注意)ネタバレ
この記事は ネタバレを含む感想です。物語の冒頭のみ知りたい方は、下の ■説明 の部分のみお読みください。
■原題 THE TALENTED MR. RIPLEY
■監督 アンソニー・ミンゲラ
■星 ★★★★
リプリー | |
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■説明
リプリーが内緒の代役で出たピアノ演奏をきっかけにリプリーと知り合いになった富豪ハーバート・グリーンリーフは、リプリーの上着を見て、自分の息子の出身校と同じだと親近感を抱く。話をしているうちに、リプリーの性格をみこんで 旅費などは出すからイタリアに行ったきりの息子ディッキーを連れ戻してくれと頼む。
■感想
太陽がいっぱい(アランドロン)で有名な パトリシア ハイスミスの THE TALENTED MR. RIPLEY 邦題リプリー が原作だということです。 私は太陽がいっぱいを見ていません。 だいたいの筋は知っていましたが、映画の感想を検索してみると、「太陽がいっぱい」を観たことがある人、とりわけ思い入れが大きい人にはこの映画の評価が低かったように感じました。その点では 太陽がいっぱいを未見であったことはラッキーだったと思います。
機会があれば、太陽がいっぱいも見てみたいとも思いました。
映画は、リプリーの内面にせまることなく外側から彼の行動を描いています。ですから、映画を見ている私の立場からは いつから彼が罪を犯そうと思い立ったのかさえも不明確です。
題にあるような、リプリーの才能は他人を真似る才能でしょうか。実際、あちこちで人の言葉をそのまま真似てみせる場面がありました。ピアノもそつなく弾きこなし、何事もそつなくそれなりに片付ける才能かもしれません。
以下少しネタバレなので色を変えます。 マウス反転してお読みください。
夫と一緒に観たのですが、夫は悪事が発覚せずに逃げおおせるこのラストをどうも生理的にうけつけないようで、かなり後味がわるそうでした。 私の方も後味は良くはないのですが、映像美が印象に残り、役者たちも上手くて、ナゾに感じる部分も多く、妙に見終わったあとも気になる印象深い映画でした。
どうやら本を検索すると、もともとが後味の悪いお話のようです。ラストも同じく、リプリーが逃げおおせて、続編もあるということ。作者を検索してみると、あまりにも気持ち悪い話なので途中で読むのを辞めてしまった「11の物語」と同じ作者だということがわかりました。
マットディモンが少しずつディッキーのいろいろな部分を自然にコピーしていき、ある日突然「あなた随分変わったわ」という部分では、登場人物と一緒にあらためて驚いた人も多かったのではないかと思います。
なんとなくアランドロンの面影のあるジュードロウのわがままで皆を魅了してやまないな富豪の息子も上手い。
お嬢様役とくれば。。の グウィネス・パルトローも、とにかく力演が印象に残る映画でした。
映画中「キミはゲイか?」と何度もたずねられるシーンがあったのは、原作には無かったものではないかと思います。もしかしたら、相手のことが好きになれば段々嗜好やしぐさまで似てくるということで、リプリーも他の皆と同じように ディッキーに惹かれ、そのうちに好きになってしまい、ディッキーからひどい言葉をあびせかけられたからの犯罪という可能性を示唆していたのかな?
彼の才能で、イタリアに渡る前にジャズの猛勉強をするシーンがあります。マイファニーバレンタインでの声を聞きながら「男か女か」のように独白が入り、ディッキーと一緒に演奏する場で見事にマイファニーバレンタインをコピーして歌うリプリーというシーンがあるので、やはりそれを示唆していたのかもしれないな。。。と思いました。
原作はこちら。 太陽がいっぱいと下の原作、それから続編を読んでみたいと思いました。
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