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October 24, 2003

クッキングママの 検屍書

監督【著者】 ダイアン・デヴィットソン
★★★
クッキング・ママの検屍書集英社文庫
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説明
クッキングママシリーズの6巻目。
今回は 親友で大金持ちのマーラーが大変な目にあってしまいます。

感想
なんで、ママでケータラーなのにこんなことに。。というほど ダイハードもびっくりの巻き込まれ型のゴルディ。

 今回はものすごい冒険になっています。

こんなにパワフルな友達がいたら きっと心強いだろうな。。
 文章は私には合わないようで(翻訳がかな?)前半は多少ダラダラと読んでいたのですが、ラストはすっかり冒険に引き込まれてしまいました。
 
 今回も身近な人との分かれがあるのは寂しいです。

中に載っているレシピは アーティーチョークのベーコン巻きや チョコレート好きに捧げるクッキー(これは大王用)などが 気になるところ

October 18, 2003

業火

原題 POINT OF ORIGIN
監督【著者】 パトリシア コーンウエル
★★★★
業火講談社文庫
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説明
検屍官ケイシリーズの9冊目 

不気味な手紙がケイに届く。犯罪を犯して施設に収容されているためケイに手紙を出すことができないはずのキャリーからだ。

 手紙が気になりながらもメディアの大物の農場が焼けたことで、招集がかかりケイは現場に向かう

感想
なんとなく、羊たちの沈黙を思い出すストーリー。

ケイシリーズの魅力のひとつは シリーズを追うにしたがって登場人物を自分の知り合いのように親しみを感じながら読めるところにあるのかも。

 それは、それぞれの登場人物の描写が細部にわたって丁寧に描写されているからかもしれない。

複雑な思いを感じながらも、この本面白い本だと思う。

真昼の悪魔

監督【著者】 遠藤周作
★★★★

説明
冒頭に神父さんが 「エクソシスト」を例にとって 悪魔は実在する と説く場面からこの物語は始まります。 主人公は美貌で愛らしい笑顔をもつ女医。
 物語の中には なんとも殺伐とした事件が沢山でてきます。 

感想
遠藤周作の本です。 ある意味感想が書きにくい本でした。
遠藤周作さんがクリスチャンだということを知っていたので、気になって余計に私の中でさらっと読めない部分があったのかもしれません。
 私はほぼ無宗教。でも、その人がどういう宗教を信じているかというのは強引な勧誘など迷惑がかからない限り気にしません。


最近起こる理解不能な事件。まったくそれと同じような動機で、いえ、動機はないと言ったほうがよいかもしれない。そんな事件がどんどんと起こります。 そうして、それがなにひとつ解決しない。現代の苛立ち 理解できない不安感。焦燥感。それが最後まで続くというような読後感です。

 たとえば、最近の不快感を覚える事件とは結局はどういうものだろうかと自問すると
「自分勝手」というキーワードがありそうに思います。 相手も自分と同等の人間としてみることなくただ、「自分が不快だから」「自分がうまくいかないから」「自分がやりたかったから」という理由であり、そこにはそれ以上の説明がつかないものが多いです。 
 それが、世間の人たちには理解不能であり、行動が予測できない恐ろしさを感じさせます。

「友達が欲しかったから監禁した」「自分の人生がうまくいかないからできるだけ金持ちの子供を殺害した」「借金をばらされそうだったから殺した」 そこには自分しかありません。いずれも相手を人間として見ていないという共通点があります。自分だけを見つめ自分だけが大事で 相手を都合の良い存在として認めることがあっても人間として見ない。
 
 この本の主人公の女医もまさにそういう人です。自分が罪悪感を感じてみたい。こういう悪いことをしたら少しは罪悪感を感じて空虚な気持ちがなくなるのではないか というただそういう理由で表に出ない悪事を巧妙に行います。 そうして、この小説には 勧善懲悪もなく、また宗教の目に見えた救いも現れません。発生する事件、女医の口にする言葉どれも どこかで聞いたことのあるようなものです。 クリスチャンである遠藤周作はこの本で何を言いたかったのだろう。 宗教の不在を言いたかったのだろうか。 読み終わったときに遠藤周作という人を考えてすっかりと腕組みをしてしまった本でした。

ジャイアント ピーチ

原題 James And The Giant Peach
監督【著者】 ティム・バートン
-★★★★
ジャイアント・ピーチJames And The Giant Peach
ジャイアントピーチ

