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August 09, 2006

ブレイブストーリー

■著者 宮部みゆき
■星   ★★★★

ブレイブ・ストーリー (上)
ブレイブ・ストーリー (上)宮部 みゆき

角川書店 2006-05-23
売り上げランキング : 17

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【説明】 
ワタルは、小学校5年生。ごく普通の家庭の一人っ子だ。近所のビルに幽霊が出るという噂で幽霊ビルを友達と一緒に見に行った。そこで不思議なものを見てしまう。

【感想】
 ブレイブストーリーは、まさにRPGの世界でした。本を読んでいて こんな感じなのは珍しいのだけれど、本の中での表現がゲームをもとにしているからそんなものなのでしょう。宮部みゆきのファンタジーというのは初めて読みました。本当にこの人は多才な人だなあとおもいました。

 ストーリーは「裏庭」などよりももっと軽くさくさくと読めるものですが、かなり厚い本です。(映画化にともなって文庫本も発売されました)そうして、妙に納得する表現にふと出会ったりします。

 かなりのネタバレになってしまうので、フォントの色を変えます。マウスで反転させて読んでください。
(ここから)
話の後半で主人公のワタルはあることがあってどんどん迷い始めます。

「あなたが今、そこで煩悶しているすべてのこと。〜という恐怖〜と言う恐怖。〜という恐怖。(略)すべてあなたが生み出し、あなたが形を与えた恐怖であるが、あなたには消すことのできぬ恐怖だ。」

と指摘された主人公は物語のラストで自分が切り捨てていた自分に目を向けてそれを受け入れることで自分を取り戻します。

争いを重ねる愚かさも、自分の信じるものしか目に入らない心の狭さも、目先の楽ばかり手を伸ばす性急さも、みんなみんな含めて、それがワタルの幻界なのだから。ワタル自身なのだから。

(ここまで)

後日映画も見ましたが、映画はかなりの部分が単純化されてしまって 本来、宮部みゆきが書きたかった結末とは少し離れてしまい、RPGっぽいところだけが残ったように思いました。 また、二人の少年の家庭環境が複雑なだけに、小さな子供にこの映画をみせるべきかと迷われる保護者も多いかと思います。 息子(小3)と一緒に見ながらも、「息子はこういうことわかるのかな? 見ても大丈夫かな」と思いました。
 本の方も、「お父さんがお母さん以外の人と暮らしたいと思う」というシチュエーションが理解できるか?と思うと、やっぱり読むにはワタルとおなじ5年生から上が望ましいのではないかなと思いました。