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April 28, 2005

コールドスリープ

■著者 飯田譲治 梓河人
■星 ★★★

コールドスリープ
飯田 譲治 梓 河人

角川書店 2002-11
売り上げランキング : 310,808
おすすめ平均

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■こんな人にオススメ
ちょっと軽いSFホラーなどが読みたい人に

■説明
ナイト・ヘッドなどで知られている 飯田譲治 梓河人 ペアの4編からなる短編集。最後に対談が載っている。

■感想
コレ以前に読んだ有名になった本と比較して、こちらはまだ「ラフ」の段階という感じ。(これは対談でも書かれていたけれど) 話は短く、その分ディテールが書き込まれていないので単純に 筋といっても、動物でいうと背骨の部分の展開が勝負ということになるとおもう。
 読んでみてこちらの方がちょっと長めだけれど、昔読んだ 星新一のショートショートのような雰囲気だなあと思った。

 軽妙なテンポで、日常ではありえない設定の物語が進んでいく。オチが一ひねりしてあるところもおなじ。 軽いので数時間あれば読めます。 電車の中などで読むのにオススメ。

フォー・ウエディング (フォー・ウェディング)

■原題 four Weddings and a funeral
■監督 マイク・ニューウェル
■製作年 1994
■星 ★★★★★

フォー・ウェディング
ヒュー・グラント マイク・ニューウェル アンディ・マクドウェル

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2005-02-18
売り上げランキング : 688
おすすめ平均

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■こんな人にオススメ
結婚はいつかしたいけど、なかなか「この人」という人にめぐり合わないと思うひと。
友だちの結婚式ばかりに出席しているなあーと思う人。
結婚について・友情について考えてみたい人。
ヒュー・グラントが好きな人
アンディ・マクドウェルが好きな人

■説明
友だちの結婚式の招待状ばかり舞い込むチャールズ(ヒュー・グラント)。そこそこもてているんだけれど、決まった相手はいない。遅刻スレスレで出た結婚式で見かけた魅力的な女性(アンディ・マクドウェル)に一目ぼれ。しかし彼女は「大物ばかり相手にするのよ」という噂。いざというときには気弱なチャールズ。
英アカデミー作品賞、セザール賞受賞だそうです。象のロケットより

■感想
 今日みたら、995円!。DVD安いです。買ってみても損はないとおもう。
まず、ブリジット・ジョーンズでは私にはわからなかったヒュー・グラントの魅力を認識。彼、この映画は実に良い。なんとなくハンサムかもしれないけれど、お金持ちでもなく、自信たっぷりでもなく、結構ドジ。人はすごく良いのに、「もっともててもよいのになんでもてないの?でも、彼ならねえーそうかもね」みたいな、「いるいる!」という人をすんなり演じている。
 それから、あの「笑顔」がものすごく魅力的なアンディ・マクドウェル(アンディ・マクダウェル)。グリーンカードで私がメロメロになったあの笑顔は健在。少し気弱さを感じるあんな表情で笑いかけられたら男性はメロメロかも。 その慎み深げな彼女が「大物しか相手にしないという噂」があって。。。という配役の妙。これが、「いかにも」なケバケバな女優だったらドタバタ映画になってしまってこんなに心にのこらなかったかも。ストーリーにもピッタリとはまっていて。 この役の軽さはアメリカ女性に対するイメージなのかしら?イメージに合わない役に最初は驚いたのだけど、ヒューに恋させるにはありきたりでないことが必要かと。(顔のイメージと違って彼女の体型にはびっくり。しっかり中年女性してますねー。もっと華奢なのかと想像。しかし、日頃のなにげなく汚めファッションもよく似合っているし、ついでに家具などへの趣味をみるとなるほど。そうかとうまく落としどころありでこれもウマイ。)

 個性の強い友人達がこれまた良い。皆スゴイ個性がぶつかり合わず調和していてまるで「アダムズファミリー」みたいにすんなり皆を受け入れることができる。

 軽妙な会話が楽しく、それでいて妙にリアリティがある。 うちに来てとまらないか?部屋はあと137?あるから大丈夫 なんて言われたチャールズ。イギリス一の金持ちじゃないのか?(^^)なんて冗談で返したら、相手は悲しそうに「いや。たぶん7番目だ。一番目は女王で・・・」なんて大マジで答える友人。その冗談のわからなさ、生真面目さでなかなか相手がみつからない。 彼がまだ出会わない自分の相手について語る言葉にまたうなる。そうだよなあ。
 とにかく、そんな風にぽんぽんと出てくる言葉が楽しい。

