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October 19, 2007

陰日向に咲く

■著者 劇団ひとり
■星   ★★★★

陰日向に咲く
陰日向に咲く劇団ひとり 幻冬舎 2006-01売り上げランキング : 835おすすめ平均 starstar評判に違わず面白かったですstar普段本を読まない人に興味を持たせる作者は偉大だと思うstar最初は興味本位だったけど。。。Amazonで詳しく見る by G-Tools

 タレント本は今まで手にとったことがなかったけれど、面白いうという評判だったので、読んでみることにした。 最初の数ページを持ちこたえたらきっとそのあとラストまでトントンと読み続けられると思う。 
 何よりも最初に気にかかったのは、多発する「ら抜き」言葉。作家ならば 物語中の人物に合わせてかいたのだろうか?と思うのだけれど、最初は「ら抜き言葉を使う」にはちょっと年配の男性だけに違和感があった。 物書きさんでないのに、うまいと思う。 もちろん私にはこれだけの物語を書く才能はないだろう。 実力は次作がどうなるか?というところで問われるのではないかな。

 「オチ」についての話がこの本の中にもちらりと出てくるが、オチを意識しつつ書いた本だなあ、このあたりがお笑いの人だなあとおもいつつ読んだ。

GO

■著者 金城 一紀
■星   ★★★★★

GO (講談社文庫)
GO (講談社文庫)金城 一紀 講談社 2003-03売り上げランキング : 66092おすすめ平均 starstarスピードstar「自然」に線を引くことstarエネルギー溢れる恋愛小説Amazonで詳しく見る by G-Tools

 おもしろかった。一気に読み終えるくらいパワーのある本だった。いわゆる「在日朝鮮人」だった父がハワイに行くために「在日韓国人」になることにした。。というところから話ははじまり、あくまでも軽く、テンポよく進んでいくのだけれど、登場人物の魅力でぐいぐいと話に引き込まれてしまった。 
 最近の「ヤルキも目標もありません。ただダラダラ生きています」的な主人公の本も多い中、熱い登場人物たちと一緒に喜び、驚き、怒り、泣き、笑い、一気に通り過ぎたという感じ。

 映画化されたということで、映画はあまり好きでなかったという話をネットでみかけたけれど、たぶん、映画は好きでなかった人も、本ならば好きになるのではないかと私は思う。 

October 13, 2007

名もなき毒

■著者 宮部 みゆき
■星   ★★★★

名もなき毒
名もなき毒宮部 みゆき

幻冬舎 2006-08
売り上げランキング : 17854

おすすめ平均 star
starなんとなく爽やかな読後感
star『毒』をめぐって展開されるヒューマンドラマ
star理不尽

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■説明
1つ前の本の続編。杉村三郎はある企業の会長の娘の婿。婿とはいっても、会社経営にはまったく参加することなく、社内報を作っている広報室に勤務している。

■感想
 実は、最初の数ページを読んで、「このシチュエーション、どこかで読んだことがある。。もしや、以前読んだことがある本をまた借りてきてしまったか。。」と焦った。実際、このブログをつけはじめたのも、同じ本を何冊も買ってしまったりということが多いから備忘のためにもつけておこうとおもったという理由もあるからなのだけれど。 「久々にやってしまったようだけれど、どうもこの展開には覚えがないんだけれどなあ。とうとうトシのせいでここまできたか。」と思ったりした。
 検索してみるとシリーズものだったようで、ホッとした。

 前回の「誰か」は途中でなんとなく犯人が見え隠れした時点でいま一つ盛り上がらなかったのだけれど、今回はいくつかの毒がうまく組み合わされて最後まで犯人を捜しながら読むことができ面白かった。 

誰か Somebody

■著者 宮部 みゆき
■星   ★★★

誰か Somebody (カッパノベルス)
誰か Somebody (カッパノベルス)宮部 みゆき 光文社 2005-08-20売り上げランキング : 68270おすすめ平均 starstar自分以外の誰かが必要なのだstarミステリーだけどミステリーっぽくないstar日常を舞台にした推理小説だからこそ感じられる教訓。Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 会社の広報室に勤める杉村三郎は、会長の娘の婿殿。とはいっても、部署も気楽な部署だし、会社経営にはほとんど関係することのない毎日を過ごしている。

