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September 05, 2007

手紙

■著者 東野 圭吾
■星   ★★★★★

手紙 (文春文庫)
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■説明
兄は、強盗しようと思った。父と母を亡くし、弟と二人きりの兄、剛志は金に困っていた。成績の良い弟を大学に進学させたいのに、生活費にも事欠く毎日。おまけに、学歴がないために就ける仕事は肉体労働くらいしかないのに、腰を痛めてしまい収入の道も閉ざされそうになっていたのだ。

■感想
 映画公開当時gyaoの試写会に当選して映画を見た後の本。「もう筋を知っているからどうかな?」と思いつつ読み始めたが、しっかりと最後まで読んでしまった。映画と多少設定が違う場面もあったけれど、ほぼストーリーは同じ。
  
 一言では感想が書けない考えてしまうストーリーだ。私は世の中の不当な差別はするべきではないと考えているのだが、この本を読むと差別の難しさを痛感する。 たとえば、差別をすまいと意識するがあまり、却って通常ではありえない対応をすることはないだろうか。 常々噂で人を判断すまい、自分の目でみて自分の感覚で判断しようと思っているけれど、そうすることによってたとえば自分の家族にも被害が及ぶようになったらどうするだろう?
 やっぱり最後は家族を守るしかなくなるのではないか?

悪いのは差別をする世の中だとわかりつつ迎合して生きていくしかないのだろうか。 などと考えたりもした。 結局結論は出ないままだ。いや、結論を出すことが怖いのかもしれない。だから出さないままにしているのかもしれない。

手紙 スタンダード版
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 映画の方の感想は、その時の記録から転記します。

最初に満開の桜からはじまります。今から秋・冬を迎えるのに、なぜ?今の公開?と不思議な気がしました。 桜が意味するテーマに 物語の中盤以降にやっと気づきました。白石由美子役の沢尻エリカの力強さがとても印象に残り、前向きの力を与えてもらえるような気がしました。かわいいけれど、明るく強い視線が頼もしかったです。
竹島剛志役の玉山鉄二(良く知らなかった俳優さん)が、すごく上手い。ラストが印象的でした。

その時の記憶で 映画を見たときにこの動機に現実味が感じられないと思っていたことを思い出した。 映画の場合、シーンを実際に映像として目で見てしまう。その画像を見て「古い」「昔っぽい」と私は判断していたのだと思う。ずいぶん昔の話を見せられているような気がした。 目で情景を見たとき、まず「いつごろの話だろう?」などそのシーンをもとに人は無意識に言葉で語られない部分を補完しようとする。そういう点で 映画は映像でイメージを固定してしまうので印象が変わる場合もあるなあなどと思ったりした。

 本の場合、はその時間の判断は使われている言葉で行われることが多いように思う。「公園デビュー」など、いまの世で使われている言葉を見ると現在に近いことなのだと私は判断しているようだ。

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