 ひとぞれぞれの結婚・伴侶をテーマにした話ではあるけれど、同時に友情もテーマであるとおもう。
見終わった後に私の心に残ったのは、結婚式よりも仲間たちだった。映画をみながら、中間達を愛してしまっているという感じ。
(まったく毛色の違う映画だけれども、 ディアハンターなどを思い出した)
原題は 4つの結婚式と1つの葬式。
 人の結婚式ばかりに出席していた頃の自分も重ね合わせて見た。将来結婚したいと思っている人も、すでに結婚してしまったひとにも オススメの映画
 
そうそう。バリエーション豊かな結婚式シーンや、イギリスやスコットランドの自然も美しくてそちらも十分楽しめる。 登場人物についておせっかいな説明はまったくないのに、映画をみているうちにそれぞれの関係が「なるほど」とわかってくるところも絶妙。 結婚式や葬式でのスピーチも絶妙。日本人の感覚には少しあわないかもしれないけれど、それぞれがスピーチすることで、その人が皆からどんな風にうけとめられているかがわかる。 ウケルことを言おうと頑張ってもなんだか滑ってしまったり。さらりとうまく落としどころがあり知性を感じさせられたり。くどくど長くてうんざりしたり。細かいところまで気配りがある台本だとおもう。
 
■補足
せりふがいいなあ。流れがいいなあ。役者がいいなあと思っていたら
allcinema(筋ばらしてます 注意)に

カーティスによる脚本である。日記を読み返し、11年の間に65回の結婚式に出席していたことに気づいた彼が、これまでムダにした土曜日への腹いせに一気に書き上げた脚本に、監督のニューウェルがべた惚れ。あとは良い役者さえ揃えば、とそれも叶って、実にリッチな恋物語が誕生した。

とあった。なるほど。

April 26, 2005

愛してる、愛してない・・・

■原題 A LA FOLIE...PAS DU TOUT/HE LOVES ME...HE LOVES ME NOT
■監督 レティシア コロンバニ
■星 ★★★★★

愛してる、愛してない・・・
オドレイ・トトゥ

ビデオメーカー 2003-09-26
売り上げランキング : 9,677
おすすめ平均

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■こんな人にオススメ
 コワーイ話が好きな人。
 オドレイ・トトウ(アメリの)が好きなひと。

■説明
アンジエリク(オドレイ トトゥ)は順風満帆。心臓外科医の彼に一輪の薔薇をプレゼントして帰った日に、自分の絵が賞をとったことを知らされる。 ただひとつ障害になるのは、彼には奥さんがいること。
彼は、心臓外科医。奥さんは弁護士。

■感想
私はこの筋を知りながら「おもしろい」と聞いて見たのだけれど、この映画は絶対に何もしらないで見るべきだった。 「アメリ」のときも あちこちに書かれたキャッチフレーズが見てからの映画の楽しみを半減させたような気がしたけれど、こちらもすごく残念。 そういう意味から、見る前に映画の流れを知ったらいやな人は上に貼ってあるアマゾンの評は見ないでーと言いたい(ネタバレ全開のものも多いので)
 ただ、ひとつ書いておくと アマゾンの [DVD NAVIGATOR」データベースよりという記載は「本当に映画みてから書いてます?」 というちょっと筋が違うような気も。これってわざとなのかな?

 このDVDのジャケットにある キュートでこわ〜いラブ・ストーリー というのがピッタリだと思う。
あー。オチを話したいけど、この辺で。 見て損をしたとは思わない映画としてよくできていると思います。 フランスで映画を作るとこんな風になるんだなあーという アメリカ映画とは違う雰囲気も好ましいと思いました。

後半妙に明るい「L-O-V-E」というナット キング コールで有名な歌(BOSSのコマーシャルに使われていたらしいです)たぶん誰もが一度は耳にしている歌がものすごく怖さをまします。これは終盤に向かってどんどん加速する怖さです。

