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April 24, 2005

ネコババのいる町で

■著者 瀧澤美恵子
■星 ★★★★

ネコババのいる町で
滝沢 美恵子

文芸春秋 1993-03
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おすすめ平均

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■こんな人にオススメ
人と人の関係を静かに考えてみたことのある人

■説明
芥川賞受賞の ネコババのいる町で、ほか3編。
人と自分の間に透明な壁があるがごとく冷静に書かれた物語は静かで澄み渡っているというような。

■感想
起伏のある物語がどちらかというと好きな私なので、2編目の「神の落とし子」が一番面白かった。
ネコババのいる町で。 題からするともっとコミカルなものを想像して読み始めた。ところが、主人公はとんでもない人生を生きていた。 突然やってきた母のお荷物であったであろう「私」を、困惑しながら受け入れて、そうして不思議な家族ができあがっていく。 ベタベタの「いかにも良い家族」という姿からは程遠い、淡いけれども自然でお互いがしっかりとかかわりあった「家族」だ。叔母の死について書かれたこの物語の読後は成長し、きちんと自分で自分の人生をあるいている私の姿があり、暗くはない。

 「神の落とし子」 この筋を語ってしまうと、ほとんどこの話の楽しみを書いてしまいそうなのでかかずにいようとおもう。恵まれた家庭の世間知らずゆえに。。。。
 最後に出てくる(フォント色変えます)
誰か特定の人をいつまでも好きになってる子ではないもの。あの子にとっては、相手は誰だっていいんだから。自分を楽な状態にしてくれる人だったら誰だってよかったんだもの。ああ、女の人にはそういう人いるような気がするなあ。。。と妙に納得。 

「リリスの長い髪」夫婦というものは、どういうことで結婚したかとつきつめて考えていくと最後のところは、何々だから何々だ とピシッと理論で説明できない部分があったりするものかもしれないなあと思う。
そうして、「近い」と思っていた相手にふとしたところで距離を感じたり、「遠い」と思っていた距離が縮まっていることに突然気がついたりするものだと思う。 結婚して、実際は相手のことがよくわかっていなかったことに結婚後に気づいたり、結婚後に相手のことが一層よくわかってきたり。 物語の運びの中で淡々と語られる人間関係が、夫婦が、おさまるところにおさまったかの様子を ポーンと投げた石が水面に波紋を立てて沈んでいき、落ち着くところへ落ち着いて行く様子のようにすんなり書かれている。

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