■著者 松本清張
■星 ☆☆☆☆
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■説明
米倉涼子が主演したらしいテレビドラマの原作。(ドラマは未見)。
銀座のクラブに入った新人ホステスはどうも素人っぽくて垢抜けない。客の画家Aが尋ねたところ、ママは、「幼馴染が突然尋ねてきて、今度店を出したいから見習いに使ってほしいとのことで雇っている」のだとのこと。その新人ホステスは、原口元子。長年まじめに銀行に勤めあげてきたベテラン行員という信頼も厚いが、周囲からは今でいう「お局(つぼね)」と呼ばれるような状態であった。
■感想
久々の松本清張。上下巻の長編だが、すんなりと読めてしまうところなど「うまいなあ」と思いながら読んだ。たとえば、預金や総会屋などさまざまな知識が必要な場も「知らない人がわるいのよ」と読み手に苦痛を強いることなく、さりげなくその内容がわかるように心が砕いてある。
興味を持ったのは、ちょうどこれを放映していたころに、テレビ局のロビーで米倉涼子の看板を見たから。 「松本清張原作」とあり 興味をひいたところに 「黒革の手帖」。
「黒革の手帖」とはなんて想像力をかきたてる題名であろうか。ただの手帳ではなく 黒革なのだ。誰が持っているものなのか。その手帖の中に書かれているものは何なのだろう。どういう秘密が隠されているのだろう。と題名を聞いただけで想像力をかきたてられる。
読み終わってみて、まさにテレビドラマにうってつけ。ドラマの方も見てみたかったような気もする。
ここ以降は、ネタバレ
結末に驚いた。そうして、私は元子がかわいそうになった。たしかにえげつないことをたくさんした。「そりゃやりすぎだよ 元子さん。」と心で思いながら読んだことも多かった。勧善懲悪。悪いことをすると必ずその報いは自分に戻ってくるという物語?。
そうだとしても、元子がちょっと気の毒になる。そこまでしっぺ返しされるほどのことだったのか?ちょっとひどすぎやしないか。それとも、簡単に悪を目指そうとしたのがいけなかったのか。上には上がいるということか?。それは、悪を目指し多少うまくいっていると思っても、世にはもっともっと筋金入りの悪がいるものなのだということなのか。
それにしても、最後の最後。よりにもよって。たしかに、後半なぜそこまで焦るとおもうような彼女だったのだが、最後の最後彼女は運が悪すぎるとしか言いようがない。
この本。その最後の1ページを読むまではホラーだとは思っていなかったのですが、ホラーだったのかもしれません
テレビドラマの方はDVD化されているようです。(1)(2)巻があるようでした。
結末は小説とはまた違う結末だそうです。
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テレビ局のサイトはこちら
http://www.tv-asahi.co.jp/kurokawa/
ストーリーをさらっとみてみたら、ほぼ別の話のようでもありますね。米倉さんを見るならテレビ。でも清張はおどろおどろしくてドラマをご覧になった方も読まれて損はないと思います。