■著者 梨木香歩
■星 ★★★
西の魔女が死んだ | |
梨木 香歩 新潮社 2001-07 売り上げランキング : 1,751 おすすめ平均 涙がこぼれる もうひとりの自分 大切な想い Amazonで詳しく見る by G-Tools |
■説明
まいは母の迎えで学校から家に帰ることになる。 母は英国人と日本人との混血。まいは黒に近く黒よりソフトな印象を与える瞳のママの目が好きだ。 「何があったの」「魔女がー倒れた。もうだめみたい。」 魔女とは英国人の祖母のこと。まいは、祖母の元で暮らした日々を思い出した。
中学生にあがったばかりの周りも自分も どう自分を扱ってよいか分からないほどもてあます時期、まいは学校へ行けなくなってしまった。
■感想
残念ながらデリケートなその時期からは少し遠く離れてしまった私は、息子もまた、今度はその時期にまだまだ遠い年齢であるために まいの悩みがあまり張り詰めては伝わってこない。
おばあちゃんのいい味も、ちょっともどかしくうまく伝わらない。(外国人であるということがそれを少し救っていると思う)ちょっともどかしい結果になった。
しかし、本の内容から少し離れて客観的にみてみると、たとえば 「おばあちゃん」のような 日々いきるためだけに生きている、そういう人とのふれあいは生きる意味を見失った人たちにとても重要な意味を持っているのではないかとおもう。
考えてみると、父親は家族の生活のため働くということが第一の目的になっているかもしれない。 母親も家族の生活の足しに働いている場合もあるかもしれないし、家族の世話をするために生きている部分があるかもしれない。もしくはこのまいの母のように、なんとなくまだ娘時代のわがままを残しながら娘と自分のウエイトを測り損ねてしまっているかもしれない。 お金や名誉や地位というもののために働くのではなくただ、生きるためだけに生きる。生きることを楽しむ。そんな忘れている生活を思い出すことが全ての基本なのかもしれないな。などと思ったりもした。
「西の魔女が死んだ」という題で、てっきりファンタジーなのかとおもいつつページをめくると、そこには
さらりとした文体の現在の日本が書かれている。ちょっとした違和感を感じつつ読み進んだ。
さて、読み終えた私は、おもったほどどっぷりと本のせかいに浸りこめなかったことを残念におもいながらも、ふと「西の魔女のように年をとりたいな」などと思った。
自然にさからわず、どっしりとしかし敏感にものごとをとらえつつ。そんなステキなおばあさんになれるだろうか。