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September 20, 2004

たそがれ清兵衛

■著者 藤沢周平
■発行 新潮文庫
■星  ☆☆☆☆
たそがれ清兵衛新潮文庫
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■説明
たそがれ清兵衛をはじめに、8人の下級武士の物語集。
映画は たそがれ清兵衛・祝い人助八・(もうひとつは失念) などをもとに別の物語としてつくられたものだとよくわかった。

■感想
周辺環境を淡々と説明文のように書くところから始まる文はとっつきにくいのだが、読み進むうちにその冷静さが静けさとなってすっきりとした味わいになるような文だと思った。
 藤沢周平の本は今まであまり読んだことがなかった。
短編集のこの本は、通勤などでも読みやすいと思う。

このたそがれ清兵衛は、いうなれば NHKの プロジェクトX の感動と似ていると思える。
下級武士を襲ういろいろな軋轢は、現代のサラリーマン社会に良く似ている。
そうして、最初から表舞台にたっているわけではない普通の人である主人公が実は秘められた特技を持っていてそれで、何かをなしとげる。しかし、それで天下をとるような大きなことは起こらない。淡々とした物語が8つ。

 サラリーマン社会に住んでいる人たちからは、共感する部分が多いのではないかと読み進んだ。
そう。サラリーマン生活が長かった私も、すっきりと読み終えることができた本。

話は、少しそれるが、実家近辺では「ほいとう(ほいと)」という言葉が昔聞かれたのだが、方言だと思っていた。祝い人と書くということと方言ではないというのは初めて知った。※広辞苑を引くと陪堂
 方言には、時々昔の言葉が残っていておもいしろいものだ。

September 19, 2004

猟奇的な彼女

■原題 MY SASSY GIRL
■監督 クァク・ジェヨン
■公開 2001年
■星 ☆☆☆
猟奇的な彼女My Sassy Girl
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■説明
チャ・テヒョンは普通の学生。好みは、少女漫画の主人公のような女の子。彼女がほしい年頃。
友達と飲んだある日、まさに好みとピッタリの見かけの女の子チョン・ジヒョンを駅でみかけた。
彼女はふらふらと入ってくる電車に倒れこみそうになり、それを助けたのだが、それが大変な縁のはじまりだった。

■感想
面白いという前評判があり、友達も面白かったとのことで借りてみてみました。
前半コメディ。8割までコメディで来て後の二割が昔の少女漫画という感じです。
 チョン・ジヒョンのあのおとなしそうな顔での恫喝姿。私は結構好きです。
「猟奇的」という言葉は日本では 不気味で異常なものをさしますので、なにも前知識がなく、そういうものを求めて見ると 全く違いますので 失望してしまうかも。

 どちらかというと 「暴力的な彼女」とかそういうイメージでしょうか。

☆が三つだったのは、ちょっとテレビの連ドラのような雰囲気で私が映画に求めるものと少し違っていたから。 でも、充分楽しい映画です。

September 16, 2004

たそがれ清兵衛

■原題 たそがれ清兵衛
■監督  山田洋次
■星  ☆☆☆
たそがれ清兵衛
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■説明
娘(岸恵子)の声で、父清兵衛(真田広之)について語られる。
妻を結核でなくし、娘2人と 惚けてきた母を養うために たそがれ時に飲みの誘いも断って家にまっすぐ帰る父。 同僚は「たそがれさんは」と茶化すのだった。そんな単調な毎日が変わったきっかけが、友達の妹で幼馴染の宮沢りえが嫁ぎ先から戻ってきたこと。

■感想
藤沢周平の本は、あまり読んだことがない。サービス精神旺盛な池波正太郎の剣客商売を読んだあとだったので、静かで淡々とした語りが印象的だった。
 この映画を見たときに、その静けさがうまく表現されていると思った。
宮沢りえ(綺麗ですね)が出てくるまでの押さえた光りと色。 効果的に使われている鶏の声。コッコと聞こえてくることで静けさが引き立つ。 淡々と進む物語も彼の本の雰囲気とあっていると思った。

