April 2008 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

August 09, 2006

ブレイブストーリー

■著者 宮部みゆき
■星   ★★★★

ブレイブ・ストーリー (上)
ブレイブ・ストーリー (上)宮部 みゆき

角川書店 2006-05-23
売り上げランキング : 17

おすすめ平均 star
starひとあじちがう
star長っ!
star残念

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【説明】 
ワタルは、小学校5年生。ごく普通の家庭の一人っ子だ。近所のビルに幽霊が出るという噂で幽霊ビルを友達と一緒に見に行った。そこで不思議なものを見てしまう。

【感想】
 ブレイブストーリーは、まさにRPGの世界でした。本を読んでいて こんな感じなのは珍しいのだけれど、本の中での表現がゲームをもとにしているからそんなものなのでしょう。宮部みゆきのファンタジーというのは初めて読みました。本当にこの人は多才な人だなあとおもいました。

 ストーリーは「裏庭」などよりももっと軽くさくさくと読めるものですが、かなり厚い本です。(映画化にともなって文庫本も発売されました)そうして、妙に納得する表現にふと出会ったりします。

 かなりのネタバレになってしまうので、フォントの色を変えます。マウスで反転させて読んでください。
(ここから)
話の後半で主人公のワタルはあることがあってどんどん迷い始めます。

「あなたが今、そこで煩悶しているすべてのこと。〜という恐怖〜と言う恐怖。〜という恐怖。(略)すべてあなたが生み出し、あなたが形を与えた恐怖であるが、あなたには消すことのできぬ恐怖だ。」

と指摘された主人公は物語のラストで自分が切り捨てていた自分に目を向けてそれを受け入れることで自分を取り戻します。

争いを重ねる愚かさも、自分の信じるものしか目に入らない心の狭さも、目先の楽ばかり手を伸ばす性急さも、みんなみんな含めて、それがワタルの幻界なのだから。ワタル自身なのだから。

(ここまで)

後日映画も見ましたが、映画はかなりの部分が単純化されてしまって 本来、宮部みゆきが書きたかった結末とは少し離れてしまい、RPGっぽいところだけが残ったように思いました。 また、二人の少年の家庭環境が複雑なだけに、小さな子供にこの映画をみせるべきかと迷われる保護者も多いかと思います。 息子(小3)と一緒に見ながらも、「息子はこういうことわかるのかな? 見ても大丈夫かな」と思いました。
 本の方も、「お父さんがお母さん以外の人と暮らしたいと思う」というシチュエーションが理解できるか?と思うと、やっぱり読むにはワタルとおなじ5年生から上が望ましいのではないかなと思いました。

July 05, 2006

約束

■著者 村山 由佳
■星   ★★☆

約束
約束村山 由佳 集英社 2001-07売り上げランキング : 23037おすすめ平均 starstar約束。star泣ける!starあの頃に戻りたいAmazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 2003年度の有名男子中学校国語入試問題に多く出題された本だそうです。大人になった主人公のぼくが小学校4年生の頃のヤンチャ・ノリオ・ハム太という3人の友達のことを思い出して、この話は始まります。4年生になった昭和62年、一緒に遊んでいたヤンチャが原因不明の病気になってしまいました。皆がヤンチャを元気付けようと一緒に力をあわせてひとつのことに取り組もうとします。

■感想
 うーん。残念だけれど、「夏の庭(記事にリンクしてあります)」に比べてしまって読みおとりがしてしまいました。読んでいて、きちんと物語に入り込めなかった、逆に言えば引き込まれなかったというところが最大の敗因かもしれません。 最近の読み物にありがちな感じ。他人事や、ドラマをガラスのこちら側から見ているかのように、感情面でサラリと水のように粘り気少なく書かれているように感じるものも多く、この子供たちのその頃の熱い思い、願いが希薄に感じられてしまったことが残念でした。
 
 入試対策として読んでおくのだったら良いのかもしれない。ですが、同じような話としてオススメするならば私は夏の庭を推します。

May 25, 2006

魔女モティ

■著者 柏葉幸子
■星   ★★★★

魔女モティ
魔女モティ柏葉 幸子 講談社 2004-07-13売り上げランキング : 135,150Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 小学校五年生の紀恵は家出中。紀恵のきょうだいは、中二のお姉さんと来年小学校に上がる弟。紀恵は真ん中の子だ。お父さんもお母さんも「子供は何人いても、同じようにかわいい。」というけれど、 本当は同じじゃないから、同じように同じようにと言っているんだと紀恵は思っていた。だって...

■感想
 霧のむこうのふしぎな町(読書記録へリンク)をアマゾンで検索していたら、この本もイカガ?と紹介されていたので、気になった本。私は長女だけれど、真ん中の子の気持ちを、こういうこともあるのかもしれないと思いつつ読んだ。 子供の頃 「お母さんが心配してくれればいい」と思って家出したいと思ったこと、あったあった。 
 私がこの本を読んでいると息子が、「おもしろい?」と聞くので「おもしろいよ」と答えると「読んで」とのこと。最初の一章を夫と息子の前で読むと「ひどーい」と息子「それはひどいなあ」と夫。 紀恵ちゃん、みんな紀恵ちゃんが家出をしたかったわけわかったみたいだよ。。と思った。私ももちろん「それはひどい」と思ったからどんどん次を読んだわけだ。

 紀恵と同じ小学校5年生の女の子にピッタリの本だとおもうけれど、母親として自信をなくしているお母さんもなにか感じることがあるかも。同じ年頃の娘・息子をもつお母さんが読むとまた、別の感想がありそうだ。

May 15, 2006

霧のむこうのふしぎな町

■著者 柏葉幸子
■星   ★★★☆

霧のむこうのふしぎな町 (新装版)
霧のむこうのふしぎな町 (新装版)柏葉 幸子 講談社 2004-12-16売り上げランキング : 136,911おすすめ平均 starstar絵がなぁ・・・star子供の頃に読めばよかった!Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
お父さんに勧められて夏休み「霧の谷」に行ってみることにしたリナ。一人で電車をのりついで駅についてみたのだけれど、心細いことにそこでは「霧の谷」と知っている人はいないし、誰も迎えに来ていないのだった。

■感想
 「千と千尋の神隠し」の原作本として有名になたこの本、読み始めるときは、原作本だということは頭からとりはらって読んだ方が良いと思います。設定は似てはいるものの、別物のお話だと思って読むべし。中盤くらいまで千と千尋の影がちらちらと見えてきてしまい、かなり難儀でした。(まったく違う話だというのに)

 千と千尋を意識して読み始めた私も霧の谷について、仕事をもらうまでここを乗り切ればあとはとんとん拍子に進みました。

残念だったのは、絵。主人公の女の子はどうやらぽっちゃりしている子のようなのに、絵の女の子はだれがみても「ぽっちゃり」はしていない。絵のある本は、こういうところが気になります。 子供のころからそういう思いはあって、(子供の頃でこそそういう思いは強いのかもしれない)話はそれますが、 小公女のミンチン先生の目が「さかなのような目」とあったところに目が魚の形をしていたので、びっくり。。。という記憶まで出てきちゃいました。(小学校低学年〜中学年で読んだ本だと思うのだけれど、子供の頃の記憶ってすごいですね)
この記事を書こうと検索してみたら、表紙絵の違うバージョンもあるみたいです。

霧のむこうのふしぎな町 新装版
霧のむこうのふしぎな町 新装版柏葉 幸子 竹川 功三郎 講談社 2003-03-15売り上げランキング : 17,595おすすめ平均 starstar必要だから、出会えた・・・star思いでの一作star霧のむこうにはあなたのしらない町があったら…Amazonで詳しく見る by G-Tools