説明
ナイトメア・ビフォア・クリスマスのティムバートン監督の実写と人形(ストップモーションという少しずつ人形を動かして繋いで作る気の遠くなるような技術を使っているそうです)の混在した映画です。

感想
これの原作は、以前紹介した英語の本 Twits や The Witches の Roald Dahl 原作の
James and the Giant Peach。(原作がこの人とは知らなかった。。)Twits も The Witches も 大王の心をつかんだ物語の展開だったので、そう知って「なるほど」と納得しました。奇想天外なストーリーです。見るときは大人は子供の心を思い出したほうが楽しそう。
 ジェームズと一緒に人形の世界に入って虫たちと一緒にドキドキしながら冒険を楽しむのがオススメ。 「単なる人形劇」としてみてしまっては 楽しさ半減です。
 大人からみても凄いなあと思うのは、おばさんたち。素顔はどんなだろうと思うほど怖すぎ。
まるでホラーです。特に痩せたほうの人はそのまま おばけ屋敷に登場できそうです。

 大王は大好きで繰り返し繰り返し何度も見ています。

陰陽師

監督【著者】 滝田洋二郎
★★★
陰陽師
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説明
筋は文庫本とはかなり変っていて、複数の話をくっつけて、悪役の導尊(真田広之)と 晴明(野村萬斎)の対決 という体裁になっていました。

感想

狂言師 野村萬斎さん(今、NHK教育テレビ「にほんごであそぼ」でも 「でんでん むしむし」※1 「ややこしや」など 子供の間の流行語にもなりつつある 時の人です)は、原作の 夢枕獏さんのご指名ということ。

 原作者ご指名ということは、夢枕さんのイメージには 野村萬斎さんがピッタリということなのでしょうが、私としては、いまひとつイメージとは違っていました。

 本を読んだ感じでは、感情を表に出さない まさに、晴明の庭が表しているように 自然体でこの世のものではないような人を想像していたのですが、萬斎さんは 私にとっては目や顔つきが鋭すぎる。闘争心が目に出すぎるように感じました。 
 文庫本の中の晴明の魅力は達観にあるように思うのですが、映画の晴明は ギラギラと 導尊への感情が顔に表れていて 「少し違う。あまりにも闘争心が出すぎている」と思ったのでした。
 
 しかし、身のこなしはさすが。走る場面でも明らかですが、頭が上下しない すすすっつと すべるような動作、束帯(なのかな?)姿の袖さばき、姿勢など絵になることも多いです。さすがだなと思ったのは 束帯姿でくつろいでいる様子。まるで絵巻物でも見るような姿でした。

対する導尊(真田広之)も 舞台の経験が生かされているのか、さすが。※2 身のこなしに関しては 萬斎さんとは多少違う雰囲気はありますが貫禄でした。


しかし、小泉今日子。先日テレビでやっていた踊る大捜査線 をちらっと見てビックリ。
「この歯列矯正の恐ろしい人は もしや。。。。キョンキョン?」<昔キョンキョンと呼ばれていたのです。 あわてて新聞を確認して やはり。。。と。 陰陽師でも、「キョンキョン。。年とったなあ」と。 驚きました。

 こういう幅の広い役の選択は応援したいけれども、ちょっと映画やテレビを見なかった間に浦島太郎になってしまったような気持ちがしました。


 博雅(伊藤英明)も 女々しすぎ。 彼は 「おぬしは よい漢(おとこ)よのお」と晴明に言われているように 真っ直ぐでさほど物怖じしない性格と見ていたのだけれど。泣くわおびえてめろめろになるわ。言われたこともできないわ。「おぬしは頼りにならん!」と心のなかでつぶやきながら見ていました。

 ネットで検索してみると、セットや小道具について言及されていることも多いです。
 確かに 特殊メイク、セット、小道具がちゃちい。(「マトリックスと比べちゃイヤン。」という感じ)でも、「日本映画だからこの程度かも」と心のどこかで思っていたからか、それとも大王の番組の人形劇を見すぎたせいか あまり気にならずに見ることができました。

 この映画は 「安部晴明」という超人ヒーローと 「導尊」という悪役の対決の物語と見ると違和感がないとも思えます。(つまり 仮面ライダーの延長<そう見ること自体が違和感?)

