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October 18, 2003

抱擁

■原題 POSSESSION
■公開年 2001年
■監督【著者】 ニール・ラビュート
■星 ★★★★
抱擁POSSESSION
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■説明
アーロン・エックハートは無精ひげの小汚い格好をした顎割れ男性。後に黒目(というか青目?)がとても大きくて 純粋で学術熱心な好ましい青年に見えてくる。(黒目の大きい人に弱い ありがちな pon2)相手は グィネス パルトロウ。彼女はどうして美人と呼ばれるのか私には納得の行かない顔である。ブロンドで痩せた体は痩せすぎのようにも見えるし、薄い唇。目・鼻の配置もなんとなく私が思う「典型的美人」からははずれている。
 でも、彼女にはこの役はピッタリ。イギリスの由緒正しい家の出身という人は知らないが、彼女のいかにも冷酷そうに見える表情を崩して笑ったときのあの丸い笑い顔が可愛いと思えるとすっかりと映画の世界に同化し始めている証拠だろう。そう。まるで恋でもしたかのように、 エックハート君やパルトロウちゃんに魅力を感じはじめる。
 グィネス パルトロウはファッションも地味な素材のよさそうなものを無造作に着込み髪もつくりこんでいない。ナチュラルだけど、育ちのよさそうな雰囲気を漂わせている。
 そう。「地味でその辺のものをひっかけたような洋服」ではなくて「さりげない洋服」と思えるということは見ている方が映画の登場人物に引き込まれて良い印象を持っている証拠なのだ。

 これはイギリスの物語。イギリスの歴史や空気を感じるような映像も大きな魅力の一つとなっている話であった。

筋は 愛妻家で通っていた19世紀の詩人アッシュ(ジェレミー ノーザム)の不倫スキャンダルを裏付けるような手紙を本の間から発見したのが顎割れ無精ひげだけど青目の大きいエックハート君。不倫相手と思われるラモット(ジェニファ・エール)の研究家であるグィネス教授と一緒に詩人の足取りをたどり、事実を解き明かそうとする。

■感想
雑誌に映画の紹介が出ていて、その風景があまりに美しいのと、ミステリー仕立てということでDVDを購入。最近はあまりこの手の話は購入しなくなったラブロマンス物。
ジャケット写真もなんだか濃厚な雰囲気で手にとって買うにはちょっとオバサンとしてはこっぱずかしくて抵抗がある。...おまけに題名が抱擁だし。もう少し別の日本語題名がつけられなかったのかな。抱擁よりは執着とかのほうがまだ所有するという意味と取り付かれるという意味とからそう遠くないような気もするけど。なんて英語に詳しくない私よりは数倍も英語ができる人が日本語題名をつけているわけだから、文句つけるほうがヘンなのだろうなあ。

 個人的に、題名とジャケット写真で濃厚な印象up作戦という感じが好きではないからだけど。

■ネタバレ多少あり。

 過去の二人の恋愛と現代の二人の恋愛を重ね合わせた手法はどこかでみたような設定※だったがとにかく、イギリスが綺麗。昔の衣装も良い。<実は衣装好きなのでこの手の映画はツボ。

 ある意味、恋愛というのは冷静さを失うことであり、他の人からみると「あんなののどこがいいんや」と思えるところも、たとえば 「目が可愛い」とか アバタもえくぼ状態におちいることであると思う。 私が、最初に「小汚い男の人だな」と思い、次に「真面目な人なんだ」と思い始め「探究心旺盛なんだ」と思い、「この大きな目がカワイイカモ」と思い始めた時点ですっかりと映画の手管に載せられている状態である。

 グィネスにしても、「痩せてるのに、毎度丸顔に薄い唇だなあ」「ふ〜ん。冷たいのね」「あれ?本当は情熱を内に秘めているのかな」「顔をくしゃくしゃにして笑うと意外と可愛いじゃない?」「よく見ると知的で可愛い」となってしまう。 やっぱり上手い。擬似恋愛をこちら側にみせてくれているではないか。

 詩人(ジェレミー ノーザム)はどうも気持ち悪くて好みではなかったが、詩人の相手となっているラモット(ジェニファ・エール)は フレスコ画の聖母像にかかれているのではないかと思うほど柔らかい笑顔の美しい人で、くるっとした悪戯っぽい目が魅力的である。設定ではおまけに知性豊かということ。詩人が一目で夢中になるのも無理はない。その表情と後半のフランスでの表情の差がこれまた凄くて同一人物かと思うほどの演技力?映像力? 女はコワイね。って(^^;)

 筋としては 多少単純に流れすぎているところがあるかもしれないが、こういう映像美というのはやはり映画の醍醐味だと思う。しかし これがアメリカが舞台だったらこうもいかなかったろう。
「イギリスだったらなにかありそうだ」という期待感と「イギリスの風景」がこの映画をもりあげているのかもしれない。
 また、この、「秘めてうじうじ」とした感じというのがイギリスのイメージによく合っているようにも思う。 これがアメリカだったら、当たってくだけろ。考える前に行動しろ。の印象のほうが強いように思うなあ。はやいもん勝ち。なんでも やったもん勝ち。うじうじは敗北者。のような。(これもpon2の勝手な印象です)


 ※思い出したのは フランス軍中尉の女。見方によっては ジェニファ・エールは 若い頃のメリル・ストリープと雰囲気が似ているからかもしれないが。
 筋としては フランス軍中尉の女のほうが、対照的なところが良く現れていて面白かったような気がするが、見直したらどうだろう。

そうそう。この原作はイギリスでブッカー賞という賞をとった小説であり、多分話は虚構だと思います。(検索したら、ヴィクトリア朝の詩人アッシュ という人を知らなかったら つまらない映画というような評があった。たぶん、アッシュ自体が実在ではなく、物語の中の人物だと思います。まちがっていたらごめんなさい。)
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