ところが、検索してみると、本の「たそがれ清兵衛」とは別物と考えたほうが良いとのこと。
たしかに原作欄にそれ以外に2つくらい題名が書いてあったからシナリオはあらたに書き直したのだろう。
早速読んでみたが、本の清兵衛さんには娘も惚けた母もいない。 仲むつまじい夫婦の物語だった。
 
宮沢りえ。この映画で賞をとったので見たかったのだが、うまくなりましたね。
彼女の舞台も映画もみたことがあるのですが、素っ頓狂でなってないと思った昔からずいぶん女優として腕をあげたと思いました。決して順風満帆ばかりではないときもあったわけですが、彼女の前向きな努力が実を結んでいると思います。

 真田広之。舞台や映画での剣使いは もうベテランですね。安心してみていられます。
配役の妙だったと思います。

さて、この映画。ニセオヤジの私から見ても、中年以降のまじめなおじさんたちがぐっとくるような映画だなあという感想を持ったのですが。ネタバレになるので 続きを読むからご覧下さい。

一応色も変えておきます。これを読んだだけで、映画の内容全体にかかわることがかいてあるような大幅なネタバレですから、これから映画を見ようと思う方は読まないほうが良いと思います。
宮沢りえの役柄は原作では出てこない。この映画ではじめて出てきた存在です。子どもの頃の淡い恋心を告白されます。妻は亡くなっている。相手は夫と別れたばかり。結婚というのには何の障害もないわけです。 相手は出戻りといっても、まだ輝くばかりに美しいし、優しく、聡明な女性です。子ども達もなついています。母も彼女とうまくやっていけそうです。

 しかし、貧乏な侍の家の生活の苦しさは体験させられない。オレの禄では食わせられない。苦労をさせるのが目に見えている。 大切に考えているからこそ断ってしまう。苦しい思いをさせたくない。
 勤め先は役所。皆には情けないやつだと思われているし、それで良いと思っている。
今は娘達の成長をみるのが楽しみだ。 しかし、そういう彼に 命令が下るわけです。
 有無を言わさず 「ヤレ」です。断ろうとしたのに、断れないのです。
 この辺がサラリーマンの悲哀に重なるわけで、きっとコレを見ていたお父さんたちは、そうなんだよなあとぐっと来ると思います。

初恋の人からの告白。そうして、それからどうなるのか。 この後も オヤジの心を鷲づかみにするような 話が続くわけです。

ロマンチストなおじさんの心をつかむだろうなあ。とニセオヤジながらも思った映画でした。

検索すると「何回も見て妻に呆れられている」という人がいましたが、う〜ん。 それはロマンチストすぎ。奥さんが気の毒です。 そういう方はぜひ、原作の 「たそがれ清兵衛」を読んでください。
多分奥様はこちらの方が好きだと思います。
 オヤジの心を鷲づかみといっても、これにはきわどいシーンはありません。そういうのがない、「精神的なもの」だからこそ、おじさんのための御伽噺が際立っているような気もします。

September 15, 2004

バイオハザード

■原題 RESIDENT EVIL
■公開年 2002年
■監督 ポール・W・S・アンダーソン 
■星 ☆☆☆
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■説明
ミラ・ ジョヴォヴィッチは、豪華な屋敷のシャワールームで目が覚める。シャワーを浴びている最中に気を失ったらしい。部屋には見覚えがない。
ベッドの上には赤いシンプルなドレスが着てくれとばかりにひろげられており、メモには「今日、君の願いがかなう」とある。隣に自分の字を書いてみるが自分の筆跡ではない。
 どうやら記憶を失っているようだ。

■感想
ゲームを購入したのだが、なぜか主人公がまっすぐに歩けなくてすぐに死んでしまうので先にすすめないまま息子が生まれ、ゲームは購入して2,3回プレイしたまま封印した。 なぜ ゲームの題がバイオハザードなのか?屋敷の2、3の部屋からしか出られなかった私には、わからなかったのだが、この映画で意味がわかった。(と思ったのだけれども、検索したら、ぜんぜん違うようですね。あらら)

