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注意)多少のネタバレ
この記事は ネタバレを含む感想です。物語の冒頭のみ知りたい方は、下の ■説明 の部分のみお読みください。
■原題 THE PHANTOM OF THE OPERA
■監督 ジョエル・シューマカー
■星 ★★★★
オペラ座の怪人 通常版 | |
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■説明
廃墟のように崩れ去っているオペラ座跡、オークションが開催されている。次の商品は サルのオルゴール。入札者は二人。一人は年老いた紳士、もうひとりも年配の女性。紳士は「彼女の言っていた通りのオルゴールだ」とつぶやく。落札したのは紳士。そうして、次の商品は シャンデリア。。。シャンデリアが上がり、時(記憶)はオペラ座の怪人の時代にさかのぼる。
■感想
劇団四季のオペラ座の怪人をずっと前に見たことがあって、よくポスターにもなっている船のシーンなどは思い出すのだけれど、映画はまた違うダイナミックさがあるというのが第一印象。
まずは、しょっぱなの回想シーンから一気に過去へさかのぼるところ。こういう目に見える変化は舞台では難しい。それに、オペラ座セットや衣装の豪華絢爛さ。これも四季ではなかなかここまで予算がかけられないところだろう。見所の一つだと思う。それに、クリスティーヌ(エミー ロッサム)もとても綺麗だし、登場人物も申し分ない。
ところが、中盤からなんとなく気持ちが落ち着かなくなってくる。「こんな話だったっけ?」という思いが強い。主役のクリスティーヌ(エミーロッサム)の役どころがいまひとつつかみきれない。天使のように純真と思いきや、セリフや衣装、化粧などで「ん???」と思うことも多くまったく性格がさだまってこない。なんでだろう?? と思っていると、どうやらその原因のひとつは字幕にもあるらしいことがわかりました。
戸田さんは明るくてとても素敵で私は好感を持っている方だけれど、この訳はたしかにイケテナイと思います。
特に、後半、皆さんの指摘も多くある 「情熱のプレイ」は度肝をぬかれました。 ここまで観たときに 私の「こんな話だったっけ??感」は最高値を記録しました。 たしかに厳密にいえばそういうことを含ませた言葉かもしれないけれど、それだけを前面に出したらなんだか 先ほどまでの 「音楽のエンジェルを信じていた純粋な女性」が いつのまにかアバズレになっていたかのような言葉。この耳を疑います。
参考リンク
「オペラ座の怪人」字幕改善委員会
「オペラ座の怪人」の字幕 珍訳集
以下ネタバレです。
※たしかに、この上のリンクにあるように、くず鉄屋、スクラップメタルです。。あたりかなり混乱しました。
情熱のプレイ(passion-play)
あなたに惹かれていた(you are not alone) あたり、混乱の元だと私も思います。
そうそう。
Your chains are still mine. You belong to me!
のとこは「私の贈り物!お前は私のもの!」
クリスティーヌが鎖に通した指輪をつけているのです。その場面の出来事で、意味不明だったのですが、上のページをみてやっと理解できました。
(お前はまだ私につながれている。お前は私の物だ!)
と叫ぶ。
指輪の鎖と拘束の鎖を引っかけているダブルミーニング。
だそうで。。。なるほど。
注意)ネタバレ
この記事は ネタバレを含む感想です。物語の冒頭のみ知りたい方は、下の ■説明 の部分のみお読みください。
■原題 父と暮らせば
■監督 黒木和雄
■星 ★★★★★
父と暮せば 通常版 | |
![]() | 井上ひさし 黒木和雄 池田眞也 バンダイビジュアル 2005-06-24売り上げランキング : 8419おすすめ平均 ![]() ![]() ![]() ![]() |
■説明
1948年夏。原爆ドームが見える。広島だ。雷雨の中瓦礫の間を走る足。怖い怖いと悲鳴を上げて走りこんできた娘(宮沢りえ)に父(原田芳雄)が話しかける。
■感想
以前から見たいと思っていたのだが、なかなか見る機会がなかった。8月にテレビでやっていたものを録画してやっと今頃観た。
静かに淡々と進む映画。最初から引き込まれて見てしまった。場面はほとんどが 宮沢りえが住む家で進む。主要な登場人物も父と娘二人。場面のほとんどがセリフで進み、第三者のことも二人の会話の中で推し量る。 「この雰囲気は、劇場の劇を見ているみたいだ。もしや」と検索してみると、
父と暮らせば(Wikipedia)
井上ひさしによる戯曲であり、今まで数々の劇団が上演している有名な芝居である。2004年、 映画化された。
とのこと。やはりそうだったか。 宮沢りえ、原田芳雄がうまい。原田芳雄の広島弁はほとんど広島の人と変わりないように聞えたので、もしや出身が広島か?と検索したけれどまったく広島とは関わりのない人のようで、役者というものはすごいものだと驚いた。
宮沢りえもかなり上手い。多少イントネーションが違うような気がした。方言自体は、純粋に広島弁だと思えないものがあり、九州弁っぽく聞えたり、関西の方の言葉に聞えたり、四国の方の言葉に聞えたりした部分もたまにあったのだけれど、そんなことはどうでも良い。
ほのぼのと暮らしているかのような父娘の姿はとてもうらやましく、私は父とこういう風に過ごすことなく父が亡くなってしまったことが少し悲しかった。 少しネタバレなのでマウス反転して読んでください。
今からでもこんな風にときどき父が出てきてくれたらどんなに楽しいだろうと思ったりもした。
映画のテーマは広島の原爆。血や死人はほとんど映像に出てこないのに。私は 二人と一緒に原爆におびえ、原爆に泣いてしまった。終盤の娘の告白ではつらくてボロボロに泣き、つい嗚咽まで出てしまった。(映画館や劇場で観てなくてよかった) いや、本当の原爆はこんな綺麗ごとではないだろう。もっと恐ろしくもっと悲しいものだろう。
大幅ネタバレなので色を変えます。
中盤で娘が友達の母に会いに行ったとき、最初はよく来てくれたと喜んでくれた友の母が、「なんであんたが生きているんだ。なんで私の娘じゃなくてあんたが生きているんだ」と面と向かって言ったという話があった。 そういわれた娘は 生きていることが申し訳なくて幸せになるまいと思った。 あまりの不幸は人を人でなくしてしまう。そういう不幸な人を 一瞬にして大量に作ったのが原爆。
