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March 27, 2005

リーグ オブ レジェンド

■原題 LEAGUE  OF  EXTRAORDINARY GENTLEMEN
■監督 スティーブン・ノリントン
■製作年 2003年
■星 ★★★★

リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた闘い
ショーン・コネリー スティーブン・ノリントン スチュアート・タウンゼント ナサーラディン・シャー

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2005-03-16
売り上げランキング : 175
おすすめ平均

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■みどころ
あら、こんな人も、こんな人も。。。ウソーというエンターテイメント。気楽で痛快な話。

■説明
19世紀末、ヨーロッパ各国を疑心暗鬼にさせ、各国同士の紛争を企てる「ファントム」と呼ばれる何者かがいた。危機を脱するため、アフリカで悠々自適の生活をしていた冒険家 アラン・クオーターメイン (=アラン・クオーターメン:ライダー・ハガード作のソロモン王の洞窟という小説の主人公)のもとに、超紳士同盟なるものを、統率してほしいとの依頼がくる。
近所の電気屋へ行ったら、期間限定で999円になっていたのでDVDを購入してしまった。

ソロモン王の洞窟
H.R.ハガード 大久保 康雄

東京創元社 2000
売り上げランキング : 98,836
おすすめ平均

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■感想
★の数をつけるときにもうだんだんどういう基準でつけてよいのかわからなくなってきて、そろそろ基準を考えないといけないなあと思いながらの今日この頃ですが、この映画は、気楽に見ることが出来、細かいマニアックな楽しみもあり、で「まさに娯楽」という「映画の楽しみ」がぎゅっと詰まった作品だと思いました。好きです。

 超紳士同盟の内容からして楽しい。
まずは上で書いたクオータメンですが、以下にちょっと色を変えておきますからマウスで反転させてみてください。(みながら、オヤ!こんな人がと驚くのも楽しかったので、知らない方が楽しめそうな方は映画を見た後に見ていただいたほうがよいかも)
以下 超紳士同盟の面々

クオーターメン:冒険家 ソロモン王の洞窟の主人公
ネモ船長:海底二万里の主人公・もちろんノーチラス号も登場
紅一点 ミナ・ハーカー: 吸血鬼ドラキュラの主人公 ここでは夫はヴァン ヘルシングとともに行動したというくだりもある。ヴァン ヘルシングも見たかったんだよなあ。
ロドニー・スキナー:透明人間の主人公
トム・ソーヤー:トム・ソーヤの冒険の主人公
ドリアン・グレイ:ドリアングレイの肖像の主人公
ジキル(もしくはハイド):ジキル博士とハイド氏の主人公

以上 超紳士同盟の面々

私は、ジジイになってからのショーンコネリーが結構好きなので、点は甘めですが、やはりいいですねー彼は。 特撮も以下フォントの色を変えた内容以外はやりすぎてないので ストーリーを喰ってないところが好感が持てます。

リーグ オブ レジェンド 公式ページ

個人的に残念だったのは、ベータ・ウイルソンが もうちょっと妖艶だったらいいなあ。
それと、もうひとつ ハイド氏が、テレビゲームのキャラクターのような筋肉モリモリなのがいまひとつといえば今ひとつ。 先日ジキル&ハイドをみたばかりなので余計に際立ってしまったけれども、でもまあ、これは娯楽大作に徹したということかもしれない。
突っ込みどころはたくさんあります。
特に ノーチラス号。どうやってあんなに長い船体であの狭いベニスの水路に入ったのよー曲がれないでしょ!
とか、とにかく沢山ありますが、そんなことは気にしないで、軽い気持ちで楽しむのが吉の映画だと思いました。

以下参考:ずらりと並べてみましたが、有名な本なので、翻訳者がちがったものが多くでているものもあり、中には内容がそのままでないものもあるかもしれません。もし買うのだったらその辺を考慮して買いたいと思ったりします。 アマゾンも最初の一ページくらい立ち読みできるようにしてくれるといいのになあ。(海外アマゾンサイトにはそういう本も見かけたことあるのになあ)

ドリアン・グレイの肖像
オスカー ワイルド Oscar Wilde 福田 恒存

新潮社 1962-04
売り上げランキング : 14,820
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透明人間
H.G. ウェルズ 雨沢 泰

