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July 03, 2005

火の粉

■著者 雫井脩介
■星  ★★★★★

434440551X火の粉
雫井 脩介

おすすめ平均 star
star良かったと思います
star一流の心理サスペンスが堪能できる!
star久しぶりに良い小説だと思いました。

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■こんな人にオススメ
とにかくサスペンスが好きな人。

■説明
裁判官の梶間勲が最後に取り組んだ事件は凄惨な家族殺人事件だった。死刑という判決を下す事の重みを日々考えている梶間が下した判決は、会心とは言い過ぎかもしれないが、自賛できる裁判だった。長い裁判官生活の総決算ともいえる裁判だったと思った。
 そうして、退官し家族と暮らす彼の身辺に少しずつ異変がおこりはじめたのは、ある出来事からだった。

■感想
 ああ、怖かった。どうなるのかと気になり、ページをどんどんめくり一気に読み終わってしまった。疑い始めると誰もが怪しく思えてくる。何かヘンだ。何かが違う。そう思いながらはっきりと見えてこない。じわじわと警鐘がなるのを聞きながらその実態が見えてこないその焦燥感。「はやくときあかさなければ。」「はやくしなければ」という思いでつい読み進むペースもあがります。 久々に怖いと思いました。 前に書いた「黒い家」とおなじくらい怖かったと思います。
 
 作者は男性だと思うのですが、主婦の日常生活やら思考やらが違和感なく描き出されていて、なぜこんなに書けるのだろうと 冒頭から少しして驚きました。筋にはほとんど関係のない日常だけれども
 

雪見は夕食の一品くらい先に作っておいたほうがあとから楽だろうと、冷蔵庫にあった厚揚げやかぶ、さやえんどうを使って煮物をした。だし醤油やみりんを入れた鍋に薄切りしょうがを加えて中火で煮立て、油抜きした厚揚げや株などを適当に切って放り込む。しばらく弱火で煮てから火を止めた。このまま置いておけば味が染み込んでくれる。

なんて、あまりにも手馴れている手順が自然に物語に厚みを持たせていると思います。

この文庫本の巻末には 藤田香織さんの解説が載っていますが、この解説がまた。「ううん」とうなるくらい壷を押さえた解説です。 内容に触れている部分もあるので、できれば読み終わってから読むのが良いと思います。

アマゾンの書評には物語りのラストについていろいろの意見が載っていましたが。私はこの物語の始まりに対してこの結末はうまくはまっていると思います。

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