広島弁になじみのない人には 言葉がなかなか分かりにくいという感想もいくつかネットで見受けられた。私は偶然ながら広島弁がわかってよかったと思った。最初から最後までのめりこんで見ることができたから。
もし、一度見て広島弁が分からなかった人も、二度目にはきっとわかるようになると思うから、もう一度見て欲しいと思った映画だった。
下に冒頭の部分で分かりにくいだろうと思われる言葉を抜き出して見ます。そのまま抜き出しているので、筋が多少分かってしまいます。
雷におびえる娘に防空頭巾をかぶった父が戸棚の中から声をかけて
「はよう 戸棚の中へきんちゃい」= 「はやく戸棚の中に来なさい」
父の声を聞いて娘、父に
「おとったん、やっぱおってんですか?」=「お父さん、やっぱりいらっしゃったのですか?」
「おらんでどうする」=「いなくてどうする?」
「おまえがおりんさいゆうたらおるで...」=「お前が居ろといえば居るよ。」
娘の雷のあまりの怖がりようのことを父が
「そげえふってえさわぐようになって」=「そんなに大層さわぐようになって」
「いつからそげえになったん..」=「いつからそんなになったん...」
「ねんねのころ」=「赤ちゃんのころ」たぶん。(私の知っている広島弁はねんねと言わないのですが、後半赤ちゃんのことをねんねと呼んでいたのでたぶん赤ちゃんの頃だと)
「しっとる」=「知っている。」
「まじめにきかにゃあいけん。」=「まじめに聞かないといけないよ」
「おとろしゅうて」=「おそろしくて」たぶん
「こたえるようになったんじゃ?」=「耐えられないようになったんだ?」 こたえる=堪える 骨身に堪えるなどと同じ使い方。
「どんどろさん」=「かみなり」たぶん
「しとりんさる」= 「していらっしゃる」(私の知っている広島弁は しとってんだったけれど、+敬語の「さる」でしていらっしゃる)
娘が 麦湯があるんよ。飲もうか。と出し、父はそりゃええのお。と答えるが、「これしか ようのめんのじゃけん」= 「これだけしか飲めないから」 よう は 動作を表す否定語とくっついてやろうとしても出来ないことを表している。じゃけんは だから という意味。
ひと段落ついて、思い出す父
「あー。ことじゃ!」=「ああ、大変(な事)だ!」 ことは「事」 「そりゃあ、ことじゃ!」となると「それは問題だ!」となる。
まんじゅうについて父
「あれ、まさかつぶれとりゃせんかったろうのう」=「あれは、まさかつぶれたりはしてないだろうねえ」
娘もらった饅頭のいきさつについて聞いた話しを
「どがーしてもその前を」=「どうやってもその前を」
「こがあいいなさったんよう」 = 「こんな風におっしゃったのよ」
「そいじゃけわしは、よう食えんのじゃって」=「だから、わしは、食べられないんだって」
「ピカの年」= 「原子爆弾が落ちた年」(これは方言ではなく)
「戻りんさった」= 「戻られた」
父が饅頭をくれた主のことをイロイロと楽しげに憶測するので
「なにゆうとってですか?」= 「何をおっしゃるの?」
「ばからしゅうて、もうやっとられん」 = 「ばからしくて、やってられない」
「おとったんは、まだおってん?」= 「お父さんはまだ(ここに)いらっしゃるの?」
こんな感じに話が進みます。
注意)少しネタバレ
この記事は ネタバレを含む感想です。物語の冒頭のみ知りたい方は、下の ■説明 の部分のみお読みください。
■原題 FINAL DESTINATION 2
■監督 デヴィッド・リチャード・エリス
■星 ★★
デッドコースター/ファイナル・デスティネーション2 | |
![]() | J・マッキー・グルーバー デヴィッド・エリス A・J・クック エスピーオー 2003-11-28売り上げランキング : 1524おすすめ平均 ![]() ![]() ![]() ![]() |
■説明
クラスメイトのひとりが飛行機事故を予知したおかげで、飛行機にのらず命が助かった人たちが次々に死んでいくという前作(私は未見)から一年。一年後にその話題を取り上げたニュースから始まる。ニュースがついているのは クレア( アリ・ラーター)の部屋。クレアは今日から友達と一緒に車で旅行に出かけるのだ。
■感想
以前はオカルト物だったり未知の生物物だったりした「怖い映画」だったが、「見えない何か」の怖さを描き出した映画。同じように 目に見えない何かの怖さを描こうとした ダークネスが多少生き物っぽいものの片鱗がみえたり、オカルトっぽいものが見えたり、その思いに取り付かれる人間の不気味さを描いていたのに対して、こちらは、まったくその対極ともいえるであろうような印象の映画。 まるでゲームでも見ているかのように簡単にあっけなく、そうして情け容赦なく人間がグロテスクな死に方をする。
見終わらないとすっきりしない思いがして最後まで見ようと思ったのだが、< ラストシーンについてのネタバレなので色を変えます マウス反転してみてください。>
ラストシーンまでグロで、救いがなくて後味が悪い。この辺の手法は、以前はやったゾンビ映画の、最後の最後まで救いがなくて。。とか終わったと思ったら最悪のことが起こって映画は終わりというパターンに似ている。
エアチェックしたものだったのだけれど、全部見たあとに 即消すことにしたのはこの映画くらいのものだ。
感想を検索していたら、うまく一言で表現しているサイトにヒットした。
いやあ、とてつもなく悪趣味な映画である。これほどのホラー映画は、そうそうお目にかかれまい。
まさに悪趣味。
以下は、私の個人的な環境に依存する感想だけれど、こういう感想もネットだからこそ書いておいても良いのではないかと思い書いてみることにした。
私には小学校中学年の息子がいるけれども、子供には絶対に見せたくない映画の筆頭に当たると思う。見せたくないのではなくて見せてはいけないと思う。
少し反省したのだが、冒頭の事故シーンは 息子が持っているゲーム、バーンアウト3 を思い出した。
EA BEST HITS バーンアウト3:テイクダウン | |
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自分がコントロールする車を突っ込んでいかに大事故にするかというゲーム。 倫理的?に息子にはギリギリかなあ?とおもいつつも、買い与えたゲームだ。物を壊すことが楽しいのも子供の常で、 カービィのエアライドでも、地面や建物にぶつかって壊すことが楽しくてしょうがないようだし、自分で作った砂山や川を踏みつけて壊す楽しさを思い出せる大人もたくさんいることだと思う。