■感想
 ずいぶん前に読んだきり、感想を書くのを忘れていた本。おもしろかったんだけれど、読後感が悪かったんだよなあ。だから「書かなくてよいかな?」と思ったような記憶もある。たしかに、今までの宮部みゆきの本と同じく、大きなハズレというわけではないのだけれど。 途中で「アレっ?」とラストへの展開が見えちゃったのもマイナスポイントだったのかもしれない。 

秘密

■著者 東野 圭吾
■星   ★★★★

秘密 (文春文庫)
秘密 (文春文庫)東野 圭吾 文藝春秋 2001-05売り上げランキング : 821おすすめ平均 starstar比類のないほど劇的かつ人間的star究極の愛star気が狂いそうになりますAmazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 妻の実家で葬式があるけれど、私は仕事で出られない。もともとそろそろ亡くなるであろうという人の葬式だったので、妻も心の準備もできていたし、ついでにスキーするという娘と妻二人で帰ることになったのだが。

■感想
 東野圭吾の本はいくつか読んだけれど、やりきれない思いが残ったり、シビアすぎるほどのに現実を見据えたものも多く「だいたい、こういう作風の人なんだな。」。と先入観を持って読み始めた。最初の数ページ読んで「あれ?」と私の先入観がまちがっていたことを思い知らされた。こういう展開になるとは思わなかった。 それからずっと 「どうなるんだろう?」という思いでページを繰り、ラストまで一気に読んで、甘えをゆるさないところがやっぱり東野圭吾だなあと思ってしまった。この本で、私の東野圭吾に対するイメージが少し変わってきたと思う。

October 10, 2007

ダーリンの頭ン中 英語と語学

■著者 小栗左多里
■星   ★★★★

ダーリンの頭ン中 英語と語学
ダーリンの頭ン中 英語と語学小栗 左多里 トニー・ラズロ

メディアファクトリー 2005-03-04
売り上げランキング : 29209

おすすめ平均 star
star宗旨変えして語学の本
star一粒で三度おいしい
starうん、面白い

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■説明
 国際結婚した 小栗左多里さんとダーリンの英語、日本語比較マンガ。

■感想
 最初にお断りしておきますが、これはマンガ主体の本です。
というのも、ずっとこの手の本を手に取る気はなかったのです。読む前から「国際結婚っておもしろいよ」という身内ネタが書いてあるんだろうなあ。。などとおもいつつ、最近はネットでいろいろ面白いものがあるから、別に本を読まなくてもね。と思っていたのですが、小学生の子どもがこのシリーズを手に取っているのをみて、「小学生が読むの?」と興味がわいてきたというのが発端。

 マンガですから、内容としては少ないのですが、気楽に楽しく読むことができました。一つ一つのエピソードに 「うん!そうだよ」と力強く同意したり、「へえー。なるほどね」とものの見方の新鮮さに驚いたり、ガイジンのオットを持った面白さを垣間見させていただきました。

 アマゾンの書評では好き嫌いが分かれているように思います。ネイティヴと何の苦労もせずに話すことができる人には退屈な本かもしれませんが、私は割とたのしむことができました。

October 03, 2007

ひとり日和

■著者 青山 七恵
■星   ★★

ひとり日和
ひとり日和青山 七恵 河出書房新社 2007-02-16売り上げランキング : 10145おすすめ平均 starstar観察眼の鋭さstarごく平凡な感じstar第一作目よりも良いですね。Amazonで詳しく見る by G-Tools

■説明
 わたしは、東京に出てはじめて家族から離れて暮らすことになった。とはいっても、家族というのは母しかいない。中国へ行くからついてくるかと聞かれて断ったのだ。暮らすのは猫の額ぶちがたくさん下がっている鉄道沿いのおばあさんの家に下宿という形。おばあさんは母の年賀状を出す程度しかつきあいのない親戚らしい。