偕成社 2003-06
売り上げランキング : 78,868

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吸血鬼ドラキュラ
ブラム ストーカー Bram Stoker 平井 呈一

東京創元社 1971-04
売り上げランキング : 16,942
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ジキル博士とハイド氏
ロバート・ルイス スティーヴンスン Robert Louis Stevenson 夏来 健次

東京創元社 2001-08
売り上げランキング : 63,733
おすすめ平均

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トム・ソーヤの冒険
マーク・トウェイン 亀山 龍樹 Mark Twain

集英社 1994-03
売り上げランキング : 238,862

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ホワイト アウト

■原題 White Out
■監督 若松節郎
■星 ★★★

ホワイトアウト
織田裕二 若松節朗 佐藤浩市 松嶋菜々子

パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン 2004-05-28
売り上げランキング : 1,565
おすすめ平均

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■説明
ダムの職員、織田祐二は同じ職場の登山仲間石黒賢と一緒に遭難しかけている人達を見つけ救助に出かけるが...

■感想
テレビで放映されたものを見た。先にだいたいのあらすじを知ってしまっていたけれども、「何が起こるか」というところを知らないで見たほうが多分楽しめただろうなあというのが残念。
 若干気になるところがあったけれども、全体的にはおもしろかったとおもう。 松島奈々子の泣き顔が良い。泣き喚くわけではなく、顔をくしゃくしゃにして静かな動作で涙を流す顔が印象的だった。私としては、泣き喚いてオーバーアクションなものよりも、この静かな内面にこもった悲しみの演技のほうが日本人としてなんとなく受け入れやすいような気がする。いままではあまり意識したことがなかった彼女の演技を見直したという感じ。 織田祐二と石黒賢の関係がさらっと書かれていたので、織田から石黒への思いがもう少し丹念に描かれていたらもっとよかったのにと思うと思うのは、山を描いた小説を沢山読んだからだろうか。
 小さなひとつのテントの中過酷な条件の山で何日か緊密に暮らす山を通じた友人との感情というのは、単なる仲の良い同僚というものではなく、下手をすると家族と同じかそれ以上のもあるのではないかと思う。 と、ここまで書いて そういえばそういうシーンがあったことを思い出した。
 そうか。監督はそれを描こうとしたんだよな。 いまひとつその感情が伝わってこないのは、映像からの情報と文字からの情報を比較して映像からの情報の限界?なのかしら。
以下映画の内容について

 他のページでもテロリストと書いてあるので、いまさら私が隠してもしょうがないと思うのだけれど、この映画はなにも知らずにみて、登場人物と同時にテロの発生を知った方がずっと面白いと思う。 ダイハードの印象が強すぎて、どうしてもダイハードとの類似点が気になってしまうところが残念。
たとえばこのテロリスト
1.外部との連絡手段を侵入と同時に断つ
2.コンピュータの知識がありのっとった先の施設のシステムを自在にあやつることができる。
3.比較的スタイリッシュなファッションで出てくる
などなど。 
 また、ダムの映像やらも他の映画と重なってしまうことが残念だし、緊迫感が少し足りないと感じるのは、テレビで見たからか?
佐藤浩市、悪くないキャスティングだと思うのだけれど、彼は肝心のところがそこまで怖くない。どうしてだろうと思ったら、一番怖いのはやっぱり「理解不能で、因果関係がさっぱり予測できないこと」だとおもう。そういう雰囲気に欠けていたのかもなあと思ったりした。

 途中少し寝てしまったけれども、まあまあ楽しめたというのが全体的な感想。
 

March 24, 2005

ずぼら

■著者 田辺聖子
■星 ★★★
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ずぼら
田辺 聖子

光文社 1998-10
売り上げランキング : 405,692

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■説明
6篇の物語が入っている。どれも、「男」と「女」の話。

■感想
これも、田辺聖子とはどんな感じ?と沢山買い込んだものの2冊目。ところがどうも、田辺聖子も私にはあまり合わないみたい。 なんといっても 今まで読んだ中に知らず知らずに自分が登場人物と同化していることがないのです。登場人物と共感する部分がないというか。 本を読んで入り込めないつらさ。 