ただ、あれは人が傷つく様子は描かれていないけれど、あのゲームが現実に起こると こんな風になってしまうんだな。と「ゲームだから。ウソのことだから」という感覚でこのゲームを買い与えた自分が軽率であったと反省してしまった。
カービィのエアライド | |
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話は、ゲームにそれてしまったけれど、この映画、子供を持つ大人の気持ちとしては分別のある人以外には見せられない映画だと思った。 また、大変な嫌悪感を抱く方も多い映画だと思う。
注意)ネタバレ
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■原題 THE TALENTED MR. RIPLEY
■監督 アンソニー・ミンゲラ
■星 ★★★★
リプリー | |
![]() | アンソニー・ミンゲラ マット・デイモン 松竹 2000-12-21売り上げランキング : おすすめ平均 ![]() ![]() ![]() ![]() |
■説明
リプリーが内緒の代役で出たピアノ演奏をきっかけにリプリーと知り合いになった富豪ハーバート・グリーンリーフは、リプリーの上着を見て、自分の息子の出身校と同じだと親近感を抱く。話をしているうちに、リプリーの性格をみこんで 旅費などは出すからイタリアに行ったきりの息子ディッキーを連れ戻してくれと頼む。
■感想
太陽がいっぱい(アランドロン)で有名な パトリシア ハイスミスの THE TALENTED MR. RIPLEY 邦題リプリー が原作だということです。 私は太陽がいっぱいを見ていません。 だいたいの筋は知っていましたが、映画の感想を検索してみると、「太陽がいっぱい」を観たことがある人、とりわけ思い入れが大きい人にはこの映画の評価が低かったように感じました。その点では 太陽がいっぱいを未見であったことはラッキーだったと思います。
機会があれば、太陽がいっぱいも見てみたいとも思いました。
映画は、リプリーの内面にせまることなく外側から彼の行動を描いています。ですから、映画を見ている私の立場からは いつから彼が罪を犯そうと思い立ったのかさえも不明確です。
題にあるような、リプリーの才能は他人を真似る才能でしょうか。実際、あちこちで人の言葉をそのまま真似てみせる場面がありました。ピアノもそつなく弾きこなし、何事もそつなくそれなりに片付ける才能かもしれません。
以下少しネタバレなので色を変えます。 マウス反転してお読みください。
夫と一緒に観たのですが、夫は悪事が発覚せずに逃げおおせるこのラストをどうも生理的にうけつけないようで、かなり後味がわるそうでした。 私の方も後味は良くはないのですが、映像美が印象に残り、役者たちも上手くて、ナゾに感じる部分も多く、妙に見終わったあとも気になる印象深い映画でした。
どうやら本を検索すると、もともとが後味の悪いお話のようです。ラストも同じく、リプリーが逃げおおせて、続編もあるということ。作者を検索してみると、あまりにも気持ち悪い話なので途中で読むのを辞めてしまった「11の物語」と同じ作者だということがわかりました。
マットディモンが少しずつディッキーのいろいろな部分を自然にコピーしていき、ある日突然「あなた随分変わったわ」という部分では、登場人物と一緒にあらためて驚いた人も多かったのではないかと思います。
なんとなくアランドロンの面影のあるジュードロウのわがままで皆を魅了してやまないな富豪の息子も上手い。
お嬢様役とくれば。。の グウィネス・パルトローも、とにかく力演が印象に残る映画でした。
映画中「キミはゲイか?」と何度もたずねられるシーンがあったのは、原作には無かったものではないかと思います。もしかしたら、相手のことが好きになれば段々嗜好やしぐさまで似てくるということで、リプリーも他の皆と同じように ディッキーに惹かれ、そのうちに好きになってしまい、ディッキーからひどい言葉をあびせかけられたからの犯罪という可能性を示唆していたのかな?
彼の才能で、イタリアに渡る前にジャズの猛勉強をするシーンがあります。マイファニーバレンタインでの声を聞きながら「男か女か」のように独白が入り、ディッキーと一緒に演奏する場で見事にマイファニーバレンタインをコピーして歌うリプリーというシーンがあるので、やはりそれを示唆していたのかもしれないな。。。と思いました。
原作はこちら。 太陽がいっぱいと下の原作、それから続編を読んでみたいと思いました。
リプリー | |
![]() | パトリシア ハイスミス Patricia Highsmith 青田 勝 角川書店 2000-06売り上げランキング : 228799おすすめ平均 ![]() ![]() ![]() |
注意)ネタバレ
この記事は ネタバレを含む感想です。物語の冒頭のみ知りたい方は、下の ■説明 の部分のみお読みください。
■原題 My Life Without Me
■監督 イザベル・コヘット
■星 ★★★(よくできているとおもうけれど、日本語題名、日本語訳に??で★一つ減点)
死ぬまでにしたい10のこと | |
![]() | マーク・ラファロ スコット・スピードマン ゴードン・マクレナン 松竹 2004-04-24売り上げランキング : 11673おすすめ平均 ![]() ![]() ![]() ![]() |
■説明
アンは、娘二人と夫とともにトレーラーハウスに住んでいる。失業中の夫の新しい職も決まりそうで喜んだのもつかの間、家で倒れてしまい、病院に運ばれる。
■感想
ネットで感想を検索してみると、評価が二分している映画。
私はといえば、録画したものを観たのだけれど、最初の最初から躓いてしまいました。何に躓いたかというと、字幕で「私」と出ているのに映画の中では[you]とナレーションが入っていて、しょっぱなから「アレ?」と疑問がわいて映画に入り込めなかったのです。 頭の中には、「それじゃ、この映像は 『貴方がこうだと想像』というところを「私はこうだ」ということにすりかえられているのかな?などと考えながら、「映画の翻訳って難しいだろうけれど、意訳が激しいと、本来の映画の作り手の狙いまで変わってしまうのではないだろうか?」と思ってしまったりしました。
This is you. Eyes closed, out in the rain.You never thought you'd be doing
something like this.