L is for the way you look at me
O is for the only one I see
V is very, very extraordinary
E is even more than anyone that you adore can

どんな歌?という方のために Shiori音ののーと さんの
ピアノ演奏midi ページの好きな曲カテゴリーLにある L-O-V-E です。直リンクはしてませんので 上のリンクから言ってみてくださいね。

LOVEを検索していて見つけたサイト。 前田有一さんという映画評論をされている方のページです。さすがネタバレせずに、すごくスマートに紹介していらっしゃると思います。 超映画批評

以下追記ですフォントの色を変えていますのでマウスで反転してご覧下さい====

以下追記はフォントの色を変えています。筋なんてわかっても構わないと思われる方はどうぞ
誰がどうこわいのかも知らない方が絶対面白いと思うので、文字を隠します。ちょっとだけネタバレです。
 すごく残念だったのは、筋を知っていたので前半の楽しい恋の日々に何が起こったのかわかってしまったから、それで映画の楽しみ半減。(映画のコメントって難しい。これから見る人のための楽しみを十分のこしつつ、こういう映画の魅力を語るというのは至難の業だということですね)
 しかし、この映画、じわじわ怖い。こんなことに自分が巻き込まれたらどうしよう。という本当に怖いです。 オドレイ トトゥの 大人だかこどもだかわからないあの表情がまず怖い。ああ、この人だったらあるかも。。。という気さえしてきます。後半のひっつめ髪にしたときの表情。 くるくる動く黒目がちの目がぼんやりと焦点を失うと、年齢も何歳だかわからないほど老けてしまいすごい。
 危険な情事や、羊達の沈黙、ミザリー ふと思い出しました。 でもこれらの怖さとちょっと違う、「これでもか」というくらい直接的な怖さがこの3つだったら じわじわとした怖さがこの映画。
前半と後半のつなぎ、ハリウッドでつくらなくて、フランスでつくると こんなになるんだなあという。

できれば、 「この映画、おもしろいよ」とだけすすめられたらきっと すごく面白かったと思う。あー詳細知ってから見たのが残念だー。 

April 24, 2005

ネコババのいる町で

■著者 瀧澤美恵子
■星 ★★★★

ネコババのいる町で
滝沢 美恵子

文芸春秋 1993-03
売り上げランキング : 308,985
おすすめ平均

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■こんな人にオススメ
人と人の関係を静かに考えてみたことのある人

■説明
芥川賞受賞の ネコババのいる町で、ほか3編。
人と自分の間に透明な壁があるがごとく冷静に書かれた物語は静かで澄み渡っているというような。

■感想
起伏のある物語がどちらかというと好きな私なので、2編目の「神の落とし子」が一番面白かった。
ネコババのいる町で。 題からするともっとコミカルなものを想像して読み始めた。ところが、主人公はとんでもない人生を生きていた。 突然やってきた母のお荷物であったであろう「私」を、困惑しながら受け入れて、そうして不思議な家族ができあがっていく。 ベタベタの「いかにも良い家族」という姿からは程遠い、淡いけれども自然でお互いがしっかりとかかわりあった「家族」だ。叔母の死について書かれたこの物語の読後は成長し、きちんと自分で自分の人生をあるいている私の姿があり、暗くはない。

 「神の落とし子」 この筋を語ってしまうと、ほとんどこの話の楽しみを書いてしまいそうなのでかかずにいようとおもう。恵まれた家庭の世間知らずゆえに。。。。
 最後に出てくる(フォント色変えます)
誰か特定の人をいつまでも好きになってる子ではないもの。あの子にとっては、相手は誰だっていいんだから。自分を楽な状態にしてくれる人だったら誰だってよかったんだもの。ああ、女の人にはそういう人いるような気がするなあ。。。と妙に納得。 

「リリスの長い髪」夫婦というものは、どういうことで結婚したかとつきつめて考えていくと最後のところは、何々だから何々だ とピシッと理論で説明できない部分があったりするものかもしれないなあと思う。
そうして、「近い」と思っていた相手にふとしたところで距離を感じたり、「遠い」と思っていた距離が縮まっていることに突然気がついたりするものだと思う。 結婚して、実際は相手のことがよくわかっていなかったことに結婚後に気づいたり、結婚後に相手のことが一層よくわかってきたり。 物語の運びの中で淡々と語られる人間関係が、夫婦が、おさまるところにおさまったかの様子を ポーンと投げた石が水面に波紋を立てて沈んでいき、落ち着くところへ落ち着いて行く様子のようにすんなり書かれている。