 腐れ縁の男女が多く書かれている中で、一番楽しめたのは「ベッドと家霊」でした。元気の良い女どもに気持ちがついていけていない旦那さん。ずるずると彼女達のペースに引きずられていくその面白さは、その言葉とあいまって あまり見たことがないのですが、「吉本新喜劇ってこんな感じかな」というものでした。
 読み終わってみると、そこそこそういう雰囲気の面白さがあることに気がつきました。 「四人目」にしても、設定がおかしい。 自分の物語として入り込めなくても 「ふーん。おかしな人達」と傍観者として楽しめばよいのかしらと。

 人にしても、最初に「あわないかなあ」という印象を持っても、付き合っているうちにその人の良さやおもしろさがわかってきたり、その人と自分の付き合い方がわかってくるときがあると思います。
本も、最初は「これはダメかも」と思っても、読み進むうちに、その本との付き合い方がわかる。そんなものなのかもしれませんね。  例によって、まだまだ田辺聖子の本が積んどく状態の我が家です。
 

March 21, 2005

アナザヘヴン

■監督  飯田譲治  
■星 ★★

アナザヘヴン
江口洋介 飯田譲治 市川実和子 原田芳雄

ポニーキャニオン 2003-11-19
売り上げランキング : 15,312
おすすめ平均

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■説明
殺人事件が起こる。現場に急行した刑事たちは、その死体の奇異さに驚く。

■感想
本を読むのが先か映画を見るのが先かというのがあるけれども、私は本を先に読んでからこの映画を見た。本を読んでいて犯人を知っているからこそつまらないというのもあるかもしれないけれど、この映画は本の面白いところも書ききれていないような気がして、いまひとつという感がある。

 ただ、モテモテ男の江口洋介が、あちこちにフェロモンばらまいてしまって、そのフェロモンに犯人がひきつけられて。。
ラストのネタバレ
結局その、モテモテ男が、軽く見ていた女の子への愛へ目覚めるみたいな
申し訳ないけれどちょっと陳腐な気までしてくるようなストーリーを見て「あれ?本はこんな話だったっけ?」と。

市川美和子は、アーパーな娘をうまく演じていたとおもう。あのチワワのようなアンバランスな(コケティッシュというのか)顔がピッタリ。

March 20, 2005

呪怨

■監督 清水崇
■星 ★★★

呪怨 劇場版 デラックス版
奥菜恵 清水崇 伊東美咲 上原美佐

ジェネオン エンタテインメント 2005-01-26
売り上げランキング : 6,494
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■説明
介護士?の 奥菜恵は同僚に頼まれて、はじめての家を訪問したが、その家は訪れたときから変な家だった。家の中は散らかり放題。中にいるおばあちゃんはとても一人でそこまで散らかせるような状態にはないほぼ寝たきりの状態だ。 不思議に思いながらも片付けをしはじめたのだが。。。

■感想
なによりも「怖い」と聞いて「怖さ」を期待して観た。 観終わって思ったのは、世の中で一番怖いのは不可解なことなんじゃないかということ。 「ありえない、想像もつかない、理解できない」そういうことがもし本当に起こったら、多分一番怖いのではないだろうか。
 そういう「不可解な怖さ」をてんこもりにつめこんだ映画だとおもった。 「ありえないー」なんて茶化してみていたけれど、これは一人で夜中にみていたらとても怖いだろうと思う。

 たとえば、夜家族が寝静まったとき、ふと目が覚めてトイレにたつ。寝室に戻ってふと家族を見ると、寝ているとばかり思った家族の目が闇にむかってパッチリとひらいて、なおかつ声も出さず、身動きもしないでいたら。。。。 予測しないこと、理屈ではないことが怖いのだ。

ちょっとネタバレ色を変えます。
いるはずのない子どもがパタパタと走る回る怖さ、これは惑星ソラリスの一場面を思い出したりした


March 18, 2005

キリング・ミー・ソフトリー

■原題 Killing Me Softly
■監督 チェン・カイコー
■星  ★

キリング・ミー・ソフトリー
ヘザー・グラハム ジョセフ・ファインズ ナターシャ・マケルホーン イアン・ハート

アミューズソフトエンタテインメント 2002-08-23
売り上げランキング : 24,714
おすすめ平均

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■説明
ロンドン。恋人と二人で暮らしているアリス(ヘザー・グラハム)は、出勤途中に押しボタン式信号を偶然一緒に押してしまった男(ジョセフ・ファインズ)が気になってしまう。