こちらはどんな感じなんだろう。

内容は、一つ前に読んだ裏庭よりももう少し対象年齢が低い感じ。小学校高学年とありますが、読める子は中学年くらいから読めると思います。どちらかというと感情移入しやすいから女の子向けかもしれません。

 一人で未知の世界に飛び込んでいくこと、飛び込んで、相手をみながら自分なりのやり方をみつけてみると最初は怖そうに思えてもうまく行くことも多いこと。 そういうことは生きていても多く遭遇することのような気がします。子供たちにはそういう思いを見つけてほしい。感じてほしいなあと思いながら読みました。
 なんだかだいいながら、おみやげのところでついホロリと来たのはやっぱり人の温かさを感じたからだと思います。

May 14, 2006

裏庭

■著者 梨木 香歩
■星   ★★★★

裏庭
裏庭梨木 香歩

新潮社 2000-12
売り上げランキング : 5,945

おすすめ平均 star
star一語一語が直接心に響く物語
star強さと脆さと優しさと
star梨木さんのお話は大好きです。

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■説明

「丘の麓のバーンズ屋敷に何か秘密があることは、当時その辺りのこどもなら誰でも知っていた。」
とはじまる。 主人公の照美の両親は、共働き。帰ってくるのはいつも十一時過ぎ。照美には双子の弟純がいたが、六年前に風が原因で肺炎を併発して亡くなった。

■感想
西の魔女が死んだ を読んだときにはそんなに印象が強かったわけではなかったので、とりたてて 裏庭を読みたいと思っていたわけではないのだけれど、なんとなく購入してしまったのがこの本。 ところが、この本は私の期待を良い意味で大きく裏切る本だった。 
 なによりも、一つ前に読書記録をつけた宮部みゆきの 鳩笛草の点数が低くなってしまったのは、この本を読んでしまったからだと思う。

 おもえば、息子がこの年になって本を読み始めるまでは、私はいまさら自分が児童文学を読むようになるとは思わなかったし、たしかに昔懐かしい本をもう一度読みたいと思うことはあっても、児童文学に はまっている人を 心のどこかで不思議に思っていたように思う。けれど、児童文学の世界を大人になってから体験してしまうとこれがまた目くるめく世界であり、大人が読む本の物語の薄っぺらさに驚いてしまう。 この本は、子供向けの本の中で私に印象深い本のひとつになった。

 だいたい、この本を購入したときには普通の文庫本で、児童文学だなんてゼンゼン意識していなかったのだ。ところが、物語の中盤で、あることが起こってから「あら?この本、こういう本だったの?」と軽く驚いた。

 この本は児童文学であると思う。でも、私は過ぎ去った子供の気持ちに立ち返って読むと同時に、親の視点でもこの本を読んだ。
裏庭での3つの国のオババたちの話も、もちろん、心に深く問いかけるできごとではあるのだけれど、それと同時に私は父の気持ち、母の気持ち、それから母の母の気持ちとさかのぼってそれぞれに感情移入して読んだ。特に、ほとんど脇役である父の気持ちにはつい涙が出てしまった。

さて、おばばたちの話は、ネタバレになるので、以下マウスで反転させて読んでください

アェルミラ
皆、だんだん無口になった。自分より他のものに関心がもてなくなってきたのだ。傷を負うことを恐れたのがそもそものことじゃ。

チェルミュラ 
傷が、その人間の関心を独り占めする。傷が、その人間を支配してしまうのだ。本当に、癒そうと思うなら、決して傷に自分自身を支配させてはならぬ。

そうして、サェルミュラでは。。

あとは読んでみてください。

April 12, 2006

鬼の橋

■著者 伊藤遊
■星   ★★★★★

鬼の橋
鬼の橋伊藤 遊 福音館書店 1998-10売り上げランキング : 97,542おすすめ平均 starstar思春期の頃の自分に読ませたいstar子どもより先に一気に読んじゃったstar油断してたら泣くぞ!!Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
貴族の息子小野篁は橋を渡ろうとしたところで、浮浪と思える身なりも汚い女の子に「橋にあやまれ」と頭ごなしに怒鳴られた。丁度1月前になくなった妹と同じ年頃の女の子だ。
橋の向こうは篁のつらい記憶のある場所。そこへ行こうとする途中だった。

■説明
 息子の読書記録をつけている子ども用の本のブログlocusにcatseyeさんからコメントいただいた知った本です。すごい本でした。福音館の本で、子ども用の本だけれどこの本は大人用といわれればそれで通用する本です。小学上級以上となっているので、5,6年生から読めるのかな。

 最初、数ページの導入部を過ぎてから主要な登場人物が出揃ったあたり。そのあたりから一気に憑かれたように読み進んでしまいました。何がすっきりとわかるわけでもありません。その見え隠れする何かを追い求めるように次へ次へとページをめくってしまいました。すごい本だと思います。
 主人公の篁は、迷いの真っ只中。やることなすことうまくいかない思いを抱えています。彼にはそうなる理由があったのです。しかしその橋の上で声をかけた女の子とのかかわりから彼はさまざまなことを体験し考え始めます。 なによりも、私には鬼の存在が大きくてたくさんのことを考えさせられ、そうしてないてしまいました。ただ、感動したことをここで書いてしまっては読む方の楽しみをうばってしまいそうなので書きません。でも、読んで損しないとても面白い本だと思います。息子が小学校高学年になったら必ず読ませたいです。図書館で借りた本だったのですが、新しいものを自宅用に購入しました。

April 05, 2006

つくも神

■著者 伊藤遊
■星   ★★★★

つくも神
つくも神伊藤 遊 岡本 順

ポプラ社 2004-11
売り上げランキング : 40,976

おすすめ平均 star
star古さと新しさと
star<なった>古道具たちの冒険物語
star古いものの良さ

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■説明
つくも神とは、長い時を経て魂を宿した道具たちのこと。ほのかの住むマンションで放火騒ぎがあった。同じマンションに住む口うるさい井上さんは、最近帰りがおそいほのかのお兄ちゃんが怪しいといわんばかりの言動をする。

■感想
 なによりも表紙のカエルに惹かれて手に取ってしまいました。袴をはいているのに、黄色い傘をかかえて走っています。本の内容は小学校5年生くらいから読めるものだと思います。
 物に対するいつくしみがあふれた良い本だとは思うのだけれど、表紙絵で私の想像が一人歩きしてしまい、つくも神たちが縦横無尽に活躍する壮大なファンタジーを期待してしまったので 内容にあまり入り込めなかったのが残念。
 でも、良く考えてみると、まだ時間や空間を行き来する本に慣れていない子たちが読むには丁度良いくらいの時間旅行・空間旅行かもしれないと思い直しました。
 身近なマンションが舞台というのもそういう子どもたちに入り込みやすい設定となっているとおもいます。