You never saw yourself as,
l don't know
how you'd describe it, as...
のyouが全部 「私」と訳されていたら 「あれ?なんか違うんじゃ?」と思いませんか?
同じく、題名の「死ぬまでにしたい10のこと」これも原題の「My Life Without Me」とはゼンゼン違いますよね。 たしかにこの題だからこそ 「どんな映画だろう」と見てみたいという思いが強まったことはたしかで、私なしの私の人生。私がいない私の人生。などだったら果たしてこの映画を見たいと思ったかどうか?
夫に話してみて思ったのですが、私も夫も邦題の方が「見たい」という気持ちはかきたてられるという結論でした。ということは、たくさんの人に見てもらってナンボの映画としては、この日本人ウケしやすい題名は成功しているのかな?と。
しかし、たとえ「つかみはok」だったとしても、違う内容を予測するような題だと、映画に失望して面白くなかったと感じる人も多いのではないでしょうか。
<以下完全ネタバレなので色を変えます。マウス反転して読んでください>
「死ぬまでにしたい10のこと」にしてしまうと、この映画は
ただの不倫映画になりさがってしまう。 ただの主人公のワガママ映画の印象が強まってしまう。
「だって、死ぬまでにしたい10のことって、夫に新しい女性を世話して、自分は新しい恋をみつけ、相手を夢中にさせること。なるほど、素晴らしい」なんてすぐに考えるかな?? 自分が死ぬことがわかっているのに、相手を自分に夢中にさせて自分が死ぬってものすごく残酷じゃない?エゴじゃない? 夫はいい人だし、夫婦円満じゃない?自分も不満ないみたいじゃない?なのになぜ?不倫?? なんて思い始める人もいると思います。この邦題だと。
そうして、原題だとしっくりくるような気がします。
やりたかったことの中に「恋をして相手を夢中にさせる」というのがあるのは 原題で公開されようと邦題で公開されようと、私としては自分のエゴだとしか思えないし、私だったらそれをリストにあげないだろうと思うけれど、それは、見ている私の人生ですよね。 彼女にしてみれば、恋というものを実感する前に子供が産まれそのまま 大変な生活に流されてしまった人生だし、まだ自分は若いし、恋をしてから死にたいと思ったのかもしれない。良いとか悪いとかこういう生き方が好きとか嫌いとかそういうことは抜きにして、そういう人もいるかもしれないと見ることはできそうに思います。
個人的な好き嫌いは置いておいて、静かな淡々とした雰囲気に、ひきつけられる映画です。そうして、「もし私の命の期限が近い言われたらどうするだろうか」と少なからず考える機会になりました。
アンは、父親は服役中、夫は失業中。かわいい娘は二人いるけれど、経済的に自立していない結婚であったために、母親の家の庭のトレーラーハウスが自分の家であり、経済的にも苦労しています。
おまけに、とうとう死期の宣告までされてしまう。 でも、彼女には不幸そうな様子は微塵も見えません。 かといって、立ち向かおうという傍からみると疲れてしまうようながむしゃらな頑張りをするわけでもなく、水が流れるように自分の人生をすんなりと受け入れて素直に、周りの人々を受け入れて生きていました。その生命が、彼女が自分の死んだ後の人生を作り上げようとして、人と関わって結果自分の歩んできたレールを未来につないでいるんだなあなどと思いました。
ラストに近いところ 調子が悪くて寝ているアンが70年代風ビーズカーテン越しに隣人と自分の家族が楽しく歓談している図からその後へつなぐ部分もすごく印象に残ります。彼女が死んだり苦しんだりする場面がないまま死後につなぐところも、彼女の人生が続いているのだと受け取れました。
映画の感想を見ていて「My Life Without Me」というのは彼女が死んだ後の話ではなく、彼女が今まで生きていた時間なのではないかという感想がありました。 なるほど。そうかもしれない。自分の人生と実感する前に日々忙殺されていた人生でしょう。
そう思いながらも、日々それでも笑顔を絶やさず、人生に疲れている様子が見えなかった彼女のことや、ラストの場面などを思い出すと、「やっぱり彼女が死んでからも彼女の人生が続いているんだ」と私は思いたくなりました。
個人差があっても寿命があるのが 生き物の定めです。私も寿命があるのだったら、彼女のように自然に自分の人生の続きを託すような気持ちで、残る人たちへの思いやりを忘れずに死ぬ準備ができたらいいな。。と思いました。
でも、私だったら、彼女ほど強く自分だけの秘密として守ることができるかな?自信ありません。
注意)ネタバレ
この記事は ネタバレを含む感想です。物語の冒頭のみ知りたい方は、下の ■説明 の部分のみお読みください。
■原題 ANYWHERE BUT HERE
■監督 ウェイン・ワン Wayne Wang
■星 ★★★★
ここよりどこかで | |
![]() | ウェイン・ワン スーザン・サランドン ナタリー・ポートマン 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2006-03-10売り上げランキング : 27837おすすめ平均 ![]() ![]() |
■説明
なにやら何も無い道路を走り続けている車の中から物語は始まる。助手席にいるナレーションの主の地味でラフな服装の女の子(ナタリー ポートマン)と ハンドルを握るのは彼女の母。派手で多少下品ともとれるような服装の中年女性(スーザン サランドン)。美貌だけれど、品の無さから教養の無さが伺える。
上機嫌でしゃべりまくる母と対照的に娘は今にも泣き出しそうな表情。何かを耐えている表情だ。
彼女は破天荒な母のやることなすことが内心耐えられない。けれど、母ひとり子ひとりの家庭では一緒についていくしかない。今は母の決断で母の憧れのビバリーヒルズへ向かっている途中なのだ。
■感想
この映画を見終わったとき、てっきり監督は娘を持つ母親なのではないかと思った。 それほどまでに母と娘の関係を上手く描いていると思う。
以下、全体的に映画の内容に触れていますので、真っ白な状態で映画を見たい方はご注意ください。
