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March 08, 2005

薔薇の雨

■著者 田辺聖子
■星 ★★★

薔薇の雨
田辺 聖子

中央公論社 1992-06
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おすすめ平均

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■説明
中年から初老?の女性が主人公の短編5編が入っている。

■感想
題になっている「薔薇の雨」は最後にある。留禰(るね)という素晴らしくオシャレな名前で16歳年下の恋人がいる主人公は50台 薔薇の雨という名前から私が抱いていたイメージとかなりかけ離れた事に関西弁の主人公である。 田辺聖子を読むのはこの短編集が初めてだとおもう。

 実際は関西弁といっても、地方によって言い回しも違うだろうし、皆が漫才のようなしゃべり方をしているわけではないことは知識としてしっているけれども、関西弁になじみがないので、いまひとつ「関西弁に対する漫才のイメージ」が先行してアンバランスな感じがする。本当はゆったりのんびりとした関西弁特有の持ち味などもありそうなのに、全部がぽんぽんとかわされる漫才の受け答えのように読めてしまうのは私の知識不足が残念だ。特にこの最後の「薔薇の雨」は設定とのギャップが激しく感じられる。おとぎ話のようにロマンチックな設定だけれども、ヒロインは50歳。言葉は関西弁なのだ。
 そうして、どの話でも、主人公は一般にはありえないような恋愛中(なかにはマンネリであったり終止符をうとうとしていたりしているものもある)であるとともに、「おばさんの悲哀」「おばさんのあきらめ」を心のどこかに抱いているように思う。 

 これもちょっと残念なことに、そのあたりがわかるまでにはもう少し私には時間が必要な感じ。

子育てが一段落してふと振り返ると「わかるわぁ」という気持ちになるかもしれない。まったく主人公の気持ちがわからないわけではない。 相手の男性の様子を読むにつれ 知り合いか友だちのように「ふむふむ。なるほど。だから好きなのね」とわかるところが 田辺聖子の手腕なんだとおもう。

解説を読んで、田辺さんが「そやけど大阪弁できれいな恋のお話を書くのは至難の技やねえ。私の苦労もわかってね。」とおっしゃったとの事。
なるほど。 この大阪弁ときれいな恋。この一見ヘンテコにも思える取り合わせがおじさん、おばさんの恋の現実感となって読み手にひしひしと伝わる秘密なのかもしれないと思った。
 
 だって、おじさん、おばさんはもう 「自分は若い頃のようには見た目は美しくない」ということを内心自認している人達とおもうから。その、若くも美しくもない人達が きれいな恋をする。 だから、ここでの大阪弁は必然性があるのかもしれないなあと思った。
 

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