February 28, 2006

コララインとボタンの魔女

■著者 ニール・ゲイマン
■星   ★★★★

コララインとボタンの魔女
コララインとボタンの魔女金原 瑞人 中村 浩美 ニール・ゲイマン

角川書店 2003-06-28
売り上げランキング : 270,455

おすすめ平均 star
star面白いかも
star現実のユートピア
starおとうさん、おかあさん是非、一緒に読んでください。

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■説明
表紙裏の「誰にでもみんな、もうひとりのママがいるのよ、コラライン」というのにひかれて、なんとなく怖そう(だって、表紙絵の目もボタンなんだもの)だから気になって手にとりました。
ララインはお父さんとお母さんとで3人家族。自宅でコンピュータ関係の仕事をしているお父さんもあまり相手をしてくれない。お母さんはコララインの話なんてまったく聞いてない。料理もお父さんが作ります。いつもひとりぼっちで退屈しているコラライン。
ところが、家にあるふさがれたドアの向こうになぜか行ってしまってからは話は大変な方向に。ドアの向こうにはコララインの家と同じような家があり、そこには不自然に色の白い、ボタンの目をしたおかあさんがいるのです。

■感想
話はあくまでも淡々と 真っ白な顔のお母さんを思い浮かべるように静か過ぎて不気味な感じを湛えながら進みます。最近読んでいた「ハッピー」「かわいい」物語とちがって、「不気味」で「八方塞?」というお話。 でも、コララインはひとつひとつ自分で解決をしてゆきます。

なにげなく、息子にこの物語のあらすじを「こわいんだよぉ」と話してやったところ 「読みたい!」といいだしました。文字数からしても、話の展開からしてもたぶんまだムリだと思います。でも、怖い話、八方塞のように思える話って、私は昔どうして読んでいたんだろう。そういう困難を登場人物と一緒に物語の中でやっつけていたんだろうな。息子はそういう怖い話を読みながら、擬似的にその状況を乗り越えるという経験をしたいと思っているのではないかしら。

 最初のコララインの状況をよんだときは、忙しいときに「あとでね」と言う自分と、遊び相手のいない一人っ子のつまらなさを想像して、息子に対して大変申し訳ない思いをしたのだけれど、反対にある程度育った子どもたちは、大人の世界と切り離した状況が必要なのかもしれないと思いはじめました。
小学校に上がり、友達ができたら、大人が遊んでやるのではなくて、子どもが自分で考えて自分で解決するという経験が絶対必要だという気もしてきました。

 この話、読むだけだと多少退屈なところもあるのですが、映画になると大変怖そう。
偶然なんですが、コララインとボタンの魔女はどうやら映画化されるようです。

January 13, 2006

今夜は眠れない

■著者 宮部みゆき
■星   ★★★★★

今夜は眠れない
今夜は眠れない宮部 みゆき

中央公論社 1998-11
売り上げランキング : 228,294

おすすめ平均 star
star少年探偵団みたいな楽しい小説
star私は一番好きです。
star現実のつらさとあたたかさ

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■説明
中学生の僕は両親と3人住まいの中学一年生。そこそこ普通に成長して、大人の世界を垣間見るようになった年代の普通の男の子。ところが、その普通の男の子には驚くような出来事が。。友達の島崎が協力してくれて一緒に謎を解こうということになる。

■感想
 夢にも思わないを先に読んでから こちらも読みたいと探してきました。面白かった。最後の最後までこの真犯人はわからなかったなあ。僕と島崎の名コンビぶりをよむにつれ、楽しかった中学時代を思い出します。本当に中学生の頃この本を読んだらどんな風に感じたかな。
 私は夢にも思わないよりも、こちらの方が好き。 こちらも、もし文庫本を買うならば表紙絵がこの方をオススメします。なぜなら こちらにもパラパラマンガがついているから。(^^)

 とても楽しい本だけれど、さりげなくはっとするような表現がちりばめられているところも好きです。
「子供はすぐに大人になれるわけじゃない。煉瓦を積んで塔を建てるように、一日ごと、一時間ごとに積み上げられた経験が、喜びやかなしみが、子供を大人へと積み変えてゆく。」
 大人になれば大人になったでそれぞれの立場でこの本が読めそうなんだよなあ。
なんとなくじーんとした読後感の本でした。

December 09, 2005

夢にも思わない

■著者 宮部みゆき
■星   ★★★★

夢にも思わない
4122034132宮部 みゆき

中央公論新社 1999-05
売り上げランキング : 46,922

おすすめ平均 star
star切なさに感動できます
starやっぱすごい
star中学生むけ推理小説。

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■説明
中学生の僕と島崎は友達。だけれど、いつも島崎にはかなわないと思うことも多い。最近僕はクドウさんが気になっている。彼女が虫聞きの会に出かけると聞いたので、僕も行きたくておちつかない。

■感想
文庫本は他にも出ているみたいだけれど、この本はページ下がパラパラまんがになっていて、楽しい一冊。 パラパラまんがで、登場人物が中学一年生。 軽い気持ちで読み始めたのだけれど、
「民度が低い」という最近どこかで耳にした言葉が出てきて。ううむと。 そうしてラストまで読むと、なんとそんなことが。。。という結末。 自分がイイコになるためにすべてを人のせいにすること。自分の中の善悪の尺度で人を分けて考えてしまうことの恐ろしさをじっくりと考えさせられます。

 冒頭で、発生する殺人事件。この本は中学生がナゾをとく ミステリーです。 本を読むことに慣れている子どもだったら小学校高学年くらいからでも読めるかもしれません。基本的には中学生向けの本ではないかとおもいました。 でも、大人が読んでも十分面白いです。

前作の今夜は眠れないは未読。今度読んでみようと思います。

December 01, 2005

カナディアンサマー・KYOKO

■著者 村中李衣
■星   ★★★★

カナディアンサマー・KYOKO
4652004834村中 李衣

理論社 1994-01
売り上げランキング : 1,139,374


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■説明
主人公の杏子は、カナダに住む小学校中学年。家を借りる日本人家族との交流を交えての日常。

■感想
読み進めていくうちに あれ? あれ? と当然すでに語られているがごとくに出てくる描写に違和感を覚えながらページをめくると、だんだんと杏子の身の回りのことが理解できてくる。
 文章は登場人物の心情を説明することもなく、まるでガラス張りの向こうを覗きみているかのように、大きな波もなく淡々と進んでいるのは、江国香織の本のようで、オシャレな感じさえする。

 子どもがこういう本を読むのかなあ?とおもいつつ背表紙を見ると「童話パラダイス」とあり中にも振り仮名がついていることからやはり子ども向けの本であるようだ。

 もし、この中の登場人物にまったく自己投影することなくこの本を読んだら、もしかするとこの上もなく退屈な本かもしれない。刺激的な内容がざっくりと書かれているわけでもなんでもないのだから。
 でも、私は杏子の気持ちが少しわかるような気がしてつい泣けてきてしまった。 淡々となんでも器用にこなすKYOKOはたぶん思い切り心の中では背伸びをしているのだと思った。
 ひっこしていくふみさんに、まるでふみさんが子どもで杏子が大人でもあるかのように語る言葉、これは紛れもなく杏子が日々自分に言い聞かせている言葉ではないかと思えたのだった。

あとがきで、KYOKOが実在の子だと知った。

November 01, 2005

不思議を売る男

■著者 ジェラルディン・マコーリアン
■星 ★★★★★

不思議を売る男
4035404209ジェラルディン マコーリアン Geraldine McCaughrean 金原 瑞人

偕成社 1998-06
売り上げランキング : 38,749

おすすめ平均 star
star読むほどに引き込まれていく
star短編がよくて、ラストは未だによく理解できていません…。
star最高!

