■著者 モーリス ドリュオン
■星 ★★★★
みどりのゆび | |
モーリス ドリュオン Maurice Druon 安東 次男 岩波書店 2002-10 売り上げランキング : 32,865 おすすめ平均 だれかにプレゼントしたくなる本です 40年のロングセラーの意味。 とても考えさせられる本 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
■説明
何不自由ない裕福な家に生まれたチトは美しい子でした。父の仕事をつぐために小さい時から特別な教育をうけさせられることになりますが、なかなかお父さんのおもうようにはいきません。
ある日のこと、植木鉢に種を植えたところ、あっという間に植物が育ち花が咲きました。
チトは隠れた種を発芽させて立派に育たせる「緑の指」の持ち主だったのです。
■感想
「園芸がすき」 と言う人に有名なこの本「みどりのゆび」を初めて読みました。 てっきり植物を育てるのが好きな園芸家の話だとおもっていたのです。 冒頭の部分にある
「うつくしいということは、チト(主人公の緑の指の持ち主)にはごくあたりまえのことでした。」「チトの両親はふたりとも、本当に綺麗でした。だから、いつも二人を見ているチトには、うつくしいということはあたりまえのことで、みにくいことのほうがむしろ例外か、それともいけないことのようにおもわれたのです。」「おとうさんとおかあさんはすごいお金持ちだったのです」
という文を読み、私が思っていた筋と違うことに気づき、このままこの物語が進んでいくのだったら私は最後まで読めるだろうかと心配になりました。
お金と美貌に恵まれた人生。 皆それはうらやましいと思うことだと思うけれども、今の私は今のままの生活で十分満足しているし、それについての私から見た価値というのはさほど高いと思っていないから、そういうことばかりをならべたてた本は読む気がしなくなるのではないかとおもったのです。
ところが、読み進むにつれて、ただの「子供向けの童話」ではないことに気づきます。
強烈な平和へのメッセージが感じ取られるだけでなく、深い洞察力にみちた本だったのです。
小さなチトはおぼつかない子どもです。しかし彼の澄んだ目と穢れていない心は大人たちが見失っている真実をみのがしません。ありのままにとらえ、自分が信じる通りに行動します。
心に残る、手元におきたい一冊になりました。
totokoさんはじめまして。コメントありがとうございました。この本は 戦争についてというよりも、植物を育てる不思議な力という方面で知った本だっただけに、読み進むことで大変に強い印象を受けました。
そうですね。挿絵がまたステキで。じっくりと見ました。丁度手にとったのが特別装丁のものだったので、表紙も記事で紹介したものとは違ってとても美しかったのです。手元に置くのは特別装丁の方がほしいなあと思いました。記念物だったみたいなので特別装丁はもうないみたいです。残念。
戦争について、戦争をしたくないと思う人たちであふれているのに、どうしてこうなってしまうんだろうといつも無力感にさいなまれそうになりますが、とにかく戦争はダメだ。嫌だという気持ちを持ち続けて意思表示することが大切なのだと自分で思い直しています。
息子が本を読む年になってきたので、私も児童文学に触れることが多くなってきました。 大人の目で児童文学に出会うことができる幸せを今かみしめているところです。