■感想
先日、録画してあったのを発見して「そういえば、聞いた様な名前の映画だな」と録画予約していたような記憶がよみがえった。 覚えていたのは、覇王別姫と同じ監督だったからか?。
 しかし、みた後に、覇王別姫とは全くイメージが違う映画にビックリ。

と、いうか、私はあまり好みではない映画だった。ヘザー・グラハムは青い目が大きくて、ちょっと老けたら怖そうだけど、少女漫画みたいな顔立ち。どことなくさびしそうな笑い顔は、熱烈なファンがつきそうな感じ。役どころは「できる女」なんだけど、どうも「できる女」っぽくない。これは、彼女のファッションや髪型やら、そういうものも関係あるだろうけれど、雰囲気が自信なさげなところもそういう雰囲気をかもしだしているように思う。 いや、できる女にはおとなしい人もいるけれども、そういう人には強い意志の力とかそういうものを感じるような気がするんですよね。本当は。
以下内容をそのまま説明しますので、色を変えて
 
だいたい、「今大好きな彼」と自分が説明している男性と住んでいる、会社でもある程度の役職についている女性が、たまたま押しボタン式信号で手がふれあい、目を見交わした相手(みるからにアヤシイ男)を追いかけ、男が誘うままに名前も聞かないまま勧められるままにタクシーにのり、あれよ、あれよという間に彼の家(後ほど家でなかったことがわかるのだが)につれて行かれ、そこで 「あらら、そんなことになってしまう?」という展開は、知らずにみただけに「ハァ?」でした。
 ストーリー展開に説得力がないんです。 いや、説得力は要らないそういうR-15系の映画だといわれればそれまでですが。

だいたい、最後の落ちはストーリー展開に重要な人物(これは伏せておきます)が出てきた時点でもうわかってしまって、ああ、そうだろうね。そういうことだろうね。と想像がついてしまったし。

それにねー。信じてもらえなかったからといってそれっきりってなんだそりゃ?(だれがとは詳しくは書きませんが)あなたは、そうでなくても行動が充分あやしかったんだから、普通の人だったら信じられないよ。
ま、ヘザーグラハムも ジョセフファインズも自業自得ですな。と、思ってしまったり。<冷たい? 

覇王別姫は泣いたおぼえがあるんですが、この映画はぜんぜん泣けませんでしたよ。

みんなのレビュー(ネタバレあります注意ね)
 
で、ああ、本当にそうだねえ。と、思ったのは、(色変えます)

勝手にコメントしてごめんなさいですが、

 先が読めるストーリーに拍車を掛けて、SMチックなHが強烈な印象だったので、私としてはあまり人にお奨めできるものではありません

はい。私もそう思います。↑
 ヘザー・グラハムと女性の願望みたいなものの捉え方にこの点数かな

うーん。監督はそうおもっていたのかもしれませんねーでも、世の女性がこんな願望を皆もっているとおもう人は、はっきりいって大きな勘違いだと。。。 こういうのがあるから、痴漢っていう勘違い男が世からなくならないんだなあ。たぶん。↑

 ヘザー…すごい脱ぎっぷり…。ちょっとびっくり

たしかに、私もビックリしました↑

 ポルノだと思ってみれば、超デキいいです。それなら8点くらいあげられるかもしれない。ふつうの映画としてみれば4点くらいか

ああ、そういうことだったのか。。。↑

 それでいいのかチェン・カイコーって感じでしょうか?折角シーン毎の映像が綺麗なのにどこでもかんでもエッチさせてしまうバカップルにゲンナリでした。「エーゲ海に捧ぐ」かと思いましたよ。特に愛する人を雪の中待ちつづけるヘザーに待ちわびた彼が登場した途端濃厚なキスが始まり、玄関先で乳揉みしだかれて、あらあら...真犯人がどうとか言う問題ではなく既にヘンタイ丸出しの彼に疑問。首を締められてよがるわ、縛られてもドキドキしてるわで勝手にするのは良いけどもうちょっと考えようよ。愛は盲目とでも言いたいんでしょうか?ま、この作品のオープニングで雪山を背景にあえぐ二人がかぶさっている時点でイヤーな予感はしてたんですけどね。泥棒をボッコボコにぶっ倒すジョセフをまざまざと見せつけた後にプロポーズするとヘザーはあっさりOK。どんな神経しとんねん!ヘザー・グラハム、アンタほんと作品選ぼうよ。彼女の脱ぎップリの良さと美乳のみの点数です。(それでも3点ある!!