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■説明
エイルサが図書館であった男は風変わりな男。緑色のコーデュロイの上着を着て、ひじも脇の下もボタンホールのまわりもしわになってすりきれている。 男は「住所が証明できないと図書カードがつくってもらえない」「ちょっと貸してもらえないか」なんて言い出すし、どうやら男は副館長のレミットさんにも目をつけられているみたい。 どこから来たのと聞かれて 「リーディング」なんていうなんて。

■感想
 ひょんなことから母が経営する骨董品店に転がり込んできたMMC(緑の上着の男)のお話にひきこまれ、骨董を買っていく人たち。実は私もそのおはなしに引き込まれ、最初は怪しい人としかおもっていなかったMMCが、ステキな人のように思えてくる。彼の語る物語はバリエーションに富んでいて、魅力がたっぷり。全部で13章からなる本ですが、次はどんなおはなしかな?と待ち遠しくてどんどんページをめくっていってしまいます。
 以前 愛と哀しみの果てという映画を見たときに主人公の女性が、延々と長い話を暖炉の前で男性に語るという場面が出てきました。そうして彼らはそれをとても楽しみにしているという描写でした。
それについて、どこかで 「昔、イギリスでは、物語を語れるということは教養のある人だということなのだ。」と読んだ記憶があり、なるほど、そういう面で、彼女は男性からしても教養のある魅力たっぷりの女性だったのね。と納得した覚えがあるのですが、今ネット検索しても、残念ながらそのような記載にヒットしませんでした。 
 でも、愛と哀しみの果てだけではなく、たとえば、ピーターパンにしても、ウエンディが夜毎語る物語を子どもたちはとても楽しみにしていることなどからも、たぶんそのように思われていたのではないかなあと思います。  そういう点からみても、こんな風に自由自在に面白い物語を語れるMMCはやっぱりものすごく知的で魅力的な人物という想定なんだろうな。

 面白くて満足感がとても高い本でした。 小学校高学年から上を対象にしている本だと思います。
難しい漢字には振り仮名がついています。

October 30, 2005

魔法のゆび

■著者 ロアルド・ダール
■星   ★★

魔法のゆび
4566012336宮下 嶺夫

評論社 1986-07
売り上げランキング : 186,273

おすすめ平均 star
star楽しんで読めます
starほのぼのとしたお話です
starロアルドダールです

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■説明
主人公は8歳の女の子。魔法のゆびを持っているのです。彼女の打ち明け話。

■感想
これは、もしかしたらペーパーバックで読んだほうがよかったのかも。私としてはいまひとつ中途半端の感がありました。それほどたくさんダールの本を読んだわけではないけれど、ダールにしては常識派すぎるような気もしたし、教訓的な気もして。(あまりにもめちゃくちゃなストーリーだとそれはそれで心配になる親心なのですが) 。

 最近気になることは、日本語訳にしたときに、日本語の文体がたくさんありすぎて同じことを言うにしてもしっくりこない場合があるんじゃないななあということです(私は英語は苦手で自信がないのですが)

 たとえば、
「私は、狩りなんてだいきらいです。自分のたのしみだけのために、鳥やけものをうちころすなんて、良くないことだと思います。」 というのと、
「私は、狩りなんてだいきらい。自分の楽しみだけのために、鳥やけものをうちころすなんて良くないことだとおもうわ。」 と、読んだだけで読み手に話し手の人格設定がそれぞれ違う形でできてしまうような気がします。
 この本の場合は、女の子をもう少しいたずらっ子のような語りにさせたほうがおもしろかったのではないかなあなどと、英語が苦手なりに思ったりしました。やっぱり翻訳本には訳者との相性というのがあるように思います。 「マチルダは小さな天才」を読んだときには面白く読めたので、訳者の問題ではないかもしれません。

マチルダは小さな大天才 ロアルド・ダールコレクション 16
4566014258ロアルド・ダール クェンティン・ブレイク 宮下 嶺夫

評論社 2005-10
売り上げランキング :


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 以下ちょっとネタバレ
とはいえ、物語ぜんたいの流れではなくて、お隣の家族の一人一人の行動をみてみると面白いものがあります。大変なことになってしまうのに、あっという間にその環境になじんでしまうその姿をのぞき見ている楽しみというか。そういうのはありそうかも

たとえば、この物語が映画になったとしたら、おもしろいものになりそうな気もします。

ヴァン ゴッホ カフェ

■著者 シンシア・ライラント
■星  ★★★

ヴァン・ゴッホ・カフェ
403631050Xシンシア ライラント Cynthia Rylant 中村 妙子

偕成社 1996-11
売り上げランキング : 176,590

おすすめ平均 star
star魔法の時間

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■説明
カンザス州の昔劇場だった建物の片隅にある ヴァン・ゴッホ・カフェに起こるふしぎなできごとは、
ほのぼのと暖かい。という感じ。。

■感想
 名前に惹かれて購入した本。ゴッホの絵のようなドラマ性を期待して読んでしまったからか、少し今の私には物足りない感じがしてしまいました。
 昔に見た バグダットカフェという映画を思い出しました。これはとても好きだった映画。詳細をわすれてしまったのでまた見たい。

バグダッド・カフェ 完全版
B00008BOFQマリアンネ・ゼーゲブレヒト パーシー・アドロン

紀伊國屋書店 2003-04-25
売り上げランキング : 671

おすすめ平均 star
starじんわりココロにしみる名作
star近所に『バグダッド・カフェ』のない人へ
starアメリカ人には描けないアメリカ

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私には、この映画の方の印象がつよすぎて、似ていると思ったとたんに、こちらの本が色あせてしまったのかもしれません。

 大人が読める本ですが、ふりがながついているところから子供向けの本なのかとも思います。
シンシアライラントについては、メイおばちゃんの庭でもう一度チャレンジしてみたいと思っています。

 

October 19, 2005

西の魔女が死んだ

■著者 梨木香歩
■星  ★★★

西の魔女が死んだ
4101253323梨木 香歩

新潮社 2001-07
売り上げランキング : 1,751

おすすめ平均 star
star涙がこぼれる
starもうひとりの自分
star大切な想い

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■説明
 まいは母の迎えで学校から家に帰ることになる。 母は英国人と日本人との混血。まいは黒に近く黒よりソフトな印象を与える瞳のママの目が好きだ。 「何があったの」「魔女がー倒れた。もうだめみたい。」 魔女とは英国人の祖母のこと。まいは、祖母の元で暮らした日々を思い出した。
 中学生にあがったばかりの周りも自分も どう自分を扱ってよいか分からないほどもてあます時期、まいは学校へ行けなくなってしまった。

■感想
 残念ながらデリケートなその時期からは少し遠く離れてしまった私は、息子もまた、今度はその時期にまだまだ遠い年齢であるために まいの悩みがあまり張り詰めては伝わってこない。
おばあちゃんのいい味も、ちょっともどかしくうまく伝わらない。(外国人であるということがそれを少し救っていると思う)ちょっともどかしい結果になった。
 しかし、本の内容から少し離れて客観的にみてみると、たとえば 「おばあちゃん」のような 日々いきるためだけに生きている、そういう人とのふれあいは生きる意味を見失った人たちにとても重要な意味を持っているのではないかとおもう。
 考えてみると、父親は家族の生活のため働くということが第一の目的になっているかもしれない。 母親も家族の生活の足しに働いている場合もあるかもしれないし、家族の世話をするために生きている部分があるかもしれない。もしくはこのまいの母のように、なんとなくまだ娘時代のわがままを残しながら娘と自分のウエイトを測り損ねてしまっているかもしれない。 お金や名誉や地位というもののために働くのではなくただ、生きるためだけに生きる。生きることを楽しむ。そんな忘れている生活を思い出すことが全ての基本なのかもしれないな。などと思ったりもした。
 