April 20, 2005

ふたりはともだち

■著者 アーノルド・ローベル
■星 ★★★★

ふたりはともだち
アーノルド・ローベル

文化出版局 1972-01
売り上げランキング : 6,743
おすすめ平均

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■オススメなのは
よみきかせ:少し長い物語を楽しめるようになった年齢
自分で:少し長い物語を自分でよめる年齢
ちなみに、2年生の教科書に載っていたそうです。息子は2年生にあがったばかり。一年生の後半に2年生の学習発表会で見たそうです。
 のんびりほのぼのと少しおかしい 話し。男の子にも好まれると思います。

■説明
がまくんとかえるくんは ともだち。 二人のほのぼのとした生活が短編になって10ページ程度の話が5編入っています。 漢字とカタカナにはふりがな付きです。各ページには3色刷りの挿絵が入っています。絵本から少し長めの本にチャレンジしている年齢に良いと思います。

■感想
以前、絵本の読み聞かせをするくらいの年齢の息子に、親の方の気がはやって購入したものです。息子に読み聞かせようとしたら、その当時は長すぎたようで、まったく興味を示しませんでした。
私も最初の1話を読んで「又今度読もう」と思い、お蔵入りになっていたものを、先日息子がみつけだしてきて読んでくれました。
「きょねんがくしゅうはっぴょうかいで、このおはなしをきいたことがある」という理由です。絵を見たことがあったのだそうです。(味のある素敵な絵です)

 自分で読むと(大人ですから)たいしておもしろくないできごとなのに、息子に読んでもらうとおもしろいことおもしろいこと。 読んでくれたのは「おてがみ」という編です。 自分で本を読むということと人に読んでもらうということが違うものだということを身をもって知りました。

 子どもさんと読んでやったり読んでもらったり この時期しか楽しめないコミニュケーションをとるのにも良いと思います。

話はゆったりとしたテンポですすみ、大きな事件があるわけではないけれど、なだらかな山があり、少しおかしい 友だち二人のはなしです。

April 14, 2005

しりとりえっせい

■著者 中島らも
■星 ★★★★

しりとりえっせい
中島 らも

講談社 1993-12
売り上げランキング : 100,714
おすすめ平均

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■こんな人におすすめ
雑学好きな人
ちょっとした時間をもてあまし、本で暇をつぶしたいと思うような人

■説明
「しりとり」からはじまって「るふらん」まで、見開き2ページの御題をしりとりで決めたエッセイ集。
軽いタッチでつづられている。 夕刊フジに連載されていたものをまとめたもの。

■感想
夕刊フジというと、多分タブロイド版の「おやじ新聞」だ。女性はほとんど読んでいるのは見かけないけれど、帰宅時の「おやじ」達には 夕刊フジ派・ゲンダイ派 などそれぞれ好みがあるようだ。向かいに座ったおじさんたちに必ず一人は読んでいるというような新聞。
 話題の幅も広く、内容も気楽に読めるようなものが多い。連載されていたら楽しみにしている人も多かったろうとおもう。

 コピーについて、物をかくことについての話は氏のこだわりや鋭い意見も見えて面白いだけでなく「なるほど」とうなるものがある。たとえば、面白いなと思ったのは、 韓国旅行のキャンペーンのコピー「初めてなのになつかしい」というものについて。 たしかに行ったことがない、生まれてからそのような情景はみたことがないはずなのになぜか懐かしい風景というのはあるような気がする。 別のエッセイで同じくらもさんがかいていらしたブレードランナーの街も、私にとってはなぜか懐かしい景色なのだ。たぶん、韓国に行ってもおなじような感覚に襲われることだろうなあと思いながら読んだ。
 
 カルチャーセンターにある 「文章教室」についての疑問もおもしろかった。 
「講座を受ける人の心境は、何者かを書いてみたいという衝動がある。ただそれは「人に見せる」ことを前提としているので、つたない文章では恥ずかしい。」 から文章教室へ通うということだろうけれども、
実際は 習うというよりも、実際モノになる人はすでにヘタであろうとなんであろうと自分のために物を作り始めているはずだという論。 なるほど!とうなる。

