■著者 多島斗志之
■星 ★★★★★
症例A | |
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■説明
榊は精神科医。新しい病院に赴任してきたばかりだ。 そこで、阿左美という十七歳の少女を担当することになった。 阿左美はきれいな顔立ちの少女であるが、看護婦の受けはわるいようだ。
やや内気だが、すなおで礼儀正しい子という性格が一変してしまったというのだ。
■感想
シンデレラ症候群とかピーターパン症候群などが有名になった頃から、私は精神科関係の本に興味を持つことも多くて、手元にも10年くらい前に買い求めた本がたくさんある。手元にあるのは、1991年第6刷の以下の本。
心病める人たち―開かれた精神医療へ | |
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これを読んで 精神科のありかたというのを考えてしまったことがある。
(主人公の榊が勤めていた)前の病院は利潤の追求を何よりも優先していた。患者を牧場の羊のようにみなしている気配があった。ところが、今度の病院は院長の考え方にも好感をもったし、治療方針も納得のいくもののようだ。 このあたりを読んで、上の本を思いだしたのだった。
彼が担当した患者の中には精神分裂病(原文のまま。2002年からは統合失調症)を疑われる子がいた。しかし、だんだんと榊は彼女は「ボーダー(境界例)」ではないかと思い始める。しかし、臨床心理士である広瀬は彼女は 解離性同一性障害ではないかという。
このあたりも、24人のビリーミリガンを読んだことがあることを思い出しながら物語に入りやすかった。
24人のビリー・ミリガン〈上〉 | |
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そうして、ビリーミリガンを読んだとき、信じがたいような、また、やりきれない思いが残っているように記憶している。この本はフィクションではあるが、読み終わったときに明るい希望を持てるような結末であることが好きだった。ミステリーとしてもとてもよく組み立てられていてさくさくと読み進められ面白かったと思う。