私の場合は子供は男の子で ナタリーポートマン演じるアンよりもずっと小さいけれど、私も時々母としての自分を振り返って、自分の中にワガママで甘ったれの部分があることにも気づいている。息子にとっては大切な親であるから、自分よりも息子の幸せを第一に考えたい。理性的でありたいと思いながらも、時々そういうワガママで甘ったれの自分と戦っている。息子の未来が揚々としたものであって欲しいと思うと同時に、息子の親離れをどこかで寂しく思う。 などなど、 母になったからといって、「確固たる母」が自分の中に出来上がるものではなく、母にもそういうばらつきがあり矛盾した思いの塊があるのではないかと最近感じることがある。
スーザン サランドンが演じるアデルは、娘に対する愛情はあふれんばかりにあるのだけれど、それ以上に自分がオコチャマで 娘の気持ちなどさっぱりわからないし、わかろうとしない。 娘の気持ちなどお構いなしに 自分と娘はいつもおなじ考えであろうと思い込んでいるようだ。 しかし、頭の良い娘は 母がいつも追い求めている夢は実現しがたいことを一番良く知っている。 母がいつも頭の隅に追いやって見てみぬふりをしている現実を彼女はいつも見つめている。
だから母の生き方が我慢できなく嫌いなのだ。やがて母が直面するであろう現実がわかっているから。
でも、母には彼女が必要なのも痛いほどわかっている。精神的に母の支えとなっているのは自分だということもわかっているので、そういう母の行動を嫌っていたとしても、母を見捨てることができない。
母は母で、娘は かわいい プーちゃん(愛称:熊のプーさんなのか?)であり 女優になるほどの才能に満ち溢れていると信じて疑わない。 娘の意思とは関係なく次々とオーデションを受けさせる。
テレビで最近の日本の母娘を見ていても、友人や姉妹のようだと言われ喜んで二人でちゃらちゃら歩いたり、娘や息子に 女優やスポーツ選手の夢を託して 親の方が必死になったりということを 他人事ながら危うく感じていただけに、この アデルの アダルトチルドレンっぽい子供によりかかった生き方も現実味を帯びて見えた。
ナタリー ポートマン 。本当に上手い。キライいだけれど憎めないという親子関係を上手く演じていると思う。
細かい演出も上手い。クリスマスの日 掃除機をかけているアデルは 床に落ちているものを拾おうともせずに チャリチャリと大きめのゴミが吸い込まれていく音がする。 きっと掃除など日ごろはしたことがないのだということがそれだけでわかる。
ラスト。良い映画だと思った。 親は子供を育てるけれども、子供は親を育てる。 そんなことを日々感じながら迷いながらの子育てをしている私には とても面白い映画だった。
■原題 THE NET
■監督 アーウィン・ウィンクラー
■星 ★★★★
ザ・インターネット | |
![]() | マーク・アイシャム サンドラ・ブロック ジェレミー・ノーサム ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2005-06-22売り上げランキング : 58922おすすめ平均 ![]() ![]() ![]() ![]() |
■説明
アンジェラ(サンドラ ブロック)は、親しく付き合う友達もいないし、一人暮らし。コンピュータープログラムのバグとりの仕事をSOHOで請け負っている。 相手とも電話やメールとの付き合いが多い。 バグ取りとはいっても、最近はウィルス感染を発見することも多くなった。
■感想
公開当時(1995年)に映画館で見てとても面白かった記憶があったけれど、もう10年もたってしまっているからどうだろうといつも思っていた。でも、機会があったらもう一度見たいと思っていた映画だ。 当時私はコンピューター会社でシステム開発を担当していたし、ネットも身近だったから、この手の映画は大好きでいくつか見に行ったけれど、ほとんどは「オイオイ、そりゃないぜ」と仕事をしているものからみると 突っ込みを入れたくなるものが多かったなか、これは「ネットに情報をのせ、統合していくことにより、本当にこれに似通ったことって将来ありうるかも」と背筋が寒くなる思いがした。 サンドラ ブロックは 全体にごつくて男顔だし、あごもわれかけているので私にはあまりかわいらしいと思えず好みではないタイプ。でも、孤立無援になっても、あきらめずどうにかそこを抜け出そうとするたくましい役柄は彼女にピッタリで、好感をもった。
当初は もう10年もたってしまったから、どうだろう?という一抹の不安とともに観た。というのも、コンピューターやネットの世界は技術の移り変わりが速いので、当時おもしろくても数年たつと陳腐に感じられるものも多いからだ。
ところがこの映画は、相変わらずとても面白かった。たしかに出てくるゲーム画像はなんとなくチャチイし、パソコンも古めかしくはなっているけれども、最近増えた情報流出のニュースが示すようにネットの世界の情報の怖さはこの映画が公開された当時から変わらずにあるんだなあと思いながら観た。 オフィス(本当はセキュリティが厳しいのであんなに簡単に入れないはず)の空気も会社勤め時代を思い出して懐かしかった。(あれほど広いブースではなかったけれど。雰囲気は本当に良く出ている)
相手組織の黒幕が誰なのか、容易に想像がつくことから結末が予測できて、映画自体の評価が低い方もあるかもしれない。でも、確実にネット社会の問題を捉えている点で、あいかわらず面白い映画だったと思う。
他の映画評にかかれていたことで、機密文書のディスクと書かれていたのを読んで、それは違うんじゃないかな?!と思うことがあったので。。ネタバレを書いておきます。これは物語の最後の部分の謎解きなので、映画を見た方のみごらんになることをオススメします。
以下 大幅ネタバレマウスで反転してお読みください。
奪い合っているディスクの中には機密文書ではなく彼女がみつけたウイルスが入っているはず。ここには二つのウイルスが出てきます。一つは、πマークがアイコンになっていて、ネット経由でゲートキーパーというソフトを入り口として情報を入手できるウイルス。それからエスケープキーで全てを抹消してしまうウイルス。 奪い合いになっていたのは、πマークが入り口になるウイルスを含んだ モーツアルト ゴーストのソフトです。 そのソフトの存在自体が証拠になってしまうので、相手はばれそうになったらモーツアルトゴーストのプログラムを自分のパソコンから消せば良いはずなのですが、それがディスクにセーブされて他の人の手にあるということは、それが証拠となりうるから執拗に追われていたのです。 結局、サンドラは最後にそれを FBIに送りつけることで不正が暴かれるということになりますが、突っ込みどころといえば、「だったら最初からFBIに送りたまえ」かな?
