■著者 角田 光代
■星 ★★★
夜をゆく飛行機 | |
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■説明
4人姉妹の末っ子里々子の家は古くからの商店街にあるような酒屋。何の変哲もない、なにごともおこらないような一家。普通にある生活を普通の子である里々子の目を通して、ガラス1枚へだてたところからから描いたような物語。
■感想
普通のようでありながら普通でない物語のありようは、まるでテレビドラマ(ホームドラマ)を見るかのような展開で楽しめた。家族とのかかわり、人とのかかわりを意識するような年頃になって、恋愛やらも経験し、そうして人に傷つけられ、人を傷つけ。。
描いてあることはよく考えてみると一般の人だれもが経験するようなことではない。(だって、4人姉妹というのも今時はめずらしい)けれど、一瞬この話はどこにでもある物語のように妙に身近な感じがする。 大きな起伏があるわけではなく淡々と進む物語に妙にひきこまれてしまうような不思議な味わいの本だった。
■著者 綿矢 りさ
■星 ★★★★
蹴りたい背中 | |
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■説明
さびしさは鳴る。自分や自分のまわりの高校生をさめた目でみつめる自分。そうして、周りに迎合できない自分の寂しさ。
■感想
最初の1段落目、ニュースな本棚によると、
三浦哲郎 けれども、この人の文章は書き出しから素直に頭に入ってこなかった。たとえば『葉緑体? オオカナダモ? ハッ。っていうこのスタンス。』という不可解な文章。
という選評もあったということだ。実は私もこの最初の一段落を読んで「読めないかもな。。」と思った。 まさに三浦哲郎さんと同じ部分で意味不明な文だと思い、次にもう一回間をおかずにスタンスという言葉が出る部分まで、いまひとつよく分からない。なぜここがわからないかというと、このハッという言葉がどういう感情なりを表しているのか想像がつかないから。 ハッ。っていうこのスタンス。といわれてもどんなスタンスだかよくわからないのだ。
上でリンクしたニュースな本棚では、三浦哲郎さんが72だから?という話にまとまっているが、まあ私はまだまだ70には程遠いが、若者文化のわからない輩の一人なのであろう。
文章力、説明力の低下から擬音語、擬態語を多用してしまうのが、最近の若者であると聞いた事があり、まあそれからすると、この文章ひとつで、この主人公の年代が分かるといえば分かるのだけれど。。
芥川賞受賞作だとはいえ、しょっぱなからこの様子だったので、この本にはまったく期待していなかった。でも、読んでみて思ったのは、ものすごく周辺描写が上手い。(最近の若者らしからぬ?)
たとえば、
ここは一人用のお部屋だ。空気が部屋の持ち主一人分しかなくて苦しい。と、他人の部屋にあがりこんでしまい、所在ないときの様子が書き表されていたり、
たとえば、駅前の無印良品にバレー部の遠征に出かける前に立ち寄った違和感は、
運動靴の底にこびりついている砂が歩く度に磨かれた床に零れ落ちてゆく
主人公は、人に迎合することなく周りの子たちが皆くだらなく幼く見えてしまう時期なのだろう。だから、孤独感に苛まれる。この本は主人公の孤独が最初から最後まで書かれている。そうして、その孤独は凶暴に殻をやぶりたいと思っているのではないのかな。。それが蹴りたい背中。 恋はアリエナイと私には思えたのだけれど。 どうだろう。
■著者 畠中 恵
■星 ★★★
アコギなのかリッパなのか | |
![]() | 畠中 恵 実業之日本社 2006-01-14売り上げランキング : 128560おすすめ平均 ![]() ![]() ![]() ![]() |
■説明
政治家事務所手伝いの佐倉聖が見る、事務所に持ち込まれる摩訶不思議な相談事のウラには。。
■感想
一つ前のねこのばばと同じく畠中恵の作。で、チョット合わなかった。。政治家事務所というイメージが私にとって悪すぎるのかなんなのか、設定がいまひとつ楽しめなかったところが残念。
謎解きとしてはチョット甘いようにも感じるし、読みながら不完全燃焼だったので本当に残念。
アコギ具合もリッパ具合も、もっとはっきりしていることを期待してしまうんだなあ。
私は 登場人物がいい人すぎると感じているのかもしれない。
■著者 畠中 恵
■星 ★★★
ねこのばば | |
![]() | 畠中 恵 新潮社 2004-07-23売り上げランキング : 89152おすすめ平均 ![]() ![]() ![]() ![]() |
■説明
虚弱体質で病気がちな若旦那には妖怪の血が混じっているので、他の人には見えない妖たちがまわりにはうじゃうじゃ。もちろん普通の人たちにはそれは見えないのだけれど。そうして、その妖怪たちの若旦那思いのこと。手足となって働いたり、若旦那の身を案じたり。怖い妖怪ではなく、かわいらしい家来たちとしての妖怪がどどんと出る時代物
■感想
んんんんんんんん。期待が大きかったので、残念。
時代物+妖怪+謎解き とくれば私のツボではないかと思ったのだけれど、この分野、好きだからこそ辛めの点数になってしまうのかもしれない。
妖怪との関係とくれば 夢枕獏の「陰陽師」、「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」このあたりがものスゴーク面白かったなあ。とか、わけのわからない事件の謎解きならば、都筑 道夫 の「なめくじ長屋シリーズ」じゃないかしらとか。ついつい好きな本と比較してしまって残念でした。
たしかに、身の回りにマスコットのような妖怪がきゃわきゃわとついていたら可愛いだろうなあと思いつつも、やっぱりこればっかりは。。