■※
※1 ここの「でんでん むしむし」は 有名な歌の軽やかな「で〜んでんむ〜しむしか〜たつむり〜」とは全く違う発音で、腹の中から絞り出すように 声を多少割り気味に低めに おどろおどろしく 「でーんでーん む”−しむ”−し」というような発音です。
 にほんごであそぼ
http://www.nhk.or.jp/kids/nihongo/index.html

※2以前坂東玉三郎出演の 天主物語の配役でみたことがあります。

抱擁

■原題 POSSESSION
■公開年 2001年
■監督【著者】 ニール・ラビュート
■星 ★★★★
抱擁POSSESSION
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■説明
アーロン・エックハートは無精ひげの小汚い格好をした顎割れ男性。後に黒目(というか青目?)がとても大きくて 純粋で学術熱心な好ましい青年に見えてくる。(黒目の大きい人に弱い ありがちな pon2)相手は グィネス パルトロウ。彼女はどうして美人と呼ばれるのか私には納得の行かない顔である。ブロンドで痩せた体は痩せすぎのようにも見えるし、薄い唇。目・鼻の配置もなんとなく私が思う「典型的美人」からははずれている。
 でも、彼女にはこの役はピッタリ。イギリスの由緒正しい家の出身という人は知らないが、彼女のいかにも冷酷そうに見える表情を崩して笑ったときのあの丸い笑い顔が可愛いと思えるとすっかりと映画の世界に同化し始めている証拠だろう。そう。まるで恋でもしたかのように、 エックハート君やパルトロウちゃんに魅力を感じはじめる。
 グィネス パルトロウはファッションも地味な素材のよさそうなものを無造作に着込み髪もつくりこんでいない。ナチュラルだけど、育ちのよさそうな雰囲気を漂わせている。
 そう。「地味でその辺のものをひっかけたような洋服」ではなくて「さりげない洋服」と思えるということは見ている方が映画の登場人物に引き込まれて良い印象を持っている証拠なのだ。

 これはイギリスの物語。イギリスの歴史や空気を感じるような映像も大きな魅力の一つとなっている話であった。

筋は 愛妻家で通っていた19世紀の詩人アッシュ(ジェレミー ノーザム)の不倫スキャンダルを裏付けるような手紙を本の間から発見したのが顎割れ無精ひげだけど青目の大きいエックハート君。不倫相手と思われるラモット(ジェニファ・エール)の研究家であるグィネス教授と一緒に詩人の足取りをたどり、事実を解き明かそうとする。

■感想
雑誌に映画の紹介が出ていて、その風景があまりに美しいのと、ミステリー仕立てということでDVDを購入。最近はあまりこの手の話は購入しなくなったラブロマンス物。
ジャケット写真もなんだか濃厚な雰囲気で手にとって買うにはちょっとオバサンとしてはこっぱずかしくて抵抗がある。...おまけに題名が抱擁だし。もう少し別の日本語題名がつけられなかったのかな。抱擁よりは執着とかのほうがまだ所有するという意味と取り付かれるという意味とからそう遠くないような気もするけど。なんて英語に詳しくない私よりは数倍も英語ができる人が日本語題名をつけているわけだから、文句つけるほうがヘンなのだろうなあ。

 個人的に、題名とジャケット写真で濃厚な印象up作戦という感じが好きではないからだけど。

■ネタバレ多少あり。

 過去の二人の恋愛と現代の二人の恋愛を重ね合わせた手法はどこかでみたような設定※だったがとにかく、イギリスが綺麗。昔の衣装も良い。<実は衣装好きなのでこの手の映画はツボ。

 ある意味、恋愛というのは冷静さを失うことであり、他の人からみると「あんなののどこがいいんや」と思えるところも、たとえば 「目が可愛い」とか アバタもえくぼ状態におちいることであると思う。 私が、最初に「小汚い男の人だな」と思い、次に「真面目な人なんだ」と思い始め「探究心旺盛なんだ」と思い、「この大きな目がカワイイカモ」と思い始めた時点ですっかりと映画の手管に載せられている状態である。

 グィネスにしても、「痩せてるのに、毎度丸顔に薄い唇だなあ」「ふ〜ん。冷たいのね」「あれ?本当は情熱を内に秘めているのかな」「顔をくしゃくしゃにして笑うと意外と可愛いじゃない?」「よく見ると知的で可愛い」となってしまう。 やっぱり上手い。擬似恋愛をこちら側にみせてくれているではないか。