■感想
 最近こういう女性を書いた本が多いなと思うし、流行りなんだろうとも思うけれどどうも好きになれなかったし、おもしろくなかった。やる気もなく目標もなくテキトーに生きている女性の話。

 やっぱり年代が違うのか、つらつら私が彼女くらいの年だったころを思い出しても、彼女の気持ちがさっぱりわからない。まったく共感しない。それどころか、ものすごく居心地が悪い。 そういう私の気持ちにどうにか救いがあるとすると おばあちゃん「吟子さん」の存在かもしれない。 何事にも頓着しないようでありながら、残った人生を気ままに生きている。実際主人公も、当初は異星人でも見るように接していた吟子さんの生活を内心うらやましがったり嫉妬したりしているのであろうと思われることもあるし。

 アマゾンの書評ので星が少な目な結果を見て妙に納得しつつ、「芥川賞って?」と思ってしまった。その上に「村上龍と石原慎太郎が絶賛」だなんて書いているから、どんな絶賛具合だったんだろう?と突然興味がわいてきた。

 もしや、選考委員がもう若いころをとうに過ぎた人ばかりで、「イマドキのわけわからん(と自分が思っている)若者」が「自由気ままで楽しい老人」をうらやむ図を見て「そうだそうだ」と 主人公ではなく老人側の気持ちで読んだとか???
 文が上手っていう評もあったけれど、そんなにいうほど上手いだろうか?  「上手な本」がそのまま「おもしろい本」につながらないというところがミソなのかもしれない。しかし、「上手さ」があったとして、上滑りしていたらなんにもならないじゃないですかいと思ったりもして。
 
 ま、元気の良い母と、自分の人生をマイペースで生きている吟子さんを、根無し草状態の自分が見る。その視点の変化。というあたりがあえていえば面白かったのかな。

 あまりにぶぅぶぅ言いながら読んでいたので、pon1には「そんなに嫌な本は読むのをやめた方がいいんじゃない?」と言われてしまった。蹴りたい背中は、そこそこ面白く読んだんだけれどねえ。

 芥川賞の書評で検索したら、面白いブログにたくさんヒットした。

石原慎太郎氏絶賛!? 芥川賞「ひとり日和」(怒りの書店員rainyの怒涛の読書ダイアリー)

……てなわけで、ワタクシの中でこんな公式が出来上がってしまいました。 石原慎太郎氏のけなす作品は面白い!!
ところで、近頃の純文学の方はおしなべて(といってテメーはいつの時代のことを知ってるんだ! とお叱りがきそうですが)どーも大人し過ぎる気がするのが、残念っつーか歯がゆいといいますか。誰か一人位、「うっせージジイ! テメーのような石頭にオイラの文学のスゴさが分かってたまるか!」って暴れるまくるような元気のいい奴いないのか!? ……ま、ヤンチャを表に出すことなく、ひたすら悪意を筆に込めるからこそ、いい小説が書けるってとこもあるんでしょうけどね……。
と。 パソコンの前でニヤリと笑いながらパチパチと拍手をしたくなってしまいました。

第136回芥川賞選評(琥珀色の戯言)
選評をかいつまんで載せてくださってます。

もしかしたら、選考委員の高樹さんのコメントにあるように、選考委員の大ベテランの皆様が、「元気な高齢者、疲れている若者」という内容を真に受けて舞い上がってしまっただけなのでは……とも思えてきます。
 まさに。そう思えますねー。

第136回芥川賞 青山七恵「ひとり日和」受賞(飴色色彩日記)

「ニヒリズムに〜」とかちょっと深読みしすぎでは。 要するにただ単に「やる気がない」「目的がない」主人公だし、そう言えばいいのに・・・。

うぉぉぉ。まさにその通り!そう思います。

幼稚な主人公、甘え、そして乾いた恋愛。 選考委員たちには若い人がいないけれど、もしかしてそれらを「現代的」と感じているのだろうか。

そだそだ! 。

と今回は人様の感想でお茶を濁させていただいたけれど、読んでも明日には忘れてしまうような本でした。 だからこそ書いとかないとまた買ったり読んだりしてしまうものね。 備忘録としてとりあえず記録をつけておかなきゃ。