 「西の魔女が死んだ」という題で、てっきりファンタジーなのかとおもいつつページをめくると、そこには
さらりとした文体の現在の日本が書かれている。ちょっとした違和感を感じつつ読み進んだ。
さて、読み終えた私は、おもったほどどっぷりと本のせかいに浸りこめなかったことを残念におもいながらも、ふと「西の魔女のように年をとりたいな」などと思った。
 自然にさからわず、どっしりとしかし敏感にものごとをとらえつつ。そんなステキなおばあさんになれるだろうか。 

October 15, 2005

コスモス マジック

■著者 田村理恵
■絵   朝倉めぐみ
■星  ★★★★(ステキな絵に★をひとつおまけ)

コスモス・マジック
4577022362田村 理江

フレーベル館 2003-10
売り上げランキング : 1,579,744


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■説明
ミセスグレースの得意なことはお掃除。スーパーに行く途中町でも評判の大きな家「コスモス邸」の前に「お手伝い募集」のお知らせをみつけたミセスグレースは、「この仕事、わたしにぴったりだわ」と今日の予定を変更し、お手伝いに応募することにしました。ミセスグレースには仕事をしなければならない理由もあったのですが、そのコスモス邸へでかけてみると。。。。
全てのページにイラストがあり、カラーイラストページの比率もとても大きい絵本と小説の間のような印象の本です。児童書です。そのイラストがオシャレで綺麗でかわいくて。女の子ならとても好きになりそう。中の漢字には簡単なものには振り仮名がついていません。

■感想
 小学校中学年以上を対象にかかれたものだと思います。テーマは「愛する人を信じて待つこと」みたいな感じ。 夢見る女の子?向けなのかも。 その年齢の女の子が家族にいないので今ひとつ子どもが読んだ場合が分からないので、わたしの感想を。

 全体に、ゆったりとした時間と幸せ(決して幸せだといえない状況であったとしても)を感じるお話です。信じて待つことの楽しさがじんわりつたわってくるような。絵の雰囲気・色合いもとても綺麗で、手元にあるだけでぱっと心が明るくなるような。 また、人と人?とのかかわりが暖かく、どんなときもこんな風にゆったり幸せな気持ちで暮らしていけたらいいなあなどと思う本でした。

October 14, 2005

メメント・モーリ

■著者 おの りえん
■星  ★★★★

メメント・モーリ
4652071965おの りえん

理論社 2001-03
売り上げランキング : 304,725

おすすめ平均 star
starメメント・モリ・・・生きるための思想
star一味違ったファンタジー

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■説明
メメント・モリとはご存知の方も多いでしょうが、「死をおもえ」との意味。
すぐかっとなるたちと自分のことを言うお母さん、けれどお父さんが怒らないようにもくもくと家事をこなす画家のお母さん。なんでも自分のやることが一番で

「いいか。百人の人がいたら大切なのはたった一人の特別な者だけだ。あとの九十九人は自分の頭で考えたりできない。愚衆ってやつだ。トップは一人でいい。あとは、その一人についていけばいい。そしてお前は、その選ばれた一人の方だ。
わが家はそういう家系なんだ」 

というのが口癖のお父さんがほほの家族です。
さて、ところが 主人公の ほほ(名前です)は、その親の期待に押しつぶされそうになってしまいます。自分が親の期待にそえるような子ではないという思いがあったのです。

■感想
 対象年齢は子どもに親のあらが見えてきて 「いやだな」と思うところが増えてくる頃だと思います。残念ながら私はそれをとうに通り越してしまったので、その辺の思いが薄れていてなかなか物語に入り込めませんでした。中盤くらいまでは、まるで「千と千尋の神隠し」のような展開です。なんとなく、面白いというよりも借りたから読みきりたいとおもう気持ちで読み進んでいた私ですが、残り三分の一くらいになり、突然一気に読み終えました。

 読み終えての感想は、大人にも感じるところの多い本であるということです。

「守るものがあればあるほど、人の中には恐れがふくらむのよ。」
  友達になった水の鬼の叔母にあたる人がほほに言います。彼女はうまれつき目も良く見えなくて体も弱かったのです。 だから彼女は水の鬼から薬草の鬼になったのだということ。
 「人はときどき、考え違いをするわ。弱さを取り払ったところに、本当の自分があるって。でもね。ほほ、弱さはその人の始まりよ。取り払うことはできないし、取り払う必要はない。その人の芯」

ほほの旅と一緒に、大人も時間をさかのぼり、子どものころ解決しないまま忘れ去っていた自分の思いを片付けることのできる本ではないかと思いました。
 
 
 

October 08, 2005

夏の庭

■著者 湯本 香樹実
■星 ★★★★★

夏の庭―The Friends
4198613591湯本 香樹実

徳間書店 2001-05
売り上げランキング : 44,958

おすすめ平均 star
star現代世界文学のスタンダード
star年齢を問わずおすすめ
star色褪せない物語

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■説明
小学校6年の夏、でぶの山下が学校を休んだ。おばあさんが亡くなってお葬式へでていたらしい。いままで想像の世界でしかなかった 「死」というものに遭遇した主人公たち3人はそれから怖い夢を見たり 死とはなんだろうと突き止めたい思いに駆られる。
 河辺は、近所にすんでいる死にそうだと思われる一人暮らしの老人の死ぬところを見ることで死とはどんなものかを知ろうとボクと山下に言う。気が進まない僕と山下。しかし、死について思いがまさり、僕たちは老人の家を見張ることにした。
 どこの町にでもありそうな一人暮らしの老人の家はゴミ袋が詰まれ、住んでいる老人は夏なのにコタツに入ってテレビばかり見ているようだ。

■感想
たぶん小学校高学年から中学生あたりを対象として書いた本だと思われます。
テーマとしては12歳の少年たちの忘れがたい夏ということで 映画「スタンド・バイ・ミー」みたいなものかな?と軽く読み始めたのです。ところが、スタンド・バイ・ミーは見た当時私はあまり感動しなかったけれどこの本はずっしりと心に響きました。

 子どもたちからすると 老人はただ未知のものであり自分の世界には存在しないような存在だったわけです。もちろん相手は赤の他人で言葉をかわしたこともないわけですし。当初は動物でも見るかのように老人に接していた彼ら。
 老人も長い間世間から隔絶されて(いえ、自分から世間を隔絶して)生きてきて、その仲間はずれ感になれきっている。身の回りが皆敵だとでも思っているかのようなそういう気持ちになっている。

 その老人と子どもたちが出会って、だんだん話をしはじめた。 それによって、老人を人として認めはじめる子どもたち。 そういうかかわりを通して 世捨て人だった老人がまた 一般社会の一員として認められていく様子。 そうして、子どもたちの老人への思い。
 老人とかかわることで、その老人とだけでなく、彼らの世界は確実に広がっていきました。
いままで、家族と友達だけしかいなかった自分の世界に、「その他」としてしか認識されていなかった人々が皆生き生きとそれぞれ「一人の人」として認識されます。 

 

そんなにたくさんの思い出がこのふたりの中にしまってあるなんて驚きだった。もしかすると、歳をとるのは楽しいことなのかもしれない。歳をとればとるほど、思い出はふえるのだから。そしていつかその持ち主があとかたもなく消えてしまっても、思い出は空気の中を漂い、雨にとけ、土にしみこんで、生き続けるとしたら...