 詩人(ジェレミー ノーザム)はどうも気持ち悪くて好みではなかったが、詩人の相手となっているラモット(ジェニファ・エール)は フレスコ画の聖母像にかかれているのではないかと思うほど柔らかい笑顔の美しい人で、くるっとした悪戯っぽい目が魅力的である。設定ではおまけに知性豊かということ。詩人が一目で夢中になるのも無理はない。その表情と後半のフランスでの表情の差がこれまた凄くて同一人物かと思うほどの演技力?映像力? 女はコワイね。って(^^;)

 筋としては 多少単純に流れすぎているところがあるかもしれないが、こういう映像美というのはやはり映画の醍醐味だと思う。しかし これがアメリカが舞台だったらこうもいかなかったろう。
「イギリスだったらなにかありそうだ」という期待感と「イギリスの風景」がこの映画をもりあげているのかもしれない。
 また、この、「秘めてうじうじ」とした感じというのがイギリスのイメージによく合っているようにも思う。 これがアメリカだったら、当たってくだけろ。考える前に行動しろ。の印象のほうが強いように思うなあ。はやいもん勝ち。なんでも やったもん勝ち。うじうじは敗北者。のような。(これもpon2の勝手な印象です)


 ※思い出したのは フランス軍中尉の女。見方によっては ジェニファ・エールは 若い頃のメリル・ストリープと雰囲気が似ているからかもしれないが。
 筋としては フランス軍中尉の女のほうが、対照的なところが良く現れていて面白かったような気がするが、見直したらどうだろう。

そうそう。この原作はイギリスでブッカー賞という賞をとった小説であり、多分話は虚構だと思います。(検索したら、ヴィクトリア朝の詩人アッシュ という人を知らなかったら つまらない映画というような評があった。たぶん、アッシュ自体が実在ではなく、物語の中の人物だと思います。まちがっていたらごめんなさい。)
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October 06, 2003

アメリカン スウィートハート

原題 America's Sweethearts
公開年 2001年
監督【著者】 ジョー・ロス
★★★
アメリカン・スウィートハートAmerica's Sweethearts
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説明
America's Sweethearts とは グゥエン(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)とエディ(ジョン・キューザック)二人はアメリカの理想的なカップルとして沢山の映画に競演していたのだが、実は現在は別居中。その別居中の二人を主役にした映画公開する予定。しかし、監督(クリストファー・ウォーケン)がちょっと変わり者。困った社長は 宣伝マン(ビリー・クリスタル)になんとかしてくれと泣きつく。
 ここではジュリアロバーツは グゥエンの妹で付き人キキの役。

感想
 太っていた頃のジュリアは すごかった。まさに、こういう人いそう。
この変装で町を歩いてもきっとばれない。

この映画が受けたのは、もしかしたらダイエットしているアメリカの女性に「私も痩せればこういうサクセスストーリー(?)が待っている」と希望を与える映画だからなのかな。

以下ネタバレ =============


驚いたのは、クリストファー・ウオーケン。 エンドタイトルが出るまで彼が出ているとは思わなかった。いや〜びっくり。どこどこ?と探してしまいました。

 ビリー・クリスタル 安定した演技の。そつなく自然に調子の良い役をこなしています。(私は 恋人たちの予感くらいしかみたことがないけれど。うまいですね)

キャサリン・ゼタ・ジョーンズ 綺麗ですね。この人。あくの強い役をうまくこなして、楽しかった。妹に頼みごとを甘え声でしたあとに 「やった〜」というずるい表情がこれまたかわいらしいというか。 

 さて、ジュリア。 あまり可愛くないんだなあ。これが。なんでだろう。
もともと顔のバランスからいうと 美人バランスではないから キャサリンと並ぶとそうなっちゃうのか。彼女の魅力がほとんど発揮できてないような気がしました。
 
筋としても、ちょっと下ネタの下品に頼りすぎ。<お笑いでも、同じ下品でももう少し別の下品があるんじゃないかと。
性格の良いキキは それまで文句もなくかいがいしく姉の世話をしていたのに、突然ぶちきれてしまうし。あら?性格良いわけじゃなかったんだね。と。
 エディ(ジョン・キューザック)は結局顔とスタイルが良けりゃそれで良いのかと。
ジョンが ジュリアに心情的に引かれていく過程がさっぱり見えない。

終止、寝ただの寝ないだの綺麗だの可愛いだの、恋愛の過程や心情などまったくそっちのけの そういう話だけのものだったようにも思える。

 反対に「ハリウッドの恋愛なんてこの程度のもんなんだよ」というのであれば納得。
そういえば、最後に公開された映画もそういう内容だったし。そこまでの大きな皮肉の映画だったのかな。


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