 残念なことに、実は私は 文章教室出身のとても面白い作家さんを知っている。宮部みゆきさんだ。 小説家入門山村教室 (;−p)なんちゃってー。

 たぶん宮部さんは 習う前から書きたいという衝動で書いていらしただろうと思うし、山村教室というのはたぶんカルチャーセンターの文章教室とは違うであろうとおもっているけれど。

なににせよ。面白い気楽なエッセイ集だ。

私の美の世界

■著者 森 茉莉
■星 ★★★

私の美の世界
森 茉莉

新潮社 1984-12
売り上げランキング : 58,115
おすすめ平均

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■こんな人におすすめ
森茉莉が好きなひと
頑固な人の薀蓄をきいてみたいひと

■説明
森鴎外の娘森茉莉のエッセイ? 貧乏サヴァラン・夢を買う話・あなたのイノサン、あなたの悪魔・反ヒュウマニズム礼賛 ほんものの贅沢 という5つにわけられた短いエッセイ集

■感想
以前読んだ 森茉莉の本と重なる部分も多く、ちょっと失敗してしまったか。。と こちらも前回にひきつづいて読み疲れ気味。
 私が森茉莉を読むのは、彼女のきらびやかな空想の世界に引かれてではなくて、彼女の世間に対する鋭い、そして何者にもゆらがない「自分」をもっている点や、その耽美の世界(といっても彼女の小説は読んだ事がないのだけれど)とはうらはらに「ゴミにうずもれて死んだ」というなんともドラマチックな一生にとてつもなく興味を引かれるから。

 丁度昨日書いた中島らもさんの本の内田百里侶鼠討法◆崋造吠原腓梁燭い犬い気鵑如⊇藐は嫌な感じなのだが、何度も読み重ねるうちにそのワガママ放題の奥から愛らしい子供っぽさとゆるぎない硬骨がほのかにみえてくる。」と評しているのを読んで「森茉莉と似ているなあ」と思ったところ。
 まあ、自信家のおもしろいおばあさんなのだけれども、かといって自分についても「薄ぼけ人間」と評したり、「私はおみあしの先がご自慢で、頭でっかちの変なプロポオションのことなんぞは念頭にない」と妙に自分を冷静に見ていたりして、その夢と現実の切り替えもまたこれまた面白いと思う。

 読み疲れていたので、ざっくりと読めない文は飛ばしてしまったが、気に入ったのは以下

整形美容の恐怖:(整形をしようと思い、とんでもない注文をする)そういう人たちはだいたい、人間の顔というものがまるでわかっていない人々であって、自分の顔の感じのよさはどこにあるのか、かわいらしさはどこにあるのか、それが毎日鏡を見ていながらわかっていない。不美人は不美人なりに、その人の顔の中にはその人らしさがあるのであって.....

白色人種と黄色人種:白い人種の中の、ことに強大な国の人間が、水爆を落とす場所は黒か、または黄色の人間の住んでいる空の上であると、きめていることは、疑いのない事実であって、白い人間は私たち有色人種を心の底では嫌厭しており、私たちをモルモット用の人間のように思っている
(略)
また、日本人のある人々が自分達を白色人のように思い込んでいて、黒い人や、他の黄色人種を馬鹿にしているのもすべてこっけいである。(略)
人種差別の一番ひどいアメリカ人がどこの国の人より「人道」を唱え、キリスト教をひけらかしているのも噴飯である。
 
情緒教育:私はばかな母親だけれども、ばかな母親なりに、自分の人格に自信をもって、母親の愛情に自信をもって、偉大な医者とか科学者になったつもりで答える。

など。 順番に読んでいくと疲れるときは(=私は今回は結構疲れました)、目次をみながら興味をひく題について読んでくという読み方がオススメです。

April 13, 2005

獏の食べのこし

■著者 中島らも
■星 ★★★★

獏の食べのこし
中島 らも

集英社 1993-01
売り上げランキング : 245,213

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■この本がオススメの人
大笑いするわけではない、くすっとした可笑しさをこよなく愛する人。
トリビア・雑学の類がすきな人。
現実から離れて空想してみることが好きな人。

