■著者 ジェラルディン・マコーリアン
■星 ★★★★★
不思議を売る男 | |
ジェラルディン マコーリアン Geraldine McCaughrean 金原 瑞人 偕成社 1998-06 売り上げランキング : 38,749 おすすめ平均 読むほどに引き込まれていく 短編がよくて、ラストは未だによく理解できていません…。 最高! Amazonで詳しく見る by G-Tools |
■説明
エイルサが図書館であった男は風変わりな男。緑色のコーデュロイの上着を着て、ひじも脇の下もボタンホールのまわりもしわになってすりきれている。 男は「住所が証明できないと図書カードがつくってもらえない」「ちょっと貸してもらえないか」なんて言い出すし、どうやら男は副館長のレミットさんにも目をつけられているみたい。 どこから来たのと聞かれて 「リーディング」なんていうなんて。
■感想
ひょんなことから母が経営する骨董品店に転がり込んできたMMC(緑の上着の男)のお話にひきこまれ、骨董を買っていく人たち。実は私もそのおはなしに引き込まれ、最初は怪しい人としかおもっていなかったMMCが、ステキな人のように思えてくる。彼の語る物語はバリエーションに富んでいて、魅力がたっぷり。全部で13章からなる本ですが、次はどんなおはなしかな?と待ち遠しくてどんどんページをめくっていってしまいます。
以前 愛と哀しみの果てという映画を見たときに主人公の女性が、延々と長い話を暖炉の前で男性に語るという場面が出てきました。そうして彼らはそれをとても楽しみにしているという描写でした。
それについて、どこかで 「昔、イギリスでは、物語を語れるということは教養のある人だということなのだ。」と読んだ記憶があり、なるほど、そういう面で、彼女は男性からしても教養のある魅力たっぷりの女性だったのね。と納得した覚えがあるのですが、今ネット検索しても、残念ながらそのような記載にヒットしませんでした。
でも、愛と哀しみの果てだけではなく、たとえば、ピーターパンにしても、ウエンディが夜毎語る物語を子どもたちはとても楽しみにしていることなどからも、たぶんそのように思われていたのではないかなあと思います。 そういう点からみても、こんな風に自由自在に面白い物語を語れるMMCはやっぱりものすごく知的で魅力的な人物という想定なんだろうな。
面白くて満足感がとても高い本でした。 小学校高学年から上を対象にしている本だと思います。
難しい漢字には振り仮名がついています。