 ミラ・ ジョヴォヴィッチの目のシーンが印象的。彼女のアクションもとても綺麗です。
途中出てくるタラコ唇の女性の白目気味のしゃべり方がなにより印象的で怖い。ホラーというよりも軽い感じであまりこわくありませんでした。

昔見たゾンビ映画をおもいだしました。ストーリーとしては ありがちな感じで、最後もなんとなく読めますが、映像が綺麗でそこそこ楽しめると思います。
ちょっとだけネタバレはこちら  

色を変えてますので 反転してみてくださいね。

コンピューターが少女の映像で惑わすっていうのは、ソラリスあたりを思い出しました。でも、いらいらした気持ちをつのらせるような演出だと思います。
 相手は子どもの姿と声をみせこちらの感情をゆさぶるけれども、それはコンピューターの策略。
そんな目にあったら結構な拷問だなあとおもいながらみました。

September 03, 2004

リロ アンド スティッチ

■原題 Lilo & Stitch
■公開年 2002年
■監督 クリス・サンダース ディーン・デュボア
■星 ☆☆☆☆
リロ・アンド・スティッチ(吹)LILO AND STITCH
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■説明
銀河連邦の裁判。禁じられている遺伝子操作で生き物を作った罪で裁かれているエイリアン。
生き物は破壊本能しかもちあわせていないという。本当にそうなのかと最後の確認をするのだが、宇悪態をつきまくる生き物。処遇は、銀河連邦の追放となったが、その生き物が逃げ出してしまった。

■感想
ここのところディズニーアニメに食傷気味だった私、あまり乗り気ではなかったのですが、息子が借りたいというのでレンタルビデオを借りてきた。意外にいいじゃない。というのが1回目に見た印象。 前に見たのはなんだったかと思い出すとアトランティスだった。
  さて、ディズニーの善意に満ち溢れるハッピーな映画は、絵空事のようで気になる方も中にはいらっしゃると思うのだが、「うちの会社はこういう映画を作ります。」というポリシーがあるのは良いことだと思う。 特に、ディズニーの場合、大人になってからのファンも多く、キャラクターがひとりあるきしているし、商魂たくましいところで複雑な思いがするかもしれないが、基本的にターゲットは子ども。子どもに「たのしくて、明るくて、道徳的に問題のないものを提供します」という安全なイメージを掲げているそういうポリシーは大切だと思うのだ。

 場所の設定が絶妙。 「ハワイ」「さんさんと輝く太陽」「のんびりとした人たち」(ハワイに行ったことがないのですが) ハワイのイメージとピッタリ合って、こんな場所だったらあるかもしれないと思わせる場所だ。 これが日本だと絶対に成立しないし、アメリカ本土でも、もちろんイギリスでも。 
 
 全編を通して思うのは、たぶん、この製作に関わった人たちの中に子どもを持っている人か、子どもが好きな人、子どもを研究している人がキットいる!ということ。 たとえば、ほんの少しだけネタバレなので隠します。
スティッチが逃げ出すときに、使った宇宙船について、カワイイ顔をした子どものような乗組員がつぶやく。「あかいのとられた」。子どもの世界では色はかなりのコダワリに繋がっていて、青でなければいけない。緑でなければいけないなど、かなりの執着をみせることも多い。
時に機能そのものよりも色が優先されることもある。
 彼は赤いパトロール艇がすきだったのだろう。 ついこちらもくすっとわらってしまう。 こういうところは、子どもを注意深く知ることがなければわからないところだと思う。
(私が見たのは日本語バージョンだったので。。英語バージョンがどうなっているかは?です)