■説明
長くて10ページ位の エッセイ?集。
日常生活・身の回りからはじまって、舌をまくほどの雑学までごった煮にしたような、次は何が出てくるかお楽しみな本。

■感想
らもさんが亡くなったときに、衝動買いして読み残していたもの。同じ人のエッセイを続けて読むとネタがかぶっていることもあって マンネリを感じ始めたために読むのをやめていたのだけれど、気持ちを新たにして読み始めると、らもさんの博学ぶりや、視点の面白さがやはり際立っているとおもう。
 世には「猛然と前へ進む」人がいて、そういう人は多かれ少なかれ ドーパミンやらなんやらのせいか、われを忘れているようなものだと思うのだけれど、それを「傍から妙に冷静な視点で見ている人」(らもさん)がいてという、「前へ猛然と進み続けている人にはわかりにくい世の面白み」というのがそこはかとなく感じられる楽しい本だと思う。彼の幅広い興味の広がりと、その興味の掘り下げ方も読みどころ。

 中でも私が「おもしろいなあ」と思ったものをいくつか上げてみると

・しあわせのしわよせについて:持っている・恵まれている ということについて 最後に「なるほどなあ」というオチが
・体温のない街:街に関する一見ふまじめにみえながらも、まじめな考察
・おナスの力:ナス科のマンドラゴラについて、「好きなんだなあ」と、読みながらわかる。めくるめくトリビアの世界
・非ユークリッド的おじさん:限りなく親近感をいだきながらも
・「エサ」と酒: 内田百里量ノ呂砲弔い謄轡鵐廛襪法屬Δ泙い覆◆廚箸Δ覆蠅弔帖後半は不思議な可笑しさ

April 07, 2005

きらきらひかる

■著者 江國 香織
■星 ★★★

きらきらひかる
江國 香織

新潮社 1994-05
売り上げランキング : 9,902
おすすめ平均

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■こんな人にオススメ
人のことを「好き」ということはどういうことだろうと考えてみたい人。
反対に表紙裏にある 「ホモ」「アル中」「純度100%の恋愛小説」というのをよんで読みたいと思われるのだったら、内容は違うような気がするのですが。。。

■説明
変った者同士の結婚をした睦月と笑子(ショーコ)。二人が望んだように普通に暮らしていけると思っていたのだが、お互いの両親が関わってくるころからちょっとしたゆらぎが発生する。

■感想
文庫本の表紙裏の説明。本を買うときにたしかに「ほしいな」と思わせるためのものだけれど、なかには 映画の予告編のように「そこまでばらさないでよ」とか「ぜんぜんちがうじゃない」というものがあったりする。
 このきらきらひかるの表紙裏。書いた人はこのように読んだのかもしれないが、私とは全く違っていてラッキーだった。 ラッキーだったというのは この本は説明書きを読んで「読みたいと思ったから」買ったものではなくて「この作家はどういう作品を書くのだろう」という興味と、ドラマ化されているらしいけど?という興味から買ったものだから。 実際この表紙裏の説明を読むと私は買う気力を失ってしまう類の説明だった。

※ドラマ化は勘違いだったことが検索でわかった。テレビのほうは監察医の話だそうです。
※映画化されているらしい。しかし、この本は映画化は難しそうにおもうのだけれど。

 つまり、予想に反して私はこの本に好感を持ったということだ。

江國 香織の小説で苦手なところ(これは江國 香織ファンがすきなところなのだろうけれど)あからさまに突然に セックスだとかなんだとかが 恥じらいも無く日常生活にぽんぽんと出てくるところだったりする。
 こういう言葉は日常生活をしているうえであまり目にすることがなく、「目にするだろう」という場所で、シチュエーションで出てくることが多い。その無防備な状態でそういうものが ふとしたはずみに さも そこら辺に転がっている小石のようにゴロゴロ出てくるところが「新しい感覚」であり「皆に支持されている」ことのひとつなのではないかと思うのだ。 