子ども向けの文学ではあるけれども、大人の私が読んでも、老人・戦争・死ぬということ などたくさんの思いを引っ張り出して、そうして あらたな想いへと導いてくれた本でした。
これも、 手元においておきたい本。 児童文学ってすごいなあと、思う一冊です。
 

October 06, 2005

みどりのゆび

■著者 モーリス ドリュオン
■星 ★★★★

みどりのゆび
4001141019モーリス ドリュオン Maurice Druon 安東 次男

岩波書店 2002-10
売り上げランキング : 32,865

おすすめ平均 star
starだれかにプレゼントしたくなる本です
star40年のロングセラーの意味。
starとても考えさせられる本

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■説明
 何不自由ない裕福な家に生まれたチトは美しい子でした。父の仕事をつぐために小さい時から特別な教育をうけさせられることになりますが、なかなかお父さんのおもうようにはいきません。
ある日のこと、植木鉢に種を植えたところ、あっという間に植物が育ち花が咲きました。
 チトは隠れた種を発芽させて立派に育たせる「緑の指」の持ち主だったのです。

■感想
「園芸がすき」 と言う人に有名なこの本「みどりのゆび」を初めて読みました。 てっきり植物を育てるのが好きな園芸家の話だとおもっていたのです。 冒頭の部分にある

「うつくしいということは、チト(主人公の緑の指の持ち主)にはごくあたりまえのことでした。」「チトの両親はふたりとも、本当に綺麗でした。だから、いつも二人を見ているチトには、うつくしいということはあたりまえのことで、みにくいことのほうがむしろ例外か、それともいけないことのようにおもわれたのです。」「おとうさんとおかあさんはすごいお金持ちだったのです」

 という文を読み、私が思っていた筋と違うことに気づき、このままこの物語が進んでいくのだったら私は最後まで読めるだろうかと心配になりました。
 お金と美貌に恵まれた人生。 皆それはうらやましいと思うことだと思うけれども、今の私は今のままの生活で十分満足しているし、それについての私から見た価値というのはさほど高いと思っていないから、そういうことばかりをならべたてた本は読む気がしなくなるのではないかとおもったのです。

 ところが、読み進むにつれて、ただの「子供向けの童話」ではないことに気づきます。
強烈な平和へのメッセージが感じ取られるだけでなく、深い洞察力にみちた本だったのです。

小さなチトはおぼつかない子どもです。しかし彼の澄んだ目と穢れていない心は大人たちが見失っている真実をみのがしません。ありのままにとらえ、自分が信じる通りに行動します。

心に残る、手元におきたい一冊になりました。

June 29, 2005

ミミズのふしぎ

■著者 皆越 ようせい
■星 息子 ★★★★★
    母  ★★★★★

4591081729ミミズのふしぎ皆越 ようせいおすすめ平均 starstarすごいぞミミズ
曲名リストAmazonで詳しく見る by G-Tools

■こんな人にオススメ
 生き物が大好きな子どもさん。大人も。
 自然界のことに興味のある人

■説明
 文字はひらがな・カタカナ。一ページに10〜100文字程度。 小学校1年生か、年中・年長にも読める本だと思う。最後のページにふりがな付の著者の言葉が載っている。
中は写真が豊富。 身近なはずのミミズがまるで怪獣のようにスゴイ迫力で迫ってくる。と、同時にミミズにまつわるたくさんの知識がつめこまれている。

■感想
母一人入った書店で、表紙のミミズのあまりの迫力につい中を見てしまった。なかなか見られないミミズの生態が豊富な写真とともに紹介してある絵本(図鑑と見ても良いかも)

日頃本を読むのをおっくうがる息子が、自然に手にとり最後の著者の言葉までさっさとよみきってしまった。母は母で、ミミズの不思議な生態にあらためてびっくり。卵のことなど以前も聞いたことがあったような気もするが二度驚く。思っていたミミズと違う食事中のすがたにもビックリ。

 子どもの知的好奇心も満足するが、大人の知的好奇心をまんぞくさせるようなそんな本です。

April 20, 2005

ふたりはともだち

■著者 アーノルド・ローベル
■星 ★★★★

ふたりはともだち
アーノルド・ローベル

文化出版局 1972-01
売り上げランキング : 6,743
おすすめ平均

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■オススメなのは
よみきかせ:少し長い物語を楽しめるようになった年齢
自分で:少し長い物語を自分でよめる年齢
ちなみに、2年生の教科書に載っていたそうです。息子は2年生にあがったばかり。一年生の後半に2年生の学習発表会で見たそうです。
 のんびりほのぼのと少しおかしい 話し。男の子にも好まれると思います。

■説明
がまくんとかえるくんは ともだち。 二人のほのぼのとした生活が短編になって10ページ程度の話が5編入っています。 漢字とカタカナにはふりがな付きです。各ページには3色刷りの挿絵が入っています。絵本から少し長めの本にチャレンジしている年齢に良いと思います。

■感想
以前、絵本の読み聞かせをするくらいの年齢の息子に、親の方の気がはやって購入したものです。息子に読み聞かせようとしたら、その当時は長すぎたようで、まったく興味を示しませんでした。
私も最初の1話を読んで「又今度読もう」と思い、お蔵入りになっていたものを、先日息子がみつけだしてきて読んでくれました。
「きょねんがくしゅうはっぴょうかいで、このおはなしをきいたことがある」という理由です。絵を見たことがあったのだそうです。(味のある素敵な絵です)

 自分で読むと(大人ですから)たいしておもしろくないできごとなのに、息子に読んでもらうとおもしろいことおもしろいこと。 読んでくれたのは「おてがみ」という編です。 自分で本を読むということと人に読んでもらうということが違うものだということを身をもって知りました。

 子どもさんと読んでやったり読んでもらったり この時期しか楽しめないコミニュケーションをとるのにも良いと思います。

話はゆったりとしたテンポですすみ、大きな事件があるわけではないけれど、なだらかな山があり、少しおかしい 友だち二人のはなしです。

March 08, 2005

キスなんてだいきらい

■作者 トミー・ウンゲラー
■訳  矢川澄子
■星 ★★★

キスなんてだいきらい
トミー・ウンゲラー 矢川 澄子

文化出版局 1974-01
売り上げランキング : 46,938
おすすめ平均

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■説明
やんちゃなパイパーポーの一日。表紙のむすっとしたネコが そのパイパー。キスがきらいなのは。
もちろん。パイパー

■感想
トミーウンゲラーを検索していて この黒地に黄色の字の表紙に一目で惹かれて、そうして、「キスなんてだいきらい」という題に惹かれてつい購入してしまった絵本。
 表紙のむすっとしたネコが愛らしい。スッキリしたデザインがすごく素敵。
パイパーのいたずらっ子ぶりがこれまた半端でなくて面白い。 残念なのは私は女の子で、やんちゃじゃなかったから パイパーの気持ちにいまひとつ同化できないんだなあ。
 きっとやんちゃだったら。男の子だったらもっと気持ちがわかると思うんだけど。


March 07, 2005

しあわせいっぱい荘にやってきたワニ

■作者 アーシュラ・ウイリアムズ
■絵 堀川理万子
■訳 吉上恭太
■星 ★★★★

しあわせいっぱい荘にやってきたワニ
アーシュラ・ウィリアムズ

福音館書店 2004-01
売り上げランキング : 57,634

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■説明
ふなのりのジョリーゴライトリーさんの下宿は しあわせいっぱい荘。大家さんはミネアポリスさん。
ミネアポリスさんはそれは親切で素敵な大家さんです。ジョリーゴライトリーさんは色々な国のおみやげを買ってくるのですが、ヘンテコなものが多くて。。。。