 上のような小さな出来事もそうだけれども、見終わった後、全編を通して、望ましい子どもへの対応を登場人物がしていることに気づいた。 まずは、子どもの思いを否定するのではなくて、うけとめてやる。
 姉はリロの思いをうけとめる。 リロは スティッチの思いをそのまま受け止める。そうして相手に寄り添いながら理解してゆく。 オコチャマ向けの映画でありながら、そういう目でみると随所に 配慮が感じられる暖かい話だった。こんな風に対応されていけば、きっと 破壊を目的のエイリアンでもいつか自然にカワイイ仲間に変わっていくだろうという 説得力に繋がるというものだ。

 さて、最後はおきまりのめでたしめでたし。ハッピーな映画。コアラのようなスティッチとリロたち家族、+αの不思議な家族の幸せな笑顔を見ながら 俗世の毒を一瞬さらっと流して、スッキリと子どもの心に戻れる映画だったと思います。
 

September 02, 2004

キューティ ブロンド 2

■原題 Legally Blonde 2
■監督 ロバート・ルケティック
■星   ☆☆☆
キューティ・ブロンド 2 特別編Legally Blonde 2
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■説明
 エル(リース・ウィザースプーン)は結婚を控えた、ブランド好きのブロンドの、ピンク大好きなアーパー風の女の子。しかし彼女は敏腕弁護士。 そうして、結婚式の準備に忙しい。ところが、万全で、パーフェクトな結婚式になるはずが、一つ忘れていたことを思い出した。ペットのチワワのお母さんを結婚式に呼んでいなかったのだ。 ペットのチワワは、捨て犬だった。 「本気ですか?」と尋ねる探偵に、「従兄弟のダイエットの先生を招くくらいなら、片時も離れない愛犬の母親を招くほうがいいでしょ?」と。母はすぐにみつかったが、その状態が問題だった。

■感想
 「キューティーブロンドは面白い」というのをどこかでみて、レンタルショップで発見して借りてみたら、2だった。(失敗)とりあえず見てみた。ところどころ、デルタヌーとはなんだ?とかわからないところもあるが、筋は追えるし楽しめる。

 あちこち検索してみたところ、「すきすき」という人と「都合よすぎる」という人の意見がみられた。

私はというと「結構好き」 真面目な映画で中途半端なツメだと 山のように、そんなことありえない!と文句タラタラ垂れ流す私ですが、この映画はなんでだろう。何で許せるんだろう。
 もちろん、うまくいくためにコネをつかいまくっていたり、特別待遇を利用するわけだから、本気でみたら義憤を感じるはずなんだけど。
ちょっとネタバレ
とはいえ、主人公のエルは、「脅しは嫌い」とラストで正々堂々の戦いを宣言しているわけで、彼女の金やコネの使いっぷりは いやらしい策略で使われたわけではなくて、「あ、困っていたらこんなところに解決策がおちていたわ。超ラッキー」という形だからかもしれない。

ある意味、この映画は私にとって「映画版 わらしべ長者」なのかもしれない。
わらしべ長者は転んだ時にひろったわらしべ1本を持つ優しい心の持ち主。でも、皆、これを昔話だと知っている。だから行く先々で都合よく反物をもらえたり、馬がもらえたりしても「そんなのありえない!」なんてハラをたてたりしない。「実際の人生そんなに甘くない」なんて怒らないし、最後に大きなおやしきまでもらえても 読み手は「ああ、正直物がしあわせになってよかった」と見守れるのだ。

エルはまさにそうなのかも。 とにかく性格が良い。バカッポイけれども、まるで4歳児のように悪意がない。意地悪されてヘコんでも、相手に仕返ししようとせず、自分の目的を達成するという方向性を忘れない。 おまけに映画の最初から「ありえな〜い」という前提で見ている。
そういう関係で、かなりのご都合主義の展開でも私はぜんぜん気にならず、軽く楽しく見ることが出来ました。

 全身ピンクだったり、犬をつれてチョコチョコ歩くさま、髪の毛ピン止め。 全体と個人の混同。etc...「ユルセナイ〜」ことの多い映画なのに、 彼女の笑顔を性格のよさで許せてしまうもんなのねえ。 

1はまだみていないけど、2も面白かったと思います。

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