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April 04, 2005

六の宮の姫君

■著者 北村薫
■星 ★★★

六の宮の姫君
北村 薫

東京創元社 1999-06
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■こんな人にオススメ
芥川龍之介が好き、もしくは気になる人。
大学生、もしくは大学を卒業してから間もない文学好きな人。
(落語が好きな人。)

■説明
私は文学部の4年生。卒論に芥川を選んでいる。卒論のためになぞりはじめた芥川だったがいつしか彼の交友関係を考慮しながら、彼が「六の宮の姫君」を書いた背景を推理する事になる。

■感想
ちょっとした失敗。帯についていた「文壇交流の実態を調べるうちに浮かび上がった謎」という語句と、ネットでちらりと見た感想の 円紫師匠 というものと、この本の表紙絵から、ものすごく軽い読み飛ばすような推理物を想像していたのだ。
 ところが、内容はチョット違った。

残念だったのは、私はもう学校を卒業してからずいぶんと時間がたってしまっていて、昔は友だちとどこかのペンションに行ったりもしたのだが、そういう空気をすっかりとわすれてしまっているところ。前半の高岡正子とのかけあいが、世間の荒波にもまれてしまったわが身には「なんて高飛車な物言いだろう」というのが気になって「あ、うん」の呼吸の会話が楽しめない。(学生というものは、世間をしらないからこそ頭でっかちで、じぶんこそが一番だというような考えを持ってしまうのだろうけれども)
 
 また、芥川は、小学校の頃から読み、高校のときの友人に熱烈なファンがいたのだけれど、これも「彼がそのような作品を書いた背景」そのものよりも 「文学作品を物語として楽しむ」というスタンスで私は読んでいたので、沢山の本を例にあげられても 「そうだ」とか「いやちがう。私はこうおもう」という謎解きの楽しみがほとんどかんじられなかったこと。 また、中には未読の作品も多かった事。

後半に出てくる円紫師匠はたしかに素敵な”師匠”だった。私が苦手だった「私」と正子とのかけあいがなくなった後半から比較的読みやすくなってきてどうにか読み終えたのだけれど、残念なのはタブン私はこの本の面白さを半分も味わえてないであろうこと。(後から思うと、二人の話し言葉のやりとりが私の日常とかけはなれすぎていて 生きて頭に入ってこないところがつらかったというのもあるのかも)

 ただ、こういう本を読んでみると、また芥川やら菊池寛やら読んでみたくなる。そういうきっかけになる本だとおもった。

 私は文学部ではなかったので、楽しめなかったのかもしれない。

芸術作品には鑑賞するときに大きく2通りの鑑賞方法があるとおもう。絵画にしても、音楽にしても、
その作者のその曲を作った背景を知りながら鑑賞するという道と、もうひとつは心を空っぽにしてただその表現のみを自分が受け取り、自分なりに鑑賞するというところ。 この本は前者の楽しみ方もあるのだということを教えてくれる本だとおもう。

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