■感想
「へびのクリクター」の路線と似ているかもしれない、ちょっとヘンテコでほのぼの のんびりした話。
私は結構好き。息子も興味しんしんで聞いていました(読み聞かせしました)。
小学校低学年向きとなっています。 ヘビのクリクターよりも若干ページも文字も多いので自力で読むには小学校1年生は、本好きの子。平均的には小学校2年生くらいからが良いかも。
全部のページに挿絵がありますので、絵本の延長のように読むことができます。
 
 ストーリーののんびり平和な雰囲気も魅力ですが、絵も魅力的!この感想を書くまでは日本人が挿絵を描いているとは気がつきませんでした。
色合いがとても綺麗です。 緑色の椅子にこしかけた深い赤色や、渋いオレンジ色のミネアポリスさんの洋服の色。 青いオウムと消防士たちの黄色い帽子、グレーの洋服。絶妙の色あわせがこれまたここちいいです。

 なによりも嬉しいのは、挿絵がきちんと物語にそって描かれている事。ときどき、本の内容と挿絵が違うものもあるんですよね。 たとえばミネアポリスさんへ買ったお土産のビーズの腕輪とか 小物がきちんと描き込まれているところもとても嬉しい。
 しあわせいっぱい荘があまりにも気持ちよさそうな下宿やなので、読み終わるとああ、住んでみたいなあなどと想像を膨らませるのも楽しい本です。
 
 

March 03, 2005

へびのクリクター

■文・絵 トミー・ウンゲラー
■訳 中野完治
■星 ★★★★★
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へびのクリクター
トミー・ウンゲラー 中野 完二

文化出版局 1974-03
売り上げランキング : 26,044
おすすめ平均

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■説明
フランスの小さな町に住んでいるボドさんの息子が送ってきた丸い箱の中にはいっていたのはなんとヘビ。味わいのある絵柄が 3色刷りにぴったりとあっていて素敵な絵本です。
字が少なく、カタカナと簡単な漢字(ルビ付)で書かれていますから小学校1年生くらいが自力で読むのに丁度良いと思います。読み聞かせならばもう少し小さい子どもさんにも理解できると思います。

■感想
息子はそこそこ気に入った様子なのですが、それにもまして親の私が大好きな絵本です。絵柄も色も味わいがあってオシャレ。 作者は絵本「すてきな三にんぐみ」で有名です。
なんといっても、素敵なヘビ! ユーモア溢れる展開と、そうして読み終わったあとにほのぼのと幸せになるところが大好き。

November 03, 2004

木の実ノート

■著者 いわさゆうこ
■出版 文化出版局
■星 ☆☆☆☆☆

木の実ノート―みつけてうれしい あそんで ゆかいな 文化出版局

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■説明
どんぐりノートとおなじシリーズの木の実版です。
町をあるいていてふと目にとまった木の実。「何の実だろう。」と思うことありませんか?
 よく目に触れる木の実をピックアップしてあります。

やまぼうしの実でジャムをつくる、 エゴの実であわ遊び。ムクロジでシャボン玉。
アオギリやボダイジュの実のつきかた。どれも興味深く読むことが出来ます。リアルで遊ぼうでも実際にやってみたら報告しようと思います。

どんぐりノート

■著者 いわさ ゆうこ 大滝玲子
■出版 文化出版局
■星 ☆☆☆☆☆
どんぐりノート―ひろってうれしい 知ってたのしい 文化出版局
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秋といえばどんぐり。ところが、どんぐりって身の回りに良く知っている人がいないとつきつめて「何の実か」というのがわからなくありませんか? 小さい頃から すっきりしたのはただのどんぐり。ころんとしたのは「くぬぎかなあ」と思っていても、本当の名前はわからず終い。

そのどんぐりの見分け方・どんぐりでの遊び方など幅ひろく子どもにもわかりやすい記載がすばらしいと思うのです。


 特に似通ったどんぐりについてそれぞれの葉が実物大で写真としてのっており、見分け方が載っています。子ども用の絵本だと侮ることなかれ。まず最初のページはそれぞれの属から説明してある、とてもきちんと知識を整理した本なのです。

 たとえば、クヌギとアベマキの見分け方。コナラとミズナラの見分け方。 写真や絵でわかりやすく説明してあります。

 ドングリの工作や豆知識、食べ方まで載った本なのです。絵を見ているだけでも楽しいし、隅々まで読んでドングリ博士になるのも良いかも。

October 29, 2004

The Haunted Castle

■著者 Leo Hatras , Miriam Farbey , Nicholas Turpin
■星 ☆☆☆☆☆
The Haunted Castle: An Interactive...
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■説明
大判サイズの絵本形式のインタラクティブアドベンチャーブックです。
それってなに? 最初にシンボルマークを選んでストーリーを追うと、それぞれ展開が違ってきます。
正しいマークでないとラストにたどりつけないというしくみになっています。

■感想
少し対象年齢は高め(9歳から)です。中には緻密な絵が書かれていて何回みても新しい発見があるようで、飽きません。ストーリーはおどろおどろしく進み最後はあっと驚く結末が。
何度も遊べる本です。息子はものすごく気に入っています。
ハロウインに向くなあと思い、引っ張り出してきました。

Tell Me a Scary Story but Not Too Scary

■著者 Carl Reiner, James Bennett
■星 ☆☆☆☆☆
Tell Me a Scary Story but Not Too Scary...
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■説明
子供用の絵本に効果音つきのCDがついています。表紙からわかるように、怖い話。でも怖すぎないはなし。どんな話なんでしょう。

■感想
子どもはなぜか怖い話が好き。実は私も好き。絵もおどろおどろしくて不気味な様子をかもしだしています。 途中何回か、大丈夫か?怖すぎないか?続けるか?と 子どもに問いかける場があり、それがまたうまい具合に怖さを盛り上げる効果があるように思います。
 ハロウインにぴったり。私は読んだあとにハロウインのアレンジメントの横において玄関に飾っています。
ハロウイン気分が盛り上がりますよ。

August 26, 2004

もえるイロイロ島

原題 ★くまのチロ吉ものがたり★ もえるイロイロ島
作者 沖井千代子
絵  田畑精一
星 ★★★★★

説明
広島の町に住んでいる ジュン・ケン・ミミコは友達。ミミコはいつもぬいぐるみのくまのチロ吉をつれている。今日は、ミミコがお母さんからセロファンをもらったので、それをもってジュン・ケンと会った。
公園にいるおじいさんに、船を折ってもらおうと思ったのだが。

感想
子どもの頃に読んで好きで好きでたまらなかった 3人と1匹の冒険物語。
子どもが私が読んだ年齢に近づいてきたのでいても立ってもいられなくなり探しました。ところが、絶版。
 図書館にあるとのことで夏休み。図書館で書庫の中から探し出し、家でよみなおしてみました。

 物語の最初の部分など、今では使われない単語やあまりなじみのない単語ががひしめいていて、子どもがそのまま理解するには多少のハードルがあるかもしれないものの、物語の要素として、大変充実していることにあらためて気がつきました。
(例)「えんさき(縁先)」:縁側がある家は今ではまれではないでしょうか。「足踏みミシン」「遊園地」:これは今でいう公園のこと 「遊動円木」:これは私にもどういうものかわからないので検索してみました。(2つの支柱の間につるした鉄製の板に子どもが座り、ブランコのように揺らす) など。