 しかし、この本は少し毛色が違っていた。睦月と笑子という主人公をもってきたことで、性的な色合いが薄まって純粋に「愛情」について考えさせる内容になっているとおもう。

表紙裏の説明について「私たちは十日前に結婚した。しかし、私たちの結婚について説明するのはおそろしくやっかいである」をで十分だとおもう。それ以上は書かないでほしかった。
3ページ目からその「やっかい」なことについて少しずつ説明がはじまるわけで、この書き出しは多分作者もそれなりに考えて作ったところだとおもう。そのネタをあっという間にばらされてしまうのは勘弁。
映画館に入って今見ている映画の筋を隣の人が話しているがごとくの気持ちだった。
再度フォント色をかえます。かなりのネタバレなので、今後この本を読みたい。ネタバレは嫌いと思われる方は、読まないで下さい。

友人がやっていた100の質問の中に 

愛と恋の違いは何ですか
恋は性愛であるということ。
というのがあって 「なるほど」と思った。 つまり、睦月と笑子の間柄には性愛はなく 愛があるんだろうとおもう。笑子が睦月に求めているのは性愛ではなくて愛。変わり者の笑子をそのままで受け入れてくれている睦月に対して、笑子がほかのものにかえがたく「好き」な気持ちを抱く。そうしてそれがずっとそのまま続いてほしいと思う気持ち。
愛と恋の差を それぞれの恋人を交えていることで しみじみと考えることのできる作品であると思う。
そう考えてみると、子どもっぽさを感じる笑子のあまりにも非常識ととれる考え(二人の子どもを人工授精)ということもなんとなく理解できるようでもある。 

 睦月と笑子の二人のゆるやかで安心するような関係は紺がいるからこそ続いているものであり、
それを笑子と睦月二人の関係にしてしまうということになると、今度は世俗の悩みに悩まされてしまうかもしれない。それは笑子にとって望ましいことではないと思えたのではないだろうか。

最後は、ハッピーエンドだろうか。 いや、傍からみるとこういう関係はいかにも危うくて微妙なバランスで均衡を保っているようにも見える。 十年後・二十年後もこのままあるというのは御伽噺かもしれない。そんな風に現実世界に生きている人達は感じるのではないだろうか。かすかな毒を感じるところあたりが 江國 香織の持ち味なのだろう。

April 04, 2005

六の宮の姫君

■著者 北村薫
■星 ★★★

六の宮の姫君
北村 薫

東京創元社 1999-06
売り上げランキング : 43,905
おすすめ平均

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■こんな人にオススメ
芥川龍之介が好き、もしくは気になる人。
大学生、もしくは大学を卒業してから間もない文学好きな人。
(落語が好きな人。)

■説明
私は文学部の4年生。卒論に芥川を選んでいる。卒論のためになぞりはじめた芥川だったがいつしか彼の交友関係を考慮しながら、彼が「六の宮の姫君」を書いた背景を推理する事になる。

■感想
ちょっとした失敗。帯についていた「文壇交流の実態を調べるうちに浮かび上がった謎」という語句と、ネットでちらりと見た感想の 円紫師匠 というものと、この本の表紙絵から、ものすごく軽い読み飛ばすような推理物を想像していたのだ。
 ところが、内容はチョット違った。

残念だったのは、私はもう学校を卒業してからずいぶんと時間がたってしまっていて、昔は友だちとどこかのペンションに行ったりもしたのだが、そういう空気をすっかりとわすれてしまっているところ。前半の高岡正子とのかけあいが、世間の荒波にもまれてしまったわが身には「なんて高飛車な物言いだろう」というのが気になって「あ、うん」の呼吸の会話が楽しめない。(学生というものは、世間をしらないからこそ頭でっかちで、じぶんこそが一番だというような考えを持ってしまうのだろうけれども)
 
 また、芥川は、小学校の頃から読み、高校のときの友人に熱烈なファンがいたのだけれど、これも「彼がそのような作品を書いた背景」そのものよりも 「文学作品を物語として楽しむ」というスタンスで私は読んでいたので、沢山の本を例にあげられても 「そうだ」とか「いやちがう。私はこうおもう」という謎解きの楽しみがほとんどかんじられなかったこと。 また、中には未読の作品も多かった事。

後半に出てくる円紫師匠はたしかに素敵な”師匠”だった。私が苦手だった「私」と正子とのかけあいがなくなった後半から比較的読みやすくなってきてどうにか読み終えたのだけれど、残念なのはタブン私はこの本の面白さを半分も味わえてないであろうこと。(後から思うと、二人の話し言葉のやりとりが私の日常とかけはなれすぎていて 生きて頭に入ってこないところがつらかったというのもあるのかも)

