■原題 陰陽師(鳳凰の巻)
■監督【著者】 夢枕獏
■出版社 文春文庫
■星 ★★★★★
陰陽師 鳳凰ノ巻文春文庫
■説明
陰陽師の第4巻。
今回も安部晴明と 弘雅のみやびやかで 不思議でゆったりとした時間を堪能することができる。
■感想
少し陰陽師の世界から離れた本ばかり読んでいたので このゆったりしたテンポになれるのにほんの1ページくらい待つ必要があったが、そのあとは一気に物語に引きずり込まれて堪能した。
もののけがでてもあまり凄惨でなくゆったりした時間が流れていくのが良い。もののけにはもののけの筋の通った言い分(因果関係)があるのが落ち着く。特に晴明の呪についての解釈が宗教観とでも言えるようななるほどという心地よい落ち着き方だ。(私は特定の宗教を信じていないのですが) 内容に少し触れると、念仏を唱えながら山に入っていった僧侶が命絶えた後もしゃれこうべとなって念仏を唱えつづける。その骸骨の中の舌が赤々とまるで生きているかのようだという話しから、「どこぞの君に心を奪われて人は鬼になるときがある。」「執心が強ければ人は鬼になったりするときもある」「法華経を誦して、極楽浄土を願うというのも、執心ということでは同じさ」という下りがある。まさに。そういうものだなあと思う。