ホンマに!私が言いたい事行ってくれてウレシイ。↑

ジョセフ・ファインズ 、前に私が見た他の映画のイメージとまったく違う、「何考えているかわからない男」を違和感なくその通り演じきったところは、彼の役者の力量っていうところでしょうか。 今回の役どころは、私だったら絶対係わり合いになりたくないタイプだなー。

March 10, 2005

落下する夕方

■著者 江國香織
■星 ★★★★

落下する夕方
江國 香織

角川書店 1999-06
売り上げランキング : 27,333
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■説明
健吾と梨果は8年も一緒に暮らしていて、梨果は健吾が別れを切り出すとはまったく予想だにしていなかった。ところが、唐突に健吾は出て行ってしまうという。理由はとたずねると「女」だそうだ。そうしてかかってきた電話でたずねると「洟もひっかけてもらえない」と。

■感想
主人公はふられる健吾と8年も一緒にいて、健吾からその申し出を聞くまでその関係が壊れてしまうことを疑いもしていなかった。でも、今でも自分は健吾を大好きなのに、大好きな健吾はあいかわらずやさしいまま自分を嫌いになったのではないと実感できるのに、8年も一緒に暮らした家を離れていってしまうという。

文庫本の裏にはこんなあらすじが書いてあったけれども、これほどまでにあらすじと内容の印象がことなっている物語も珍しいとおもった。

梨果と八年一緒だった健吾が言えを出た。それと入れ替わるように押しかけてきた健吾の新しい恋人・華子と暮らすはめになった梨花は、彼女の不思議な魅力にとりつかれていく。逃げる事も責めることもできない奇妙な三角関係。そして愛しきることも、憎みきることもできないひとたち....。永遠に続く日常を暖かで切ない感性が描いた恋愛小説の新しい波                    

これを読んで、「いまひとつ読む気がしない」と思っていたのだが、予想に反してこの本は面白かった。
(個人的には、「暖かで切ない感性が描いた」という意味不明な形容はいけてないと思う。’感性’とよくつかわれるけれど、’感性’といえばすべてokという風潮は?だなあ)

 自分の気持ちは、昔と変らずに相手に向いているのに、相手も昔と変らず自分と同じ時を過ごしているとばかり思っていたのに、ある日、そうではなかったことを告げられてしまった主人公がとった行動は泣き喚くでもなく、只淡々と日々を過ごしてやりすごすことだった。なによりも、自分はこんなに相手のことが好きなのに、相手は自分を心配してくれているようなのに、手が届きそうなのに届かない、自分を見てくれている目があるのにその目はいつのまにか恋人としての目ではなく、ただの友達としての目となっていた。

 自分に対する愛情そのものは、決して人の目では見えない。それはただ、受け手が相手の言動を通して感じるだけのものだ。だからこそ、確固とそこにあると思っていたものが実際はとうになくなってしまっていたものだと気づいたとき、本当にそれはないものだとすぐに実感するのは難しいだろう。そういう意味で、冒頭は梨果の気もちが、すんなりと私にも理解できる。

 本の説明では「新しい恋人」となっていた華子は、実際は健吾の「恋人」といえるような存在ではない。彼女は出会った人達皆をとりこにしてしまう。不思議に素直で自由な、まるで子どもか動物のような邪気のない自然な存在であり、誰にも束縛されていないようふるまいである。華子は梨果からすると恋敵のはずなのに、梨果さえもその邪気のなさ素直さに惹かれてしまうのだ。
 彼女が転がり込んできたその顛末はあまりにも自然で、梨果の行動には何の不自然さはない。