もう一つの突っ込みどころは、エスケープキーで全ての情報を消してしまうウイルス。この影響範囲がどこまでか??この辺はナゾですけれど、書き換えられたサンドラの情報まで消えていたから ゲートキーパー経由で消えちゃった??ということかな?
たしかにπマークを押した後にたくさんのファイルがチカチカと移り変わるところは 演出としては古い感じは否めませんが、なんといっても10年前の映画ですから。
とはいえ、20年たっても、おもしろいかどうか??これはナゾです。(あの頃はこういう映画をおもしろがっていたんだよと歴史的価値が出てくるかな?)
注意)ネタバレ
この記事は ネタバレを含む感想です。物語の冒頭のみ知りたい方は、下の ■説明 の部分のみお読みください。
■原題 ADDAMS FAMILY VALUES
■監督 バリー・ソネンフェルド
■星 ★★★★
アダムス・ファミリー2 | |
![]() | バリー・ソネンフェルド アンジェリカ・ヒューストン ラウル・ジュリア パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン 2003-12-05売り上げランキング : 54693おすすめ平均 ![]() ![]() ![]() ![]() |
■説明
相変わらず個性的路線を突っ走っているアダムス一家に突然赤ちゃんが生まれることになった。それも今日。ウエンズディ(クリスティナ・リッチ)とバグズリー(ジミー・ワークマン)はあの手この手で赤ちゃんと遊ぼう?と(邪魔者に)する。 ベビーシッターを雇おうということになり、面接をするが、二人のワルガキぶりに決まらない。。そこへやってきたのはファッションからしてアダムス一家に似合わない明るい雰囲気の新しいベビーシッター(ジョーン・キューザック)がやってくる。
■感想
私は以前1と2を観たことがあるはずなんだけれど、例のごとくすっかり内容を忘れていた。昔観たときは悪ふざけとキャラクターの不気味さが面白いと思っていたのだけれど、今回あらためて見てみるとこの映画、アメリカを代表とする社会への皮肉がききまくっていてとても面白かった。
世から不気味でヘンといわれるアダムスファミリーの方が、正常で正しいといわれる人々よりもずっと善良で、その善良なアダムス家が抜け目ない世の人々に翻弄される物語だったのだなあ。でも、さすがアダムス家。そんなことはものともせずに戦わずして勝利しちゃうところがまた面白い。
これは、この映画の中のゴメス(スキンヘッドのパンダ化粧のあの人)に全て集約されているように思った。
以下大幅ネタバレ。一応色を変えておくので読む方はマウス反転してください。
今回、ゴメスの財産目的でベビーシッターを装った連続殺人鬼がやってきて、見事純情なゴメスのハートを手中にする。
結婚した彼女はあの手この手とゴメスを殺そうとするのだけれど、ことごとく失敗。ゴメスは見た目に似合わぬ天使のような純真さで彼女の悪巧みに気づきもしない。
何をやっても死なないゴメスに業を煮やしたベビーシッターは、時限爆弾をプレゼントの箱に入れゴメスに渡し、自分ひとり外出し、外出中にゴメスを殺そうとする。 ベビーシッターのもくろみをよそに瓦礫の中から無傷で登場するゴメスは何度見ても面白い。
一方ウエンズデイたちのサマーキャンプでの活躍もわくわくする。偽善に満ちた人々とウエンズディのからみは本当に面白い。
サマーキャンプは、七面鳥が歌って踊る。
「今日は感謝祭。どうぞ、ぼくらを食べて。お好きに料理して。死んでるから逃げないよ」「おいしいよ。食べちゃって」「保存はきかないからはやいところ食べてくれ」となんと都合の良い解釈で始まるけれど、ウエンズデイのポカホンタスの活躍で めちゃくちゃに。。。<ここがすごく楽しい。
ひとつひとつ書ききれないほど、コレデモカというてんこ盛りのエピソードを見ながら、 この映画こんなに面白かったっけ?と再認識しました。
続きの3はあるのかな?と探したら残念、2までしかないんですね。
ベビーシッター役のあのいかにもという作り笑いが印象的な ジョーン・キューザックは ワーキングガールの友人のあの人。
クリスティナ・リッチは、恋する人魚たちで素晴らしい泳ぎをみせてからこれを経て、つい先日見た モンスターでこれまた不思議な魅力をみせつけていましたね。 単なるオフザケ映画のようにおもっていましたが、久々に見直してみると、実力派の出演者がさりげなく?大胆に?出演している面白い映画でした。
しかし。。。。あらららら。。恋する人魚たち、ワーキングガール両方とも記事を書いてなかったとは。。。
恋する人魚たち | |
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お母さんがシェール。娘がウィノナ ライダーとクリスティナ・リッチそれにからむのがボブ・ホスキンスというキャラクターだったら なんとなく「普通の映画と違う」という予感もしようというもの。 しかし、記録を残していなかったのでいまひとつどこがどうだったかという記憶が消え去っているのだけれど、この映画、コメディではなくて、筋がおもしろくて、感動ものとして好きだった映画です。 アマゾンの評にはコメディと書いてあるものがあったけれど、これってコメディだったかな?というのが私の感想。登場人物ほとんどが普通ではないヘンな人たちだけれど、それぞれの不器用さや一生懸命さに心打たれたような記憶があり。
ワーキング・ガール | |
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注意)小さなネタバレ
この記事は ネタバレを含む感想です。本の冒頭のみ知りたい方は、下の ■説明 の部分のみお読みください。
■原題 DARKNESS
■監督 ジャウマ・バラゲロ
■星 ★★★
ダークネス | |
