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September 14, 2006

【ネタバレ】 地上より何処かで ここよりどこかで

注意)ネタバレ

この記事は ネタバレを含む感想です。物語の冒頭のみ知りたい方は、下の ■説明 の部分のみお読みください。

■原題 ANYWHERE BUT HERE
■監督  ウェイン・ワン Wayne Wang
■星  ★★★★


ここよりどこかで
ここよりどこかでウェイン・ワン スーザン・サランドン ナタリー・ポートマン 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2006-03-10売り上げランキング : 27837おすすめ平均 starstar単調だけど…Amazonで詳しく見る by G-Tools


■説明
なにやら何も無い道路を走り続けている車の中から物語は始まる。助手席にいるナレーションの主の地味でラフな服装の女の子(ナタリー ポートマン)と ハンドルを握るのは彼女の母。派手で多少下品ともとれるような服装の中年女性(スーザン サランドン)。美貌だけれど、品の無さから教養の無さが伺える。 

 上機嫌でしゃべりまくる母と対照的に娘は今にも泣き出しそうな表情。何かを耐えている表情だ。
 彼女は破天荒な母のやることなすことが内心耐えられない。けれど、母ひとり子ひとりの家庭では一緒についていくしかない。今は母の決断で母の憧れのビバリーヒルズへ向かっている途中なのだ。

■感想
 この映画を見終わったとき、てっきり監督は娘を持つ母親なのではないかと思った。 それほどまでに母と娘の関係を上手く描いていると思う。

以下、全体的に映画の内容に触れていますので、真っ白な状態で映画を見たい方はご注意ください。

私の場合は子供は男の子で ナタリーポートマン演じるアンよりもずっと小さいけれど、私も時々母としての自分を振り返って、自分の中にワガママで甘ったれの部分があることにも気づいている。息子にとっては大切な親であるから、自分よりも息子の幸せを第一に考えたい。理性的でありたいと思いながらも、時々そういうワガママで甘ったれの自分と戦っている。息子の未来が揚々としたものであって欲しいと思うと同時に、息子の親離れをどこかで寂しく思う。 などなど、 母になったからといって、「確固たる母」が自分の中に出来上がるものではなく、母にもそういうばらつきがあり矛盾した思いの塊があるのではないかと最近感じることがある。

 スーザン サランドンが演じるアデルは、娘に対する愛情はあふれんばかりにあるのだけれど、それ以上に自分がオコチャマで 娘の気持ちなどさっぱりわからないし、わかろうとしない。 娘の気持ちなどお構いなしに 自分と娘はいつもおなじ考えであろうと思い込んでいるようだ。 しかし、頭の良い娘は 母がいつも追い求めている夢は実現しがたいことを一番良く知っている。 母がいつも頭の隅に追いやって見てみぬふりをしている現実を彼女はいつも見つめている。
 だから母の生き方が我慢できなく嫌いなのだ。やがて母が直面するであろう現実がわかっているから。
 でも、母には彼女が必要なのも痛いほどわかっている。精神的に母の支えとなっているのは自分だということもわかっているので、そういう母の行動を嫌っていたとしても、母を見捨てることができない。

 母は母で、娘は かわいい プーちゃん(愛称:熊のプーさんなのか?)であり 女優になるほどの才能に満ち溢れていると信じて疑わない。 娘の意思とは関係なく次々とオーデションを受けさせる。

 テレビで最近の日本の母娘を見ていても、友人や姉妹のようだと言われ喜んで二人でちゃらちゃら歩いたり、娘や息子に 女優やスポーツ選手の夢を託して 親の方が必死になったりということを 他人事ながら危うく感じていただけに、この アデルの アダルトチルドレンっぽい子供によりかかった生き方も現実味を帯びて見えた。
 
 ナタリー ポートマン 。本当に上手い。キライいだけれど憎めないという親子関係を上手く演じていると思う。 
 細かい演出も上手い。クリスマスの日 掃除機をかけているアデルは 床に落ちているものを拾おうともせずに チャリチャリと大きめのゴミが吸い込まれていく音がする。 きっと掃除など日ごろはしたことがないのだということがそれだけでわかる。 

 ラスト。良い映画だと思った。 親は子供を育てるけれども、子供は親を育てる。 そんなことを日々感じながら迷いながらの子育てをしている私には とても面白い映画だった。

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