 ただ、こういう本を読んでみると、また芥川やら菊池寛やら読んでみたくなる。そういうきっかけになる本だとおもった。

 私は文学部ではなかったので、楽しめなかったのかもしれない。

芸術作品には鑑賞するときに大きく2通りの鑑賞方法があるとおもう。絵画にしても、音楽にしても、
その作者のその曲を作った背景を知りながら鑑賞するという道と、もうひとつは心を空っぽにしてただその表現のみを自分が受け取り、自分なりに鑑賞するというところ。 この本は前者の楽しみ方もあるのだということを教えてくれる本だとおもう。

April 03, 2005

ジキル&ハイド

■原題 Mary Reilly
■監督  Stephen Frears スティーブン・フリアーズ
■製作年 1995年
■星 ★★★★

ジキル&ハイド
ジュリア・ロバーツ スティーブン・フリアーズ ジョン・マルコヴィッチ

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2004-06-23
売り上げランキング : 32,645
おすすめ平均

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■みどころ
ジュリアロバーツの おどおどした演技。溌剌としてニカーと笑うだけの女優さんでないという実力を感じました。ジョン・マルコビッチのジキルとハイド二役の変貌。CGまかせではない正統派の演技。こちらも素晴らしい。
映像の美しさ。

■説明
あまりにも有名なジキル博士とハイド氏。薬の力によってジキルと正反対のハイドという人格が発生して。。。という話が、今回はジュリアロバーツというお手伝いを通した目で語られます。

■感想
日の当たらない、霧ばかりの暗いイギリス。映画では全編を通して日があたることがありません。その陰鬱な雰囲気がとてもよく話にマッチして、一気に見るものを ジキル&ハイドの世界に連れていきます。
 キラキラと明るいイメージが先行するジュリアロバーツですが、ここでは怯えたお手伝いを好演しています。決して小柄ではない体を猫背気味に小さく縮め、おどおどとした振る舞いがうまい。いつものジュリアよりもずっと地味で「美人」という雰囲気はまったくない彼女です。それがまたうまいと思います。(ジュリアファンには不評かも)

 対する、ジョン・マルコビッチのジキル博士・ハイド氏もうまい。 神経質で自分を押さえがちなジキル博士と何をしでかすかわからないハイド氏を見事に演じ分けています。
しいて言うなら、ネタバレマウスで反転して読んでください最後のCGは蛇足という感もあり。映画では見飽きた変身シーンに目新しさを求めたのでしょうが、私は違和感を覚えました。

 全体的には、多分、これは身分違いの恋がテーマだったのではないかと思うのですが、どうでしょう。
邦題では「ジキル&ハイド」ですが、原題はMary Reilly 。あくまでもジュリア演じるお手伝いの話だと思います。
 お手伝いとして雇っている娘が気になるジキル。しかし、年齢差や身分差、世間の常識が気になって言い出せない。ハイドはそれを嘲笑するように彼の欲望をそのままに出して自由奔放に行動する。
ジキル博士の家がまた見所。広く素晴らしいインテリア。
映像も暗い中に回り階段を上から取った図など美しいシーンが多いです。実験室からの裏に作った釣り橋が不安定で、実際にはありえないとは思いますが、これがまた現代芸術を見るようで美しいと思います。ゆらゆらとゆれる不安定な橋は見ている人を不安にするそういう要素を盛り込みたかったのかもしれないと思いました。

 母が亡くなったと連絡を受け、貯めたお金で葬式を出してやりたいと出かけるジュリアですが、母の身に残ったお金は1シリング。「一生働いて1シリング」という言葉はジキル博士の優雅な生活ぶりと対比して身分差別の激しいイギリスを感じさせる言葉でした。 召使達相互でもランクがあり、ジュリアは一番の下働きだということがわかるシーンも沢山ありました。
 
 「ジキル博士とハイド氏の不気味なこわささを求める人」「ジュリアロバーツのかわいらしさを求める人」には評判があまりよくないかもしれないと思いながらみました。映像はグロいものもありましたが、そんなにはこわくありません。ジュリアも驚くほど地味です。
グレン・クローズは、期待通りの役柄で出てきています。