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■説明
スペインの田舎町の古びた家に越してきた家族。陰鬱な雰囲気はなにやらわけがあるらしい。どうやら、父の療養のためにアメリカからスペインのこの家に移り住んだらしいのだが、父親の頭を時々よぎるのは不気味で陰惨な記憶のよう。父にはそのときの記憶がはっきりとはない。田舎暮らしは想像するほど楽しく明るいものではなく、原因不明の停電が発生したり、家の中に他の人の気配が感じられるようになる。そうして、父にも治まっていた発作が起きて・・・
■感想
映画館で予告編を見て「見たい!」と思っていた映画です。子供が7人。ひとり逃げたという予告編でした。なんとなく、当時連載されていたマンガ「MONSTER」(浦沢直樹)のマンガと似ている展開を想像したりしていました。
主演のアンナ・パキンは、X-MENのローグ役ですね。有名なピアノ・レッスンは私は未見です。上手い演技です。
全体の雰囲気としては、そう悪くないと思いますし、アメリカ映画のような 怪物をグワーと出したり SFXで怖がらせるような映画ではなくて 昔ながらのじわじわした描き方で恐怖を呼び起こそうとしているような様子は好感をもちました。
以下ネタバレです。マウス反転してお読みください。
でも、あまり怖くない。雰囲気としてはシャイニングに似ていると思うのですが、シャイニングの方がずっと怖かった。。どうしてなんだろう?と考えてみると、見ながら家に縛り付けられて逃げ出せない状況に現実味がないのかなあ? と。家族が次々に取り付かれていくのであればそれはそれでそれなりの説得力があるけれど、かたくなに娘との確執かなにかでその家にしがみついて家を出ようとしない母親が良くわからない。 シャイニングの場合は、家族全員袋小路のわけですから逃げ場がない。 この映画の場合はとる選択肢はいくらでもあるのに、なぜか家は変わらないという不可解さがあります。 また、ラストもちょっと弱いなあ。 やるのならば、遊星からの物体Xくらい、疑心暗鬼をこちらに訴えかけてほしいのだけれど。
と、この映画を見るときにいろいろな映画を思い起こして比較してしまうこと自体やっぱりB級なのかなあと思います。
でも、映像は印象深くて、正統派の作り方がされている映画だと思います。
■原題 A KNIGHT'S TALE
■星 ★★★★★
ロック・ユー! | |
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■説明
中世ヨーロッパ。 馬上槍試合は、由緒正しい貴族の家柄でないとチャレンジできないというものだった。主役のウィリアムが仕えている騎士が試合中に亡くなり、賞金ほしさにウィリアムが止める仲間をふりきって、身代わり出場することにする。
■感想
音楽は、私のようにロックを知らないものでも聞いたことがある ROCK YOU! 冒頭から中世の槍試合でこの音楽に合わせてノリノリの観衆が映し出されて、一気に楽しい雰囲気に引きずり込まれてしまう。
こういう場面、何かのCMで観たことがあるぞ!と検索したら、どうやらペプシで同じような場面のコマーシャルをやったことがあるんだけれど、でも、でも、 ナイキのCMでなかったっけ? YOUTUBEで検索しても出てこないからこれは私の勘違いだったのかもしれない。 でも ナイキのCMだったらもっと「やるなあ」だけれどなあ。
ウィリアムの物語としても娯楽映画として十分だと思うけれど、芸のこまかいところがツボ。 途中で ジェフリー・チョーサーが出てきたり
たしかリチャード2世も出てきたなあ。
私は、民放のテレビ放映で見たからか ラストがブチリと切れたところが本当に残念。 ROCK YOU! ではじまったらこの盛り上がった気持ちはきっと ROCK YOU! で終わらないと。 たぶん、本当の映画はそう終わったに違いないと思う。
これでは気持ちが治まらない! と録画していた映像の頭に巻き戻して 最後に 冒頭の ROCK YOU!を 聞いて終わりにした。
リンク切れするかもしれないけれど、
YouTubeのペプシCM ROCK YOUはこちら。
画面上の▲マークを押しても動画が見られます。こちらはブリトニー
注意)小さなネタバレ
この記事は ネタバレを含む感想です。本の冒頭のみ知りたい方は、下の ■説明 の部分のみお読みください。
■原題 ED tv
■星 ★★★★
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■説明
マンネリ化したテレビ番組で視聴率に悩む局のプロデューサーが出した企画は、「普通の人の一日を、ウソ偽りなくそのままリアルタイムで流す番組。それもバカバカしい男が良い。」そんなもの誰が見るかと社長は言うけれど、いざためしに流してみると 視聴率がうなぎのぼり。
■感想
まずは、すなおに、「面白かった」ドラマだったとしたらなんてことないような日常が、全てリアルだったら「このあとどうなるんだろう」とスリル満点。たとえばエピソードの一つ一つは、恋愛であれ、お笑いであれ、そこいらの映画のストーリーに比較するとチープなものなのだけれど、「実話」だということで皆をひきつける。 もちろん、これは本当は映画であって、マシュー・マコノヒー 演じる虚構の世界なんだけれども、見ている私の方も 「なるほどね」とワンクッション置かれた状況で 展開にひきつけられるし、展開にひきつけられている人たちの表情を楽しんでしまう。
別の方向からみると、
以下ネタバレです。マウス反転してお読みください。
皮肉が利きまくっていてこちらも面白い。