 華子の不思議な魅力は登場人物を巻き込み、読者を巻き込み、読者は梨果と一緒に、現実感がないけれども不思議に説得力のある展開に流されていってしまう。 
 ラストの出来事。その直前の華子の言動。読者は、そんな風に見えた華子も彼女なりにいろいろなことをもてあましながら生きているということを垣間見る。それが、彼女に現実実を与えていると思う。

 ふとこの本を読みながら思った。きっと江國さんの実体験がここにちりばめられているのだろうと。「現実感のない奇妙なリアリティ」は、人と人との距離をものすごくうまく表現していると思うから。
そう思いながら、あとがきを読むと「梨果と健吾と華子について私に言えるのは、彼らにあったことがあるということだけです」と。 私なりに解釈してやはりそうだったかと思ったのだった。(はっきり書くと、この言葉の選び方は彼女の好きになれないところ。申し訳ない。)

 人の心はそこにあると思っていてもそこにない。 また、昔からそこにあったのに気づかないときもある。
長年生きてくると、相手のことを思い、他人のことを思い、自分のことを思い、その気持ちをこねくり回して 相手の気持ちを思い図って生きる事がいやになる事があるように思う。 そんな時、動物のように子どものように、邪気のないただ素直な人にあってしまい、その素直さにひかれていってしまったのだなあなどと思った。 

2,3あとがきを読んで思ったのは、江國さんの文は決して的確な文章表現ではない。いつもはぐらかされているようなぼやかされているような不満が残る。しかし、そのクリアすぎない描写が、文を鑑賞するというよりも、絵や音楽を鑑賞するような 読み手によってどうとでもとれるようなそこが魅力なのかもしれない。不思議に頭が疲れない本だ。というのが数冊読んだいまのところの私の感想だ。

March 08, 2005

薔薇の雨

■著者 田辺聖子
■星 ★★★

薔薇の雨
田辺 聖子

中央公論社 1992-06
売り上げランキング : 420,926
おすすめ平均

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■説明
中年から初老?の女性が主人公の短編5編が入っている。

■感想
題になっている「薔薇の雨」は最後にある。留禰(るね)という素晴らしくオシャレな名前で16歳年下の恋人がいる主人公は50台 薔薇の雨という名前から私が抱いていたイメージとかなりかけ離れた事に関西弁の主人公である。 田辺聖子を読むのはこの短編集が初めてだとおもう。

 実際は関西弁といっても、地方によって言い回しも違うだろうし、皆が漫才のようなしゃべり方をしているわけではないことは知識としてしっているけれども、関西弁になじみがないので、いまひとつ「関西弁に対する漫才のイメージ」が先行してアンバランスな感じがする。本当はゆったりのんびりとした関西弁特有の持ち味などもありそうなのに、全部がぽんぽんとかわされる漫才の受け答えのように読めてしまうのは私の知識不足が残念だ。特にこの最後の「薔薇の雨」は設定とのギャップが激しく感じられる。おとぎ話のようにロマンチックな設定だけれども、ヒロインは50歳。言葉は関西弁なのだ。
 そうして、どの話でも、主人公は一般にはありえないような恋愛中(なかにはマンネリであったり終止符をうとうとしていたりしているものもある)であるとともに、「おばさんの悲哀」「おばさんのあきらめ」を心のどこかに抱いているように思う。 

 これもちょっと残念なことに、そのあたりがわかるまでにはもう少し私には時間が必要な感じ。

子育てが一段落してふと振り返ると「わかるわぁ」という気持ちになるかもしれない。まったく主人公の気持ちがわからないわけではない。 相手の男性の様子を読むにつれ 知り合いか友だちのように「ふむふむ。なるほど。だから好きなのね」とわかるところが 田辺聖子の手腕なんだとおもう。

解説を読んで、田辺さんが「そやけど大阪弁できれいな恋のお話を書くのは至難の技やねえ。私の苦労もわかってね。」とおっしゃったとの事。
なるほど。 この大阪弁ときれいな恋。この一見ヘンテコにも思える取り合わせがおじさん、おばさんの恋の現実感となって読み手にひしひしと伝わる秘密なのかもしれないと思った。
 
 だって、おじさん、おばさんはもう 「自分は若い頃のようには見た目は美しくない」ということを内心自認している人達とおもうから。その、若くも美しくもない人達が きれいな恋をする。 だから、ここでの大阪弁は必然性があるのかもしれないなあと思った。
 

