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July 29, 2003

死因

監督【著者】 パトリシア コーンウェル
出版社 講談社文庫
★★★★
死因講談社文庫
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説明
留守番をしている家で、電話番をしていたケイ(検死官)のもとに、ジャーナリストの水死の情報が入る。
潜水中になくなったのだ。
 検死のためにでかけてみると、どうも胡散臭い秘密の臭いがぷんぷん。

なくなったジャーナリストは顔見知りである。


感想
久しぶりのコーンウエルの本という気持ちでスズメバチの巣を読み始めたがあまりのグロテスクな表現が苦痛になり、半分読み進んでも面白みが感じられないため、読了断念を決意。(こんなの私にはめずらしい)

こちらはどうだっけと読んでみたところ、人間関係もきちんとかかれているし、なかなかおもしろかった。

しかし、これは訳者によるのかもしれないが、コンピュータ関連の記載のお粗末さにちょっと興ざめ。
 パソコンんを知らないおばちゃんの言葉だったらまだしも、天才的な才能をコンピュータで発揮している姪の言葉なのだから、もうすこしどうにかして欲しい。

翻訳家も翻訳できるだけでなく、いろいろな技術用語についていかなければいけない時代になったのだなあと思いながら読んだ。

1996年に文庫になっているが、ロボットの分野もこの数年でかなりの進歩をみせた。安定した二足歩行ロボット(階段も昇れる)ホンダのアシモ(1993)が出て以来、世には自分で姿勢を立て直すことができるロボットが溢れている。

バーチャルリアリティやロボットの部分はコーンウエルがこの本を書いた当時取材のものだろうからこちらは違和感があっても「そうだよなあ」と思いながら読んだのだが。

スズメバチの巣

監督【著者】 パトリシア・D. コーンウェル
出版社 講談社文庫
-(なし)
スズメバチの巣講談社文庫
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説明
アメリかのスズメバチの巣と呼ばれるシャーロット市で発生する殺人事件。

感想
全米ベストセラー ということと コーンウエルということで、読み始めたのだが、読みつづけるのが苦痛になり、ついに読まないことを決意した本。

 この次に、検死官ケイシリーズを読んだのだが、それよりも別のシリーズとしてわざわざ書き始めたこの本がそうだということは、このくらい「グロテスク」なものを アメリカが 望んでいるのだとすると どうかしていると思う。

ケイシリーズは以前の印象どおり。

July 05, 2003

キッチン

監督【著者】 吉本ばなな
出版社 角川文庫
★★★
キッチン角川文庫
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説明
キッチン・満月・ムーンライトシャドウ の3篇が乗っています。短編集です。

キッチンで海燕新人文学賞
ムーンライトシャドウ で 泉鏡花賞
を受賞しているとのことです。

祖母をなくして天涯孤独となったみかげは、ある日青年の訪問を受け、母と暮らしている自分たちの部屋で暮らさないかと誘われる。
 彼は祖母の行きつけの花屋でバイトしていたらしい。

感想
死と別れをテーマのひとつにしているのに、悲しみなどの感情が希薄で、どこか自分が幽体離脱でもしているかのような、現実感のない不思議な文章だ。
「涙があんまり出ない飽和した悲しみにともなう 柔らかな眠気をそっとひきずっていって」
「私の心にどうしても春の風景は入ってこない。ただシャボン玉のようにくるくると表面に映るだけだ」
という表現は、読んだものを思春期の少女のように、御伽噺のヒロインを疑似体験させるような文章だと思う。

死がでてきても悲しくはない。耳に心地のよい美しい表現でそれが表される。

おもえば、この本は 夢多き少女が自分をそのヒロインにおいて思い描く悲劇そのもののように思えてきた。

 顔もスタイルもよく、金銭的にも恵まれた環境の男の子がどうやら自分に興味を持っているらしい。
 待ち合わせても、必ず自分は遅れて行き、彼はおこりもせず待っていてくれる優しい人だ。
 私が彼に持っている感情は恋愛感情以前のものかもしれない。でも、一歩踏み出せば、彼のことを好きになりはじめるかもしれない。そんなストーリー

 そこには、干渉する親もいない。普通の家族との生活もない。
 そうして、彼女は細くて長くて一般の少女ならなりたいと思うような容貌を持ち合わせている。

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 死についての本だから好きとネット検索すると書かれていた人がいたので、もっと大変な本かと思っていたのです。

ところが、ここに出てくる死は人と別れの死ではありませんでした。 ただ、御伽噺のようなただ美しくて少しだけ胸がきゅんとするような。たぶん、ユーミンの歌のような物語でした。

理由

監督【著者】 宮部みゆき
出版社 朝日文庫
★★★★
理由朝日文庫
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説明
荒川の高級マンションで親子4人殺害事件が発生する。
直木賞受賞作です。

感想
宮部みゆきを駆け足で読んできたら突然読み疲れてしまい、理由を読む頃には大幅な流し読みになってしまいました。あとがきにはこの緻密なプロットについて書いてありました。大変冷静な視点での語りが現実感を増すように思いました。 友人は 宮部みゆきの軽妙なものとどうしようもなく暗いものと二つの路線のうち暗いものは苦手だということで、この理由は好きではなかったとのことでした。
 私はといえば、流し読みしたからか、リアルな筆致だったわけですが、その割にはあまり現実感なく読み進んでしまいましたので、友人のような感想は持たずに済みました。
 私が印象にのこったのは 家族について。家族であり、善人でありがならすれ違っていく人たち。
 家族を疎ましく思う人たち。家族でないのに人恋しくて寄り添ってしまうひとたち。
 流し読みの上に消化できていないので、落ち着いた頃にもう一度読んでみようかとおもっています。