった人たち。そうして、またもや殺人がおこる。

感想
 話は前の巻と同じように赤川次郎といった感じの軽いテンポの本ですが、彼女の周りにはどうしてこんなに異常なひとばかりなんだろう。
(それは、推理小説だから?)
今回は、最後まで犯人がわからなかったし、トリックもわからなかった。

でも、今回の本の何よりオススメは読んだ後のあとがきです。 
訳者の加藤洋子さんのテンポの良いあとがきがこの本の魅力をなにより伝えていると思います。
日頃元気印だけど、ちょっとブルー入ってきている人も、あとがきだったら 立ち読みできそう。
クッキング・ママシリーズは沢山出ているので、間違えずに「捜査網」のあとがきを読んでくださいね。
 私と同じくらいの年代の人に特にあとがきがオススメです。(<=ヘンなすすめかた)

クッキング・ママは名探偵

監督【著者】 ダイアン・デヴィットソン
出版社 集英社文庫
★★★
クッキング・ママは名探偵集英社文庫
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説明
離婚して、息子と二人で暮らしている女性が主役。彼女は ケータリング業を行っているのだが。。事件に巻き込まれ、営業停止処分をくらってしまう。

感想
原題はCatering to Nobody だそうで、その方がカッコイイなあ
なんて思うのですが、読み終えました。
 これは、某通販で 本の中にレシピがでてきて面白いと書いてあったので注文したもの。
シリーズ最初のこの巻を読んでみての印象は 軽くてまあまあのテンポで気楽に読めます。
 ちょっと「赤川次郎」っぽいかな。そういうマンガの次に読めるような軽い本です。
 
 内容としては、つい、大王の母として感情移入してしまうところはありましたが、まあまあ。
ただ、この事件は。。ちょっと。なんでアメリカの推理物ってこういう展開が多いのだろう。。
(たまたま私が 不快に思って印象に残るからかな。。それとも社会問題だからなのかな)
などと思いました。 この本はシリーズ化されているようですので、今後も同じねたでは書けないでしょうから、次に読んだ本で判断しようと思います。
人気シリーズ物だそうです。

中に出てくるレシピは とても美味しいそうです。(太りそうなので私はつくらないかも。)

陰陽師(付喪神ノ巻)

監督【著者】 夢枕獏
出版社 文春文庫
★★★★★
陰陽師―付喪神ノ巻文春文庫
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説明
陰陽師とは、占い師のようであり、人を呪い殺したり、幻術も使える。
その陰陽師の安部晴明の話。
短い話が7つ入っている。
有名な瓜仙人の話も入っていて親しみやすい。


感想
面白い。巷で流行っているので軽いものでも。。という気持ちで選んだのだが、実際面白かった。
恨みつらみというのがわかりやすくて、安心する(というのも変だけど、現代のわけのわからない犯罪と比べるとなんとわかりやすいことか)
 また、恨みが晴れると消滅するといういさぎの良さも
読後に嫌な後味がなく、淡々とした印象を持つ理由かもしれない。
私は3巻目から読んだのだが、一話一話が完結しているので
どこから読んでもそれなりに楽しめるし、むしろ3巻目くらいになると筆がのってきているようにも思った。

陰陽師(飛天ノ巻)

監督【著者】 夢枕獏
出版社 文春文庫
★★★★★
陰陽師―飛天ノ巻文春文庫
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説明
陰陽師とは、占い師のようであり、人を呪い殺したり、幻術も使える。
その陰陽師の安部晴明の話。
短い話が7つ入っている。

感想
2巻目になると、晴明と博雅の呼吸もぴったりと会い、快い。

本筋とは関係ない話だが、晴明の庭にも訪れてみたい。私の理想の庭のようにも思える。

その庭のありようが、晴明の自然と一体に暮らしている様子をあらわしているようにも思える。

陰陽師

監督【著者】 夢枕獏
出版社 文春文庫
★★★★
陰陽師(おんみょうじ)文春文庫
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説明
陰陽師とは、占い師のようであり、人を呪い殺したり、幻術も使える。
その陰陽師の安部晴明の話。
短い話が6つ入っている。

感想
どの編もおもしろいですが、
私は梔子の女という話が謎解きのようで
好きでした。

寿水というお坊さんが、般若心経を写経していたところに、そこに女のあやかしがでて、悩んでいる。その女のあやかしとは。。と言う話。

今流行りの陰陽師の話ですが、発端なので
2.3巻になるにしたがって筆がのっておもしろくなるように思います。

話はほぼ一話完結なので、どの巻から読んでも楽しめると思います。