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June 02, 2006

長い長い殺人

■著者 長い長い殺人
■星   ★★★★

長い長い殺人
長い長い殺人宮部 みゆき

光文社 1997-05
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おすすめ平均 star
starさすが宮部みゆき!あなたに感服しました
star現代の犯罪を説得力ある執筆で書き上げています
starやさしさ

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 ちょっと昔のマニアックな推理小説のような、山椒は小粒でもピリリという感じの本だった。主人公は財布。いくつかの財布の立場で、財布が見た限りのことが語られる。そのうちにストーリーが動き出す。最初は懐の中という狭い範囲の物語だったのに、複数の財布が語ると同時にそれぞれのストーリーが関連し、つながり、あるときは予想を裏切られ、と世界が広がってゆく。

あとがきを読んでみると、宮部みゆきの

願わくば、著者のわたしが楽しんで書き綴ったのと同じくらい、読者の皆様にも楽しんだり驚いたりしていただけますように

という言葉が引用されていた。

 宮部さんは「次はどうやって読者をおどろかそうかしら?」と考え、それを楽しんでいるのかもしれない。書き手が楽しんで書いているからこそ、マンネリにならず、いつも新鮮な印象を受けるのだろう。

同じくあとがきに 「近いものをあげるとすると都築道夫」と紹介してあった。なるほど、なんだかこの雰囲気、どこかで会ったことがあるようだと思ったのは、そうだったのかもしれない。 都築道夫さんも好きな作家の一人だ。 でも、宮部さんの面白いところは、この作品がたとえば都築さんと似ていたとしても、ほかの作品は全く趣向が違う。前にも書いたことがあるけれども、なんと手品のネタをたくさんもった作家さんだろうと思うのである。

  そう、宮部みゆきさんを手品師にたとえるとすると、旅客機消失のような大物芸もやり、引田天巧のようなショーもあり、そうして、今回の長い長い殺人のような 巧みなテーブルマジックありという 多芸な作家さんだなあと思った。

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