■監督【著者】 有吉佐和子
■出版社 新潮文庫
■星 ★★★★
悪女について新潮文庫
■説明
貧乏に生まれた女性が手腕によって大金持ちになるが、謎の死をとげる。
その彼女に関連した人の証言。
■感想
何がおもしろいか といわれると説明が難しい。
ある女性について、関わった人たちの証言が次々と載っているだけである。
その証言が一人一人微妙に違う。
それによって、読み手は、彼女はどんな人だったのだろうと想像をめぐらせる。
結末まで読み進み、たぶん、読み手によってその「悪女」の評価が違うであろう。
実社会では、これほどまで極端な人はたぶんいないだろうと思うが。。。
彼女は、とても頭がよい。くるくるとつじつまの合うように嘘をつき分ける。
本を最後まで読んでも、どれが嘘でどれがまことか こちらのほうが目がくらむようだ。
とっさに、真実をつきつけられ身動きがとれなくなっても、取り乱すこともなく平然と居直る。
その言い訳がまたうまい。小気味のよいほどである。
私には到底できない芸当なので、ある意味尊敬に近い思いも抱きながら読み終えた。
ただし、実際彼女がいたとして、知り合いにはなるのは怖いな。