 子ども達は、なにか特殊な能力があるわけでもない、小さな約束も破ったことがあるようなただ普通の子ども達。その子ども達が巻き込まれた冒険の旅で、ぬいぐるみのくまを含め、一生懸命おかれた状況を打開しようと力をあわせて考え、行動します。
 また、心理描写がとても豊かで、大人になった今でも、チロ吉と子ども達3人の仲間になってイロイロ島探検をしているかのような気分で本を読みすすめられます。
 表紙裏の単純な地図は、物語が進むにあわせて何度も何度も見た覚えがあります。息子に読んでやるときも、息子は何度も表紙裏地図をみながら物語を楽しみました。

今回読んでみてなによりも驚いたことはネタバレに繋がるので、色を変えますね。

なによりも驚いてしまったのは、その冒険で勝利を勝ち取るまでに犠牲者がでてしまいます。
つまり人の死というのがかかれているのです。 最近私が読んだ子ども向けの本には、人間の死というものは書かれているものはありませんでした。 昔話でさえ、人が死ぬという描写を抜かしてしまうというこのご時世。しかし、現実は人間は些細なことで死んでしまう生き物なのです。 ただ「残酷な描写をなくす」「死を描かない」ということが本当に子ども達のためになるかというと今の私にはそうは思えません。
  仲間の死を本の中で疑似体験し、悲しい思い、やりきれない思いそういう思いを疑似体験することも必要なのではないかと思うのです。

 今の子ども達は、核家族化が進み、死を身近に体験することは以前よりももっと少なくなりました。
そうして、体験する死は、幾ら殺しても大丈夫な死や、自分はヒーローで悪者を殺すという死ばかりです。 取り返しのつかない命を知り、命の大切さを知るという貴重な擬似体験は本からも奪われつつあるのではないかと思ったのです。

 死の描写をさける一方で、敵や架空の生物をどんどんと殺していくゲームや、どんなに攻撃しても相手が死なない(力を失うだけで、再挑戦ができる)ゲームが増えていくのは問題なのではないだろうかと、この本のなかで登場人物の死に涙を流しながら感じました。 実際の人間の死とは取り返しのつかないものなのに。

魔法も使えない、特殊能力のない普通の子ども達が力をあわせて困難をのりこえていく物語。
私がこの本に★を五つもつけたのは単なるノスタルジーだけではないと自負しています。
 復刊してほしいと思います。

もし、復刊にご賛同いただける方がいらっしゃいましたら、下のリンクで復刊リクエストをお願いします。
http://www.fukkan.com/vote.php3?no=21950復刊ドットコムです。
ユーザー登録は住所など未記入でも出来ますので、よろしくお願いします。

March 20, 2004

おどるサボテン

■著者 川端 誠
■星 ★★★★
おどるサボテン

■説明
植物園に住んでいるサボテンたちのハッピーな一日

■感想
絵もかわいらしくて、大人もたのしめる素敵な絵本。
続編のサボテンたちのゆきあそび と共に子供も大人も大好きになれる絵本です。


サボテンたちのゆきあそび

■著者 川端 誠
■星 ★★★★
サボテンたちのゆきあそび
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■説明
おどるサボテンの続編。
サボテンのマルティたちが、雪遊びをします。

■感想
絵もかわいくて、発想も素敵。
植物園って、もしかしたらこんなことあるかも?なんておもえるとてもハッピーな絵本。
子供も大人も大好きになれると思います。
サボテンたちがつくったゆきだるまがこれまたキュート。

January 19, 2004

ジャッキーのパンやさん―くまのがっこう

監督【著者】 あいはら ひろゆき
出版社 PICT.BOOK
★★★★
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説明
くまのがっこうシリーズです。
末の妹ジャッキーはお兄さんたちとパンをつくることにしましたが。。。

感想
 カタカナとひらがなまじりの本で思ったよりも文が長かったので一人で読めるかどうか心配したのですが、話の展開がおもしろくて子供が楽しみながら読めるようです。
 (大人も読んでいて楽しかった。)絵もずいぶん可愛くてお母さんもかなり気に入りそう。

くまのがっこう

監督【著者】 あいはら ひろゆき
出版社 PICT.BOOK
★★★★
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説明
兄弟のくまのこたちと、一番下の妹(一人だけ女の子)ジャッキーの物語。

絵もかわいらしく、細かいところまで書き込まれていて見ても楽しめる。


感想
 言葉の面白さのわかりはじめた子供にこの話の展開が楽しめるようです。

少しだけ字の多めの絵本です。自分で読めるようになったころによさそうです。

May 02, 2003

こんとあき

監督【著者】 林 明子
出版社 福音館書店
★★★★★
こんとあき日本傑作絵本シリーズ
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説明
ぬいぐるみの狐の「こん」と「あき」という女の子が おばあちゃんの家に行く。

感想
字もさほど多くないので、絵本や言葉に興味を持ち始めたころから(3歳前後くらい)読み聞かせできる絵本だと思います。

子供にも男女の好みの差があり、本によってはまったく興味を示さないものもあるのですが、
この本は 主人公は女の子ですが、電車などが出てくることにより、男の子でも楽しめたようです。

子供だけでなく、大人にも人気の高い本のようです。

ロバ耳の2002年7月に書きましたが、この本を
大王に読んでやっていて、私は声がつまって泣いてしまいました。

他の方は別の印象を持たれたように聞いています。

それぞれ、今置かれている立場、昔の記憶などから心うごかされるような良い本だと思います。

続ぼくを探しに ビッグオーとの出会い

監督【著者】 シルヴァスタイン  訳 倉橋由美子
出版社 講談社
★★★★★
The Missing Piece Meets the Big O
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説明
ぼくをさがしに の続編で 
今度は 自分で転がれない かけらの物語です。

感想
こちらも、ぼくを探しにと同じように 大人のほうが感じることが多い絵本だと思えます。

ぼくを探しによりもこちらの本のほうが私は好きかもしれません。

子供にはまだ読んでやってないですが、たぶんこれも、筋よりも絵の面白さや
言葉の楽しさなどを味わうことになると思います。

ぼくを探しに

監督【著者】 シルヴァスタイン (倉橋由美子訳)
出版社 講談社
★★★★★
ぼくを探しに
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説明
「だめな人とだめでない人のために」

自分のかけらを探しに ぼくは旅にでます。


感想
一時かなりブームになった本らしいです。

欠けた円のぼくが 自分のかけらを探しに出た旅の絵本です。

子供にはよんでやっていませんが、どちらかというと大人のほうが 共感する部分が多いと思います。

多分、子供によんでやると筋よりも 言葉のリズムや 形の楽しさを楽しむことになると思います。

ごめんねともだち

監督【著者】 内田麟太郎 /降矢奈々
出版社 偕成社
★★★★★
ごめんねともだち
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説明
おおかみは ともだちのきつねと 些細なことでけんかしてしまいました。
ごめんねのひとことがいえません。

感想
ともだちくるかな と同じシリーズの本で、この2冊が特に私は好きな本でした。

子供には、お友達との接し方というお話なのですが、大人が読むと、身につまされて
じ〜んとしてしまうような そういう話です。

ともだちくるかな

監督【著者】 内田麟太郎 /降矢奈々
出版社 偕成社
★★★★★
ともだちくるかな
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説明
おおかみは きつねと ともだちになりました。
今日はおおかみの誕生日。きっと来ると思っていたきつねが なかなかきません。

感想
大胆な絵と色使いの綺麗さが話をひきたてていると思います。

もちろん内容もオススメです。
子供はこの話を絵の楽しさや、内容については軽々とうけとめて 楽しんでいるようですが、

何歳になっても 大人になっても感じることのある そういう気分をさらっと書いていて
気持ちが安らかになるような気がします。