キスなんてだいきらい

■作者 トミー・ウンゲラー
■訳  矢川澄子
■星 ★★★

キスなんてだいきらい
トミー・ウンゲラー 矢川 澄子

文化出版局 1974-01
売り上げランキング : 46,938
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■説明
やんちゃなパイパーポーの一日。表紙のむすっとしたネコが そのパイパー。キスがきらいなのは。
もちろん。パイパー

■感想
トミーウンゲラーを検索していて この黒地に黄色の字の表紙に一目で惹かれて、そうして、「キスなんてだいきらい」という題に惹かれてつい購入してしまった絵本。
 表紙のむすっとしたネコが愛らしい。スッキリしたデザインがすごく素敵。
パイパーのいたずらっ子ぶりがこれまた半端でなくて面白い。 残念なのは私は女の子で、やんちゃじゃなかったから パイパーの気持ちにいまひとつ同化できないんだなあ。
 きっとやんちゃだったら。男の子だったらもっと気持ちがわかると思うんだけど。


March 07, 2005

しあわせいっぱい荘にやってきたワニ

■作者 アーシュラ・ウイリアムズ
■絵 堀川理万子
■訳 吉上恭太
■星 ★★★★

しあわせいっぱい荘にやってきたワニ
アーシュラ・ウィリアムズ

福音館書店 2004-01
売り上げランキング : 57,634

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■説明
ふなのりのジョリーゴライトリーさんの下宿は しあわせいっぱい荘。大家さんはミネアポリスさん。
ミネアポリスさんはそれは親切で素敵な大家さんです。ジョリーゴライトリーさんは色々な国のおみやげを買ってくるのですが、ヘンテコなものが多くて。。。。

■感想
「へびのクリクター」の路線と似ているかもしれない、ちょっとヘンテコでほのぼの のんびりした話。
私は結構好き。息子も興味しんしんで聞いていました(読み聞かせしました)。
小学校低学年向きとなっています。 ヘビのクリクターよりも若干ページも文字も多いので自力で読むには小学校1年生は、本好きの子。平均的には小学校2年生くらいからが良いかも。
全部のページに挿絵がありますので、絵本の延長のように読むことができます。
 
 ストーリーののんびり平和な雰囲気も魅力ですが、絵も魅力的!この感想を書くまでは日本人が挿絵を描いているとは気がつきませんでした。
色合いがとても綺麗です。 緑色の椅子にこしかけた深い赤色や、渋いオレンジ色のミネアポリスさんの洋服の色。 青いオウムと消防士たちの黄色い帽子、グレーの洋服。絶妙の色あわせがこれまたここちいいです。

 なによりも嬉しいのは、挿絵がきちんと物語にそって描かれている事。ときどき、本の内容と挿絵が違うものもあるんですよね。 たとえばミネアポリスさんへ買ったお土産のビーズの腕輪とか 小物がきちんと描き込まれているところもとても嬉しい。
 しあわせいっぱい荘があまりにも気持ちよさそうな下宿やなので、読み終わるとああ、住んでみたいなあなどと想像を膨らませるのも楽しい本です。
 
 

March 03, 2005

へびのクリクター

■文・絵 トミー・ウンゲラー
■訳 中野完治
■星 ★★★★★
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へびのクリクター
トミー・ウンゲラー 中野 完二

文化出版局 1974-03
売り上げランキング : 26,044
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■説明
フランスの小さな町に住んでいるボドさんの息子が送ってきた丸い箱の中にはいっていたのはなんとヘビ。味わいのある絵柄が 3色刷りにぴったりとあっていて素敵な絵本です。
字が少なく、カタカナと簡単な漢字(ルビ付)で書かれていますから小学校1年生くらいが自力で読むのに丁度良いと思います。読み聞かせならばもう少し小さい子どもさんにも理解できると思います。

■感想
息子はそこそこ気に入った様子なのですが、それにもまして親の私が大好きな絵本です。絵柄も色も味わいがあってオシャレ。 作者は絵本「すてきな三にんぐみ」で有名です。
なんといっても、素敵なヘビ! ユーモア溢れる展開と、そうして読み終わったあとにほのぼのと幸せになるところが大好き。