テレビ局の人たちはモチロン自分たちがホワイトカラーであることを自認したうえで、ブルーカラーの家庭をターゲットに定め、対象となる人物も 「あまり賢くない人」と条件をつける。 つまり、教養がなく収入がない家庭を見てネタにしようという悪趣味な魂胆。 そういう人だったらお金につられてプライバシー公開を了承しやすいだろうという読みはあたる。視聴者からすると他人の生活を覗くというのは面白かったし、ターゲットからは次から次に出てくるわ出てくるわ予想以上のエピソードがではじめて...。 そのうちにテレビ局は結局ヤラセに走りはじめたり....。
エドよりも、いつのまにか悪趣味な企画をぶちあげ、それが上手く当たり始めたら本気になってきたテレビ局の皆がこっけいに見えてきて。。
多かれ少なかれマスコミというのはそういう体質を持っているものなのかもしれないな。。などと思いながら見ました。
ラストはハッピーエンド。他人を見下した人たちに、オマエだって!と一矢を報いることができ、「あー面白かった。」で終わりです。内容がばかばかしければばかばかしいほどいいんじゃないかなと思ったのがラスト。
ところで、このマシュー・マコノヒーは 前に見た映画よりもずっと生き生きしていてイイカンジ。 優しい教養のあるハンサム男より、コッチのほうが向いているんじゃないかと思うほどでした。
注意)ネタバレ
この記事は ネタバレを含む感想です。本の冒頭のみ知りたい方は、下の ■説明 の部分のみお読みください。
■原題 MONSTER
■星 ★★★★
モンスター 通常版 | |
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■説明
アイリーンとセルビーがはじめてあったのは、アイリーンがたまたま入ったバーだった。 アイリーンは絶望して死のうと思っていた。セルビーは自分の人生につまずきを生じて気晴らしをしたいと思っていたときだった。
美貌で有名な シャリーズ・セロンが 役作りのために体重を増やし、メイクで変身したことで話題になった映画。
アメリカ犯罪史上初の女性連続殺人犯、アイリーン・ウォーノスの実話に基づいた映画とのこと。
■感想
# ベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)(2004)
# アカデミー賞主演女優賞(2003)
# ゴールデン・グローブ女優賞(ドラマ)(2003)
と、たくさんの賞をシャリーズセロンがとった映画ということで、知りました。 ところが、シャリーズ・セロンが出演した映画はいままであまり記憶になかったため、この映画でオスカーをとったシャリーズセロン(映画後のダイエットを終えた姿)を見ても、なんだかふけていて、コメントには「あの姿からダイエットしてここまで美しく戻るなんて信じられない」なんていうコメントがピンとこない感じでもあった。ドレスもいけなかったのか、胸がなく妙に寸胴な感じがしたし、眉がない顔は 「まあ、綺麗だけれどね」という印象。 でも、ネット検索すると、まあお人形さんのような美貌で、たしかにこの映画のリーと同一人物とは思えない。
その程度の興味で「どんなに彼女が変貌しているか?」ということと、「いくつもの賞をとった映画だから」ということがこの映画を見ようと思った発端でした。
最初の画像が出てビックリ。ものすごい老け方。メイクでつけていると思えるそばかすを差し引いても、あごの辺りのへの字口のたるみといい、あの口のあけかたといい、演技でそこまでできるのだろうか。10キロ以上体重を増やしたという彼女の体(ストリートピープルなので、風呂に入れないから、トイレで身支度をするシーンがある。)は、あんなに美貌の主でもこんな体になれるんだというオドロキがあった。そうして、今はたぶん元にもどっているんだよな。 別の意味で、「やる気があり、努力すればある程度綺麗になれるんだよ」と思いたくなるような、変貌振りでした。
物語は、つらくて悲しい映画。救いが無い。
いくつかネット上に書かれている映画評を観たけれど、
これ以降 ネタバレです
彼女が、車が欲しいだけのために殺人を繰り返したり、うんざりした毎日から抜け出すために売春をしたんじゃないと私は思う。 彼女自身、今まで誰からも愛された経験がなかったからこそ、まだ子供じみていてワガママなシェルビーの駄々にさえ応えたいと思ったし、それを実現するためには、自分にはとる道が思いつかなかったし、なかったのだとおもう。食べるものがないからといって、「売春してたべさせてくれるっていったじゃない。どうして売春しないの?」なんて言われて普通に生活している人がその通りにするなんてありえない。自分が殺されかけて殺人を犯してしまってから、売春自体が怖くてしょうがないのに、お金を得る手段がそれしかないと思った場合。そこまでしても、シェルビーからの愛情(ほんとうに愛情か?共感か?)を失うのが怖かったのだと思う。しかし、そうはいってもつのる売春相手に対する嫌悪感で、自分は正しいことをしている。世の中の間違った汚い男たちに罰を与えていると思うようになってしまったのではないかと思ってみた。 同性愛傾向のあるシェルビーとの関係についても、家族の愛情を知らない自分にとって、自分を愛してくれているとはじめて思った人がたまたま女だったということなのではないかとおもいました。
内容が内容だけに、ショッキングで醜悪な映像が多いです。家族や恋人と見る映画ではないと思います。
当初、女優の力量を見たいという軽い気持ちで見始めた映画だったけれど、アメリカに代表される社会の闇を思いました。そうしてとてつもなく悲惨で悲しい映画でした。
最後の最後まで、アイリーンの気持ちを 失いたくなかった。そのために罪を重ねていった。ところが、証言台に立ったそのアイリーンに冷たい表情で指を指されて 切り捨てられてまで、それでも強がって口をへの字にして仁王立ちして罵詈雑言を吐くしかない彼女の強さ(生きていくなかで身に着けた強がりだと思う)がとても悲しかったです。